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【ネタバレ】加藤隼戦闘隊

1944年 日本

 

あらすじ

新鋭戦闘機「隼」を乗りこなし、第二次大戦で活躍した加藤建夫の伝記映画。イギリス空軍の戦闘機スピット・ファイアーなどを実際に使った空中戦も見どころで、特技監督円谷英二が担当している。昭和16年12月初旬、フコク島へ進駐した加藤部隊長(藤田)率いる部隊は、西へと航行する大船団を空から援護をするよう命じられるが・・・。

2022.8.14 日本映画専門チャンネル録画。

 

今、再放送を見ている「本日も晴天なり」の舞台が昭和19年夏。この映画は1944年3月9日公開。

 

撃ちてし

止まむ

 

情報局撰定 國民映画

後援 陸軍省

 

広東

16年4月

 

加藤建夫(たてお)が台湾から飛行機で飛んできた。

 

看板が「かとうぶたい本部」と平仮名なのは子供も観る映画だからだろうか?

 

立派なお屋敷?は支那の空軍大将の官舎だった。ピアノもある。今度、部隊歌ができたという話題から一人がピアノで伴奏し、みんなで歌う。

加藤隼戦闘隊

加藤隼戦闘隊

  • 春日八郎 & ボニージャックス
  • 謡曲
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

フルコーラスかな。

 

軍歌らしい勇ましい曲調の間にしんみりした曲調の部分があり、歌を聴いていた加藤は北支時代を懐かしんだ。

 

かくて数ヶ月を経た頃

 

新鋭戦闘機

「隼」号が

配備された

 

うわー、空撮! 官舎にいる兵士たちも窓から見ている。加藤隊長殿は完璧に乗りこなしていると兵士たちは噂していた。

 

加藤は他の隊員たちに地図を使って説明していた。広東から海南島に行き、仏印のツーランからクニへ。クニの飛行場は水浸しで使えない。フコク島の方が役に立つ。遠くまで行ったために腰が痛い。やっぱり歳かなと笑う。

 

サイゴンへ寄ってコーヒーひきを買ってきて加藤自らコーヒー豆をひく。

 

加藤役の人、おじさんだけど棒読みっぽいなあ。加藤建夫は明治36(1903)年生まれで昭和16(1941)年4月は37歳。加藤役の藤田進さんは明治45(1912)年生まれだから映画公開時は32!? すごいおじさんに見える。

 

12月初旬

部隊は

フコク島へ

進駐した

 

17時30分

出発

 

夜、雨の降る中、飛び続ける。

 

疲労、錯覚、昏迷…

 

「おい、スペリーを空に向けろ」というセリフ。敵性語とかいうけどそんなに厳密ではない!?

 

既に

陸地上空に

達してゐる

時間である

 

しかし

厚い雲に遮られて

目標燈は

見えぬ

 

目標燈か?

 

四百米まで

降る

 

つづくもの

小田機のみ

 

中光と築地は落ちた。もうガソリンがなくなる。

 

23時

加藤は無事到着。安場に高田を死なせてしまったと語る。

 

12月8日

 

戦闘機が敵機を爆撃。炎上3機、爆破3機。もう何が何だか。加藤は山下兵団が強行上陸したこと、海軍がハワイの真珠湾を攻撃して太平洋艦隊の主力を全滅させたと聞き、喜ぶ。

 

加藤部隊はクアラルンプールを殲滅するという加藤。第二中隊は敵の囮になり、安場中隊が攻撃。加藤部隊にとり、大東亜戦争における初の空中戦。

 

この空撮?特撮?がすごいな〜。

 

勝利した時に流れる「加藤隼戦闘隊」インストバージョン。

加藤隼戦闘隊

加藤隼戦闘隊

  • provided courtesy of iTunes

その夜、加藤はハエ叩きで一つ一つ落とすのではなく、うちわのようにまとめて落とすと語る。

 

北村部隊と小山部隊はラングーンを攻撃。建物の爆破がすごい。北村部隊は敵から囲まれ、攻撃を受け、加藤部隊は出遅れた小山部隊を援護し、無事だったが、北村部隊には犠牲者が出た。敵機を深追いしたことに不快感を示す加藤。

 

さっきまで激怒していた加藤はヤシの実?に自ら切り分け、落ち込んでいる部下も呼び寄せ食べさせた。南国のフルーツかなあ。カラー化求む。

 

コタバル

17年 正月

餅つきしてる〜。鶏を捕まえたり、そんな隊員たちにカメラを構え、笑顔の加藤。

 

勇ましい場面だけじゃなく犠牲が出ていることも描いてる。

 

2月6日 カハン

 

落下傘部隊の男が訪ねてきた。加藤部隊の者たちは食い物が悪くて腹下してると笑いながら話してるけど、過酷だね〜。

 

ずらーっと並んだ戦闘隊と落下傘部隊。

 

諸子よ

勇みて征け

 

戦闘機に乗った落下傘部隊が次々、空へ。えー! 上陸して攻撃するの? 怖過ぎない?? 空に浮かぶ沢山の落下傘。地面に落ちた者たちは銃撃を始める。ドキュメンタリー?

