徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】花嫁三重奏

1958年 日本

 

あらすじ

人情溢れる下町を舞台に、頑固親父に振り回される三姉妹の恋模様をコミカルに描く。特撮映画の巨匠・本多猪四郎監督の稀有な恋愛群像劇で、芸達者な面々の名演も楽しい逸品。東京で乾物店を営む平吉(柳家金語楼)は、亡き妻に代わり奮闘する長女(草笛光子)、踊り子の次女(根岸明美)、洋裁学校に通う三女(団令子)を育てたが、友人の勧めで立候補を決めた区会議員選挙に勝つべく、長女と議長の息子の縁談を強引に進めたことで、様々な騒動が勃発する。

2026.2.11 日本映画専門チャンネル録画

 

蔵出し名画座

評論家川本三郎こう観た

 

本多猪四郎監督は「ゴジラ」をはじめとする怪獣映画で知られるが、他方で平凡な市井の人たちの日常を描くホームドラマも作っている。本作もそのひとつ。東京の下町を舞台に、妻に先立たれたあと、男手ひとつで三人の娘を育ててきた父親が、娘たちをなんとか幸福に結婚させようと奮闘する。

小品だが、ほのぼのとした味わいがある。当時の言葉でいえば「明朗人情喜劇」。ビデオにはなっていないし、名画座で上映されることもほとんどない。貴重な逸品。乾物屋を営む父親に柳家金語楼。三人娘に草笛光子、根岸明美、団令子。隣りのいかにも下町人らしい世話好きの飲み屋のおかみに清川虹子。

三人姉妹のお相手は当時の東宝の若手俳優、小泉博、土屋嘉男、佐原健二。父親の金語楼が”火事好き”で消防車のサイレンを聞くと、消火に駆けつけようとするのが笑わせる。(現場は有難迷惑なのだが)

個人商店の並ぶ商店街。卓袱台での食事、浅草のレヴューなど昭和三十年代の風物が懐かしい。次女の団令子は洋裁学校に通っている。当時、新宿駅西口に偉容を誇っていた文化服装学院の円形校舎が映るのをお見逃しなく。

 

東宝株式会社

 

製作:藤本真澄

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脚本:若尾德平

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音楽:佐藤勝 

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西村照子:草笛光子…字幕黄色

西村信子:根岸明美…字幕水色

西村妙子:団令子…字幕緑  

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岡本:小泉博

小島:土屋嘉男

新一:佐原健二

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黒川:堺左千夫

深井:夏川大二郎

モデル:白石奈緒美

三太:井上大助

大沢:中村是好

花巻女史:岡村文子(大映)

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加奈子:立花暎子

畠野世記子

村松恵子

須賀京子

松葉良子

岸田翠

若林映子

園田祐子

竜野俊子

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小僧:中山豊

伊藤実

勝本圭一郎

野村達夫

天見竜太郎

北野八代子

客:中野トシ子

小島君江:黒岩小枝子

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平吉:柳家金語楼

お豊:清川虹子

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監督:本多猪四郎

 

緊急車両のサイレン。平吉は起き上がり、慌てて着替えて、三太に火事の場所を確かめるように命じた。三太は店の小僧か? 娘たちも火事の度に起こされて怒る。

 

平吉は早朝に隣のお豊を訪ね、電話を借りて消防庁に火事はどこか聞いたが、ボヤで既に消火されたと聞きガッカリ。平吉は消火活動を手伝うことを生きがいとしている。お豊は年寄りの冷や水だといい、嫁入り前の娘たちのことを考えろという。娘たちの世話を焼いていたのは、お豊。そんな、お豊は、ひそかに平吉が好きらしい? で、お豊の息子が新一。

 

西村乾物店

照子は三太とともに乾物屋をやっている。平吉は眼鏡がないとわざわざ照子に言いに店に来た。ご飯を食べていた妙子が平吉に眼鏡の場所を教え、平吉は「アマチュアオーディオハンドブック」という本を見つけた。照子が友達から借りたらしい。

 

平吉は岡本じゃねえだろうなあ?と聞く。平吉が照子に勧めたいのは黒川という男らしいが、妙子は反対だと言って出ていった。平吉は最近の学校は修身を教えないからダメだと愚痴る。店の外で妙子は照子にお小遣いをねだった。照子が岡本を好きなことを知っている妙子は何でお父さんにはっきり言わないのか聞く。

 

乾物屋の向かいには電話売買の看板。

 

信子が寝間着のまま外に出て、妙子が勝手に靴下を履いたことを怒った。お転婆な次女って感じね。

 

