徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】しづやしづ

1980年3月16日 TBS

 

あらすじ

おしづ(長山藍子)は、女将のおはま(乙羽信子)が病気がちのため、深川の岡場所で手伝いをしていた。霧雨の降る春の宵、酔いつぶれた貞吉(竹脇無我)という男が仲間に担がれてきた。「しづやしづ…」と、静御前の歌を悲しい声でつぶやく貞吉に、おしづは惹かれるものを感じ、自分の部屋で彼を介抱する……。

2026.2.22 時代劇専門チャンネル録画。懐かしの『日曜劇場』時代劇。

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同時期にやってたのは「突然の明日」や「あ・うん」。金八先生の第1シリーズもこの時期だね。

 

原作 山本周五郎―新潮社刊―

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脚本:服部佳

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音楽:小川寛興

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貞吉:竹脇無我…字幕黄色

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おしづ:長山藍子…字幕水色

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うさぎ:小鹿みき

おかね:初音礼子

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文七:前田昌明

栄吉:小島敏彦

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お芳:渡辺陽子

とんぼ:立枝歩

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新兵衛:松山英太郎

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おはま:乙羽信子

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タイトル:原右門

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プロデューサー:石井ふく子

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演出:鴨下信一

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製作著作:TBS

 

新兵衛が酔っ払って「しづ…」とうわごとをいう貞吉を花井屋という岡場所に連れてきた。店で働く、おしづに寝かせてやってくれとお金を渡し、文七と栄吉が貞吉を部屋まで運ぶ。

 

♪ しづやしづ

 しづの苧環(おだまき) 繰り返し

 昔を今に なすよしもがな

 しづやしづ

 

男たちに運ばれる間に歌っている貞吉。

 

九つ半になり、目を覚ました貞吉。しづは部屋で繕い物をしていた。貞吉にここはどこだと聞かれたおしづは「深川の網打場。うちは花井屋といいます」と説明した。

 

あみうち‐ば【網打場】 江戸深川、松村町にあった下等な岡場所。

 

新兵衛だけが泊まり、あとは帰った。貞吉は三十間堀(さんじっけんぼり)で飲んでいたころまでは覚えていたが、その後は記憶なし。酒が飲みたい貞吉。表向きは、いけないことになっているが上がりたいのなら持ってくるとおしづが部屋を出ていった。

 

雨戸を閉め忘れていたと窓のそばに立つおしづを見上げて、のっぽなんだねと話しかける貞吉。

おしづ「ハハハッ…馬鹿だからご飯を縦に食べたんですって」と笑う。

 

長山藍子さんに長身のイメージは全くないけどね。プロフィールでは159cm。

 

貞吉は、一口飲んで、おしづにも勧めるが、もう5年くらい飲んだことないと断った。独り者(もん)だった5年前は、もっと飲んでいたという貞吉。おしづもつきあって飲むことになった。

 

おしづが飲む様子をじっと見つめる貞吉。「花嫁が祝言の盃を飲むようだった」

おしづ「見ないでって言ったのに」

貞吉「良かったよ」

 

貞吉に酒を勧め、貞吉の乱れた髪をなでつけるおしづ。糸屋の貞吉は頭に糸くずがついていた。貞吉は河内屋(かわちや)という糸屋の婿養子。名前を聞く貞吉に「しづやしづ しづの苧環 繰り返し」と静御前が頼朝の前で歌いながら舞ったという歌を詠むおしづ。「あたしの名前もしづなの」

 

それで、敵娼(あいかた)になってくれたのだと貞吉は思ったが、おしづは主人のおはまさんの友達で手伝いに来てるのだという。おはまが体を悪くして寝てるから、帳付けや、お客が立て込んだときにお酌にだけ出ている。面倒をかけて申し訳なかったと謝る貞吉に「あら、噓。あたしこそ悪いわ。こんなのっぽのおばあさんで」と謝る。

 

指先が器用だと褒める貞吉。うさぎが相手をするはずだったが寝てしまった。

 

貞吉「いいよ。おしづさんと飲んでれば」

おしづ「かわいい子よ。18なの」

貞吉「眠たくなったら横になってくれ」

おしづ「ふだんは、こんな所で遊ばないんでしょう? お連れの方も料理茶屋のほうがお似合いだわ」

 

駕籠に乗せてわざわざ連れてきたのだという。一緒に来たのが足袋屋、ろうそく屋、瀬戸物屋。みんな幼なじみで時々、集まって飲んでいる。

 