 

加藤部隊は次の地へ飛び立つ。

 

17日

加藤部隊

パレンバン

 

3月9日

蘭印軍(オランダ領東インド)

無条件降伏

 

この間

部隊長中佐に

進級

 

部下に散髪してもらっている加藤。内地にいる時、コンタックス(カメラ)を落としたと部下たちに話す。普通にコンタックスとか言ってるね。

 

タイに進駐

 

4月8日

攻撃を受ける。加藤は無事だったものの犠牲者も多く出た。安場も小田も亡くなった。

 

夕食時、加藤は明け方に攻撃しようと提案するが、夜間飛行は山の間を通るので危険だと言われたもののその作戦を遂行する。

 

明け方、銃撃を始める。反撃され、入院している榎。見舞いに来た落下傘部隊も仲間がデング熱にやられているという。

 

18日

敵機500機が攻撃してきた。静養を終えた加藤が蹴散らす。みんなが駆け寄った先には両手を上げた大柄のアメリカ人が立っていた。この後どうなる!? その後、飛行機を降りてきた加藤をみんなで歓迎する。榎も復帰。タバコを吸わない榎が加藤にタバコを渡す。この時代、タバコを吸わない人がいたのか!

 

もうひとつお土産だと言って見せたのは榎が撮影した加藤の散髪写真。原版をよこせとじゃれ合う。榎はこの写真は宝物だと笑う。

 

射水准尉が不時着し、その場所が敵か味方か分からないものがウヨウヨしているややこしい場所だという。ビルマ義勇軍に頼んだ方がいいという話から、その中の日本人将校と話をしようとするが、不在。もう一度行って、連れ帰るように命じた。

 

加藤は部下たちにヒトラー総統の自慢の飛行機に乗った話、イタリアのスパゲッティの話をしたり、桜鳥の話をしたりして将校を待つ。既に夜中の1時。

 

夜間は困難ということになり、その夜は解散。

 

翌朝の正午までに義勇軍から連絡はなかったが、加藤はもう少し待つことにした。隊員の一人、進藤が寒気がすると言い出した。加藤はデング熱と判断し、命令して帰らせた。

 

2時、そろそろ帰るかという話をしている時、爆発音がした。

 

この日

昭和17年

5月22日

 

神鷲

去って

また帰らず

 

アキヤブ西北

約80粁(キロメートル)海上にて

遂ニ之ヲ撃墜セルモ

此時 部隊長ノ愛機ハ

火ヲ発シ

 

部隊長又重傷ヲ

負ヘルモノノ如ク

最早之迄ナリト

見事ナル反転操作ニヨリ

海中ニ自爆

壮烈ナル戦死ヲ遂グ

 

海の映像、戦闘機が飛ぶ映像、加藤隼戦闘機の歌が流れる。

 

前線は待つ

鐡(鉄)を

飛行機を

 

終わり

 

これがまだ戦時中の映画なんだなあ〜。かなり美化してるところもあるんだろうけど、犠牲者も出ていること、デング熱などで苦しんでいることなどネガティブな話題もそこそこ出てくる。何より加藤部隊長が戦死するところまで描いてるしね。戦意高揚というより暗澹とした気持ちになるような。

 

そういや美化かどうか分からないけど、部下たちが並べられてビンタされるとか鉄拳制裁は一度もなかったな。加藤部隊長は部下にもフランクで優しい。

 

それにしても飛行機のシーンはすごい。怖くなる。

 

志村喬さんも出演されていたそうだけど、見つけられなかったな〜。そんなに長い映画じゃないけど、いちいち一時停止してたからめちゃくちゃ時間かかった。オープニングもエンディングも出演者のクレジットは一切出ないのでドキュメンタリーかと思っちゃう。

【ネタバレ】岸辺のアルバム 第13話

1977/09/23 TBS

 

あらすじ

東京郊外の多摩川沿いに住む中流家庭。一見すると幸せそうに見える家族4人。しかし、実はそれぞれが問題を抱えていた。母・則子(八千草薫)は良妻賢母型の専業主婦。だが、見知らぬ男から電話がかかってくるようになる。はじめは知らん顔をするも、やがてその男と会うようになり…。父・謙作(杉浦直樹)は有名大学出の商社マン。しかし、実のところ会社は倒産寸前の状態だった…。娘・律子(中田喜子)は大学生。なかなかの秀才で大学も簡単に合格したはずだったが、ここ一年は家族に対して心を閉ざしている。やがて、アメリカ人男性と交際するようになるのだが…。息子・繁(国広富之)は大学受験を控えた高校生。決して勉強のできる方ではないが、心の優しい性格の青年だ。だが、両親や姉の異変に気付き、思い悩むことに…。

 

第13話

家を飛び出した繁(国広富之)は、雅江(風吹ジュン)の紹介の店に住み込みで働くことになった。一方、謙作(杉浦直樹)と則子(八千草薫)は話し合いの機会を作る。

2022.9.28 日本映画専門チャンネル録画。

Will You Dance?

Will You Dance?

  • provided courtesy of iTunes

ラーメン屋

雅江の世話で住み込みで働くことになった繁。店主は最低2年は勤めろと言い、さっそく丼を洗えとすぐに仕事をすることになった。

 

店主の弱みを持っている雅江。バーにつきあったら帰りに暗がりで急にすごい力でキスされ、雅江は蹴っ飛ばしたという。よくそういう人にまた会うよね~。うちへは帰れないという繁。

 

多摩川沿いを歩く買い物帰りの則子。律子も帰ってきて、繁が沖田に2000円借りたという話を聞いてきた。2000円しか持ってないのならそんな遠くへは行けないと繁を心配する則子。

 

謙作がまた暴力を振るったら前橋のおじさんのところへ行けばいいという律子。他に行くとこがないということは則子のきょうだいか何かかな? 律子は則子は洋裁ができるのだからどこかアパートを借りて自活すればいいという。

peachredrum.hateblo.jp

↑こちらも山田太一脚本だけど、こちらは八千草薫さんと鶴田浩二さんが夫婦で、杉浦直樹さんも出てたんだな~。こちらの八千草さんはシャツの仕立てで自活してた。

 

