徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】木下恵介アワー「おやじ太鼓」 #35

TBS  1968年9月10日

 

あらすじ

日曜日、愛子が出かけてしまったので、亀次郎は手持ち無沙汰。勝手に大がかりな掃除を始めるものだから、お敏にとっては大迷惑。そんな中、突然イネの恋人が現れる。大喜びのイネだったが、彼はイネに、亭主の元へ帰るよう説得しに来たのだった。

2023.8.29 BS松竹東急録画。12話からカラー。

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鶴家

亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。2月5日で61歳。

妻・愛子:風見章子…5月で56歳。

長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社で働いている。3月3日で30歳。独身。

次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。28歳。

長女・秋子:香山美子…出版社勤務。26歳。

三男・三郎:津坂匡章(現・秋野太作)…二浪して大学生。

次女・幸子:高梨木聖…女子大生。1月の成人式に出席。

四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。

三女・かおる:沢田雅美…4月から高校生。

*

お手伝いさん

お敏:菅井きん…愛子の4つ下。6月で52歳。

イネ:岸輝子…お敏の母。結婚3回目。

 

今回も脚本は山田太一さん。そういえば、次のクールが「3人家族」だったのに、こんな終盤にも書いていたんだね。

 

掃除をしているイネ。階段を降りてきたかおるが「どう? おばあちゃん」と赤に近いオレンジ色のスーツ姿でくるっと一回転。

イネ「まあ、上手に回れますね」

かおる「洋服よ。どう? このスーツ」

イネ「まあ、しゃれた生地じゃありませんか」触ろうとする。

かおる「やだ、雑巾の手で」

イネ「でも暑くありませんか? まだ」

かおる「多少暑くたって似合うほうがいいのよ」

 

どこへ行くんですか?とイネに尋ねられたかおるは嬉しそうに先生と展覧会に行くのだと笑う。めったにないチャンスだというと、イネは先生って聞いただけで嫌な気がしたもんだと顔をしかめる。私もそっちだな。

 

かおる「先生っつったってね、ダンディーで英語はペラペラ。サイドベンツで細身のズボンでかっこいいんだ、先生」

イネ「はあ(呆)」

 

かおるは帰りに連れてくるかもと言い、ひと目見たらおばあちゃんだってポーっとなっちゃうからと言うが、イネは先生というだけで嫌らしい。

 

今度は台所にいるお敏にどう?と声をかけるが、お敏はなんだか一日中、眠くてだるくてと皿を拭いている。かおるがスーツがどうか聞いてんじゃないと言うと、暑苦しいと答えた。まだこんなんでいいと自分の半そでを指すが、かおるは半そでで似合うのがないと言う。先生とは2人きりでなくお友達5人も一緒。

 

お敏「気をつけてくださいよ。悪いのがいるから」

かおる「そうね。先生だって男性ですもんね」

お敏「男はみんな狼ですよ」

 

イネ「狼なもんですか。私の六さんのように心底、心のきれいな人もいるんですよ」

お敏「また始まった」

 

かおるはお姉さんにブローチを借りると言うと、イネが頑張ってくださいよと励ます。

イネ「私も頑張りますからね」

お敏「関係ないでしょ。お母さんは」

イネ「まあ、お前には分からないさ。いい男と会うときの楽しみは」

お敏「まあ、いやらしい!」

 

亀次郎がお敏を呼んでいて、お敏は台所を出て行く。歩きながら布巾か雑巾をパッと投げるのがかっこいい。

 

茶の間

留袖に着替えている愛子と何か探し物をしている亀次郎。お敏が来ると、あれを知らないかと探している。

 

お敏「ああ、あのゆんべの水羊羹ですか」

亀次郎「バカ。わしがそんなものを捜すか。あれだよ、あれ」

愛子「あれで分かるのは私だけですよ」

 

亀次郎が捜しているのは結婚式の招待状。時間もはっきりしないのに出かけようとしている愛子だが、早めに行くからいいと言う。

 

亀次郎「いや、大体、あんな会社の結婚式にうちが行くことはないんだ」

愛子「そうはいきませんよ。長年、張り合ってきたんですもの」

亀次郎「張り合うもんか。あんな水漏れマンションや壁割れアパートを造るようなやつと張り合ってたまるか」

愛子「そんなこと言ったって、結局は私に行かせるんじゃありませんか」

亀次郎「しょうがないだろ。つきあいなんだから」

愛子「これだからやんなっちゃう」

亀次郎「やなのはこっちですよ。日曜だっていうのに女房は婚礼、武男は葬式。一日わしはどうしたらいいんだ」

 

