徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】木下恵介アワー「おやじ太鼓」 #39(終)

TBS  1968年10月8日

 

あらすじ

お敏とイネは、いつものように口げんかをしていた。すると急にイネの恋人が鶴家にやって来る。二度目の説得に、さすがのイネも、亭主の元に帰る決心をする。イネの送別会が行われる中、鶴家に酔っ払った正子が訪ねてくるのだが…。

2023.9.4 BS松竹東急録画。12話からカラー。

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鶴家

亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。2月5日で61歳。

妻・愛子:風見章子…5月で56歳。

長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社で働いている。3月3日で30歳。独身。

次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。28歳。

長女・秋子:香山美子…出版社勤務。26歳。

三男・三郎:津坂匡章(現・秋野太作)…二浪して大学生。

次女・幸子:高梨木聖…女子大生。1月の成人式に出席。

四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。

三女・かおる:沢田雅美…4月から高校生。

*

正子:小夜福子…亀次郎の兄嫁。高円寺の伯母さん。58歳。

*

お手伝いさん

お敏:菅井きん…愛子の4つ下。6月で52歳。

イネ:岸輝子…お敏の母。結婚3回目。68歳。

*

神尾光:竹脇無我…秋子の恋人。TBS局員。24歳。

*

六:長濱藤夫…イネの初恋の人。

 

主演の進藤英太郎さんのほか、香山美子さん、竹脇無我さん、小夜福子さん、岸輝子さんは単独で名前が出てる。当時の売れっ子や大物って感じ?

 

第三十九回と出るが、特に最終回などの表記はなし。

 

広間、奥の茶の間などが映し出される中、お敏が機関銃のようにしゃべる声だけが聞こえる。表玄関の靴箱の上にスリッパが半円形のスリッパ立てにきれいに並べられている。

 

玄関脇のイネの部屋から出てきたお敏。「何さ、そんなに帰りたくない亭主ならもともと一緒にならなきゃいいのに世話が焼けるったらありゃしない」怒りながら台所へ。「人にさんざんしゃべらしといて結局、話は元に戻っちゃって、こんなことなら初めから相談しなきゃいいのに」

愛子「何を1人でブツブツ言ってんの」

 

愛子は魚屋さんからと紙に包まれたものをお敏に渡し、お敏は受け取ると冷蔵庫に入れる。配達された魚?

 

亭主が寝込んでしまい、一度は帰ってやらなきゃ人に道に外れるとお敏が言うものの、イネが帰りたいのは六さんのところ、帰りたくないのは亭主のところ。「ねえ、お敏」と甘え口調のイネにお敏は「知りませんよ。もう勝手にしたらいいでしょ」。

 

イネ「まるで身も蓋もないんですよ」

お敏「もともと中身が腐ってるからですよ」

愛子「およしなさいったら。どうしてもっと仲よく話ができないの?」

お敏「できるもんですか、こんな人と」

イネ「こんな人だって、お前の親ですよ」

お敏「親が聞いてあきれますよ!」

 

愛子はお父さんがやっと寝付いたところなんだから大きな声を出さないでと止める。亀次郎が昼寝してるってことは日曜日。

 

1968年10月6日(日)

 

部屋で話し合おうと言うイネにお敏は六さんの手紙の通り、帰ったらいいと言うが、「それがお前は冷たいんですよ」とイネ。いつもお敏が悪いように言うんだよね。

 

⚟亀次郎「おい、愛子!」

 

やっぱり亀次郎が起きてしまい、愛子は茶の間へ。亀次郎は自ら魔法瓶のお湯を急須に注いでいた。急須からお茶をいれるのは愛子。亀次郎は起こされたとイライラ。お敏は何をガミガミ怒鳴ってるんだと愛子に聞くと、イネは亭主のもとに帰りたくないが六さんからの手紙じゃ知らん顔もできないし、はっきりしないからだと答えた。

 

亀次郎「おばあちゃんとしてもつらいところだな」

 

どうしてこうなる?

