公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
太吉(三宅裕司)たちの出征が相次いで、日本は段々と生きづらい世の中になっていた。そんな中、マリ子(熊谷真実)とマチ子(田中裕子)は、相変わらず舌戦を繰り広げている。女学生になったヨウ子(早川里美)は、姉たちの争いもお構いなく、物静かに登校していく。一方、田河(愛川欽也)の家では、編集者の細谷(下條アトム)が、マチ子の成長ぶりを褒めながらもはる(藤田弓子)が熱心な信仰者であることを心配しており…。
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今日、オープニングを見ていて、ヨウ子の役者が変わったことと、三吉の役者が福田勝洋さんに代わったことを知りました。福田勝洋さんは見覚えのある名前だと思ったら、最近見ていた金八先生の第2シリーズの体育の伊東先生!
カンカンと伊東先生が金八前にここで共演してたとはなあ…今後一緒のシーンがあるか分からないけど。三吉君はかわいい子役だったので、まだ見たかった気もするけどそれでも楽しみがまた増えました。
砲撃音から始まる。当時の映像を見ただけで、盧溝橋か?と思うくらい、だんだん流れが分かってきました。
昭和12年。盧溝橋にとどろいた一発の銃声がやがて日本を第二次世界大戦の破滅へと引きずり込んだのですが、当時国民の大多数は華々しい戦勝ニュースにあおられてやがて迎える地獄のような日々を予見することができませんでした。
「澪つくし」の盧溝橋事件のナレーション
”昭和12年7月7日 北京郊外の盧溝橋で日本軍と中国軍が戦闘状態に入った。これが8年間続く泥沼のような日中戦争の始まりである。”
「あぐり」の場合は昭和13年に入ってたけど、その前にあったこととしてちょっと説明してました。
”昭和12年。いわゆる盧溝橋事件をきっかけに勃発した日中戦争は予想を超えて長期化し、その影響は国民生活にまで及ばされていました。贅沢華美を戒める風潮が強まって、昭和13年の1月には警視庁から東京の美容院業者に対し「パーマネントを自粛するように」という通告が出されたのでした。”
三宅裕司さん演じる山元太吉が万歳万歳と送り出されている。植辰、栄一親子の斜め後ろに三吉くんというか金八の伊東先生発見。三吉はマチ子とヨウ子の間くらいの年ならまだ未成年かな?
若者たちは次々と兵隊に駆り出されたものの…まだそれほど切迫した空気が感じられない昭和13年秋でした。
マリ子はヨウ子のお弁当を作り、ヨウ子を呼ぶ。
この磯野家では末娘のヨウ子がグンと背丈も伸びて美しい女学生になっていました。
マリ子にお弁当を持たせてもらって「すいません」。マリ子マチ子が言い争いを初めても笑って止めるでもなく「やめてお姉様」と出かけていった。
マチ子「昔っから私とマー姉ちゃん、にぎやかで騒ぐ方だったでしょう?」
マリ子「うん」
マチ子「その分、ヨウ子の活発さを2人で吸い取っちゃったんじゃないかなと思って最近気になってしかたないのよ」
マリ子「そんなことないと思うけど、ああ口数が少ないと学校でも損な役割しょわされてるんじゃないかと思ってそれが心配でさ」
マチ子「いや、そんなことはないと思うわよ。だってあの子のおとなしさはいじめたくなるたちじゃなくてかばってやりたくなるたちのもんだもん」
マリ子「それは希望的観測よ。きょうだいとしての欲目」
マチ子「そうかな~。だってあの子きれいだわよ~。よそで会ったら私たちの妹だって誰も絶対分かんないと思う」
マリ子「それは言える」
だけど正直言うと、もっと前のヨウ子と似た系統の美人にしてほしかったな。前のヨウ子は大人顔ではあったけど。
マチ子は鉢巻きをして原稿を描いていた。その描き上げた漫画を編集の細谷が水泡に見せていた。水泡は悩んでる時は自分で原稿を持ってくる、すんなり原稿を渡したときは自信があるんだから編集者は信用しろと言った。しかし、細谷はマチ子の進歩を見せたかったのだという。
水泡「大体な、女性の漫画家ってのは本当にいないんだから彼女はね、大事に育ててやればきっと本物になる」
細谷「そのつもりで我が社の連載も続けさせようと思ってます」