貞吉「悪友だよ。私のことを肴にして飲むんだよ」

おしづ「あら。肴にされるようなことあんの?」

貞吉「私が変わっちまったって、みんな文句言うんだよ。昔は、私がいちばん生きがよかったのに今じゃ女に惚れる甲斐性もなくしちまったってね。『しづやしづ』さ。『昔を今になすよしもがな』。フフッ…」

 

おしづは貞吉の話を聞きたがるが、貞吉は、おしづの話を聞きたがる。おしづは山の見えるとこにもいたし、海の見えるとこにもいたという。いろんなことをしてきた。今は何も見ないようにして暮らしてる。

 

貞吉「生きてれば誰だって、いろんなことにぶつかるさ」

 

外は霧。霧が晴れるまで飲みましょうというが1人で飲んでいるのでまだ酒はある。おしづは不調法だと謝り、5年前は陽気なお酒を飲んでいたと笑う。貞吉も歌ったり踊ったり威勢のいいおだを上げて飲んでいたという。

 

おしづ「人って変わらなきゃ生きていけないのか、生きていくために変わっちまうのか。フフッ…分かんない」

 

朝、お芳やうさぎたちが貞吉のことを話していると、明け方帰ったというおしづ。糸屋の旦那があんまりだらしないから、この店に連れてきたと新兵衛から聞いたお芳。おしづが別室にいるおはまに食事を運んだ。

 

おはま「あとでね、髪結いのおこまさんに来てもらってくれ」

おしづ「はい。雨も上がりましたし、桜のつぼみも少し膨らんできたみたい」

 

脚気(かっけ)には素足で土を踏むのがいいとおはまに教えるおしづ。おはまも貞吉のことを聞くとあんな酔狂はもう来ないだろうと答えた。

 

おはま「ここの女の子たちはね、体を張って生きてるからね、お商売の決まりだけは、ちゃんとわきまえてちょうだいよ」

 

おかねはこの頃の若い者はしょうがないねえ…と愚痴りながら片づけをしていた。うさぎの花代を帳面につけるおしづ。貞吉が現れ、帳面をつけるおしづを見ていた。「字を書くときは、きりっとした顔してるね」

 

照れるおしづに用足しのついでに来たと2階へ上がろうとする貞吉を止め、おしづは自身の部屋に上げ、うさぎを呼ぼうとしたが、貞吉の目当ては、おしづ。しかし、おしづは、お商売に出てるんじゃないんですものと断った。帳付けとお酌の手伝いだけ。

 

貞吉は、ここで酒を飲んで帰るという。しきたりがあるとおはまに聞きに行ったが、おはまに惚れちまったのかい?と指摘され、好きにすればいいと笑う。しかし、ここは柳橋ではない。芸者は男に惚れたら幸せになれることもあるけど、岡場所の女は、つらい憂き目を見るだけかもしれないとも言われた。

 

卵の黄身と味噌を火で練った手料理を持ってきたおしづ。出来損ないと謙遜したものの、貞吉は、うまいと褒めた。長崎で覚えたさつま汁も褒めた。おしづが長崎へ行ったのはずっと昔のこと。

 

意気地がないから随分迷ったと言っていると、うさぎが花代とお銚子を持ってきた。

 

おしづも貞吉に酌してもらい、一杯飲んだ。あなたの気持ちやみんなの気持ちがしみとおるようだと言いながら、文机を貞吉に向け、帳付けを始めた。

 

ど、ドキドキするなあ~。

 

外に出ていたおはまは、この月も来なかったと草履を脱いで…?

 

帰ろうとした貞吉を引き止めるおしづ。花代を置いて帰ろうとする貞吉に「あなたから花をもらう筋合いなんかありませんからね」と怒る。花代を持って帰るように言うが、もう来られなくなるという貞吉。もう来なくていいと泣くおしづ。来なければよかったというのに、あしたまた来るという貞吉。「俺の家は、この部屋なんだよ。おしづ」

 

おしづ「好きよ…あなたが好きよ。死にたくなるほど好き」

 

貞吉が外に出るとひどい霧だった。おしづは、お家のそばで火を消して捨ててくださいねと提灯を渡した。

 

お芳、うさぎ、とんぼと順繰りに花をつけているおしづ。

 

おかねは、おしづはお前さんたちとは一緒にならないと生い立ちを話した。生まれは芝の金杉で名ある建具屋の一人娘。乳母日傘で育ったお嬢さん。読み書きは、お武家さんの娘並みで16で長唄と花柳流の名取、そんじょそこらのお女郎さんとは女の格が違う。

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初音礼子さんは「俄」では万吉の近所の駄菓子屋さんだったね。

 