則子が出ていっても、律子は大学を卒業するまではこの家にいるという。家事を全部やることになるという則子にそんなに汚れないから1週間に一度パーっと掃除をするという律子。

則子「そんなことしたら家なんかたちまち見る影もないわ」

律子「いいじゃない、問題は中身だもの。家ばっかりキレイになったってしょうがないわ」

何も言えない則子。弱腰になっちゃダメという律子に対して、このうちを出たくない、お父さんとも別れたくないという。

 

会社に一人残る謙作。

peachredrum.hateblo.jp

回想

謙作「何をしてるっていうんだ」

繁「繊維機械なんて言ってるけどね、兵器作ったり東南アジアから女を輸入したりしてるんだぞ!」

謙作「繁…」

繁「女を輸入してクラブやキャバレーへ送り込んでるんだ! 誇りを持ってね!」

謙作「繁!」

則子「繁ちゃん」

繁「お父さんはお母さんが何をしてるか知ってるか? 僕の言ったことウソだと思ったんだろ。ウソじゃないぞ! お母さんは男と何度もホテルへ入ってるんだ。渋谷の連れ込み行って聞いてみりゃいいさ。はいはい、その方はお得意様で…」

謙作「よさないか、繁!」

 

そこに絢子が紙の束を抱えて入ってきて、中田にやっとけと言われたと言い、紙をまとめてホチキスで止め始めた。

 

契約成立で中田たちは飲みへ出かけたのに、なぜ部長さんはいかないのかと絢子に尋ねられた謙作は「部長抜きで飲んだ方がいいだろう」とタバコを吸い始めた。絢子の作業する姿を見つめながら「つきあわないか?」と誘う。

 

バー

眼帯の下、目の下まで腫れている謙作のことを奥さんに殴られたのだと社内で噂になっているのだという絢子。謙作は絢子に告白されたことで年がいもなく絢子ちゃんを意識していると話す。今だと下の名前にちゃん付けはセクハラだな~。

 

田島家

則子は鍋を丁寧に洗っている。

 

バー

飲み方が乱暴だと指摘する絢子は酔っ払っちゃったととろんとした目で見つめる。謙作はつきあわないか?と誘う。一緒にどこか泊まらないか?と言い、絢子は会社にいる時から誘われると思っていたと答えた。

 

絢子「悪いわね」

謙作「うん?」

絢子「半月早かったら喜んでついてったんだけど」

謙作「うん」

絢子「私、もう違っちゃったの。ハッキリ言うと部長さんに全然魅力感じないの。キツネが落ちたみたいにコトンって部長さんのことなんにも感じなくなっちゃった。だからつきあえないわ。相当ね、私も。イヤな言い方。でも、しかたがないわよ。部長さん、さんざん冷たかったんだもん。これ飲んだら失礼します。誰か水商売の人、探すんですね」

謙作「そうだね…」

 

サクッとフラれてしまった謙作は家に帰るが、なかなか家には入れないでいる。泣き出してしまうほど辛いが、鼻をすすって家へ。

 

則子は食器棚の食器を全部洗った!? 棚に入れてる。

 

則子に「お帰りなさい」と出迎えられても、着替えもせず、上着だけ脱いで、そのままリビングのソファに寝っ転がる。

則子「お父さん、布団へ行って。お父さん。私がここで寝るわ。お父さん、布団へ行って。お父さん。お父さん…」

 

朝、ソファで目覚めた謙作。毛布がかけられていて、近くの棚にもたれかかって則子が寝ているのを見つけた。

 

則子と律子で朝食。則子が起きた頃には謙作はいなくなっていた。明け方まで則子は起きていたが、6時前に謙作は出かけてしまったらしい。

律子「ハッキリしないわね。もうちょっと男らしいと思ったわ」

則子「よして」

律子「お母さんも床に寝るなんて惨めなことしちゃダメよ」

則子「律子ちゃん」

律子「何?」

則子「夫婦のことなの。いろいろ言わないで」

律子「つらいだろうと思って慰めてるつもりよ」

則子「なら、お父さんを慰めてあげて」

律子「いないじゃない。お母さんから逃げ回ってるじゃない」

則子「そんな言い方しないで」

律子「分かったわ」

則子「お父さん男らしくないわけじゃないわ」

律子「そんなら早く決着つけたらいいと思うけど」

則子「決着つけて、お母さんが出ていけばいいってわけ?」

律子「そんなこと言ってないじゃない。私に当たらないで」

則子「お母さん、お父さんがバタバタ結論出さないのありがたいわ。うれしいくらいよ」

律子「何も言わないわ。余計な口、利いたわ」

出も前に比べたら親子の会話増えたね~。

 

謙作の会社

謙作「で、撃ったのかい?」

中田「ええ、撃ちました。コンクリートの試射場に連れてかれましてね」

宮部「ほう」

中田「耳に栓をしろって言うんですよ」

謙作・宮部「うん」

中田「こっちは内心ドキドキですよ。小銃を撃つなんてのは初めてですからね」

宮部「標的までの距離は?」

中田「100mです。ドカーン! いや~、ものすごい音でね、本物っていうのはこんなにすごいのかなって、もう…」

謙作「ターゲットの大きさは?」

中田「ええ。直径15cmです」

宮部「当たったかい?」

中田「6発撃って全部命中」

謙作「えー? ホントか、おい」

部員「ウソだね」

中田「いやいや…ホントですよ。つまり国産の小銃の性能がいかにいいかってことですよ」

謙作「うん」

一同の笑い声

 

