徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】木下恵介アワー「おやじ太鼓」 #20

TBS  1968年5月28日

 

あらすじ

日曜の朝早く、下水工事の音が鶴家に響く。子どもたちはすっかり起こされて文句を言うが、亀次郎は、仕事の音だと言い機嫌がよい。しかし、塀を壊されたあげく停電になり、家から車を出すこともできないときて結局カミナリを落とす。

2023.8.8 BS松竹東急録画。12話からカラー。

peachredrum.hateblo.jp

鶴家

亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。2月5日で61歳。

妻・愛子:風見章子…5月で56歳。

長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社で働いている。3月3日で30歳。独身。

次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。28歳。

長女・秋子:香山美子…出版社勤務。26歳。

三男・三郎:津坂匡章(現・秋野太作)…二浪して大学生。

次女・幸子:高梨木聖…女子大生。1月の成人式に出席。

四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。

三女・かおる:沢田雅美…4月から高校生。

*

お手伝いさん

初子:新田勝江…亀次郎と同じ誕生日2/5で30歳。

お敏:菅井きん…愛子の4つ下。6月で52歳。

 

いや~、半分来たんだね、早い。

 

13~16話の山田太一さんの脚本は割と敬四郎や子供たちを主役にした話が多く、今回はあとからオープニングを見返して山田脚本だと気付きました。

 

日曜日の早朝。咳ばらいをしながらドアを開け、窓を開ける亀次郎。

愛子「早起きはいいけど、もう少しじっとしてたらどうなんですか」

亀次郎「誰も起こしゃせんさ」

愛子「起こさなくたって起きちゃいますよ」

日曜日くらいもっと寝てればいいのにと言う愛子に亀次郎は「それができないから出世したんだ。寝たいだけ寝て偉くなれるか」と揺り椅子に座る。

 

愛子「ほんとに強情なんだから」

亀次郎「強情なのはお前だよ。いつまでわしの早起きに逆らうんだ」

愛子「逆らうのは癖ですよ。早起きにもとっくに慣れましたよ」

亀次郎「ヘッ、お前も年だな」

愛子「夫婦は一緒に年を取りますからね、お互いさまですよ」

 

お茶を入れてくるという愛子に静かに過ごそうと言ったばかりの亀次郎がお敏を起こしてご飯を作らせろと言う。

亀次郎「大体、お敏は寝坊すぎるよ。いい年をして」

愛子「いい年ならいたわってやったらいいじゃありませんか。あんまりうるさく言うといてくれる人はありませんよ」

亀次郎「全くこのごろの使用人ときたらどっちが気を遣ったんだか分かりゃしない」

愛子「時代が違うんですよ。認識しなきゃダメですよ」

 

亀次郎「まるで旅館の番頭だよ。早起きをして雨戸を開けて客が起きてくるのを待ってるんだ」

愛子「貧乏性なんですよ」

亀次郎「貧乏性で社長になれるか」

愛子「運がよかったんですよ」

亀次郎「頭がよかったんですよ。運なんてものは機を見るに敏でなきゃ向いてこないんだ。つまり頭がいいんじゃないか」

 

愛子が初子を起こすと歩き出すと、外から工事の音がする。機械を操作する手元や足元を映し、全体は映らない。ドラマの映像とちょっと違って見えるから何かの資料映像なのかも。

 

初子が起きてきて、今日は家の前で下水工事が始まると昨日断りに来たのだと話した。知らなかった愛子は朝早くから始まる工事に文句を言いに行こうとするが、「苦労を知らんから話にならん。文句を言う暇があったらお茶でも入れなさい」と亀次郎が止める。

 

茶の間

愛子「お父さんが真っ先に怒鳴り込むのかと思いましたよ」

亀次郎「だから女は単純だよ。わしがそんな浅はかな人間か」

 

亀次郎は日曜の朝早くから働いていて、下水工事は必要なもので、今どきの工事にしちゃなかなか見上げた根性だと褒める。起きてきた武男が「なんだい、あの音」と文句を言っているのを聞いた亀次郎は「お前らは苦労を知らん、苦労を」などと武男を怒鳴る。

 

「やかましいわね」と起きて来たかおるに「いい音だよ」と亀次郎と同じように注意する武男。

 

茶の間

亀次郎、愛子、武男のいるところへかおるも来て手をついて「おはようございます」とあいさつ。工事の音について、お父さんは昔はつるはしでもっと暗いうちからやったと語る。

 

武男「かおるだってうるさいなんて思っちゃいけませんよ」

亀次郎「建設の響きだよ。力強い音だよ」

かおる「あれは壊してる音でしょ? アスファルトを」

亀次郎はかおるに働いている人にお茶を持っていくように言う。

 

「どういうこと、一体あの音は」は、と起きてきた三郎に「茶の間行って聞いてごらんなさい」というかおる。

 