おはまに花代のことを結局、貞吉さんに貢いでるってことじゃないかと指摘された。蓄えをはたいたらお客を取らなきゃならなくなるってことが分からないの? そうなっても貞吉さんが通ってくると思う? 貞吉さんにいただくものはいただきなさい。

 

おしづが自分のお金でお芳たちの花代をつけてる…? 仕組みがちょっとよく分からないな。

 

おしづ「お願い。おはま姉さん。あたし、今が大事なんです。先は、どうなるか分からないけど、今は…今は、あの人からお足をもらいたくないんです。あたしの部屋に花を置いていかれるなんてたまらないんです。それを帳面につけたりなんか、あたし、とても…あの人、あたしの部屋が家なんだって。お願い、分かって」

おはま「馬鹿だよ。お前さんって人は。気が強いくせに弱虫なんだから。女ってのはね、一度、地獄を見たら、もう騙されないもんだよ」

おしづ「馬鹿なんです、あたし。どうしようもなく馬鹿なのかもしれない」

おはま「馬鹿。自分で言ってりゃ世話ないよ」泣き出すおしづに手拭いを渡した。

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おしづ、おはま、うさぎちゃん…みんな十病院の看護婦さん。

 

新兵衛と夜釣りをする貞吉。

 

プライベートでも竹脇無我さんと松山英太郎さんって仲良かったらしい。

 

新兵衛は貞吉の結婚前に飲んだことを覚えてるか?という。5年前、寺子屋時分の友達4人で婿なんぞに行くなと言ったら、貞吉は河内屋の身上を飲みつぶしてやると啖呵を切っていたと笑う。あの時は、4人の中でいちばん生きのよかった貞の字。

 

向こうっ気が強く、16~17で覚えた酒がめっぽう強くて、芝居小屋、寄席に出入りし、ぐれたような仲間とも平気でつきあっていた。金が入ると派手に新吉原(なか)に繰り込んでいた。「お前なら婿に入ってもしぼんじまうことはあるまい。さぞ生きのいい婿になるぞ」と話していた新兵衛たちだが、貞吉は河内屋へ行った途端、ふさぎ込んで、人が変わったようになった。

 

貞吉「いまだに家って気がしないんだ」

新兵衛「家付きのおひでさんがそんなに怖いのか? ええ? しっかりしろよ、貞の字」

貞吉「女房とは他人も同じだ」

 

新兵衛は貞の字があんまりひどすぎる、ひとつ活をいれてやろうと酔いつぶして連れていったのだという。新吉原じゃ薬が効くまい、岡場所にしよう…この理論が???

 

しかし、酔っ払った貞吉が「しづやしづ」を言い出し、役に立たなくなった隠居じゃあるまいしとあきれた新兵衛。32といえば男の花盛り。「しっかりしろよ、貞の字。いや、河内屋貞吉。てめえのかみさんと身上じゃねえか。びくびくするなって」

 

貞吉は新兵衛に30両都合してくれないかと頼むと、新兵衛は昔の貞の字の目にそっくりだと金のことを引き受けた。

 

花井屋に行った貞吉。おしづは髪結いに行って不在だった。うさぎが上がって待ってるようにいい、あたいやみんなに花をつけていただいちゃって…とお礼を言う。貞吉は、おしづではなく女将さんに用事があると言って、花代のことも女将に謝罪した。

 

捨て犬を拾って帰ってきたおしづ。おかねが糸屋の旦那が来てると知らせた。おはまの部屋に入ったおしづは八幡さんにお願いしてきたと話す。「もう一度だけ会わせて。お別れを言わせて」

 

貞吉が10日ぶりに来た訳を言うから座りなさいとおはまに言われるおしづ。

 

ふた親と下の兄さんは、おととしのはやり病で死んじゃったと身の上話をするおしづ。上の兄さんが建具屋を継いでるけど、親兄弟に逆らって勝手なことをしてたから、今はつきあってない。芸者になったり、堅気でない人を好きになって所帯を持った。

 

2人がいるのは小舟の上。

貞吉「その…前のご亭主だった人とは、すっかり縁が切れたのか?」

おしづ「間に人も立てて離縁状も取ってあるの。二度と…顔も見たくないわ」

貞吉「それなら、私とうちを持っても差し支えないじゃないか」

おしづ「うれしいけど…とても駄目よ」

 

河内屋を出るつもりでいる貞吉。間に人を立てて話をつけてもらっている。「女房とは、どうしてもうまくいかない。多分、性が合わないんだろう。ほかに言いようがないんだ。女房は私が不満らしいし、私は女房に歯が立たない。5年も一緒に暮らしていながら気持ちも通わないし、情も育たないと、もう我慢のしようがなくなるんだよ。これ以上、我慢してると、私のほうが腑抜けになってしまいそうなんだ」