妙子が新一に頼みごとがあるとお豊の店・のんきに会いに行った。新一は大学を辞め、バンドをやっているが、母には言っておらず、妙子はそれをネタに作品発表会で生演奏をしてほしいと頼んだ。妙子は洋裁学校の生徒で新一のバンドの演奏を聞いた院長先生から頼まれた。しかし、ギャラは出ない。ひでぇ。

 

お豊は、あと1年で卒業だよと店にやってくると、妙子が新一のことを話そうとするので、慌てて新一が店から妙子と一緒に出た。

 

エレガント洋裁学院

院長先生の花巻に新一のバンドがタダで出てくれることを報告する妙子。新一が妙子に好意を持っていることを知っていて、その気持ちを利用している。ギャラを半分だけでも出さなきゃと気にする院長先生に私に材料費を回してくださいという妙子。

 

う~ん、こういうずうずうしさ嫌い。

 

院長室に僧侶が数人入ってきた。今日はクリスチャン・ディオール先生の命日だという。部屋の奥に祭壇を作っている。クリスチャン・ディオールは1905年生まれで命日は1957年10月24日。この映画は1958年2月11日に公開されたから…月命日でもやってたのか!?

 

ダンサーの信子は看板描きの小島と話していた。小島の妹・君江と信子が仲良しで、ひそかに小島は信子が好き。すげえグラマーだなあと小島の友人が言う。ほんと、根岸明美さんってスタイルいいのよね。ダンサーの人、みんな足が長い。ホールは禁煙なのにタバコ吸いまくりのおっさんたち。

 

のんきに岡本から電話があった。

 

西村乾物店

照子は妙子の宿題を仕上げるため、ミシンを踏んでいた。競馬の予想が立てられないとイラつく平吉。

 

お豊は平吉に火事があったと知らせると、平吉は出かけていった。お豊は今のはデタラメで、岡本から電話があったことを話した。

 

平吉は火事装束で外に出たが、火事はなかった。この時代でも忠臣蔵の討ち入りみたいな格好するんだね。

 

シブヤ浴泉

トルコ風呂

 

大沢に呼び出されてトルコ風呂に行った平吉。2人並んで箱型で頭だけ出たサウナ?に入り、目の前を水着姿の女性が歩く。もっとあとの時代の性的なサービスの店というより、水着の女性を見るだけみたいに見える。サウナから出たあとはビールを飲みながら、平吉が区会議員に出馬したいと思ってることを話す。

 

照子は岡本に呼び出されて、岡本のアパートへ。岡本は機械いじりが好きで、会社から表彰されるほどだが、欲はない。早く結婚したいという岡本だが、照子はもう少し待ってほしいという。

 

小泉博さんは、いつの時代もかっこいいなあ。

 

新一が歌っている。バンドのボーカルなのね。

 

♪ 雨に濡れたバーバリー…

 

のんき

お豊の店で若いアベックがイヤホンを片耳ずつ入れて携帯ラジオを聞いていた。何やってんですか?とお豊に聞かれて、ラジオを聞かせた。ラジオから聞こえるのはハリー牧という売り出し中の歌手。親不孝な歌声してるというお豊。

 

この時代からイヤホンでカップルが同じ音楽を聴くなんてやってたんだね。

 

平吉がお豊を呼び出したので、妙子が店を手伝うことにした。

 

お豊は平吉が区会議員に出ると聞いて大笑い。お豊は主婦連の役員。平吉が黒川と結婚させたがっているのは政略結婚だと怒る。しかし、岡本は月給を機械につぎ込むキチガイの親戚みたいな野郎だと平吉は気に入らない。

 

平吉が区会議員になりたいのは、男手ひとつで娘を育て、自慢の父になりたかったから。男手ひとつというけどねえ、娘たちは自分のことはやれるし、なんといってもお豊みたいに手伝ってくれる人がいたからなのにね。な~にが男手ひとつだよ。ただ、お豊は平吉の話を聞いて涙を拭くぐらい感動してた。

 

だが、平吉は区会議員の娘がレビューの踊り子なのは困るなという。あいつ少し「パァ」だから。お豊は大統領の娘だって女優をやってると反論した。

 

お豊は店に戻り、店にいた照子にお父さんの言うとおりにした方がいいと言い出した。

 

家に帰り、心変わりしたお豊を気にする照子だが、妙子は家出したほうがいいといい、信子に黒川を勧めるが、信子はハンサムで生活力があって、その上、芸術家がいいと小島の話をする。立派なアトリエもあるが、長いこと病気の奥さんがいる…妹じゃないの!?