タバコ休憩? 男性社員たちが雑談する中、絢子は男性社員たちのお茶をいれ、タバコの吸い殻を片づけ、話にも加わらず、黙々と作業する。話の本筋とはあまり関係のない雑談が面白いんだよなあ。

 

田島家

則子は古雑誌を外に出していた。

 

派手な格好をした女性たちが後部座席に乗った車。助手席には謙作が乗っている。これが例の女性たちを送り届ける仕事か。

 

田島家

掃除機をかける則子。

 

チャイムが鳴り、玄関に出ると信彦だった。「ちゃんと働いてるから心配するな」と繁からメッセージを預かっていた。玄関で立ち話。

 

信彦「おばさん、あの、お元気ですか?」

則子「私?」

信彦「なんか変だけど」

則子「繁が何か?」

信彦「ええ。『お母さんがどんなふうか見てこい』って言ったんです」

則子「そう」

信彦「『また電話するからそのとき教えろ』って」

則子「そう」

信彦「元気そうですね」

則子「ええ、元気よ。『しっかりやりなさい』って言ってください」

 

信彦はいる場所が分かったらまた…と出ていく。則子が2000円借りたことを話すと、律子が昨日返してくれたという。じゃ、さよならと爽やかに去って行く背中に「どうもありがとう」と声をかける則子。いいヤツだな~。

 

電話が鳴る。律子からでお父さんとお母さんが話し合うのならいないほういいから、友達の家に泊まるという。自由にしゃべってもらいたい、子供のためにどうこうなんて、そういうことで身の振り方左右してほしくないといい、電話を切った。

 

姿見で自分の顔を見る則子。

 

謙作は中田と車の中。今日は謙作が一人で羽田へ行ったので、たまには僕の行きつけなんかいかがですか?と中田に誘われたが、帰るという謙作。「フフッ…たまには早く帰らんと、かみさんうるさくてしょうがねえや。ハハハハハ…」

中田の髪型が短髪のヅラか?ってくらい不自然だけど、ヅラじゃないよなあ。

 

田島家

家に帰ってきた謙作。

お帰りなさいといつも通り迎える則子。お風呂が沸いてるというが、来いよと謙作は言い、ソファに座った。謙作が脱いだ上着を片づけようとする則子だったが「そんなものはいいから早く掛けろ」という。

 

謙作「ズルいよ」

則子「えっ…」

謙作「ズルいじゃないか。まるでなんにもなかったみたいだ。『風呂が沸いてる、今日は早いのね』とはなんだ。なんとなく終わりにしようとでもいうのか」

則子「そんな…」

謙作「律子は?」

則子「いないわ。今日はお友達の所へ泊まりに行くって」

謙作「掛けろよ」

則子「お父さん。私…私にはなんにも言う資格はないかもしれないけど…」

謙作「掛けろと言ってるんだ!」大きな声、やめて。

 

ようやく向かい側のソファに座る則子。

謙作「どういうきっかけか知らないが男に脅迫されてとか、そういうことじゃないんだな?」

うなずく則子。

謙作「自分の意志でしたことなんだな?」

うなずく則子。「でも…」

謙作「言い訳は聞きたくない! 『終わった』と言ったが、いつからいつのことだ?」

則子「去年の夏から冬の初めまで…」

脇にあったクッションを投げつける謙作。則子には当たってません。

 

謙作「いいか。その男のほうへ行きたければ…」

則子「そんなことじゃないの」

謙作「その男ん所へ行くがいい!」

則子「私、その人と一緒になることなんて考えたことないもの。このうちにいたいの。ずっとお父さんといたいの。許してください…。どう償ったらいいか分からないけど、どんなことでもするつもりだわ。ここにいたいの。このうちにいたいの。許して…。許して」

 

謙作「俺は…お前が今、憎いが、俺はお前を必要としてる。生活に差し支えるから必要としてるというんじゃないぞ。お前を離したくない。しかし、『償いをするから』『なんでもするから』というような、そんなへりくだったお前と一緒にいたいんじゃない。今までどおりの…お前といたいんだ」

則子「お父さん…」

謙作「しかし、すぐさま今までどおりといっても無理だ。こんなことはできるだけ早く過去のことにしたい。たぶん…」

則子「え?」

謙作「今度のことは俺への不満からだろう。きっと言い分があるかもしれないが聞く余裕はない。本気で忘れるっていうなら俺も忘れるように努めよう」

 

二人の激しい息遣い…お、おぅ…。

 

雨の日

店の様子を外から伺っていた則子が店員に声をかけられ、店内に入り味噌ラーメンを注文する。その声でカウンターにいた繁はすぐに気づいた。1人テーブル席に座った則子はカウンターの向こうで一生懸命働く繁の姿を見た。繁は店主に頼まれて出前に行き、すぐ戻ると店主に言って後を追いかける則子。

 

真っ黒いレインコートと帽子をかぶっておかもちを持っている繁の目の前に傘を差した則子。信彦に聞いたという則子だったが、繁は言ってないという。信彦がある人に無理やり聞いた…雅江だろうなあ。

 

繁「ほっといてくれよ」

則子「どうしようかと思ったの。せっかく1人で生きてるつもりのところへ…」

繁「つもりじゃないさ。1人で生きてるよ」

則子「だから親が『よろしく』なんて出ていっちゃいけないかなって」

繁「そうさ」

則子「あっ…だからあんなふうに入ってったんだけど」

繁「黙って帰ってね。ちゃんとやってるよ」

行ってしまった繁を見送る則子。

 

店内でラーメンを食べている則子。カウンターでは繁が忙しく働いていた。

 

