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【ネタバレ】🈟俄-浪華遊侠伝- #1

TBS 1970年7月16日

 

番組内容

実在した幕末の侠客・明石屋万吉の生涯を描いた司馬遼太郎の同名小説をドラマ化、『木下恵介・人間の歌シリーズ』第二弾として全13話が放送された。"俄"とは、路上などでやる即興喜劇のことで、晩年の万吉がつぶやいた"おれの一生は、俄やったやないか"というホロ苦い感慨からきている。ドラマ初主演となった当時26歳の林隆三が、日本一の侠客に成り上がる万吉の15歳時からを演じ、制作を務めた名監督・木下恵介の抜擢に応える熱演ぶりで、観るものの心を掴む。

 

あらすじ

幕末のころの大阪、万吉(岡本隆成)11才。父が万吉と万吉の母、妹を捨てて姿を消した。母と妹を養うため、万吉は世にもおかしな“どづかれ屋”をはじめるのであった。

2025.2.18 時代劇専門チャンネル録画

 

作監修:木下恵介

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原作:司馬遼太郎

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脚本:山田太一

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音楽:木下忠司

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万吉:林隆三

   岡本隆成…字幕黄色

小左門(こさもん)藤村志保…字幕水色

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いく:初音礼子

万吉の母:吉川雅恵

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お鹿:七尾伶子

胴元:白木みのる

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番頭:芦屋雁之助

芸者:原知佐子

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善兵ヱ:今福正雄

若旦那:柳生博

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中番頭:今西正男

松:頭師孝雄

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女中:梅屋かおる

   三浦利子

おふさ:斎藤理花

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エースプロ

あらくれ

劇団いろは

関西アカデミー

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プロデューサー:飯島敏宏

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技闘:大沢慎吾

イラスト:沼田彩

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演出:鈴木利正

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制作:木下恵介プロダクション

   TBS

 

オープニングはイラストと歌なしのインスト。

 

「俄(にわか)」とは路上などでやる

即興喜劇のことである

この奇妙な題は物語の主人公が

自分の半生をふりかえり

一場(いちじょう)の俄のようなものだと

いった言葉からとっている

この男のやることなすことに

一場一席の俄を感じてもらえば

作者の主題はつらぬけたことに

なる

        司馬遼太郎

 

幕末が近い大阪

 

大きな商家で忙しく働く男女。番頭に怒鳴られる少年・万吉。芦屋雁之助さんって私にとっては「裸の大将」だからこんなおっかない役初めて見た。

 

小左門<のちには小林佐兵衛と名乗り、日本一の侠客(きょうかく)とまでいわれた男。まだ11歳でございました>

 

店の裏門の提灯に灯りを入れていた万吉に善兵衛が「えらいこっちゃで」と話しかけてきた。万吉を呼びつけていた番頭が裏門に来て、善兵衛に「あんたもえらい丁稚紹介してくれたな」と文句を言う。けったいなヤツでろくろく口も利かず、泣きもせず、痛がりもしないが商家の使用人は目立たないほうがいい。箸にも棒にも引っ掛からないとボロクソに言う。

 

善兵衛が話そうとしたが、番頭は松に呼ばれて中へ。善兵衛はヤラカンと呼ばれているんだね。

 

万吉の父親が女房子供置いて逐電したと知らせに来た。

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「そうですか」と冷静な万吉。4~5日前に父が出て行き、母は、ここ2~3日は米ひと粒食べていない。一家をお前が背負うことになる、貧乏っちゅうもんは七罰に及ぶ。善兵衛もかつかつの暮らしで手助けができない。話を聞いた万吉はお暇をもらって帰ることにし、善兵衛に何度もお礼を言った。

 

遠くで除夜の鐘が鳴っている。

 

夜中、ボロボロの実家に帰ってきた万吉を母が歓迎した。しかし、万吉は心に覚悟したことがあるから、この家には上がらないと言う。母は父の心当たりを捜しているが影も見当たらないと言い、万吉は敵を討つ、親の敵は金だ、商人(あきんど)になって儲けるのは年月が要る、今日明日にも事欠くこの家には不向きの志で泥棒になると語り、母を驚かせた。

 

御法度に触れないような泥棒になる、命を捨てる覚悟で縁切りに来た。あと10年、万吉はおらんものと思ってくれ。金は窓から放り込む。達者で暮らしてくれと家を飛び出した。母の万吉を呼ぶ声でおふさが目を覚ました。

