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BS松竹東急

【ネタバレ】小早川家の秋

1961年 日本

 

あらすじ

小津安二郎東宝で監督した唯一の作品。それまで実は危ういバランスの上に成り立っていた均衡が、一家の大黒柱がいなくなったことで崩れていくさまを描くホームドラマ。 代々造り酒屋の小早川家だが、最近では大資本に押され経営が厳しい。亡き長男の妻・秋子の再婚、末娘・紀子の結婚と問題が山積みしているのに、先代当主の万兵衛は昔の女のところに入り浸り。当主の久夫は頭が痛い。

2023.12.16 BS松竹東急録画。カラー。

 

「こはやがわけのあき」と読むのね。録画した小津映画はあと1本。

 

昭和三十六年度

芸術祭参加

 

宝塚映画作品

 

夜の街。ネオンが明るい。

 

バーのカウンターに座る男女。磯村は森繫久彌さん。隣に座っていた女性はホステス・あけみ。あとから弥之助が来た。加東大介さん。弥之助は磯村に未亡人を紹介する。

 

小早川秋子:原節子…字幕緑

 

弥之助のいるところに秋子が来て、偶然を装って隠れていた磯村が現れ、名刺を渡した。磯村は気に入ったサインである鼻をなで、弥之助に見せた。秋子が電話をかけに席を外すと、磯村は年頃もちょうどええと大OKを出し、ジンフィズを3つ注文した。

 

秋子が帰ると、紀子(司葉子)と息子の稔がいた。紀子は秋子の亡くなった夫の下の妹。

 

今回の映画は原節子さん以外は関西弁。

 

造り酒屋

 

小早川万兵衛:中村鴈治郎(2代目)…字幕黄色

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中村玉緒さんの父以上の情報はないかと思ったけど「雁の寺」にも出てた。最初のほうで亡くなった旦那さんね。

 

秋子に磯村を紹介したことを報告した弥之助。弥之助は万兵衛の亡くなった奥さんの妹の夫。ややこし。

 

大学時代の友人の寺本忠(宝田明)が札幌に転勤するので、送別会に行った紀子。ただの同僚たちの歌がうまい!!

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造り酒屋の番頭・山口信吉は山茶花究さん。 店員・丸山六太郎:藤木悠さん。

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山茶花究さんは「女は二度生まれる」「雁の寺」などで見た。

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藤木悠さんは「貸間あり」のハラ作か。これも宝塚映画だって。

 

どんどん人が出てくるので人間関係を把握するのが大変だ。

 

万兵衛はあとをつけてきた丸山を氷屋に行き、佐々木つねの家へ。浪花千栄子さんは「二十四の瞳」や「貸間あり」にも出てた。

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つねの家には派手なピンクのドレスを着た若い娘・百合子が帰ってきた。万兵衛を「お父ちゃん」と呼び、つねを「お母ちゃん」と呼んでいる。二号さんというやつなの?? 百合子は万兵衛にミンクのストールをねだり、神戸の会社に勤めるアメリカ人・ジョージとつきあっている。

 

酒屋に帰ってきた丸山は、まかれたふりをして佐々木と門灯のある旅館に入った万兵衛を見ていた。山口は佐々木と聞いてピンときた。戦時中に切れたと思っていたが、まだ続いていたと言う。山口が言うには百合子は万兵衛の娘ではないらしい。

 

小早川家の長女・文子(新珠三千代)と夫の久夫(小林桂樹)は、つねのことを噂しあい、文子は万兵衛に問い詰めようとするが、久夫が止める。しかし、万兵衛が京都の嵐山で母の法事のあとで食事をしようと言いだすと、文子は佐々木という人の所へ行ってたんじゃないですか?と問い詰め、今から行ったらどうかと言う。

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新珠三千代さんは「かあちゃん結婚しろよ」や「喜劇大安旅行」で見ました。

 

風呂上がりにくつろいでいた万兵衛は怒って、あとをつけてこいと着替えて出て行った。

 

百合子は、小さいころにもう一人、お父ちゃんと呼んでた人がいたような気がすると言うが、ミンクのストールをくれるまで、万兵衛をお父ちゃんと呼び続けるとちゃっかりしている。

 

結局、万兵衛が行ったのは、つねの家。がま口を持たずに出たものの、駅のタバコ屋で1000円借りたと言う。せっせと床の水拭き掃除を始める。

 