その夜

繁から電話がかかってきた。「もしもし、お母さん?」

則子「そうよ」

繁「昼間、つっけんどんにして悪かったよ」

則子「ううん。お母さんこそ急に行っていけなかったわ」

繁「ちょっと慌てちゃったんだよ、いきなりお母さん入ってくるから」

則子「すごく働くんで驚いたわ」

繁「僕が来てから出前するようになってさ、マスターも喜んでるんだ」

則子「そう。偉いわ、見直したわ」

 

繁「どうしてる? お母さん」

則子「うん…元気よ」

繁「お父さん、まだ?」

則子「うん、まだ」

繁「姉さんは?」

則子「2階にいるわ」

 

繁「フッ…相変わらずお父さん遅いんだな」

則子「うん」

繁「お父さん、お母さんのこと怒ってる?」

則子「うん?」

繁「フッ…そりゃ怒ってるよね。でも一緒にいるんでいいよ」

則子「ハッ…うん」

繁「元気そうでホッとしたよ」

則子「繁ちゃん、お母さん、今日『すぐにでも帰っていらっしゃい』ってそう言おうと思って行ったんだけど」

繁「帰らないよ」

則子「うん」

繁「大学なんか全然行きたくないしさ」

則子「うん。ただね…」

繁「今、議論したくないんだ。お母さんとちょっとしゃべりたかっただけなんだ」

則子「うん…」

繁「おやすみ」

則子「おやすみ」

 

朝、玄関

靴ベラを使って靴を履いた謙作は靴ベラをその辺に投げる。「行ってくるよ」

則子「いってらっしゃい」

 

リビング

律子「お父さん、全然お母さんのほう見ないのね。あんなにも許せないものかしら?」

則子「いいわよ、何も」

律子「余計な口利かないし、笑わないし、それともすぐケロリとするのも変だと思って無理してんのかしら」

則子「うるさいわ、ちょっと」

律子「だって後々参考になるかもしれないし」

則子「いいかげんにして」

律子「すぐそう言うけど娘にこういうこと観察させたほうがいいんじゃないかしら?」

則子「面白がるのはよして」

律子「面白がってやしないわ」

則子「お母さんが張本人だからこんなこと言うのおかしいけど、お父さんもお母さんも本気よ。本気でなんとかしようとしてるのよ。からかうようなこと言うのはよして」

 

謙作の会社

謙作と宮部が繊維機械部に戻る。上層部が負債を隠してたというのは本当ですか?と部下に詰め寄られる謙作。社員の間で倒産のうわさもある。専務から業績不振の実情報告を受けたと話す。融資に不正があったという事実はない。合弁パルプのプロジェクトの不成功が予想を上回るダメージになっている。

 

それでも人員整理ですか?と詰め寄る部下たちになだめる宮部。普段ギャーギャーわめく中田がひと言も言わないじゃないかと指摘。確かにおとなしいな、中田。

 

夜の町。ピザハットの看板が目立つね~。落ち着いた和食屋で向かい合う謙作と中田。中田はヒレカツなどごちそうしてくれるという。用件をなかなか言いださない中田にボーナスはどうせ少ないんだからカネを使うなと謙作は言う。

 

中田「いざとなると相当言いにくいんですが…」

謙作「どうせ言うんだろ」

中田「はあ。実は…」

謙作「うん」

姿勢を正す中田。「すいません」

謙作「うん?」

中田「申し訳ありません」

謙作「何をした?」

 

中田「引き抜かれました」

謙作「引き抜かれた? どこに?」

中田「弱電の営業です」

ja.wikipedia.org

通信、制御、情報関連の会社ということかな?

 

謙作「弱電ってどこ?」

中田「ご相談すべきでしたが折がなくて…」

謙作「フンッ…折がないってことはないだろう。決めちまったってわけか」

中田「申し訳ありません」

謙作「そうか…」

中田「7月いっぱいで退職させていただければ幸いです」

謙作「幸いか…」

 

ビールを注いでくれる中田。

謙作「難しいね」

中田「は?」

謙作「いや…どういう顔をすべきか難しいよ」

中田「はあ」

謙作「見事と言ってもいい」

中田「いえ」

謙作「うちはどうなるか分からんからな」

 

中田「倒産ですか?」

謙作「倒産は、せんさ。しかし、早晩、今の首脳陣は当事者能力なしということになるだろう」

中田「そうですか」

謙作「ハァー、お祝いを言うべきだろうな」

中田「いえ」

謙作「さすがに抜け目ないね」

中田「いえ。実は…」

謙作「うん?」

中田「いえ、私も自分でかなり抜け目のないよくも悪くも損得に敏感な人間のつもりでおりましたが…」

謙作「うん」

中田「思わぬところで足をすくわれました」

謙作「なんだい? 他にもあるのか? なんか」

中田「はい。まあ、我ながらあっけにとられてるんですが…」

謙作「うん」

茶店に待たせてあるから呼んでくるという中田。

 

酔っ払って駅のベンチに座っている謙作。

♪同じお前も 枯れすすき

船頭小唄

船頭小唄

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先ほどの和食屋での回想

中田が謙作の前に連れてきたのは絢子だった。中田は絢子と秋に式を挙げることにしたと報告した。絢子はよろしくお願いしますと頭を下げた。

 

謙作「驚くよ…そりゃあ」

 

和食屋で「おめでとう」と明るく言う謙作。

 

謙作「フフフ…分かんねえなあ、女ってのは。フッ…ケロッとしてやがる。ケロッとね。フフフフフ…中田のやつ引っかかりやがった。フフフフフ…引っかかりやがった。フフフフ…フッ」

 

駅員から終電行っちゃったけど、どこまで帰るの?と話しかけられる謙作。「うちへもう帰りたくねえよ。帰りたくねえよ、俺は」とベンチに横になる。駅員に起こされるが、謙作はうめき声をあげて倒れた。えー! 救急車のサイレンが鳴り、救急車が夜の街を走ってつづく。

 

えー!