愛子「ですからあなたが行ってくださればいいんですよ」

亀次郎「行けませんよ。あんな政略結婚に」

 

その間ずっとゴソゴソ捜していたお敏に今から行けば大丈夫だからと言う愛子。

亀次郎「全く日曜に愛子がおらんじゃたまったもんじゃないよ」

お敏「ほんとにお寂しいですね」

亀次郎「何を言ってる。うれしそうな顔するな」

 

幸子の部屋

かおるは幸子の枯れ葉模様のブローチを借りに行く。一日借りるとかおるが言っても、幸子はベッドの上で本を読みながらあっさり「うん」と返事する。アクセサリーがちっともたまらないのねと言うかおるに美人はいらないのよと返す幸子。しかし、くれる?と言われるとあげない。

 

かおる「恋人がいないとそんなもんかしらね」

幸子「アクセサリーでどうこうなるような男なんか相手にしないのよ」

かおる「ご立派。どう?」

 

初めてかおるの姿を見た幸子は「何よ、その格好」と驚く。幸子は11月の服装だと言い、うだって死んじゃうからとおしりをたたく。

 

幸子「なんだっていうの。先生に会うぐらいで」

かおる「だってさ、先生、秋に結婚するって言ってたのやめちゃったのよ。きっぱり」

幸子「関係ないでしょ、あんたと」

かおる「そんなこと分かんないわよ。昔から教え子と結婚した先生たくさんいるもん」

幸子「子供ね、先生に憧れるなんて」

かおる「会ったことないからそんなこと言ってんのよ。キュッと締まった顔で浅黒くてさ、おはようなんて笑うとねグッとしびれちゃうんだな、みんな」

幸子「いいから着替えなさい。笑いものよ、そんな服」

 

かおるはいくらすてきだと言ってもちっとも信用しないので先生を連れてくると言うと、幸子は先生をうちに呼ぶなんていやらしいと言う。

 

幸子「大学に入ってごらんなさい。高校の先生なんて昔の思い出になっちゃうんだから」

かおる「まあ、いいわ。とにかく会ってのお楽しみ」

 

出かけていくかおるに夏服に着替えるように言う幸子。部屋を出たかおるは暑くたって似合うほうがいいんだけどな、とため息。

 

家中の網戸を外して並べているステテコ姿の亀次郎がお敏を呼ぶ。網戸って木枠なんだね。亀次郎が網戸をきれいに洗うと言って、お敏にもうちじゅうの網戸を運んでくるように言う。なんて重労働。お前が大変だと思うからやってやるんじゃないかと張り切っている亀次郎だが、お敏は嫌そう。

 

台所

お敏「やんなっちゃうわ、全く」

イネ「怒鳴ってたわね、また」

お敏「網戸洗うって言うのよ」

イネ「おやおや」

お敏「奥様がいないもんだから間が持てないのよ。全くのんびりするってことを知らないんだから」

イネ「いいじゃないか、やらしとけば」

お敏「網戸外すの私なのよ。その上、お前が大変だからやってやるんだなんて言われちゃやるせなくなるわ」

 

のんびりタバコを吸ってるイネにまだ表を掃いてないことを指摘するお敏は早くしてよと文句を言いながら台所を出て行った。

 

イネ「嫌だね、ガミガミ。せっかく六さんのこと考えて甘い気持ちになってたのに」とタバコを消して、立ち上がった。甘い気持ちって栗原小巻さんも言ってた。

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これでお前の仕事も1つ減るわけだと網戸にホースで水をかけている亀次郎。ありがとうござますと言うしかないお敏。

亀次郎「なかなかわしみたいな主人はいるもんじゃないぞ」

お敏「ほんとに」

亀次郎「おい、どんどん運びなさい。どんどん洗ってやるから。ハハハ…ああ、いい気持だ。ハハハハ…」

満面笑顔の亀次郎の脇でひきつった笑顔を見せるお敏。

 

表をホースで水を撒いていたイネ。ほんといつ見ても大きな家。酒屋(滝純一)から「精が出ますね」と声をかけられた。磯乃酒店と書かれた自転車に乗っている。酒屋に用はないよと冷たいイネだったが、酒屋はまだ残ってるんですか?と酒を飲むポーズ。