秋子の働く画廊へ行った弥之助は磯村のことを聞くが、秋子は考えさせてくださいと言うだけ。乗り気じゃない感じ。

 

嵐山に集まる小早川家の人々。秋子の夫の幸一が亡くなって6年。万兵衛と弥之助と久夫が秋子の今後について語り合う。文子の妹である紀子も見合いを済ませたもののはっきりと返事をしない。

 

文子は、また万兵衛に京都で行きたいところがあるんじゃないですか?と嫌みを言う。

 

秋子と紀子は川辺で紀子の縁談の話を聞く。見合い相手は、ご飯をよく食べる人。紀子から縁談のことを聞かれた秋子は「私なんかこんなおばあさん」といい、紀子から100円を要求される。紀子は秋子が「おばあさん」と発言するたび、100円をもらう約束していた。原節子さんは当時41歳。

 

その夜、帰ってきた万兵衛が突然倒れた。みんなが見に行くと、体を起こしてボーっとしている。医者を呼ぶと、心筋梗塞だといい、布団に寝かされている。弥之助夫婦も集まる。

 

翌朝、涙を流す紀子。各所に連絡をして万兵衛の弟妹も集まる。叔母ちゃんのしげは杉村春子さん! しげは名古屋に住んでいる万兵衛の妹、清造は東京に住んでいる弟。発作が落ち着き、二人とも用事があるので一旦帰りたいなどと言う。え、まだ亡くなってなかったんだ。

 

平気そうに起きて歩いている万兵衛。そこからウソみたいに元気になった。日曜日に秋子も遊びに来て、紀子とあんなに元気になってと笑い合う。

 

紀子が自分の部屋で手紙を書いていると秋子が来た。秋子は手紙の相手をごはんをよく食べる見合い相手のことだと思うが、札幌にいる人だという。

 

文子の息子・正夫と遊んでいる万兵衛。正夫が隠れている間に着替えて出かけた。子役の正夫は見たことあるような顔だと思ったら、「お早よう」に出ていた。

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秋子は結婚前に品行が悪くても許せる。だけど、品行は直せても品性は直せないという話を紀子にしていると、正夫がおじいちゃん見なかった?と部屋に来たが、2階の窓から万兵衛が歩いていくのが見えた。

 

万兵衛とつねは競輪場へ。スッてしまい、大阪へ行こうと競輪場を後にした。

 

夜、弥之助と磯村がバーのカウンターに並ぶ。秋子からなるべく行けたら行くという返事だったと2時間待って伝えた弥之助。磯村は他の店で飲み直そうという。

 

文子と久夫が万兵衛の話をしていると、京都の佐々木から万兵衛が倒れたという電話があった。

 

百合子はつきあっているジョージではなく、ハリーが迎えに来たので、万兵衛に手を合わせて出て行った。え! 万兵衛の顔にはもう白い布が掛かっている。百合子はミンクのストールを買ってもらえなかったことしか言わない。

 

久夫と紀子が佐々木家を訪ねた。

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「見事な娘」は東宝の映画だから司葉子さんと小林桂樹さんが共演してんのね。

 

8時23分亡くなったことをつねが伝えた。遺言がなかったか確かめる久夫。紀子は泣きだす。

 

川で農具を洗う農夫と妻。笠智衆さんの関西弁、珍しい。

 

火葬の日。久夫は造り酒屋を合併して、大きな会社に助けてもらってサラリーマンになると言う。紀子は札幌へ行く決意を秋子に語る。

 

番頭たちが葬儀を取り仕切る。しげも名古屋から駆け付けた。この間、みんなが集まったとき死んだらよかったなあと笑っていたが、好き勝手に生きた万兵衛を思い、泣きだす。

 

火葬場の煙突から白い煙が上がるのをそれぞれの場所で見上げる。

 

紀子は秋子の今後を訪ねる。秋子は稔も大きくなってきたのでこのままでいいと笑う。

 

青空とお墓とカラス。(終)

 

小津監督が東宝で撮った唯一の映画。

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加東大介さん、森繫久彌さん、小林桂樹さんなどいつもと違うメンバーが多かったし、原節子さんも笠智衆さんもこれまでの映画に比べると脇の脇に感じてしまった。

 

キャストが違うせいか小津映画だけど小津っぽくないような!? 監督の名前を前面に出さなければ気付かないだろうな。

 