 

中田と絢子のカップルは何となく予想できた。もっと女性の多い会社なら中田みたいな人だと若い女の子を選ぶんじゃないかとも思うけどね。絢子は20代後半、中田は30代前半くらいだと思うけど、絢子の方が高卒か短大卒で社歴は長いんじゃないかと思ったり。まあ、この辺の人たちも退場か~。

 

今週、堀先生と北川さんの出番がなかったんでちょっと物足りなかった。いや、もう、北川さんは出てこないのかな?

 

謙作と則子は元どおりに戻れるのか!?

 

【連続テレビ小説】本日も晴天なり(10)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

「合格したら男性放送員と同じく、夜勤や宿泊当番もあるが大丈夫か?」最終面接試験で念を押され、元子(原日出子)はよけいな返事をしてしまう。失敗したかもと、不安なまま家に帰ると正道(鹿賀丈史)が来ていた。兄のいる隊は満州へ行ったのでは、と伝えに来てくれたのだ。20日後、速達で念願の合格通知が来た。すると、この期に及んで宗俊(津川雅彦)が、受験はさせたが放送局に務めることは許さねえ、と言いだす。

9日1日は震災記念日です。

 

順平「行ってきま~す!」

巳代子「行ってまいります!」

 

そして学校は2学期の始まりで元子にとっては女子放送員最後の面接試験日でもありました。

 

元子「行ってまいりま~す!」

 

面接

立花「すると、ご家族は?」

元子「はい、兄が入営いたしましたので両親と妹と弟、ほかに昔から奉公している年寄りが2人おります。みんな健康です」

立花「それでは、ご家族の皆さんは、あなたが女子放送員に応募したことについては賛成してるんでしょうね?」

元子「はい、父以外は全員、応援協力してくれています」

立花「どうして、お父さんは反対なんですか?」

元子「いえ、大したことではありません。絶対に説得する自信はありますし、家族の者たちもみんなそう言ってくれています」

立花「うん、それなら結構ですが。実はですね」

元子「はい」

 

元子はコの字型に並べられた机の中央にいて、正面に2人、両側にも3人いる中での面接。すごいな~。カンカンもいる。

 

立花「一旦採用され、研修を済ませて放送員になった者は、みだりに退職できないんです」

元子「はい」

立花「女子といえども放送員は、つらいからとか家の都合でとか言って辞めることはできないんです。その点は大丈夫でしょうね」

元子「大丈夫です」

 

本多「しかし、放送員となると勤務は全く男性と変わりませんよ。深夜放送があれば夜勤もあるし、宿泊当番もありますしね」

元子「大丈夫です。戦争なんですから泊まりが嫌だなんて言っていて空っぽの城に夜襲を受けたら負けてしまいます。ほかの人(しと)にできる勤務なら私にもできないことはないと思います」

本多「結構です」

 

元子「それに…これは大変個人的なことなんですけれど」

立花「ああ、どうぞ」

元子「はい。私の兄は今、どこで戦っているのか分かりません。でも、もし電波の届く所にいるのでしたら、きっと私の声を聞くでしょうし、原稿を読む私の声を聞いて恐らく大いに戦意を高揚させてくれるものと信じていますので」

立花「分かりました。ところであなたは学校があと1年あるはずですが」

元子「はい。同等の学力を有する者と応募基準にありましたので思い切って挑戦いたしました」

立花「それでは卒業にならなくてもよろしいんですね」

元子「非常時ですから一日も早くお国のために役に立ちたいと考えています」

正面に座る立花と本多が顔を見合わせてうなずく。

 

本多「音声試験の結果ですが」

元子「はい」

本多「これは東京の出身者に共通して言えることなんですが、桂木さんの場合にも『ヒ』と『シ』に難点がありますね」

元子「申し訳ありません」

本多「いずれ通知が行くと思いますが、それまでにご自分でよく矯正しておいてください」

元子「それではあの、もしかして私…」

 

立花「(せきばらいして)通知は20日頃に速達で届けられると思います」

元子「はい。『人事を尽くして天命を待つ』というのが今の私の心境です」

立花「なるほど」

 

元子の心の声「しまった! 余計なこと言い過ぎたかな…」

 

立花「それでは結構です。次の方に声をかけてお帰りください」

元子「はい。(立ち上がり)どうもありがとうございました」

 

ドアが閉まる。

男「どうですか」

本多「彼女が一番の年少ですね。私が引っかかるのはそれだけです」

男「父親が反対というのはどういうことなのかな」

 

実際、モデルになった近藤富枝さんは1922年生まれ、当時23歳で既に大学を卒業し、別のところに就職していました。昭和生まれのガンコさんをやりたいがための最年少設定なのかな~。生い立ちも結構違うけどね。

 

路地を歩いている元子。「あれはまずかったかなあ…」

 

吉宗

元子「ただいま」

玄関の軍靴に気付く。

元子「大原さん!」

 

トシ江「何ですよ、そんな大きな声出してみっともない」

正道「ああ、お帰りなさい」

元子「こないだはどうもいろいろとありがとうございました」

正道「いや、お役に立てなくて残念でした」

元子「いいえ。それより兄のこと何か分かったんでしょうか」

 