 

2日で1升も飲むかいと言うイネに「これからのお年寄りはそのぐらいの元気がなくっちゃ」と言い、酒屋は、じゃあ明日1本持ってきますからと自転車で走り去る。イネはそんな金はないからね!と酒屋の背中越しに叫ぶ。酒屋さん、全く顔が映らない。

 

イネ「ほんとにもう人をウワバミだと思ってるんだから」

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いねが水撒きをしてる路地に年輩の男が姿を見せた。

六「やあ!」

イネ「六さん」

六「元気そうでよかった」

六さんと向き合うイネは泣き出しそうな顔でホースの水がずっと自分の足元にかかり続けている。

 

六さんは長濱藤夫さん。「兄弟」では村山澄子の父、「二人の世界」では二郎(竹脇無我)の父。

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wiki見たら山田五十鈴さんの「女優」にも名前があった。

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どの役だったかちょっと分からない。でもこの映画のwikiを見たら、進藤英太郎さんも出ていた。大久保博士? いろんな俳優が出てるんだけど、志村喬さん、三島雅夫さんは分かったけど、森繫久彌さんや花沢徳衛さんはどこにいたのかすら分からなかった。途中からカラーに変わった「おやじ太鼓」を見てつくづく思うのはカラーは情報量が格段に上がる。人の顔もやっぱりカラーのほうが分かりやすい。

 

網戸洗いを続ける亀次郎はまたお敏を呼んでいる。網戸を下に置いてたわしをかけ、ゆすぐときは立てかけたほうが早いとお敏に網戸を持つように言う。「お前が楽すればいいと思ってやってんだぞ」と亀次郎は言うものの、お敏はグラグラと網戸を持つ。

 

イネは表玄関から六を招き入れた。

六「ご主人にご挨拶せんと」

イネ「まあ、それはいずれあとで。とにかく初めは邪魔者なしで。ウフフッ」

 

まだ網戸洗いを続けている亀次郎とお敏。ステテコの下、透けてな~い?

亀次郎「どうだ、わしがやると早いだろ」

お敏「本当に」

亀次郎「いや、大体このごろの人間は口ばっかり多くてやることは遅いんだから」

 

インターホンがかなりしつこく鳴る。おばあちゃんが出るさという亀次郎だったが、一向にインターホンが鳴りやまない。お前が行ったら困るじゃないかと亀次郎が言うものの、お敏は裏玄関へ。「おなかがすいたよ、おなかが」と帰ってきたのは敬四郎。まだ11時だとお敏が言うが、それだってペコペコなんだもんと敬四郎。別宅で勉強してたのかな。別宅に行くにも裏門を開けてたっけ?

 

お敏「お敏さんは忙しいんですよ。おなかどころか汗を拭く暇もないんですよ」

 

亀次郎がお敏を呼ぶ。ブザーを鳴らしたのは誰かと聞き、お敏は敬四郎だと答えた。

亀次郎「ちょうどいい。手伝いなさい、敬四郎」

 

嫌々ながら亀次郎のところへ向かう敬四郎に「飛んで火にいる夏の虫ですね」とほほ笑むお敏。

 

敬四郎に網戸を持つように言う亀次郎。「ああ、男はなんだってやれなきゃいかんのだ」

敬四郎「はい!」

亀次郎「いや、いざとなったらくず拾ってでも生きていく気でなけりゃいかんのだよ」

敬四郎「はあ」

亀次郎「ああ、それでなけりゃ思い切った仕事はできんのだ」

 

ぬれちゃいますよと敬四郎に指摘された亀次郎は「ぬれるぐらいにビクビクすんな。わしを見ろ、わしを」とホースの水を自らの上半身に当てる。みるみる透ける乳〇。「うん? なあ、これが男だよ、敬四郎」。ダメでしょ、こんな。

 

表玄関から入ってきたお敏はイネを捜している。またここで昼寝してんのねとドアを開ける。

 

亀次郎はくしゃみをし、まだ網戸に水をかけながら、お敏を呼ぶように言う。

亀次郎「親がびしょぬれになってるのに平気で見てるのか、お前は」

敬四郎「はい!」

亀次郎のくしゃみが止まらない。

 