でも、紀子、文子、しげ、幸一などなどおなじみの名前ばかりで原節子さんの役名は、今回は紀子じゃないんだなと何度も確認してしまった。

【ネタバレ】わが子は他人 #3

TBS 1974年4月17日

 

あらすじ

再検査の結果、一郎(春田和秀)の血液型はやはりB型であった。夫婦揃って再検査を受けたところ、一郎は大吉(松山省二)夫婦の子ではないことが証明され、病院で取り違えられた可能性が高まる。

2024.4.26 BS松竹東急録画。

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福山大吉:松山省二…太陽カッター社長。字幕黄色。

福山紀子:音無美紀子…大吉の妻。字幕緑。

*

和泉和子:林美智子…元の妻。

*

滝沢春生(はるみ):高沢順子…和子の姪。

西城:佐々木功…保健所の血液型担当職員。

*

福山隆:喜久川清…大吉の弟。浪人生。

鍋谷孝喜…太陽カッターの従業員。

田尻丈人…太陽カッターの従業員。

*

福山一郎:春田和秀…大吉、紀子の息子。小学1年生。

和泉晃:吉田友紀…元、和子の息子。小学1年生。

ナレーター:矢島正明

*

福山ゆき:小夜福子…大吉の母。

*

和泉元(げん):杉浦直樹…中学校教師。

 

わが子を愛しいと思う親心のほとんどは自分と血がつながっていると思うからではないでしょうか。ところが、一郎は大吉の血を受け継いではいなかったのです。その事実をゆきはまだ知りませんでした。

 

洗濯物を取り込むゆき。「どうしてるかしらね。Bでなきゃいいんだけどね。お天気ばっかり良くたってしょうがないわね、ホントに。まあ、よく乾いちゃって。ハァ…それにしても、もうぼつぼつ帰ってこなきゃ…隆、今、何時だい?」

隆「うるさいなあ。気が散って勉強になりゃしないよ」

 

3時だと答えた隆に気が散るほど勉強してんのかね?と言うゆき。隆の部屋から物干し場に行ける感じなのかな。ゆきはさっき田口さんから電話があったが、夢中で勉強してるからと断ったと話した。「だって気が散るじゃない」

隆「くさるよ、まったく」←木下恵介アワーの若者がよく言う言葉。

 

隆は目覚まし時計を止め、ゆきと一緒に1階に下りた。

ゆき「3時のお茶なんて働き者の職人が言うことだよ」

隆「だから、大学を出ようと思って勉強してるんじゃない。何かないの? 食べる物(もん)」

ゆき「冷蔵庫の上にバナナがのってるよ」

一郎のためにバナナだけはある。

 

一郎が一人で箱を抱えて帰宅。大吉たちはもう一度保健所に行くとバスに乗るときに別れた。そうそう、昭和は子供が割と一人で長距離を歩いたり、バスに乗ったりしていた。

 

一郎「これ買ってもらっちゃった。電池で動くんだぞ」

ゆき「わあ、ステキな自動車じゃないか」

一郎「行ってくるよ、公園へ」

 

いいものがあると止めたゆきだったが、「いらないよ、バナナなんて」と出て行った。

ゆき「あんなこと言ってる」

隆「ほらね、一郎も言うときは言うんだよ」

ゆき「私が食べるから持ってらっしゃい」

 

電話が鳴り、ゆきが出た。大吉からの電話で一郎が帰ったか聞いた。大吉と紀子の血液型が間違っているかもしれないので、一郎をバスに乗せてから引き返した。二人の耳たぶには小さなテープが貼られている。一郎はやっぱりB型だったと報告。「今、検査してもらった結果待ってるんだけど、これで俺たちのほうが間違ってたら、とんだお笑いだよ」

ゆき「そう願いたいね、ホントに」

なるべく早く帰ると電話を切った大吉。

 

隆にバナナを渡されたゆきは「バナナどころじゃないよ、ホントに」と言いつつ、バナナを受け取り、皮をむいて、小さく折って食べてた。

 

この日、親子3人の血液型が改めて検査されたわけです。その結果、3人の血液型はそれぞれ正しかったのです。それはあくまでも一郎が大吉の子ではないことを意味していました。

 