おしづ「それで新兵衛さんたちお友達が心配して…でも、そのお話は、もうよしにして。お願いだからよしにして」

貞吉「河内屋を出て、お前とうちを持って、自分で…自分で糸屋を始めたいんだ。お前と一緒にやり直したいんだよ」

拒み続けるおしづ。どうしようもなく好きだが、一緒になることだけは…

 

貞吉「おしづ、俺と一緒になってくれ」

おしづ「後生だから堪忍して」

 

前の亭主と切れていないわけでもなく、隠し子もいない。牢へ入ったこともない。人に言えない病を持っていない。

 

貞吉「体が丈夫で、針仕事ができて、手料理もうまくて、きれい好きで読み書きもできて、情が深くって、おしづ、お前は誰にも負けない立派なかみさんになれるんだよ。幸せになれるんだよ」

おしづ「堪忍して。後生だから堪忍して」どうしても訳を言わずに泣く。

 

おはま「もう会いたくないわよ、おしづちゃん。あんた、堅気になるんだからね」

 

新兵衛たちが家を掃除していた。貞吉がおしづを連れてやってきた。ろうそく屋の文七や瀬戸物屋の栄吉が自己紹介し、子犬を抱いた貞吉が糸屋の貞吉だと改めて自己紹介した。

 

キャーッ、無我さまに子犬。

 

貞吉は夫婦で商いをやるには格好の家だろうと子犬を抱いたまま、おしづの手を引いて家に上げる。今日から住めるように新兵衛たちが手配していた。新兵衛たちがお膳やお酒も用意し、貞吉を頼むと頭を下げ、本当に良く来てくれたとお礼を言った。

 

「ばちが当たるわ」と泣きじゃくるおしづ。

 

その夜、寝室で貞吉が待っていると、おしづが手をついて頭を下げ、目をつぶってとお願いした。「あたしが嫌いになったらすぐに出てってね」

貞吉「おしづが嫌いになることなんぞ、金輪際ありゃしないよ」

 

「あなたと一緒になれない訳を話すわ」とゆっくり着物を脱ぎだすおしづ。前の亭主が堅気じゃなく、馬鹿だから同じようになりたくって、同じようになりたい気持ちが分かってほしくて…もっともっと何倍も好きな人がこの世の中にいたってのに…取り返しのつかないことを。死にたいほど恥ずかしいと最後の1枚を脱いだ。背中に一面の桜吹雪。

 

けがみたいなもんだと背中から抱きしめる貞吉。「人間、誰にだってこれぐらいの傷はあるさ」

 

翌朝、貞吉が目を覚ますと、子犬はいるけど、おしづがいなくなっていた。朝食の御膳に置き手紙。

 

<<堪忍してください。あたしやっぱり出ていきます。ゆうべの幸せが朝になったら逃げていってしまうような気がして何度も何度もあなたの寝顔を眺めました。初めてあなたに会った晩もやっぱり寝顔を眺めてました。目を覚ましたら、きっとこの人が好きになるだろうと思って眺めてました。まさか、本当にこんなに好きになるなんて…こんなに幸せになれるなんて。この家であなたと一緒に暮らせたら、手料理を作ったり、針仕事をしたり、帳面をつけるのを手伝ったり。でも、このままでは、とてもあなたのおかみさんにはなれないの。入れ墨のこと、あなたは、ただのけがだと言ってくれたけど、申し訳なくて、やっぱり駄目。このまんま幸せになるなんて、あなたに申し訳なくてとても駄目。お別れするのは死ぬほどつらいけど、今はお別れしなきゃいけないの。堪忍してくださいね、わがままを言って。でも、あたし、帰ってきます。自分で、もういいと思うときが来たら帰ります。この家へ、あなたのそばにきっと帰ってきます。あたし…帰ってきます。あたし、帰ってきます。この家へ、あなたのそばにきっと帰ってきます。あたし…帰ってきます>>

 

貞吉はまだ霧の深い外へ出た。(おわり)

 

えええ~! いっそ気を持たせずにいたらいいのにとか思っちゃったりして。

 

ひっさびさに竹脇無我さんの出演作を見たら、やっぱり声がいい!! 顔もいいけど、それ以上に声がいい!と実感した。また「3人家族」や「二人の世界」が見たいぃ~!

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翌週が北海道放送制作の現代劇ドラマと当時の日曜劇場はバラエティに富んでたんだね。