 

愛子「だけど、あの年になってああまで昔好きだった人と一緒になりたいもんでしょうかね」

亀次郎「初めから好きな男と添い遂げたお前には分からん気持ちさ」

愛子「何言ってんですか。それ、あなたのことですよ」

 

インターホンが鳴り、愛子は鍵をかけてないのにと慌てて裏玄関へ。お敏はまたイネの部屋から出てきてイライラ。「あら、タバコ忘れてきちゃったわ。ああ、めんどくさい。自分のことで悩んでみたいよ、本当に」

 

愛子がお敏に六さんが来たことを伝えた。荷物とお土産を持って六さん登場。イネは部屋から飛び出し「六さん」とウルウル。「わしもあんたのことが気になって」と荷物を置いて目頭を押さえる六さん。もういいって、このアベック。

 

愛子は広間に案内し、茶の間に戻る。

亀次郎「さすがのおばあちゃんも今度は帰るだろうね」

愛子「そのほうがいいですよ。いくら嫌いなご主人だって夫婦ですからね。病気で寝込んだんじゃほかっとくわけにはいきませんよ」

亀次郎「六さんもえらい役目を買って出たもんだ」

亀次郎たちは何でイネが六さんを昔好きになったか分かると言い合う。

 

亀次郎「今のお前だってそうだろ」

愛子「何がですか?」

亀次郎「わしのことさ」

愛子「分かりませんよ。やたら大きな声でガミガミ怒鳴って、とんだ人と一緒になったもんですよ」

亀次郎「ヘッ、それはお互いさま。なんだ、いちいち口答えして」

愛子「口答えしたくなるようなこと言うからですよ」

亀次郎「言いたくなるようなこと言うのはお前じゃないか」

愛子「私じゃありませんよ」

亀次郎「お前ですよ」

 

イイね、このポンポンと続くセリフ。

 

イネが茶の間に顔を出し、六さんが来たことを報告。何がごちそうしてあげなさいという亀次郎に、愛子はお敏にお寿司を頼むように言ったと答えた。六さんからのお土産は栗と柿。お月見だといってすすきも持ってきた。

 

満月カレンダーによると1968年10月6日(日)は満月! 満月カレンダーというのがネット上にあることを知りました。

 

今晩一晩は六さんが泊まることに決まったものの、それ以降のことを亀次郎が聞くとイネはうつむいてしまった。しかし、とうとう帰るしかありませんでしょうとイネが口を開き、私も六さんも板挟みなどと被害者ぶる。

亀次郎「つらいところだ、おばあちゃんも」

 

イネは諦め、六さんも河原のススキを切りながら泣いた。イネ「私たちはよくよく枯れススキでございますよ」と涙をぬぐう。

昭和枯れすゝき

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この歌、1974年発売だからドラマのずっと後だったのか。

 

広縁で庭を眺めながらタバコを吸う亀次郎。愛子は敷いてあった布団を片付ける。

亀次郎「物言えば唇寒し秋の風か」

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この間、イネも言ってた。

 

愛子「いやにしんみりしたこと言うんですね」

亀次郎「しますよ。わしだってたまには」

愛子「心細くなったんじゃないんですか。秋は抜け毛が多いですしね」

亀次郎「それはお前のことですよ」

愛子「いいえ、私はまだまだ」

亀次郎「まだまだじゃありませんよ。なんですか。さっきも言わないって言ったの口の下から」

愛子「あなたがガラにもないこと言うからですよ」

亀次郎「言いますよ。秋は誰でもさみしいんですよ」

愛子「あら、そうかしら。こんな気持ちのいい日に」

亀次郎「鈍感ですよ。お前は」

 

秋だからほろ苦いお茶をいれると言う愛子に、そういうことだけは気が利くんだと結局愛子をほめる亀次郎。そこがいい。抜け毛いじりしてるけど、何度も書くけど、進藤英太郎さんは当時70歳近いのに髪は黒々、毛量もあります。

 

子供たちは全員不在。それぞれが危ないと言う亀次郎に危なかったのは武男さんだけという愛子。

 