その流れで均五郎の話をする水泡。しかし、細谷は均ちゃんだけは勘弁してください、切れ味の悪いこと、マッちゃんとは雲泥の差だという。実際の長谷川町子さんの兄弟子というと「あんみつ姫」の作者・倉金章介さんがモデルじゃないかと噂されてるけど、内弟子生活は1年半ほどで多分、長谷川町子さんとはかぶってない。いろんなひとの複合体だろうか? 倉金さんは「マー姉ちゃん」放送時にはもう亡くなっていた。
均ちゃんを悪く言う細谷に「失敬だよ! あれだってだよ、僕のかわいい弟子だよ」と怒る田河先生、優しい。
執筆中のめくりが休憩中に代わる。
水泡「しかし、何だ。随分と描きにくい時代になってきたな」
細谷「軍の風当たりでしたら社の編集部の方で受けることになってますから」
水泡「頼むよ、君」
細谷「はあ」
水泡「大体僕はね日本陸軍を描きたくて『のらくろ』描いてるわけじゃないんだよ。昭和6年と言っちゃあ軍縮会議で世の中不景気で軍人がもうぞろぞろあぶれてた。今更ブル連隊長に品位が欠けるなんて言われる筋合いはないんだよ。それに大体だよ、軍隊に品位なんてものあると思ってるのかな、あいつら」
細谷「しかし、先生ね、そういう話は我々とだけにして気を付けてくださいよ」
水泡「全く窮屈な時代になったな」
細谷「そうおっしゃらずに頑張るだけ頑張りましょうよ~」
水泡「そんなこと言ったって『少年倶楽部』だってだよ、最近は戦意高揚だけの読み物が随分増えてるじゃないの」
細谷「中にはそういう威勢のいいのにすぐ尻尾を振る連中もいますからね」
細谷は水泡がチャペルに通っていることを言われて言い返したという。「先生がクリスチャンであるからこそ『のらくろ』の戦闘場面も残酷さがないんだし、一兵卒を眺める目も温かいんだと」。水泡は洗礼を受けていないが、神は信じると言った。神=良心。
細谷「いや、ですからね、そんなことで、その…つまらない揚げ足を取られないで下さいと先生のためにお願いしてるんですよ」とさらに、マチ子の母も熱心な信者で大丈夫かと聞いてきた。
水泡は朱の墨で書かれた「サヤウナラ」のめくりをみせ、次に「寄らば斬る」をめくらせた。英語で言うと「グッドバイ」。
はるは自宅でオネスト神父の話を聞いていた。セツルメントという聞きなれない言葉。
いいおうちが見つかったからお借りしようと思ったのに、急に貸さないと言われ、神父様とお話し合いに行ったのに最後には警察を呼ぶと言われた。今の感覚だと急に空き家に新興宗教が来るみたいな感じ?…とはまた違うか。でも貧しい人が集まる場所を作るんじゃ近所の人は嫌がるかもね。
神父「しかし、あなたはできることだけでいいのです。無理をしてはいけません」と言うものの、神父がセツルメント作らないとといえばはるが張り切るのは目に見えてると思うけどなあ。
神父が帰ろうとしたとき、ちょうどマチ子が帰ってきた。社交辞令として「せっかくおいしいパンを買って来たのに」とマチ子がいえば、そのパンをそのままオネスト神父に差し出すはる。マリ子が陽談社から原稿料が届いてると口にすればそれをそのまま神父に渡した。
マリ子「まあ、あれがなければ我が家が餓死するわけじゃなし」とはるに洗脳されかけてないかぁー?
マチ子「分かってるわよ。私だって別にケチで言ってるじゃないんだもの。でも、困った人を助けるのは国の仕事でしょう? せっかくいい案が浮かんで一生懸命描いたあげくにスイッて目の前持っていかれたら描く張り合いがないんだもの」
マリ子「おいしいパンを買って来たのになんて心にもないこと言ったの誰?」
マチ子「ん…それは…」
マリ子「ほら、心にやましいところがあるからじゃないの」
マチ子「やだ。マー姉ちゃんまで神様の味方?」
マリ子「…とまではいかないけど、頭が下がっちゃうのよ、あの人の熱心さには」
マチ子「うん、それは私もそう思うけど…」
マリ子「でしょう? だったらいいじゃないの。まあお母様流に言うなら一家飢えもしないで自分の好きな道が歩けるのは神様のおかげだそうだから勘弁しておあげなさい」
マチ子「やれやれ…またお人よしが我が家に一人増えにけりか」
お人よし…かあ!?
たあいのないことを言いながら世の中は少しずつ暮らしにくい世になってきていました。
もうマリ子も家のことだけでろくに絵を描ける状況じゃなくなってるんだろうな。マチ子は漫画に専念できてるだろうけど、マリ子が絵を描く時間なんてなさそう。さすがに今日のパンと原稿料の横流しは酷いなと思ったよ。自分で稼いだ金で慈善活動してるじゃないんだもんねえ。