茶の間で夕食をとる福山家の面々

隆「ほらほら、一郎こぼしたぞ」

紀子「一郎。よそ見しないで食べなさいよ」

一郎「あっ、お父さんもこぼした」

大吉「うん? おう、1粒だけだよ」

隆「親子でこぼしてりゃ世話ないや」

顔を見合わせる大吉と紀子。

 

食べ終わった一郎はテレビをつけた。

大吉「こら、一郎。そんなそばで見ると目、悪くするぞ」

一郎「だって、お母さんが邪魔なんだも~ん」

紀子「じゃあ、お母さんどくわ。もう済んだから。ごちそうさまでした」台所に食器を運ぶ。

 

テレビから流れるのは郷ひろみさんの歌声。

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郷ひろみ花とみつばち」1974年3月21日発売。「おやじ山脈」出演の縁もあってか、「思い橋」でも郷ひろみさんの歌が流れてた。

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2階へ行った紀子を気遣い、大吉にも2階へ行くように言うゆき。ご飯をお茶で流し込んで食べる大吉。お茶もみそ汁も湯気が立ってるな~。

 

隆「なんだか変なことになったね」

ゆき「なるに事欠いてね。お前もとんでもない本を読んでくれたもんだよ」

隆「そういうことになんのかな」

 

物干し場

「あしたからの恋」の物干し場に似てる。

大吉「どうしてそんなとこにいるんだ?」

紀子「居場所がない感じよ。このうちの中で私の」

大吉「バカだなあ。このうちは立派に俺とお前のうちじゃないか。苦労したよな、これまでになるには。お前と結婚したときだって、もっとひどかったよな。オンボロのうちで二間しかなくってさ。おふくろなんて…お前が一緒に住んでくれるって言っただろ? ほら、渋谷のハチ公の銅像の前で会っただろ? あの晩だよ。俺はうちへ帰ってきて、すぐそのことをおふくろに話したんだ。そしたら、おふくろったらさ…どういうふうに言ってもホントにしないんだよな。今どきそんなお嫁さんはいないって。それで、おふくろ、頑固なとこがあるだろ? なまじっか一緒に住んで気まずくなるよりは私のほうがアパートのほうへ行ってもいいんだなんて言いだしてさ。そのくせ…いつかも話しただろ? その翌日だったかな。俺がうれしくって1人で夜中に酒飲んでると、おふくろ起きてきてさ。私にも1杯ついでおくれよって言ってな。そうだな、おちょこで3~4杯飲んだかな。そしたら、おふくろったらな…ホントにありがとう。その紀子さんっていう人によろしく言っておくれって、おふくろはとってもうれしく思っているよって言ってねって、おふくろは涙流していたんだぞ。今だって感謝してるんだよ、お前には」

 

おお~、すごい長台詞!

 

紀子「私だって、お義母(かあ)さんのおかげで教養もないのに、とにかく今日まで幸せできたんだもん」

大吉「今日までなんて言うな。これからだってもっともっと幸せになるんだ。それをなんでお前、このうちに居場所がないだなんて言うんだ。バカだな。さあ、行こう。なっ? 母さんだって気にするよ」

紀子「ちょっと待って。一郎があなたの子でないとすると、じゃあ一体なんのために私はこのうちにいられるの?」

大吉「当たり前じゃないか。お前は俺の女房だもの。このことだけは間違いじゃないだろ?」

泣きながら大吉に抱きつく紀子。

 

「太陽の涙」でフットワーク軽く来客も多いはつさんを見ていると、必ずしも同居がいいとは限らない。むしろそっちが理想的。50年前でも同居に同意する嫁は少数派だったのかな。都会はすぐ近くにアパートを借りられるというのもいいな。

 

台所で片づけをしているゆきに一郎が「お父さんとお母さんどうかしたの?」と話しかけてきた。ゆきは「どうもしやしないよ」と答えた。

一郎「保健所へ行ったり、耳から血を採ったり、僕だって耳がチクッとしたよ」

ゆき「うん、そりゃね。たまに検査をしてもらわないと悪い病気にかかったら大変だろ?」

一郎「そうか。それだけか」

 

ゆき「それだけって? 何よ?」

一郎「赤ちゃんが生まれるといいね」

ゆき「ハハハッ。赤ちゃんが生まれると思ってたの」

一郎「だって、1人じゃつまんないもん」

ゆき「だけど、1人だったらなんだって買ってもらえるじゃないか」

 

