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【ネタバレ】木下惠介アワー 3人家族(全26話)#11-#12

1968/10/15~1969/04/15 TBS

 

あらすじ

TBS『木下恵介アワー』で歴代最高視聴率を記録した人気ホームドラマ。偶然の出会いから始まる大人の恋と3人家族の心あたたまる交流を描く。男ばかりの柴田家と、女ばかりの稲葉家の二つの3人家族の交流を軸に、ロマンスやユーモアあふれるエピソードを盛り込んで話は展開する。山田太一が手掛けた連続ドラマ初脚本作。1960年代、大家族ドラマものが流行る中で、シングルファザー、シングルマザーの世界がリアルに描かれたのも話題となった。

11話

 

オープニングの前に”優秀映画鑑賞会推薦”の文字。

 

ジングルベルを英語で歌う健。次は♪雪よ岩よ われ等が宿りと雪山賛歌を歌い、いつもとちょっと違う髪型に決めて出かける。

 

商店街。スピーカーから女性の声がする。「お買い物の皆様。ただいま西口商店街は歳末福引大売り出しでございます。特賞・カラーテレビまたは新幹線でデラックス旅行…」。

 

当時の商店街はクリスマスは関係なくもう年末って感じだったんだね。これから約10年後の金八先生でさえ、クリスマスというより年末の方が色濃い感じがした。放送された1968年12月24日は火曜日で多分、この11話目が12月24日だったんだろうな。

 

健は洋子の実家の薬屋に行く。洋子が白衣を着て店番をしていた。洗濯洗剤(あのでっかい箱のやつね)を買ったついでに、小さな箱のクリスマスプレゼントを渡す。「それじゃあね、メリークリスマス。さよなら」と帰ってきて、玄関を入っても「ハァ渡しちゃった。ああ渡しちゃった」とはしゃいでいたのだが、洋子が家まで追いかけてきて「困るのよ、こんなもの」とプレゼントを返した。

 

安物で、プレゼントあげたのも高校の友達だからといいながら「僕ね…前からあの…」と告白しかけるが、「私ね、悪いけど好きな人がいるの」と帰っていった。健、プレゼントを投げ、がっかり。家にいると、明子から電話で今晩家に来ないか?と誘われた。お姉さんと二人でケーキが食べたいが、デコレーションケーキは2人じゃ食べきれない。お兄さんも誘ってくれば?といったが、健は気分が乗らず電話を切った。

 

雄一は営業部の先輩、小林に家に来ないかと6時半に玄関にいると強引に誘われた。佐藤は小林を営業のやり手だからつき合っとけば損はないという。

佐藤「『何をくよくよ川端柳』か」というけど、なーにそれ?

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明治時代の都都逸で…んで? 俺なんかダメだよにつながってるのかな。

 

健から耕作の会社に電話。今夜出かけるという話で「お父さんのはいいよ、丼ぶりでもとるから」とやっぱり優しい。健は今度は明子に電話をかけ、やっぱり行くと言いだした。「薬屋の恋人に何か言われたんでしょ?」という明子の鋭い指摘に思わず「どうして?」と聞いてしまう健。

 

「女の勘よ」と答えた明子だったが、電話を切って一人、「分かるわよ、そんなこと。男性があんなにしょげるなんて女性のことしか考えられないじゃない?」

ここの電話を切った後のシーンはそれぞれの家にいるのに、会話の掛け合いのようにお互いの独り言がかみ合っていて面白い。

 

あ、でも映し出された街並みはクリスマスムード。健は♪もろびとこぞりてを明子の前で披露する。踊ろうと明子に言われたが、敬子がまだ帰って来ず、誰もいないうちへ来て君と踊ったりしちゃ悪いもんと遠慮する。ちょっと元気のない健。

明子「やっぱり失恋しちゃったの?」

健「はっきりそうってわけじゃないけど」ってあれではっきりしてないってことはないだろ!