トシ江「それがね、どうやら満州の方に持っていかれたらしいんだよ」

元子「満州へ…」

正道「自分の考えじゃ恐らく満州じゃないかと思います」

元子「そうなんですか…。でも、物は考えようですね。最初は南方の方が勇ましいと思ってたんですけれど、サイパンもやられたし、むしろ満州の方が安全かも分かりませんもんね」

トシ江「元子、軍人さんに向かってそんなバカなこと言うんじゃありませんよ」

元子「どうもすいません」

 

正道「いや…。それで放送員の方、今日の成果はどんなでしたか?」

元子「ええ…何だか硬くなっちゃって自信ないんです、私。大体、2次まで受かった方が奇跡なのよ」

正道「いや、奇跡ってのはね、ガンコちゃん、最後に起こるもんだよ」

元子「でも、私…」

トシ江「本当に鼻っぱしばっかり強くって」

元子「んなこと言ったって」

 

正道「今日は面接だったんでしょう」

元子「はい」

正道「面接ってのは第一印象が決め手だけれども、まあ、ガンコちゃんに会って変な子だなって思うような人は一人もいないな。これはね、大原が保証するよ」

 

電話が鳴りだし、トシ江が席を立つ。

元子「でも、最後に何だか余計なこと言っちゃったような気がして…」

正道「でも、ガンコちゃんのことだから一生懸命言ったんでしょう」

元子「そりゃもちろん」

正道「『人事を尽くして天命を待つ』。全力を発揮したいんなら虚心坦懐、結果待てばいいんだよ」

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元子「それを言っちゃったんです、試験管に私」

正道「あ~、それじゃあ大丈夫だ。それで間違いなし」

元子「そうでしょうか」

 

席に戻ってくるトシ江。

正道「全ては任したんだから、あとは任された側が考えればいいんだよ」

元子「そうですね。本当にそうだわ」

正道、笑う。「あっ、自分はまだ用事がありますので、これにて失礼します」

トシ江「どうもありがとうございました。大原さん、お気を付けて」

元子「本当にありがとう、大原さん」

正道「それじゃあ」

 

2階

部屋の窓辺に座る元子。階段を駆け上がってくる音。

巳代子「お姉ちゃ~ん! やったわ、私! やった、やった!」

元子「何よ、一体何をやったのよ」

巳代子「動員の工場が決まったの。何作る工場だと思う?」

元子「さあ」

巳代子「お願い、当てて」

 

元子「う~ん、難しいなあ」

巳代子「いや~ね、お願いだから当ててよ。ねえってば」

元子「そんなに喜んでるところを見ると、さてはお菓子の工場かな」

巳代子「やだ、どうしてそんなに簡単に当てちゃうの」

元子「まさか。だってそんな軍需工場あるわけないでしょう」

巳代子「そんじゃちょっとだけ当たり。乾パン工場よ。私たち、乾パン作る工場に行くことになったの」

元子「本当!?」

巳代子「ね、希望は持つべきものだわね」

元子「うん、本当だわ」

 

巳代子「それでお姉ちゃんは?」

元子「うん、全力を尽くしてきた」

巳代子「ご苦労さま。きっと受かるわよ。私、信じてるもの。お母さ~ん! ねえ、お母さ~ん!」空の弁当箱を持って部屋を出ていく。

 

元子「全く調子がいいんだから」

 

吉宗前の路地でベーゴマで遊ぶ男の子たち。

 

郵便配達「吉宗さ~ん! 速達! 元子さんに速達ですよ!」

 

誰もいないので玄関作に葉書が置かれた。

 

東京都日本橋人形町

      二丁目六拾番地

桂木元子殿

 

 東京都麹町區内幸町二丁目二番地

速達  社團法人 日本放送協會秘書課

 

茶の間

宗俊「桂木元子殿

前略 陳者(のぶれば)放送員採用試験に関しては、ご足労相煩わし候所。選考の結果、合格のことに決定いたし候間、この段、ご通知申し上げ候。なお養成開始は10月5日に候間、当日午前9時、放送会館4階秘書課にご出頭相なりたく候」

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ハガキを読んだ宗俊はその葉書を投げ飛ばす。こら!

 

元子「お父さん」

宗俊「グウ~ッと熱いやつ、くれ」

トシ江「言うことはそれだけなんですか?」

宗俊「俺は茶が欲しいと言ってるんだ」

元子「分かりました。グウ~ッと熱いのをですね。はいはい、今お持ちします」

 

宗俊は長火鉢の炭を箸で取って、フーフー息を吹きかけ、そこからタバコに火をつけている。

トシ江「本当に悪い癖なんだから」

宗俊「何がだ」

トシ江「よくやったとか何とかひと言、言ってやったらどうなんですか」

宗俊「何でだよ」

トシ江「本当にあんたって人は…」

宗俊「うるせえ。いいか、元子はな、自分が好きで受けたんだ。言ってみりゃ趣味道楽とおんなじじゃねえか」

トシ江「趣味道楽ですって!?」

宗俊「そうよ。そんなものに親がいちいちよくやったとかヘチマだとか、え、言わなきゃならねえしきたりが世間の一体どこにあるってんだ。あったら聞かせてもらおうじゃねえか」

 

トシ江「分かりました。もうあんたには何も申しません」

宗俊「ありがてえや。こちとらはな、面倒なことは大(でえ)っ嫌いなんだ」

トシ江「朝、新聞読んだんじゃないんですか」

宗俊「夕刊がなくなっちまったんだからしかたねえじゃねえか。何を読もうが俺の勝手だ」

 