一郎「だって、電気屋のひろちゃんのうちなんて子供が3人もいるんだよ」

ゆき「だけど、3人だったら、こんないい自動車買ってもらえないじゃないか」

一郎「違うよ。戦車だって消防自動車だってあるよ」

ゆき「だけど、そんないいんじゃないよ。さあ、これ持ってって見せてあげなさい。きっと欲しがるよ」

一郎「うん、見せてくるよ」

 

これまでの木下恵介アワーの子役はキャストクレジットにも名前は出なかったし、セリフのあるような役もほとんどなかったように思う。昭和の子役は棒読みっぽい子も多いけど、時々こうしてうまい子役がいる感じ。

 

茶の間

隆は寝っ転がって新聞を読んでいたが、ゆきが来て起き上がる。「ねえ、母さん。こりゃあれじゃないかな。どうもそうじゃないかと思うんだけど」

ゆき「あれって何よ?」

隆「取り違えだよ、産院の。ほら、いつかも新聞に出てたじゃない。きっとそうだよ。あの産院ならやりかねないよ。だけど、そうなったら事だな。一郎がどっかのヤクザの子供だったりしてさ。あいつ、入学式の前の日にどっかの子供の鼻に噛みついたろう? あれなんだ、きっと。ああいう凶暴な血が流れてるのかもしれないな。こりゃとんだお門違いってとこだな」

ゆき「隆! バカなこと言うのもいいかげんにしなさい! あんまり頭のいいほうじゃないことは知ってたけど、これほどバカだとは思わなかったよ。言うに事欠いて、今、そのためにみんながどんな気持ちでいるか分かってるの? そりゃ私だって、とっくの昔にもしかしたらそういうこともあるのかと思いましたよ。だけどね、思っていても口には出して言いたくないことですよ。一郎はうちの子供ですからね。どんなことがあったって、私の孫だからね。他に孫なんていやしないよ」

 

朝、従業員たちに1時間ぐらいたったら行くと伝えた大吉は、ゆきに現場行く前にもう一度保健所に行って相談してくると言った。「一郎が俺の子じゃないとすると俺たち夫婦の子でもないとしか考えられないんだよ。バカバカしい想像かもしれないけどさ。産院で取り違えられたってことだって考えられるかもしれないしね」

 

ゆき「ねえ、大ちゃん、いいのかい? そんなこと調べちゃって。もしもだよ…もし一郎が取り違えられた子だったらどうすんだい? ねえ、行かないほうがいいんじゃないのかい?」

大吉「でも、このままうやむやにはできないよ。とにかく行ってくる」

 

だけど、調べないと、紀子は確かに出産したのだから、紀子が誰の子を産んだ!?ってことになっちゃう。

 

あくまでも親子のつながりを求める大吉は紀子を説得して、再び親子3人の血を採りました。その血液は大学の法医学研究室に送られ、より厳密に検査されました。その検査には1週間が必要でした。その間、若い夫婦は耐え続けたのです。わが子の無邪気な微笑におびえながら。そして、とうとうその1週間目もあしたに迫りました。

 

大吉は突然、紀子に熱海行きを提案する。

紀子「どうしたのよ? やぶから棒に」

大吉「いいよ、行こうよ。パーっとな」

 

大吉は、ゆきに一郎を捜すように言い、熱海へ行き、あした帰ってくると言った。笑顔で「はいよ」と同意するゆき。

 

大吉「このままじっとあしたになるのを待っていたくないんだ。それに3人で出かけんのもたまにはいいじゃないか」

笑顔でうなずく紀子。

大吉「なっ? 早く支度しろよ」

 

新幹線が走る。熱海駅、小川さんいるかなあ。演じた三島雅夫さんはもういないけどね(涙)。

 

車内では3人並んでみかんを食べていた。

 

教室

元「みんな、静かに。この前の時間には社会のさまざまな集団というものについて勉強したね。そこで今日は、その集団の中で最も小さな集団である家族というものについて考えてみたいと思う」

 

和泉家

和子は学校に電話をかけていたが、元は授業中だった。

 

春生「でも、いいの? そんなこと。叔父さん、迷惑な顔しない?」

和子「大丈夫。あんただって今夜、下宿へ帰んのイヤでしょ?」

春生「うん。でも、しょうがないから我慢すればいいことだし」

和子「ダメ。そんなこと我慢しちゃ。あんたまでいやらしい子になっちゃうじゃないの。姉さんからも頼まれてるし、ここにいなさい、しばらく。そのかわり食費はもらうけど」

春生「ええ、どうぞ。どうせお母さんが払うんだから」

 