 

そこに敬子が大きな箱を持って帰宅。お兄さん来れないんだってという明子の報告に一瞬しょんぼりするが「楽しくやりましょう」と明るく言う。

 

小林宅を訪れた雄一。小林の妻・祐子と娘の昭子とパーティー。ケーキが大きい。

雄一「昭子ちゃん、クリスマスおめでとう」

昭子「うん」

祐子「『うん』じゃないでしょ? おめでとうございますって」

小林「ハッ…おめでたかないやな、別に」

 

祐子は小林がたまに早く帰ってくる時は誰かと一緒で、それは私と2人で長い間いるのが怖いからだと言った。祐子は小林がしゃべるといちいち嫌味くさく返して雄一もいたたまれない。

 

耕作は一人天丼とビールで夕食を食べていると、ハルがお重を持って登場。油っこいものはダメ、この年になったらこういうものを食べなくちゃとお重を広げた。1段目は野菜サラダとうま煮。2段目には若い人用にと鶏のから揚げが入っていた。

 

耕作「こりゃ思いがけないごちそうだな」と喜び、ハルもまた「よかった。そのうえ旦さん1人だなんて死んだ亭主の引き合わせかしら」と喜ぶ。耕作はコップを持ってきてハルにビールを注ぐ。耕作は日本酒よりビール派。

 

稲葉家では敬子、明子、健が談笑していた。敬子が♪きよしこの夜を歌い出したところに来客。沢野から花のプレゼントだった。透明の箱に入ったカトレア。明子は冬のランは高いのよー。1万円か1万5000円と推理するが、そんなにー!?と思うような、1輪の花。

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健は洋子のために用意していたプレゼントをそのまま明子に渡した。明子はブローチがシャレてる、色がいいと気に入ってすぐ服につけた。敬子も高い花よりブローチの方がすてきと褒める。

 

帰りの電車。雄一の後ろには赤い三角帽をかぶった浮かれた人もいる。

 

柴田家ではハルが酔っ払い、耕作がお開きにするといっても一人っきりの四畳半へ帰るの今夜は絶対にイヤと言いだしていた。そこに帰ってきた雄一に助けを求めたが、「泊めてあげたら?」とあっさり。ハルは布団に寝かされていびきをかいていた。

 

健がケーキを持って帰ってきた。このケーキは稲葉敬子さんが買ったものだと言い、2万円の花を男の人からもらってたよという。金額が微妙に高くなってる。でも嬉しそうじゃなかったと言い、僕だって…僕だって…と興奮する健を至近距離で殴る雄一(え!)。

健「兄さんは人を好きになったことがないから分かんないんだよ!」と部屋を飛び出し玄関で泣きだす。「兄さんは何も分かっちゃいないんだよ」。

 

カトレアを飾っている敬子。

 

何かが欠けているクリスマスであった。何が欠けているかを敬子は知っていたが、その人の名前は思い出すまいとしていた。柴田雄一というその人の名前は。

 

あ、ナレーション少ない。

 

12話

 

”優秀映画鑑賞会推薦”

 

1つの生まれようとしている愛があった。いや、すでに2人は愛し合っていると言ってもいいのかもしれない。しかし、雄一はその気持ちを敬子に言わなかったし、敬子も自分の気持ちを雄一に話さなかった。雄一には独身が条件の海外留学、海外勤務という目的があった。敬子はその目的を知って雄一を忘れようと努めていた。

 

雄一の会社。佐藤からあした留学試験の一次試験の合格者が発表されると聞かされた。佐藤は総務から聞いてきたらしい。話に入ってきた横山も試験を受けた一人かな? 佐藤はとっくに諦めてるという。

 

勤続3年以上の独身男子300人に会社がチャンスを与えるのである。2回の試験で15人が選ばれ、海外の大学へ留学ができる。出世コースであった。その1回目の試験の結果があした発表になるのである。

 

敬子の職場にまたしても沢野が来た。あけましておめでとうと挨拶し、大阪までの片道チケットを求めた。あさっての8時ごろ2枚…あなたと行けたら2枚。嫌われてるのは分かってるんだが、どうもかっこよく消えられないと頭をかく。敬子は冷静に6800円と返すが、お昼食事しましょうかと沢野は誘う。じゃお茶でも。じゃあ立ち話5分と敬子が困ると言い続けても誘う。

 

敬子が顔をうつむいて沢野の背中越しにカメラが移動すると、喫茶店に移動して向き合って座っている。おぉ~!