 

<「浪華(なにわ)は天下の金どころ。死ぬ気で歩き回ればどこかで金とぶつかるやろう」…と信じた万吉でしたが、翌日の午後になると、さすがに空腹で曽根崎村の天神さまでとうとう腰を下ろしてしまいました>

 

天神様の境内で座り込んだ万吉に声をかける女性連れの若旦那。柳生博さんかー、わっかーい! 声で分かった。何を話しかけても無視する万吉にしつこく話しかけ、とうとう万吉も「何でもあらへん。見んでくれ!」と口を開く。

 

若旦那は博打で金をすったのだろうとこの裏で博打が行われていることを話す。お参りついでに功徳を積もうと思ったが、向こうから振られてもうたと女性と去っていった。この女性が原知佐子さんだな。 

 

博打の話が気になり、若旦那に博打の話を聞く。社務所にいくらか納めて悪童がかっぱ博打をやっている。そこには金があると気付いたか万吉だったが、若旦那は博打はご禁制だと注意して帰った。

 

胴元は白木みのるさん。懐かしの番組でよく見た「てなもんや三度笠」だけど、カラーの白木みのるさん初めて見たかも? 

胴元「さあ、張った張った張った。丁か半か、半か丁か。ええか? 考えてみい。100あったら200やど。200あったら400なんねんど、なあ? 張って悪いは親父の頭、張らなきゃ損損、河太郎(かたろ)の丁半っちゅうやっちゃな。さあ、どんどん張ってくれ、どんどん張ってくれ、どんどん。さあ! あっ、こら博打やったな、ちっちゃい声でいこう。ええか? この銭をな我が銭やと思うて惜しむさかい負けるんじゃ。これを石や紙やと思うて、ど~んと張ってみい、ええ? けちる奴には果報は来んぞ。さあ、張れ!」甲高い声でしゃべり続ける。

 

灯篭の影からじっと見つめる万吉。

 

<「この銭、取ってやる」万吉はそう思ったそうでございます。「どうせ天下ご禁制の賭場の金。もともと悪い銭をとるのがなぜ悪い? これならご法度に触れぬ泥棒よ、獄門にもならへん」>

 

胴元の正面に座り込んだ万吉は胴元たちに話しかけられても無視し、「わいはここの銭、皆もうた!」と銭の上へ突っ伏した。胴元は「この辺りではちょっと名の知れた、天満の勘七っちゅうもんじゃ」と名乗り、周りにいた少年たちに「おし、みんな、このガキ、殺してこませ!」と命じた。

 

<まるで杭でもたたき込むように子供たちは万吉を殴りつけました。「痛いぐらいで銭が入れば言うことはないわい。死ぬと思え、わいは死人と思え」。万吉は一切逆らわず、ただ金を集め、ただ懸命にこらえます>

 

血を流しながらも必死に耐える万吉に気色悪くなったと殴るのをやめた少年たち。胴元に「どこの子じゃい」と聞かれ、「天涯の無宿じゃい」と答えた。胴元は子供の無宿人などいないと信じなかったが、北野村の庄屋の人別帳を見たら、万吉は籍抜いてある、親とも縁を切っていると話した。胴元は「今日のところは堪忍したらぁ」と銭は持っていっていいから二度とこの境内へ現れるなと命じた。万吉は「また来る」と言いながらもヨロヨロ帰っていった。

 

<このとき万吉は腹の底から「俺の一生は、これや。これでいく」…と思ったそうでございます>

 

子役の万吉は目鼻立ちがはっきりして林隆三さんに似ている。

 

<私が初めて万吉と会いましたのは、その晩のことでございました。お察しのように江戸生まれの自前の芸者で小左門と名乗って北野新地へ出ておりました。思えばこうして皆さまにひとりの男の激しく雄々しく、なにやらおかしくもある生きようをお話せずには、いられないのもあの晩の泣き声からだったと懐かしい思いでございます>

 

小左門は川の方から泣き声がするとそばにいたお鹿に話した。蜆(しじみ)川のかっぱじゃないかと冗談を言う小左門だったが、やっぱり子供の泣き声が気になる。橋のたもとで泣いている万吉を見つけた小左門は「何を泣いてるの?」と話しかけた。声だけで泣いてないと否定する万吉。小左門は着物の縞を見て、茨木屋のお仕着せじゃないかと気付いた。茨木屋の小僧だったのは昨日まで。店も家も捨て、今日から無宿人だと万吉が言う。

 

小左門「ハハハッ…『人(にん)』っていうのはね、大人のことをいうんだよ。あんたどう見たって子供じゃないかい」

万吉「そうかて無宿人や。子供の無宿人や」

 

昔のドラマで子供の意見や存在を無視する傾向にあるのは人として認められてないから?