元子「そんじゃ、後の手続きのことは全部自分でやりますからよろしくお願いします」

宗俊「何の手続きだ」

トシ江「だから放送局入社の手続きですよ」

宗俊「誰がそんなことやれって言った?」

元子「だって面倒くさいことは大っ嫌いなんでしょ? だからこの際、自分のことは自分でやります」

宗俊「おめえたち、何か勘違いしてるんじゃねえのか。俺は放送局へ勤めていいなんざ、ひと言も言っちゃいねえぞ」

元子「そんな」

宗俊「何が『そんな』だ! 受けたきゃ受けてみろ、確かにそんなふうなことは言った。しかしそれは試験だけの話だ。受かったからって、そのまま勤めますなんざ、俺は金輪際許さねえから、そう思え!」

 

元子「むちゃくちゃだわ。放送局の一体どこが気に入らないんですか」

宗俊「女が勤めに出たら、ろくなことはねえんだ」

元子「うそ」

宗俊「何がうそだ!」

元子「お父さんはあんちゃんが出征した日に警戒警報が出たのをまだ根に持ってるんだわ。それを放送局のせいにして」

宗俊「ガキじゃあるめえし理屈にもならねえことを俺が言うわけ…」お茶を飲む。「熱(あち)っ! てめえは親に煮え湯を飲ませる気か!」

元子「グウ~ッと熱いのをって自分が注文したんでしょ」

トシ江「もうおよしよ。一旦へそが曲がったら、もう話にも何もなりゃしないんだからね」

元子「お母さん」

 

電話をかけるトシ江。壁掛けとかじゃなく普通の黒電話。「あっ、絹子さん? 私、トシ江です。洋三さんお帰りになってらっしゃるかしら? あっ、そう。だったらまことに相すいませんけれども、ちょいと話があるんでうちに来ていただけますでしょうか。あっ、どうもありがとうございました」

 

宗俊「おい、おめえ、それ何のまねだ?」

トシ江「え? 元子、ちょいと町内に声かけてくるからね、お父さん逃げ出さないようにしっかり捕まえておくんだよ」

宗俊「おい、こら待て! おい、こら…」

元子が立ち上がった宗俊の腰にしがみつく。「彦さ~ん! 巳代子! 誰か応援に来て~!」

宗俊「この野郎、放せ、こら!」

元子「嫌です!」

宗俊「バカ野郎、てめえ!」

 

巳代子と順平がこっそり様子を伺いに来る。

 

茶の間

芳信「ご時世が違うんだよ。芳町の金太郎だって三味線捨てて勤めに出てるじゃないか。そりゃお前さんがもっちゃんかわいいのは分かるけど、いつまでも箱の中に入れてしまっとくわけにはいかないんですよ」

幸之助「ご隠居の言うとおりだよ。え。勤めに出ていけねえんだったら、何で巳代ちゃんのことだけ見逃すんだよ」

宗俊「だからおめえ、あれは勤労奉仕だし」

洋三「いや、放送員といったら、それよりも責任の重い仕事なんですよ。だから、なりたい者が勝手になれるっていう仕事じゃないんだ。その難関をもっちゃん、見事に突破したのをどうして親として認めてやれないんですか?」

宗俊「てめえは黙れ!」

洋三「いや…」

 

友男「いや、俺はね、いや、そんな難しいことは分かんねえけどよ、お国のためなんだろ。敵機が飛んできてよ、それを教えてくれる人がいなかったら、みんな殺されちまうって大事(でえじ)な仕事なんだろ」

宗俊「だからおめえ、敵機が来ないようにうちの正大が戦ってるじゃねえか」

洋三「その正大君にもしかしたら自分の声を届けられるかもしれない、そういうもっちゃんの気持ちを義兄(にい)さん、あなた、どう思ってらっしゃるんですか」

宗俊「うるせえな、お前は!」

幸之助「これぞ、きょうだい愛じゃねえかよ。え。分からず屋のおやじにしちゃ出来た娘だぜ」

 

宗俊「よってたかりやがって大きなお世話だ」

芳信「そりゃ違うよ。みんながこうやって集まってきてるんだって、みんな、お前さん一家が好きだからさ。バチが当たるようなこと言いなさんな」

宗俊「いや、そ…それは十分に分かってますよ」

友男「だったらどこに文句があんだい!」

宗俊「何をこの野郎!」

 

幸之助「分かった分かった…分かったよ、この意地っ張り野郎めが、もう」

宗俊「何だと?」

幸之助「要はメンツが立ちゃいいんだろ。なあ、かわいいもっちゃんのためだ。この頭一つで済むんだったらば畳にすりつけてもお願いしてやっからな」姿勢を正す。「宗ちゃん、無理を承知でお願いしてるんだよ。よろしくお頼申します」

芳信「おう、そんなことなら私にだってお安い御用だ。このとおり」

友男「俺だって、お頼申します」

洋三「それじゃ私も」

 

こっそり見ていた順平、巳代子もみんなと同じように頭を下げる。

 

宗俊「よしてくれよ、そんなまねは…おい」目頭を押さえる。「おい元子、おめえ、皆さんにお礼を言わねえか」

元子「ありがとう、お父さん」

うなずく宗俊。

元子「皆さん、どうもありがとうございます」

トシ江も涙を拭きながら頭を下げる。

 

さすが、宗俊の弱点を知り尽くしたご近所の衆。ともあれ、うれしい幕になりました。

 

笑顔で涙を拭く元子。

 

つづく

 

明日も

 このつづきを

  どうぞ……

 

結構この間が長かった…。

 

宗俊は面倒くさい父親なんだけど、トシ江がバンバン言い返してくれるんで気持ちがいい。もっちゃん、合格おめでとう♪