茶の間

朝食中も工事の音がやまない。「またいい音が始まりましたね」と笑顔の三郎と敬四郎。

愛子「よかありませんよ、ちっとも」

亀次郎「お前がそんなこと言ってどうすんだ。いい音じゃないか」

愛子「そうでしょうか」

亀次郎「建設会社なんだぞ、うちは。工事現場の音が嫌いでどうするんだ。大亀建設はあの音と一緒に発展したんだ」

武男「うちのはあんななまやさしい音じゃありませんからね」

亀次郎「日曜日にああいう音を聞いて今の自分の幸福をかみしめるんだ。たるんでる精神を反省するには実にいい機会だ」

 

敬四郎にもっと勉強するように言う亀次郎。武男も「なんの勉強だ?」と聞き、敬四郎が「兄さん、お父さんに似てきましたよ」と言うと、亀次郎が「武男のどこがわしに似てる」と激怒。愛子が「似てますよ、親子ですもの」としれっといってるのがいい。

 

亀次郎「こいつの年にわしが何人、人を使ったと思うんだ」

三郎「50人でしたね」

亀次郎「18人だよ。それも裸一貫からたたき上げてだ」

武男「ダメだな、僕なんか」

亀次郎「そう思ったら少しはわしを見習え。似てるもんかちっとも。わしはお前の年には5時に起きたんだぞ」

愛子「ご飯が飛びますよ」

 

「ごちそうさま」と席を立とうとした幸子を注意する亀次郎。「ごはんなんてものはな、一緒に食べ始めて一緒に終わるのが礼儀なんだ。そんなことぐらい教えてやらんのか、お前は」

愛子「予定があるんですよ、いろいろ」

幸子「お友達と約束があるんです」

亀次郎「気軽に約束ばっかりするな」←理不尽な。

 

秋子はゆうべ遅かった。あの男と一緒じゃあるまいなと警戒する亀次郎だが、愛子は「あの子はしっかりしてますよ」とフォロー。

お敏がうちの前で工事してる人が土瓶を割ってしまい、おいくらぐらいのものでしょうかと聞かれたと言うが、亀次郎は構わないと言い、かおるに土瓶でお茶を出すやつがあるかと注意。かおるは魔法瓶にお湯をいっぱい入れたと言うが、亀次郎いわく大きなやかんにお茶っ葉を入れてドンと出すのが作法だと怒る。

 

愛子「いいじゃありませんか、なんだって」

亀次郎「お前らは働く苦労を知らんのだ。お父さんは真夏にツルハシを振るったぞ。土を運んだぞ。そんなときに魔法瓶でお茶が飲めるか。やかんをラッパ飲みだよ、グーッと」←それはそれで、どうなの?

 

かおる、敬四郎、三郎に表に出て働くとはどういうことか見てらっしゃいと言う亀次郎。3人の真剣な顔のよい返事。

 

お敏によれば、土瓶だけじゃなく湯飲みも魔法瓶も割ったと言われた。

愛子「大損害ね、朝っぱらから」

亀次郎「ケチなこと言うな。あんなもの安いもんだ」

mahobin.org

魔法瓶が割れるってどういうこと?と思ったら、昔の魔法瓶はガラス製もあったのね。ステンレス製しか知らないと思ったけど、歴史を見ると1980年代半ばくらいまでガラス製の魔法瓶って発売されてたのね。

 

もう一度、やかんにお茶を入れて持ってってやんなさいとお敏に言う。亀次郎も借りたやかんをなくしたことがあると言って笑いだし、三郎や敬四郎も笑う。

亀次郎「何がおかしい! そのときのわしは笑い事じゃなかったんだ!」

今日のおやじは理不尽だな~。

 

朝食後、朝寝している亀次郎に工事の音が耳に入り、眠れない。隣の部屋でくつろいでいた愛子と武男はなかなか眠れないでいる亀次郎を思い、くすっと笑い合う。三郎、敬四郎、かおるが部屋に入ってきた。亀次郎の言いつけ通り、表で仕事ぶりを見てきたのかと思いきや、「へへへ…駅前のコーヒー、10円値上がりですよ」と三郎が笑う。

 

敬四郎がおごったので小遣いをあげてほしいと愛子に言う。

愛子「お母さんだって苦しいんですよ。なんでもかんでも値上がりなんだから」

武男「大体お前たちはお金のありがたみを知らないよ」

敬四郎「世代の違いですよ」

武男「世代なもんか、苦労だよ」

 

そこにいるのは誰だと亀次郎が声をかけてきた。武男は逃げようとするが、「武男兄さんもみんないます」とかおるが声を上げ、亀次郎はかおるに足を揉むように言う。かおるが足、三郎が腕、敬四郎は腹…頭をやれと亀次郎に怒鳴られた。

三郎「頭がかたいなんて言うなよな」

 

子供たちにマッサージされてる亀次郎をほほえましく見ていた愛子にお敏が工事の人から石が飛んで塀をかいたと言われたと報告。

亀次郎「急須を割って、魔法瓶を割って、その上、塀を壊してご苦労様とはなんだ!」と怒り出した。怒ることを知らんと言うが、こういうことはお敏じゃなく亀次郎が表に出た方がいいのにな。

 

亀次郎「怒るべきときに怒れんような人間じゃダメだ! 政治といい、官庁の汚職といい、今や日本は腐りかかっているんだ。それでどうして日本がよくなっていくんだ」

かおる、敬四郎、三郎にお説教。

 