亀次郎「あのバカが。総領の甚六とはよく言ったもんだ」

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武男は今日、話をはっきりしてくるつもりらしい。

 

亀次郎は広縁から茶の間に移動。広縁は庭側でその間の一間が亀次郎が布団を敷いて寝る部屋で奥の茶の間は裏玄関のすぐ脇。裏門から裏玄関へ歩く途中に茶の間の窓の前を通り過ぎる。

 

洋二もどうも落ち着かないようだがと何となく気付く亀次郎だが、愛子は若いんですから、そりゃ何かあるでしょ、何もなかったらなお心配だと答える。全学連の女の子とまだ付き合ってるんじゃないだろうなと言う亀次郎には、さあどうでしょうかねと濁す。

 

愛子「あの女の子は頭がいいんですよ。大体、今どきの女の子で脚が悪い洋二を好きになるなんて純情ですよ。あなたそう思わないんですか?」

亀次郎「思わないとは言ってませんよ」

 

ドラマが始まった当初は洋二は初子と何かあるのかな?と思ったけど、全然だったなー。洋二は初子にピアノで「おやじ太鼓」を聴かせたり、初子も他の人は「初ちゃん」だけど、洋二だけは「初子さん」と呼んでくれると言ってたり、愛子も洋二のお嫁さんはいいとこのお嬢様より心の優しい人がいいと言ってたり…なんだったんだ。

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話題は秋子のことへ移る。秋子と神尾の仲もすったもんだのあげくにようやく決まったと愛子が言えば、それが親心ですよと亀次郎。

亀次郎「石橋をたたいて渡らなきゃいけませんよ」

愛子「あなたがたたいたのは雷様の太鼓ですよ」

 

三郎は学生結婚の2人が引っ越しするので手伝いにおばちゃんの家に行っている。人の世話を焼くようなら大したもんだと愛子は言う。

愛子「紙より薄い人情ですからね、今は」

 

幸子は英語の先生のところへ。亀次郎は英語を習いに行ってると勘違い。

愛子「まあ、ついでに習ってるんでしょうね」

亀次郎「まあ、ついででもなんでもいい。英語ぐらいはちゃんとやっとかなきゃいけませんよ」

愛子「だから一生懸命なんですよ。暇さえあれば」

亀次郎「おう、そりゃ感心だ。敬四郎も少し幸子を見習うといい」

 

敬四郎は息抜きで友達のところへ。

 

かおるの話題へ。

愛子「今度は体操の先生だとか言ってました」

亀次郎「何が今度だ?」

愛子「この前は英語の先生だったんですよ」

亀次郎「英語と体操じゃ違いすぎるじゃないか」

愛子「気まぐれなんですよ、あの子は」

 

若いうちはいいんだという愛子に「若い若いと思ってるうちに年を食っちゃうんですよ」と亀次郎は言う。それはお父さんのこととツッコミを忘れない愛子。

 

広縁

柿や栗、ススキ、月見団子がテーブルの上に置かれる。

 

裏玄関からかおる帰宅。

 

茶の間にかおるが行くと、亀次郎と愛子のほかにイネと六さんも同席していた。

かおる「初恋の人が来たからニコニコしてんでしょ」

愛子「何を言うの、あんたは」

亀次郎「かおる、いけませんよ」メッていう表情がかわいい。

 

かおるは手を洗いに行き、亀次郎も愛子もかおるはませてるという話になる。イネはお嬢さんより殿方のほうがウブだと言い、亀次郎は発育が遅れてるのか?と言う。愛子は世間知らずなだけと否定。

イネ「つまり純なんです」

愛子は男の子は女の子より遅れるという。

 

敬四郎帰宅。台所にいたお敏に裏門が開いてたけどいいの?と聞く。

お敏「めんどくさいからかわないんですよ」

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かぎをかうって方言らしいけど、文脈から分かったし、何となく聞いたことあった。

 

敬四郎「だけど今夜は月夜だろ? 月夜に釜を盗むっていうからね」

お敏「電気釜ぐらい大したことないですよ」

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知らない言葉がいっぱい。

 