 

去ろうとした万吉の裾をつかむ小左門は「泊めてあげる」と言うが、万吉はその辺で寝ると断る。しかし、小左門が、さっさとお行きよと突き放すと、泊めてくださいと頭を下げ、そのかわり掃除をさせてもらいます。茨木屋の丁稚上がりで掃除だけは玄人だと言った。

 

<家へ連れて帰ると万吉は意外なほど行儀のいい子供で私のうるさい詮索にも素直に答えました。傷だらけの性根のきつい子供が出された物を素直に食べているのを見ると私は万吉が無性にかわいく思えました>

 

万吉が食べているところを見ている小左門とばあやのお鹿。小左門は思い切った金儲けをしたもんだと感心する。お鹿は二度とやったらあきまへんでと注意した。小左門がこれからどうするつもりなのか聞くと、母と妹を食わせる思案だけでいっぱいだと答えた。万吉は博打が嫌いなのでヤクザにはならない。

 

朝、小左門が起きると万吉はいなくなっていた。お鹿の話では暗いうちに起きて表を掃き、土間を掃き、板の間をぬかで拭いて、お鹿が起きてくると水を汲んだりよく働いた。日が昇りきると頭一つ下げて朝ご飯も食べずに出て行った。「泊めてもろたうえに二度までご飯をちょうだいしてはわしの覚悟が鈍る。わしに親切にしてくれる気があったら黙って追い立ててくれ」とお鹿に言い残していた。

 

小左門はずっと家に置いておきたかったと言い、お鹿も功徳を積めるという。毒気はあるが欲気はなさそうな子だと話し合う。大人になったら女にもてるだろう。

 

<そう言ってみて、ゆうべの万吉を思い出すと、あのかわいげは子供のそれではなく男の持っているかわいげだと河原から連れ帰った自分の心が妙に気恥ずかしく思えるのでございました>

 

ちょっと気持ち悪いね。

 

仏壇に向かい読経する母を外からじっと見ていた万吉。窓から銭を投げ込んで去っていった。銭を見て、えらいことしよったなと銭を見つめる。

 

また胴元のもとへ行った万吉。

胴元「よし、殺したる!」

万吉「この銭もろた!」

また銭の上にうつぶせになって、ボコボコにされる。胴元たちは「その銭な、皆くれてやるさかいにとっとと消えさらせ」と音を上げた。万吉は自身を我慢屋と言い、胴元に今度来たら殺すぞと胸ぐらをつかまれても、また来ると去っていった。

 

夜、いくという女性を尋ねた万吉。傷だらけの顔は昼間目立つので夜来た。「おばん、今夜ひと晩、泊めてもらうで」

 

家に帰れない万吉は駄菓子屋をやっているいくのもとへ来て、銭の入った袋を置いた。しかし、木賃や旅籠でない限り、人は泊めたらいかんというのが上(かみ)のご法度だといくは悩ましげ。万吉はこの銭を預かってもらうという名目で泊まることにし、もう一つの銭の入った包みを家の窓から放り込んでほしいと頼んだ。使い賃は10文と聞き、いくは喜んで引き受けた。それにしても、おばん、おばんって…

 

<万吉は商いの場所を広げていきました。眼神(めがみ)八幡宮西天満の神明宮(しんめいぐう)、堀川の蛭子宮(ひるこのみや)。更に足を延ばして船場(せんば)の御霊宮(ごりょうぐう)。子供の博打を探して、どこへでも出かけて殴られ、蹴られ、そして金をつかんでまいります>

 

傷だらけであちこち歩き回る万吉。

 

いくの駄菓子屋

昼、万吉が帰ってくると、いくが傷の手当てをした。何をして商売をしているか知らない。しかし、店の前に胴元の手下が来ていて、万吉はなぜついてきたのか問い詰めた。胴元の子方(こかた)で万吉の子方になりたいと言う。死んでもかまへんと思ってると言う万吉に手下も同調するが、グルになる気はないと、いくを呼び、手下をどつくよう命じた。思いっきりやったら一発3文と聞いたいくは手下をビンタ。2発で泣き出す手下に泣いたらしまいだと帰らせた。