工事の機械だけが映る。寝ている亀次郎。

 

台所

初子「やっと寝ついたらしいわよ」

お敏「赤ん坊よ、まるで」

 

立ってジャガイモの皮むきをしている初子。皮むき上手! 一服しましょうかと作業の手を止める。

お敏「そうね、大福が食べたいわ」

初子「ドーナツもあるわよ」

お敏「おとといのじゃない。かおるさんにあげちゃいなさいよ」

初子「もう硬くなってるんじゃない」

お敏「食べる食べる、若いんだもの」

という一連の会話をすりガラスの向こうから聞いていたかおる。

 

お敏は台所に入って来たかおるにやわらかいお大福を勧める。

 

初子は冷蔵庫を見て停電していることに気付く。そこに敬四郎が入ってきたので、かおるはドーナツを勧めるが、おとといのドーナツだと知っていた。お敏と初子は仕方なしにドーナツを食べる。

 

亀次郎が起きて、インターホンで三郎を呼んでいる。応答がないので敬四郎が呼びに行こうとするが、「バカ者! なんのために文明の利器がつけてあるんだ」と怒鳴る。かおるは停電していると教えた。

 

三郎の車で現場を見回ってこようとしている亀次郎。今日はセリフないけど、洋二だってさっき一緒にご飯食べてたし、いるのにね。しかし、お敏の話によると、土を運ぶ大きな機械が門の前に置いてあり、車が出せない。

 

亀次郎「よし、わしが怒鳴ってきてやる。人がちょっと甘い顔すりゃ。おい、ボサッと突っ立ってないで電気会社に電話しないのか!」

しかし、停電はあっさり解消。

 

亀次郎は玄関のサンダルが結んであったため、滑って転んだと怒っていて、はだしで飛び出していった。

 

今日はここで香山美子さんの薄焼いわし。CSだと間にCMないからこういうのも新鮮…だけどCMがとにかく長い。

 

♪みんなも今では こわくない

ドンドン ドドンド ドン ドドン ドドン

ドンドン ドドンド ドン ドドン ドドン

 

今日は広間じゃなく別宅で三郎、敬四郎のギター伴奏でおやじ太鼓を歌っている洋二、かおる、幸子。

 

♪ご機嫌如何か 大太鼓

そんなにわめくと つかれます

 

茶の間に一人いる亀次郎。急須のお茶がなくなり、ベルで呼ぶ。お敏が「奥様がいると思って」と空になった急須を運ぶ。

 

愛子が別宅に顔を出していた。

洋二「お願いって何さ?」

愛子「お願いっていうより提案ね」

敬四郎「お母さんの頼みならなんでも聞きますよ」

 

愛子は茶の間でポツンといる亀次郎のために子供たちの方から押しかけてほしいと言うが、子供たちは動かない。

 

茶の間

お茶を出したお敏に「いいからそこに座んなさい」という亀次郎。お敏はガスをつけっぱなしにしていたと逃げるように出ていき、台所に戻って初子に報告。

 

愛子がふすまを開け、ギターを抱えた三郎と敬四郎が歌を歌う。

三郎「え~、こんばんは、お父さん」

敬四郎「え~、パパと遊ぼう鶴亀ボーイズ」

 

かおる「♪逢いたさ 見たさに 恐れを忘れ

暗い夜道を ただ一人」

籠の鳥

籠の鳥

  • provided courtesy of iTunes

大正時代にはやった歌らしい。かおるは明るく歌ってる。

 

三郎「♪あなたと呼べば」

敬四郎・三郎「♪あなたと答える 山のこだまの」

二人は若い

二人は若い

  • provided courtesy of iTunes

こちらは昭和10年の歌。

peachredrum.hateblo.jp

peachredrum.hateblo.jp

peachredrum.hateblo.jp

割とよく出てくる歌。

 

愛子「お父さんの若いころの歌を聞かすんですって」

 

敬四郎「♪あなた」

三郎「♪なんだい」

三郎・敬四郎「♪あとは言えない」

 

亀次郎「やめんか! お前らはちっとも分かっとらん! わしの若いころはな歌など歌っとる暇はなかったんだ」

理不尽に怒鳴られた三郎たちは別宅に退散。お敏や初子も台所にこもる。

愛子「怒らなくてもいいときに怒る人ですね」

 

愛子も出ていってしまう。

 

広間からピアノで「靴が鳴る」を演奏する音が聴こえた。

靴が鳴る

靴が鳴る

  • 山本 健二
  • チルドレン・ミュージック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

♪小鳥になって 唄…やけに低い声で歌う亀次郎。

 

立って鍵盤をたたいていた愛子を座らせてピアノを弾かせる。

♪うたえば 靴が鳴る

晴れた み空に 靴が鳴る

朗々と歌い上げる亀次郎。(つづく)

 

秋子役の香山美子さんは今回出番なし。wiki見ると1968年は映画7本に出演してて忙しかったみたい。兄弟の中だと武男もまあまあ出番が少ないのは同じ理由かな?

 

今日の亀次郎は全体的に理不尽な怒りが多かったような。でもしれっと言い返している愛子さんがよかった。