次に帰ってきたのは幸子。英語の歌を歌っていた幸子に「いやに調子がいいね」と話しかける敬四郎。

幸子「Oh,my dear brother. It's splendid day」

ああ、親愛なる兄弟よ。 素晴らしい一日ですね。

 

幸子と敬四郎はそろって茶の間に行き「ただいま」と頭を下げる。

敬四郎「オー、ミスター六さん、ウェルカムね。ユーアー ナイスボーイ ラブ イズ ベスト マイ ディア」

なぜか英語でしゃべりかけ、手を洗ってくると英語で言い、台所へ。なかなかやるじゃないかとニコニコの亀次郎。「これがジャパニーズワインか。ハハッ」

 

イネ「タクシーで酔っ払ったみたいですね、英語というのは」

亀次郎「ああ、いやいや、ハイヤーに乗ってハイライトを吸ってるみたいだ」

愛子「お父さんのはホープですよ」

亀次郎「いや、ピースじゃないのか?」

愛子「いくら知らないったって自分のタバコぐらい覚えといてくださいよ」

亀次郎「いろいろですよ、わしのは」

 

イネ「あなたのはゴールデンバットなのね」

六「おイネさんはなんです?」

イネ「私はブルーバードかスリーAですよ」

 

お敏「何をしゃれたこと言ってんですか。ばあさんが」

亀次郎「しゃれたことじゃありませんよ。お前も英語の一つや二つ覚えときなさい」

お敏「は?」

イネ「お前なんか『いこい』か『しんせい』しか知らないんですよ」

お敏「知ってますよ、ダットサンぐらい」

 

この辺の会話はタバコの銘柄と車の車種がごっちゃになってるのね?

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高円寺のおばちゃんも「いこい」派!

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タバコのパッケージも色々で面白い。

 

かおるは「グロッキーだわ」と戻ってきて、「今日はね、体操の先生とスポーツセンターでボウリングやってきたの。帰りにフルーツパーラーでアップルジュース飲んできただけだわ」とやたらカタカナ語でしゃべる。

 

電話が鳴る。お敏が行き、広縁に入ってきた幸子は「今夜は満月よ」と空を見上げ、敬四郎、かおるもそれに続く。武男からもう少ししたら帰るという連絡だった。

 

お敏「おかながペコペコだから頼むよなんておっしゃってました」

亀次郎「じゃあ、ご飯も食べないで揉めてんのか?」

愛子「この前の舌平目で懲りたんでしょ」

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インターホンが鳴る。帰宅したのは三郎。表門を開けろと高圧的な態度。

お敏「まあ、大威張り。お月様に浮かれてんのかしら」

 

三郎は酔っ払ったおばちゃんを支えていた。

正子「こうなりゃ、月にスッポンも亀の子束子(たわし)もありませんよ」

三郎「ちょっとおばちゃん、しっかりしてよ!」

 

お敏は高円寺の奥様じゃありませんがと驚き、正子は早く開けなさいと千鳥足。台所にお敏を捜しに来たかおるはそのまま表玄関で正子と出会う。おっかないものはない、一度でいいからこのうちを表門から大威張りで入ってみたかったと正子は言う。

 

正子は三郎に広間に連れてこられた。かおるに呼ばれて広間に来た愛子も正子の様子に驚く。引っ越しの祝い酒がこうなったと三郎に説明された。そういや、三郎は飲めない人か。おイネばあさんと六さんの送別会をしていると聞いた正子は「うわあ、羨ましい。私なんて誰が一体迎えに来てくれるのよ」と嘆く。

 

正子「私ね、おイネばあさんが田舎に帰るって電話を聞いたときに、羨ましいやら情けないやら。私なんていったらどこへも帰るところなんかないんですからね」と泣き出す。

 

亀次郎「なんですか、そのザマは! このうちをなんだと思ってるんですか」

愛子「お父さんダメですよ、今、そんなこと言ったって」

亀次郎「三郎、すぐ自動車で連れていきなさい」

三郎「はい」

亀次郎「なんですか、汚らわしい。こら、お前たちもこんなもの見てないでさっさとごはんを済ませなさい」

幸子「はい」幸子やかおる、お敏は広間を出ようとする。

 