 

いくは刺身を食べようと提案したが、万吉は芋でいいと却下。

 

<そんな万吉の消息は私の所までは伝わらず、もともとそれほど深い気持ちがあったわけではなし、いつしか忘れかけていた昼下がりでございます>

 

お鹿が小左門を呼んだ。

 

<買い物に出たお鹿が近所の路地を這うようにして歩いていた万吉を見て連れ帰ったのでございました>

 

万吉は「すんまへん」を連発。小左門は、お鹿に医者を呼ぶように言う。万吉は宿屋まで行かれないので姐さんの家を頼ったと話した。

 

小左門「いいさ、いいさ。だけど、あんたはアホや。馬鹿だねえ。なにが我慢屋だい。どづかれ屋だい。人間はね、生身なんだよ。殴られて金儲けができるわけないじゃないか。けったいな子供だねえ。なんてこと思いつくんだろう。怖いようだよ、あんた。まあ、こんなに血を出して。もうちょっとね、なんとか稼ぎようがありそうなもんじゃないか」

 

<その日1日、万吉は茶の間で寝ておりました。夕方、一度目を覚まし、起きようとするのをばあやが止めて、しばらく押し問答したそうですが、結局は痛みが去らず、また倒れ込んだそうでございます。子供にどうしてそれだけの覚悟ができたか、今考えても不思議な気持ちでございます。万吉は、ばあやにこう申したそうです。「殴られる、斬られる。この2つが平気になれば世の中は怖いものなしや」と。昔から武芸者は勝つことを工夫し、そのために惨憺たる修業をしたものですが、万吉は負けることで男を磨き、負けることで衣食の道を得ようとしたのでございます。勝つ修行より負ける修行のほうが、はるかにつらいに違いありませんのに>

 

長火鉢の前で眠っている小左門を起こさないようにそっと布団をたたんで万吉は頭を下げて出て行った。

 

回復した万吉が境内に行くと、手下が胴元に知らせ、あいつが来たらしまいやと賭博をやめてしまった。胴元は帰ってくれと頼み、一文を放り投げ帰っていった。

 

<やがてどこへ行っても万吉の顔を見ると子供たちは慌てて逃げ出すようになってしまいました。短い間に万吉はこの界隈の子供博打の連中に、ひどく怖がられる男になっていたのでございます>

 

万吉が歩く先、逃げ出す子供たち。

 

いくの駄菓子屋に帰ってきた万吉は顔も腫らさずに帰ってきて、いくを驚く。今夜はわいのおごりやと刺身でも酒でも買ってくるよう言い、店番をした。

 

<このころから本当に万吉は、ひとりの男でございました。優しさもあり、勇気もあり、才覚もかわいげもある、ひとりの男でございました>

 

ここで林隆三さんになって立ち回り。

 

<私がこれから長々とお話しようと思う、ひとりの男の物語。誰がこの男の生き方を時代遅れなどと申せましょうか。誰が惹きつけられずにいられるでしょう。精いっぱいに生き抜いた男の中の男の物語。お聞きいただきとうございます>

 

山田太一脚本でこれだけナレーションが多いのも珍しい。

 

男性のナレーター<第2回、万吉のどづかれ屋稼業、どんな波乱を呼ぶでしょうか。どうぞご期待ください>

 

出演者

藤村志保

初音礼子

吉川雅恵

白木みのる

津坂匡章

岡本隆成

   ほか

 

静止画と短い予告付き。秋野太作さんも出るんだな!

 

「それぞれの秋」と同じVTR撮影というかフィルムじゃないんだね。だからセット丸出し。ロケはなかった。木下恵介アワーで再放送されない「おやじ山脈」と「炎の旅路」がフィルム撮影じゃなかったため全話残ってないと噂されているけど、こっちは残ってるんだね。でも時代劇はフィルムのほうがいいな。

 

時代劇はあまり得意ではないのですが、木下恵介・人間の歌シリーズということで見ることにしました。林隆三さんは木下恵介アワー「あしたからの恋」と時期がかぶっています。「あしたからの恋」出演者は当時何本掛け持ちしてたんだ?ってくらい忙しい俳優さんの集まりでした。その割に延長して32話もやってくれたありがたい作品で大好きな作品です。林隆三さんが本格的に出てくるのは次の次くらいかな?

 

時代劇専門チャンネルは字幕あり、本編中にCMなし。全チャンネルこうなってほしい。