表玄関のすぐわきにイネの部屋があるらしく、出てきたイネは泣いていた。お敏を捜していた敬四郎がイネに気付くと、「全くめちゃくちゃですよ。人生は闇ですよ」と敬四郎の胸で泣き出す。

 

亀次郎はお敏を呼び、イネの部屋から出てきたお敏は敬四郎たちが目に入ってなく、そのまま亀次郎の元へ向かう。その次に部屋から出てきた六さんと敬四郎が目が合い、「お邪魔しております」と六さんが頭を下げた。イネは六さんだと敬四郎に紹介すると、恋人が来たんじゃないのと敬四郎が言うが、六の表情は曇る。

 

着替えている亀次郎。お敏はイネの恋人が来たこと、六が亭主のところへ帰りなさいと連れに来たことを亀次郎に報告した。お敏によれば、六さんとはそういう人。亀次郎は立派な人だと言い、広間に通すように言う。

 

1人前の寿司桶が2つ並んだテーブル。ソファセットに向き合ったイネと六。せっかくだから食べようと言う六だが、食欲がないと言うイネ。「新しい人生を始めようって言ってくれるのかと思ったら亭主の元へ帰れだなんて好きな人からそんなこと言われる身にもなってくださいよ」と泣き出す。

六「いや、私は古いのかもしれんがね」

 

茶の間

亀次郎「古いってことはないよ。それがまともな人間というんです」

幸子「そうでしょうか」

敬四郎「好き合ってんなら一緒に逃げようって言うのが男じゃありませんか?」

 

この3人の組み合わせって意外とない。

 

幸子「嫌いな主人のところに戻れってことはないと思うわ」

亀次郎「それが浅はかというんです」

お敏「そうでしょうか」

亀次郎「そうさ。結婚というものは約束です。約束を破りたくなったから逃げればいいってもんじゃありませんよ」

幸子「そりゃそうだけど」

亀次郎「けど、じゃありませんよ。六さんっていう人は立派です。逃げ出したおばあちゃんと一緒になるわけにはいかないと言ったんだ」

お敏「そう言ったかどうかは知りませんけど」

亀次郎「言ったに決まってますよ。それでこそ男ですよ」

敬四郎「お父さんそっくりですね」

と言われて深くうなずく亀次郎。

幸子「顔も似てるんですって」

亀次郎「似てるもんか。まるっきりショボショボですよ」

 

イネは今日にでも田舎に帰ると思っている亀次郎たち。お敏はイネたちの様子を見に広間へ。

 

それにしても、亀次郎たちが食べてるのは何だろう? スプーンを使っていて、チャーハンかチキンライスか。

 

亀次郎「いや、おばあちゃんもいい恋人を持って幸せだよ、ハハハ」

 

広間

「よくワサビが利いてますよ」と目をこする六に「ワサビなら泣くんですね。私のためには泣かないで」としょんぼりするイネ。

 

亀次郎「どうです? 食べてくれましたか?」と急須持参で入ってきた。

 

亀次郎は一晩泊まって明日ゆっくり帰ったら、今日は2人で東京見物でもしてらっしゃいと提案すると、イネはありがとうございますと泣き出した。

 

茶の間

敬四郎「バカにおやじ親切じゃないの」

幸子「お茶持ってくなんて前代未聞ね」

 

敬四郎と幸子もなかなか新鮮な組み合わせ…というか、さっきのかおるといい幸子がほかの兄弟と絡むのが割とレアなのかもしれない。

 

敬四郎「うん」

お敏「全く旦那様も気まぐれに優しくなるんですから」

幸子「案外気まぐれじゃないのよ。お敏さんのお母さん見てると自分の母さんを思い出すのよ、きっと」

お敏「そうでしょうか」

敬四郎「おばあちゃん、まだ泣いてんの?」

お敏「とにかく恋人がしっかりしてますからね」

 

敬四郎「ハァ、それにしてもなんてことだろう。70のおばあさんが愛だの恋だの騒いでて幸子姉さんにも僕にも恋人がいないんだからね」

幸子「そういうこと」

お敏「ほんとですね。私と同じね。フフフフッ」

敬四郎「お敏さんと同じだってさ」

幸子「光栄ね」

 