 

やぼなのは分かってるんだが、どうもしつこくしてしまうと敬子を前に語る。フラれた時はせめて面目を保つことを知らなくちゃいけない、テーブルから離れることを覚えなくちゃいけない、優しい顔など見せてはいけないのだとシャンソンを持ち出して話すが、でもあなたを愛しすぎた僕にはできないとも語る。これは40男のセリフじゃないなと自虐するが、ホントホント。

 

オフィスに来てプライベートな話をされると困ると敬子は言う。私の事は忘れてくださいと言うものの、そんなに僕が嫌い?としつこい。敬子は沢野と別れた女性がかわいそうだというが、40男の沢野に「若いのに古くさいんだ」と言われてしまった。「古くさくて結構です」と席を立つかと思ったらプイっと横を向くだけ。沢野は「やっぱりあの青年の方がいい?」と笑う。

 

相手の顔が見たくて後をつけたと白状する沢野。あの人は妹の友達のお兄様だと説明する。それだけだという敬子に嘘だなと見抜くわりに諦める気はないという沢野。我ながらしつこい男だと自分でも言っちゃってる。

 

敬子はふと沢野を恐れた。沢野の強さに逆らいとおすほどのものを自分が持っているだろうか。その強さを持つには誰かの力がいるのだ。誰かの…。無力感と孤独が砂のように重く彼女を包んだ。

 

ある日、ハルが柴田家を訪ねた。玄関で声をかけても誰も出ず、しかし縁側は開いていたのでそこから入って声をかけると、家の中は締め切って男臭く、掃除もしていない。「やっぱり女がいないとダメね」と言いながら片付けているとぼんやりした健が出てきた。

 

ウトウトしていたと言い、2月に試験だから寝る暇はないと最後の追い込みをしていた。そんなにフラフラで勉強したって身に付くもんですかとハル。身に付かなくても試験に通ればいい、試験が終わったらパッと忘れて…と言いながらもぼんやり。ハルは仕事で来たわけでなく健のお昼にと精進あげを持って来たのだった。しかし、ちょっとつまんだくらいでこたつに横になってしまった。風邪ひくじゃないのとハルが言ってもお構いなし。

 

そして、明子もまた家でウトウト。机で突っ伏していたのでベッドで寝なさいとこれから出勤のキクに起こされるも、ボーっとしている。キクは家を出たら中から鍵をかけなさいと何度言っても要領を得ないので、結局自分で外から鍵をかけて出かけてしまった。

 

そんな明子に敬子から電話があり、晩御飯を食べて帰るという。こたつで寝ていた健にも電話。明子からで、雄一は絶対に夕飯までに帰らないだろう、女の勘よとだけ言って電話を切った。

 

一体、自分は何をしているのだろうと敬子は思っていた。忘れることにしたはずの雄一を自分の方から電話で誘ったのである。突然激しく会いたいと思った。それを抑えることができなかった。いや、抑えたくなかったのである。

 

「やあしばらく」を爽やかに登場した雄一。「今日はどうせソワソワしちゃって」とあした留学試験の合格発表だと言った。敬子は雄一に相談があると電話をしていて、雄一は相談って何ですか? ゆっくり聞きますよとにこやか。「あっ、そうだ。今年初めてでしたね。あけましておめでとう」と頭を下げた。クリスマス以降は連絡しなかったんだなー。

 

食事も終わり、後は紅茶かコーヒーとウエイターに聞かれてアイスクリームを選んだ雄一と敬子。しかし、雄一が軽く冷たいお酒でも飲みたい気分だなと言って予定変更。アイスクリームからオンザロックになった。氷を入れたウイスキーか。