正子「ちょいと亀さん」

三郎「おばちゃんったら」

 

亀さんと何度も呼び掛け、ますます亀次郎を怒らせる。

正子「ほらほら、この顔が亀さんの得意な顔ですよ。私はね、今までじっと我慢していたんですからね」

 

正子は亀次郎の兄であり、正子の亭主の浮気を語り始めた。あっちの女、こっちの女、悔しいから誰にも言えなかった、惚れた弱みでじっと耐えていたんですよと泣き出す。しんみりムードになる広間。

 

武男帰宅。泣いてる正子に戸惑う。「僕のほうはさっぱりしましたよ」と別れ話は成立した模様。

 

亀次郎はいい年をして怒るなよと正子に歩み寄る。これから仲よくやっていけばいい。

正子「怒鳴らなきゃいいんですよ」

お敏「そりゃ無理じゃないでしょうか」

亀次郎「こら、お敏!」

お敏「はい!」

愛子「ほら、すぐそれだから」

正子「それがいけないんですよ」

亀次郎「そう言うなったら。おばちゃん、あんただって亀みたいな顔してんじゃないか」

正子「あらまあ、私がですか?」

亀次郎「うん、おめでたい顔ですよ」

正子「まあ」

亀次郎は豪快に笑う。

 

広縁に並んで座るイネと六さん。

イネ「座頭の妻じゃなくって磯の鮑(あわび)の泣く夜ですよ」

 

名月や 座頭の妻の 泣く夜かな

目の見えない夫にこの月を見せてやれないと妻が泣いたという句があり、

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磯の鮑の片思いという言葉があって、要はイネさんの片思いだと言いたい?

 

六「おイネさん、片思いじゃありませんよ」

イネ「六さん」

六「田舎へ帰っても時々はこうやって月を見ましょうよ」

 

この二人の恋愛に結構時間使ったね。残り数分なのにまだカメオも秋子も洋二も出てこないよー。

 

秋子が駅まで送ってもらった神尾を連れて帰宅。秋子は神尾の手を引いて家の中へ。電話が鳴り、秋子が受話器を取る。お敏は神尾に「いらっしゃいまし」と頭を下げた。電話は秋子の会社の編集長からで、ほかの兄弟は神尾とあいさつ。秋子は嬉しそうに電話を切り、広間にいる両親の元へ。

 

武男「何があったんだろう」

三郎「今日はだいぶ劇的ですね」

幸子「変な顔してたわ」

敬四郎「大げさなんだよ、秋子姉さんは」

神尾「そんなことないよ、彼女は」

敬四郎「ああ…ハッ、そうか」

かおる「神尾さんの演出ならあれぐらいでいいのね」

敬四郎「ちょっと姉さんぶってるけどね」

神尾「ぶっていないよ、彼女は」

三郎「これだものね」

幸子「円満よね」

武男「そうさ。今夜は月だってまん丸だよ」

笑顔の神尾。

 

亀次郎はきょうだいたちにまだ帰ってこない洋二を捜させ、愛子には表門を開けとくように言う。

亀次郎「こんな日に裏門から帰ってきちゃいけませんよ」表玄関を靴下?のまま飛び出していき、外へ。門を開け、空を見上げる。

 

愛子を呼び後ろを向いた亀次郎に洋二が「お父さん」と呼び掛けた。

洋二「どうしたんですか? 表門、開けて」

亀次郎「どうしたじゃありませんよ。お前の絵本がコンクールで1番になったんだよ」

洋二「えっ?」

 

亀次郎「洋二!」パッと両手を広げる。

洋二「お父さん!」成人男性が父親に抱きつくシーンなんてなかなかないよ。

亀次郎「ああ、よかったよかった。うん、うん、ヘヘヘッ」

 