和子「そうよ。あんたのお母さんはいいわ。お金には困らないし、なんの心配もないし。このごろますます太ってんじゃないの?」

春生「そうなの。もうとってもじゃないけど、まともには見られないわね、あれ」

和子「悪い子ね、そんなこと言って」

春生「でももうあそこまでいくと醜悪よ。叔母さんみたいにスマートならいいんだけど」

和子「おやおや、今夜は何かごちそうしなきゃいけないかしら」

春生「もう一緒に歩くのもイヤなの。ブヨーンなんて太っちゃって」

 

あんまりそういうこと言わないでよ~。

 

和子「でもいいのよ、幸せなんだから。あなたもいい人見つけなさい。将来の有望株を」

春生「私ね、叔父さんみたいなタイプがいいの」

和子「ダメダメ、ああいう人は。男はやっぱり立身出世型がいいのよ、結局。それにね…」

 

電話が鳴り、和子が出た。晃のことを心配する元に春生のことだと言う和子。大学へ入って下宿した春生だったが、隣の部屋にとんでもない女子学生がいた。下宿に内緒で、しょっちゅう男の学生が来て泊まって行くこともある。下宿を代わるしかないが、急に行く所もないので、しばらくうちへ置いてあげたいと和子が言う。

 

元はどこへ寝かせるつもりだと慌てる。2階の元の書斎に寝かせるつもりでいる和子。食費を出してもらい、晃の勉強を見てくれるということで半ば強引に元の承諾を得て電話を切った。

 

「たんとんとん」の新次郎なら若い春生をそばに置くのは危険だぞ!

 

元「家族って難しいもんだ。本のようなわけにはいかないよ」

 

晃が帰宅。「あばれはっちゃく」は、あまり見たことないように思ったけど、顔を見るとなんとなく分かるな。

 

和子「ダメよ、黙って入ってきちゃ」

春生「晃ちゃん、いいわね。小学校上がったんでしょ?」

晃「うん!」

和子「うん、じゃないでしょ。いらっしゃいって言わなきゃ」

晃「いらっしゃい」

 

春生「これ食べない? おいしいわよ」

和子「あっ、手を洗ってらっしゃい。いちいち言われなくても自分で洗いに行かなきゃダメよ。それにしても早かったじゃないの。遊びに行ったと思ったら、すぐ帰ってきちゃって」

晃「たっちゃん、お昼寝の時間ですって」

 

和子「まあ…小学校2年にもなって、まだそんなことさせてんのかしら。お隣ね、もう塾へ通わしたり、とっても教育ママなの。近所でも評判。よっぽど自分の子を秀才だと思ってんのね。ホントに秀才かしら?」

春生「そんなことまだ分かんないじゃない」

和子「うん。親の欲目よねえ」

 

晃「いただきます」

和子「あら…あんたここに何付けてんの? チョコレートでしょう?」

晃「たっちゃんのお母さんがくれたんだもの」

和子「あんたもバカね。チョコレートとキャンディーは、あれほど食べちゃいけないって言ってるでしょ、お母さんが。虫歯になるからうちでは絶対食べさせないの。ちょっとお隣行ってくるわ。人のうちの子供だと思って、大きなお世話よ。日本人の悪い癖だわ」玄関を出て行く。

 

春生「じゃあ、晃ちゃん、おいしい物食べられないわね」

晃「うん。チューインガムもいけないんだよ」

春生「そう。まあ、しょうがないわね。先生のうちの子じゃ」

 

木下恵介アワーだと食べ物に何が入ってるか分からないという話が何度も出てくるから、こういう思想の人がいてもおかしくない。極端な時代で全然虫歯がないか、虫歯が十数本あるような子供かに分かれてた気がする。

 

熱海

大吉「どうだ、一郎。お前の好きな物がいっぱいあるだろ?」

一郎「うん」

紀子「いいわね。こんなにごちそうがあって」

 

久しぶりの親子3人だけの団らんでした。しかし、その胸の底にふと不安な影がよぎる父親と母親だったのです。

 

遊園地に行く3人。

 