 

雄一は相談事を話さなかったと敬子に言う。敬子はもういいんですと言っていたが、縁談があり、冷静な意見を聞きたいと言った。いい男で金持ちで敬子を好きでいてくれる人だが敬子がその人を嫌いなのだという。

雄一「それならまた問題はないな」

敬子「熱心なんですもの」

雄一「嫌いならしかたないでしょ」

敬子「そんなに簡単じゃありませんわ」

雄一「そうかな」

敬子「他に好きな人がいれば別ですけど、独りぼっちで断りとおせるか自信がないんです」

雄一「そんなに熱心なんですか? その人」

敬子「ええ」

雄一「それであなたにはほかに好きな人がいないっていうわけか。そうなるとついフラフラっと結婚を承諾しちゃうってこともあるんですかね」

敬子「ハァ…それが怖いような気がして」

雄一ハッとして敬子の顔を見る。

敬子「誰かほかにほんとに愛せる人がいれば私だってもっと強くなれるんでしょうけど」

雄一うつむく。

敬子「あっごめんなさい。フフフ…返事のしようがないでしょ」

雄一「いや」

 

ウエイターがオンザロックを持ってきた。

 

敬子「フッ…今の話は全部忘れてください。今日はほんとに楽しかった」

雄一「僕も楽しかった」

敬子「明日の発表、合格を祈ってます」

雄一「ありがとう」

 

これほどまでに自分を抑えねばならない恋愛とはなんだろう。恋愛がすべてだとは思わない。だからこそ雄一の仕事本位の生き方を認めているのだ。忘れようと努めているのだ。しかし、自分にとってほかに何があるだろう。とは言え、仕事に熱中する彼に自分の愛を求めることは独り善がりにも思えるのだった。敬子は分からなかった。

 

部屋に帰ってぼんやりしているところを明子に見られ雄一に求婚されたか聞かれたが、何となく楽しかっただけと答えた。

 

健がリビングに入ると雄一が寝転がって足をぐるぐる回していた。一服しないかと健を誘い、紅茶を入れてくれた。当時はもうティーバッグなのかなー?と会話そっちのけで見ていたら、ティーバッグだった。1920年代にはアメリカに広がっているが、日本だと1965年くらいからと書かれて、このドラマの時点だったら割と最新じゃない?

 

もちろん雄一には分かっていた。今夜の興奮があしたの発表のためばかりではないということを。一体今夜、敬子が自分を誘ったのはどういうつもりなのだろう。縁談は本当だろうか。あっいやいやそんなことを考えてどうなるというのだ。数か月したら数年間の外国生活を送る自分かもしれないではないか。現実的にならなければいけない。現実的にだ。

 

雄一と佐藤が通信部から出て顔を見合わせてにやり。ふたりとも一次試験に合格していた。

雄一「ずるいぞ、お前。ダメなような顔ばかりしてて、ちゃんと受かってるじゃないか」

佐藤「いつも悲観的なんだ、俺は」

お互い握手でおめでとうと言い合う。次は面接だというと、「顔がいいヤツは得だよ」と佐藤。「問題は会話さ」と”顔がいいヤツ”は否定しない、雄一、いいねえ~。だって本当のことだもん。

 

部内で合格したのは2人だけであった。うれしげな顔はできなかった。しかし雄一の心には大きな将来への野心が膨らんでいた。負けてたまるか。例えライバルが佐藤であっても負けるわけにはいかないと雄一は思った。

 

敬子は雄一のことを考えていた。もし彼が今日合格していたなら彼の心はますます自分から遠くなっていくであろうと思っていた。そう思うと敬子の心には雄一の不合格を願う気持ちがふっとかすめるのであった。

 

敬子も雄一ももっと素直になって! しかしながら20代でも言葉遣いがきれいでずっと聞いていたい。そんな中、明子はあの若さでしゃべり方などおばちゃんくさい感じなのがまた面白いんだけどね。それにしても沢野がしつこい。断り切れない敬子もまたなんだかなとは思うけど。