三郎「わあ~!」

かおる「おめでとう、お兄さん!」

幸子「お兄さん、おめでとう!」

かおる「万歳!」

愛子「洋二、よかったわね」

武男・三郎「おめでとう!」

敬四郎「フー! ヤッホー!」

三郎・幸子「万歳!」

かおる「おめでとう!」

 

亀次郎を先頭に「おやじ太鼓」がバックに流れる中、肩に手を置き、練り歩く。今日の「おやじ太鼓」はきょうだい全員歌唱バージョンかな。門から玄関までのスペースが広い! 亀次郎、愛子、敬四郎、洋二、かおる、幸子、三郎、武男。そこに秋子、神尾も加わり、正子やお敏も加わる。イネや六さんはそんな家族をニコニコ見ている。亀次郎の大爆笑。鶴家の上空の満月が映し出され、第一部、終。

 

亀次郎「長い間、ありがとうございました。第二部でまたお目にかかります」

一同「よろしく」

 

テロップに第一部と出てるってことはもう二部も決定してたってことね。

 

カメラ目線で集合写真風に並んだ鶴家一同。イネさん六さんもいるよ。

 

前列左からイネ、愛子、亀次郎、正子、敬四郎。

二列目左から六さん、お敏、かおる、秋子、幸子。

三列目左から三郎、武男、洋二、神尾。

 

わあー、ほんと明日から続きが見られるなんて幸せ!

 

雷おやじってもっと理不尽で暴力的だと思っていたけど、亀次郎は大声で怒鳴りはするものの暴力は振るわないし、愛妻家。人前で愚妻なんて絶対言わない。時には家事も能動的にやる。基本的に妻や子供たちにも敬語で話す。

 

そういえばこのドラマ、誰かが誰かをビンタするなんてシーンなかったよね? ああ、イネさんが酒屋の配達をビンタしてた。それくらいか。昭和のドラマにはものすごく珍しい。

 

イネみたいな毒親がかばわれて、お敏が悪し様に言われる展開が続くのでそっちのほうが見てて嫌だね。後半お敏さんイライラしてることが多かった。初ちゃんとお菓子を食べてるシーンのほうが楽しかったのになあ。

 

セリフや出番が多いのは敬四郎、かおる、三郎あたりだけど、洋二が裏主役っぽくもあった。

 

全39話のうち、山田太一脚本回は13~15話、20、21話、34、35話でした。

13話/浪人確定の敬四郎がかおるとボウリングに行く。

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14話/三郎と敬四郎が渋谷から新宿まで石蹴りして歩いた。

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15話/敬四郎と杉本が予備校を途中で切り上げ新宿へ。アベックが何組も出てくる。

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20話/日曜の朝から家の前の下水道工事でドタバタ。三郎、敬四郎、かおるで「パパと遊ぼう鶴亀ボーイズ」結成。懐かしソングを歌う。

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21話/杉本を家に招いて遊ぶ敬四郎。杉本も怒鳴られる。洋二はトシとデート。

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34話/ルル子につきまとわれる神尾。神尾のために亀次郎に抵抗する敬四郎。

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35話/イネを迎えに来た六さん、かおるの憧れの英語の西川先生初登場。

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敬四郎絡みのエピソードが多い。愛子の電気椅子発言も山田太一回だったり、愛子がいつもより毒舌な印象。あと、三郎が女なんて発言をよくするのも山田太一回。亀次郎と愛子のポンポン楽しい会話も微妙に味付けが違う感じ。

 

で、リアルタイムだと翌週から山田太一脚本の「3人家族」が始まった。

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「3人家族」では顔だけのカメオが誠実な雄一になります。敬四郎とかおるは同じ歳の浪人仲間。お敏は通いの家政婦さん。細かいところだと、秋子の上司として一度出てきた竹内亨さんは雄一の上司、そば屋で亀次郎と言い合いになった江幡高志さんが耕作の元同僚として登場するとか同じ枠のドラマを見続けると、そういう楽しみがある。

 

明日からの第2部も楽しみ! 多分、「ほんとうに」の再放送とほぼ同時期に終わるんじゃないかと思われ、気が早いけど、次作も気になる。