この日、この若い2人の親は一つの重大な問題に突き当たっていました。わが子とは一体なんなのだろうか。愛するわが子とは一体、何故に愛するのかと。確かに自分の命よりも愛しているこの子供の親です。だが、今、突然、その子供との血のつながりを否定されて他人であったと言われたとき…では、今までの愛情の全てはどこへ行ってしまうのだろう。しかも、その答えは、このあと2人が東京に帰り、あの保健所へ行ってみれば分かることです。笑いながら手を振りながら2人の気持ちは次第にせっぱ詰まっていくようでした。

 

飛んでいく風船。

 

モノクロの画面。保健所の廊下で待つ大吉と紀子。西城が出てくる。

 

大吉「どうでした?」

西城「検査の結果ですね、まあこういうことは非常に言いづらいんですが、どうやらお二人のお子さんではなさそうでうね。これがその検査結果なんですが…」

大吉「先生、ひどいよ。ひどすぎるよ! くっ…ち…ちきしょう」廊下に頭を打ちつけながら悔し泣きをする。

 

福山夫婦は自分たちの築いた夢が目の前から消えていくのを感じました。2人にとって、このときから人生の全てが変わったのです。

 

家へ帰った大吉と紀子。一郎が2人の前に出てきてカラーに戻る。名札の「1の2 B 福山一郎」が大写しになる。一郎はキャラクターもののヘルメットをかぶり、風呂敷のマントをして、おもちゃの銃を大吉たちに向けながら奇声を発する。一郎になんのリアクションもせず、茶の間にぐったり座り込む大吉と紀子。(つづく)

 

2家族が対面したとき、和子が一番怖い気がする。福山夫婦が若夫婦と言う感じで、泉夫婦はちょっと上の世代だね。

 

「おやじ太鼓」亀次郎や家族が家にいる日曜日の話がどうしても多くなる。そうなると、やっぱり自営業の「あしたからの恋」などは自由度が高くなるんだな~。

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来週は…またまた山田太一脚本回です。もう第一部は半分過ぎた。早い。

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テレビ誌によると、早くも「わが子は他人」の次は「幸福相談」に決まっているそうで。なんで放送順に「たんとんとん」→「太陽の涙」→「幸福相談」でやってくれなかったかな。でもまあ、「幸福相談」は見たかったからうれしい。あとは残りの白黒作品をやってくれるかどうか!? 「おやじ山脈」「炎の旅路」は諦めモード。

【ネタバレ】ちょっといい姉妹 #6

TBS 1981年12月10日

 

あらすじ

今朝もまた大山君(堤大二郎)が京(かなどめ)歯科に駆け込んできた。ここに来ただけで歯痛が治まるという大山に、村瀬(高岡健二)はここで受験勉強をしていいよと、寛大だ。 悠子(大空眞弓)のパフェの店が京歯科の1階で開店する計画が進み始め、皆見(倉石功)が相談に乗ってくれることになった。皆見が訪れたとき、学校から帰った一正(松田洋治)が志郎(山本亘)の植木鉢のトラックに乗せてもらうのだと、飛び出して行った。

ところが、日が暮れ、夕食時になっても一正は帰ってこなかった。華子(山岡久乃)も三子(京塚昌子)もたいそう心配したが、志郎の住所さえ分からなかった。自立のことで頭がいっぱいだった悠子は、姉たちに申し訳ないと思った。やっと一正の姿を見たとき、悠子は思わず一正を抱きしめて涙ぐんだ。 孤独な一正は、やはり孤独な男・志郎と馬が合うようで、帰らないでと志郎にしがみつく始末。

話してみると、志郎には土地成金になって家庭不和の挙句、出奔した母があり、噂を頼りに母を捜してトラックを乗り回していたという。悠子はそんな志郎に親しいものを感じた…。

ちょっといいもの

ちょっといいもの

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2024.4.25 BS11録画。

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作・田井洋子

*

京(かなどめ)三子:京塚昌子…京家の三女。歯科医。45歳。

*

京華子:山岡久乃…京家の二女。歯科医。47歳。

*

京悠子:大空眞弓…京家の四女。離婚してパリから帰国。33歳。

*

津村順司:川崎麻世…津村孝司の息子。

細川桃:倉田まり子…技工士学校に通う受付。

*

古谷健:河合宏…歯科技工士。

清田好子:丘祐子…歯科衛生士。

*

大山広樹:堤大二郎…患者。

舟山一正:松田洋治…悠子の息子。小学6年生。

*

十河志郎:山本亘…植木リース屋。

*

川北修三:小倉一郎…「ふれあい」店長。

*

川北有紀:東てる美…修三の妻。

*

村瀬雅夫高岡健二…非常勤の歯科医。

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皆見武光:倉石功…悠子の知り合い。

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鈴木しづ:大鹿次代…津村家の家政婦。

客:三宅悦子

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折原幸代:浜美枝…悠子の親友。

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津村孝司:山村聰…京家の長女(故人)の夫。53歳。

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プロデューサー:石井ふく子

 