 

エレガント洋裁学院

  生徒作品発表会

     1958・2・3学院ホールにて

 

新一のバンドが来ないので院長先生が妙子に文句を言う。新一は、お豊も一緒に行くというので出かけられないので、妙子は、お豊が縁起をかつぐ人だから鼻緒を切れば絶対出かけないとアドバイス。しかし、鼻緒を切ろうとしたときに、お豊が来てしまい、岡本からの電話にもう取り次がないといってすぐに出かけた。

 

しかし、平吉に岡本のことを報告に行ったお豊は平吉と飲むことにして戻ってきたので、新一は裏口からギターケースを背負って抜け出した。

 

作品発表会に行った照子に黒川が結婚式のことについて話し合いましょうと話しかけてきた。もう勝手に話が進んでいて、ビックリする照子。

 

ファッションショーが始まった。新一のバンドが生演奏をする。8ミリカメラでモデルの足元を撮影している黒川。う~ん、いつの時代もいるんだね~。

 

自由制作展

小島と作品を見に行った信子。小島の作品はダンサーの女性が描かれている。この人誰?と小島に聞くが、どう見ても信子。入賞した小島の作品を師匠の深井が見に来て飲みに誘う。

 

ファッションショーの休憩中、照子の隣に座る黒川は照子が妹のところに行くというと、女性たちが着替える控室にまで8ミリフィルム持参で入ってきた。きもい!!

 

妙子は姉さんの花嫁衣装にどうかと2万円でドレスを売りつけた。こんなことしたらますます断りづらくなるだろうが!

 

妙子は照子にお小遣いをせびりながら10万円もためていた。将来独立するための資金。デザイナーをするためにお金が必要。でもなあ…

 

小島が酔っ払った信子を連れて帰り、妙子が家から出てくると、そのまま帰って行った。親父、起きろー!と騒ぐ信子。

 

翌朝8時。信子は頭が痛くて起きられない。妙子は薬を持ってきて、酔っ払った信子が小島を好きなことを指摘。好きなら奥さんのことなんて気にしなければいい。しかし、信子は深井伸之助という絵描きが愛人だと話した。

 

新一に呼び出された妙子。新一は母に真実を話して、自活するという。家を出たら一緒に暮らそうというが妙子は信子のことを考えて上の空。

 

妙子は深井家に行き、姉を誘惑しないでくださいと言いに行った。深井はチェックシャツにズボンだったけど、深井の奥さんもペアルック。オシャレな夫婦だな。妙子の思考が全然分かんないわ。

 

信子の楽屋に岡本が来て、急に大阪に行くことになったと切符を持ってきた。

 

のんき

平吉は岡本からの電話だと言って照子を出かけさせたことを後悔していた。

 

信子が家に帰ると、妙子から大恥をかかされたと文句を言われ、信子は岡本の大阪行きのことを話した。信子と妙子は、のんきにいくが、お豊も平吉も照子の行き先を話さない。妙子はハリー牧が新一であることを、お豊にバラし、話の分からない父親を無視して、お豊の説得に当たった。

 

大坂行の電車に乗り込んだ岡本のところに信子と妙子がトランクを渡し、照子が電車に乗り込んだ。岡本は機械を売って80万ばかりになったものを照子名義したと話した。照子を見送って家に帰った信子と妙子。

 

黒川の応援なしに選挙に出ることになった平吉に大沢は今後つきあいはしないと言われ、今までのツケ10万円の金を返すよう迫られた。妙子は自身の貯金10万円を渡すと、今度は利息の5万円を払えと言い出す。西村家に来た新一が5万円を払って追い払った。平吉が新一に頭を下げた。妙子には!?

 

深井夫婦が平吉に会いに来た。今日は和装。

 

のんき

お豊がラジオをかけるとハリー牧の曲がかかった。新一は慌てて弁明しようとすると、お豊は好きなことすればいいと認めた。

 

深井夫婦は弟子の小島が信子が嫁に欲しいと言ってるといいに来たと平吉がお豊の店に来た。妙子も一緒に来て、新一のことを好きだと話す。新一は、もう一度大学に入り直すことを妙子に話した。

 

3人の娘たちの結婚写真が並ぶ。お豊は、あと1枚足りないと思いませんかと平吉に話すが、火事のサイレンが鳴り、平吉は慌てて火事装束に着替えて出かけていった。(終)

 

平吉が男手ひとつで娘たちを育てたふうに全然見えないのがなあ~。照子が実質、母親代わりみたいな感じだし…母を亡くしたのがいくつくらいの年齢か知らないけど、昔からお豊がお隣さんだったんだろうしさ。最後に貯金を差し出した妙子に感謝するふうでもなく、これからは、お豊が面倒見てくれるんでしょ? なんだかな~。