京歯科医院

また午後から模擬試験があるという大山が駆け込んできた。大山は病院の薬の匂いで痛みが治まったと言い、村瀬からここで勉強していいと言われ、勉強道具を取りに行った。

 

皆見が悠子が店を開く場所が見たいと京家を訪れた。青山通りから一歩入ったところで空襲でも焼けなかった。しかし、あたりは亡くなった人も多く、5月は慰霊祭をやっている。今でもやってるのかな? 神戸の皆見の家は空襲でなくなり建て直した。戦後36年。

 

倉石功さんって、相当背が高いんだな。183cm! 「スクール⭐︎ウォーズ」は周りがデカい男ばかりで気づかなかったのかも。

 

悠子が歯科医院に行き、皆見を紹介したいと言う。植木リース屋の十河が歯科医院に来ていたので三子は家に招待した。悠子が華子に皆見を紹介し、皆見が家を出る頃、入れ違いに十河が来たが、華子と三子が言い合いをしている間にいなくなった。

 

悠子と皆見が店の入る場所を見ていると、一正が帰ってきた。今日は土曜日。新しい学校で楽しくやっている。皆見は一正と店に行こうと誘うが、一正は十河のトラックに乗ると出かけて行った。十河は皆見の店にも植木をリースしていて顔見知り。

 

5時すぎても一正が帰って来ず、悠子も三子も華子も心配する。

 

京家

順司も心配で来ていた。華子も三子も十河の家を知らない。順司は8時過ぎても帰って来ないならお父さんに言うと言って捜しに行った。

 

一正と十河は植木市を見に行っていた。

 

結局、孝司に知られて、孝司も京家へ。

 

悠子も外を捜す…が、暗いなー! 十河と一正が帰ってきた。悠子は涙ぐんで一正を抱きしめた。

 

家に帰った悠子は、華子と三子に「バカ!」と怒鳴られた。帰ろうとした十河を止めた一正。孝司と華子と三子と悠子がダイニングに集まる。順司は先に帰り、十河は一正の部屋へ。悠子は孝司にワインを持たせて帰った。孝司は“ぶどう酒”だって。

 

十河は埼玉の農家の生まれで土地を売って、お金は入ったが、父は働かなくなり、母とケンカになった。母は家出をし、高円寺から小金井へ。十河は母を探してトラックを走らせていた。両親の不和は大人でもショックだと十河が言う。

 

京歯科医院が休診の日曜日、三子と幸代と悠子が津村家へ。順司の部屋では一正がフルートのレッスン。華子は植木リース屋を変えると言っていると三子に聞いて、悠子は困る。順司は、うるさそうだからと一正を連れて出て行った。

 

華子はなぜか「ふれあい」でバイト。三子は留守番の華子がいなくて焦る。そうだよ! 家の中が空っぽでは困るよ! 華子は川北夫婦に隣にお菓子屋さんができるかもしれないとそれとなく話し、バイトを続行する。

 

夕食の準備をしている三子と悠子。三子は風呂に患者から温泉土産でもらった湯の花を入れていた。華子は茶の間で伸びていた。勝手にバイトして疲れたらしい。お酒を足に吹きかけて欲しいと言う華子だったが、三子は風呂場へ連れていく。

 

孝司から電話。一正が今晩泊まるという連絡だった。

 

華子は悠子の店に「ふれあい」の客が見て、悠子の店に来る客の研究をしていた。日祭日は臨時店員をするつもりでいる。

 

ご機嫌にお風呂に入っている華子。(つづく)

 

wiki見たら「ちょっといいきょうだい」だと書いてあった。やっぱりそうなんだ。昔は「兄弟」「兄妹」「姉弟」「姉妹」全部「きょうだい」だったのかな。

 

華子も三子もキレポイントがイマイチ分からない。