お敏「でも不思議なもんですね。お二人の下のかおるさんにはちゃんと恋人がいるんですから」

敬四郎「あれは違うよ」

幸子「そうよ。あれはバカみたいなもんよ。女学校なんかじゃつまんないやつにみんなで憧れるもんなのよ」

幸四郎「恋愛じゃないんだな、つまり」

幸子「そういうこと」

 

お敏「でも今日、お連れするっつってましたよ。すごい二枚目だって」

幸子「バカね。そんな二枚目がそうそういてたまるもんですか」

敬四郎「そういうこと」

お敏「そうでしょうか」

 

インターホンが鳴る。「誰もいないの?」と結婚式帰りの愛子が応対するとかおるだった。先生をお連れしたと聞き、お敏に出るように言い、先生を広間に通すように言う。イネと六はその辺歩いてくると出て行っていた。

 

帯をほどく愛子は隣の部屋からいびきが聞こえてきてよく眠れるもんねとあきれる。幸子が裏玄関から入ってきた。愛子は帰ったばかりで顔も洗いたいから、先生のお相手をするように言う。嫌がる幸子に「誰も出ていかないわけにはいきませんよ」と愛子。

 

幸子は嫌々ながら表玄関で待つ。先生どうぞと家に入ってきたかおるは黄色、オレンジ、緑のボーダーの半そでを着ている。夏らしくていい! 「あっ、お姉さん、先生よ、私の」と紹介されてはいってきた西川(山口崇)に幸子の目はくぎ付け。さんざん二枚目だなんだと煽ってきたけど、期待通りの二枚目! これほど期待を裏切らないことはない。

 

かおるが姉だと紹介し、「はじめまして、こんにちは」と頭を下げた西川に幸子はいつもよりしっとりした感じで「ようこそいらっしゃいました」。

西川「いや、かおるさんに強引に誘われましてね。とうとう来ちゃいました」

幸子「ほんとにようこそ。どうぞ」目がキラキラ~。

 

幸子の豹変ぶりにお敏とかおるは顔を見合わせる。

 

道ばたで「六さん」と急に抱きつくイネ。「イネさん」と止める六に「人目を気にするんですか?」と六の腕をつねる。イネは六さんは年を取って情熱がなくなった、老いぼれたとなじる。「嫌いな亭主のそばで泣きの涙で花の命を終えろっていうの?」と言い、亭主を何人もかえたのは少しでも六さんに似た男をと思ってしたこと、生涯懸けてこの胸が愛し続けたのはね、六さん…というと、六さんも私だって…って両思いだったの? イネさんの強烈な片思いだと思ってたよ。

 

そのイチャイチャを見ていた酒屋。「お安くないんですね、どうも」。イネは人の恋路を邪魔するやつはね!と近づいて2発もビンタする。からかうほうもからかうほうだけどなんだかなあ。お前んとこなんかクビだよと去っていく酒屋に唾を吐きかけるイネ。そんなイネを見て「強いね、イネさんは」じゃないだろ、六さんよ! 恋の心がそうさせるという恋する乙女・イネ。

 

茶の間

亀次郎と愛子の前で六は一人で帰ると報告。イネは亭主の元へ帰るつもりになれない。六は甲府の山奥から出てきた。好きな人に連れられて嫌いな亭主の元へ帰るのは情けない、せめてもの女心のプライドだというイネ。亀次郎は汽車の時間まで遊んでくるように言う。

 

台所

お敏「あ~あ、なんかいいことないかな、わたしにも」タバコ、スパ~。

かおるが台所に入ってきて、幸子の態度に怒る。敬四郎まで見に行って大したことないなどと言うが、かおると言い合いになり、茶の間に乗り込む。幸子の様子を見に行くように言うかおる。

 

広間

幸子と西川で話が盛り上がっている。西川がかおるのこと聞くと「あんな子、ほっとけばいいんですのよ」と幸子。テーブルの上にはイチゴのショートケーキと紅茶。西川はアメリカ文学を専攻していたと聞き、幸子は物腰がロバート・ケネディみたいと褒める。

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ドラマの撮影がどれくらい前だったのか分かりませんが、放送は1968年9月10日。ロバート・ケネディが暗殺されたのは1968年6月6日。暗殺された人で例えるなよってちょっと思う。

 

照れ笑いを浮かべる西川にほんとよと笑う幸子。

 

そこに入ってきた亀次郎でつづく。

 

今回は幸子、敬四郎、かおるのみ出演。秋子姉さんはずーっとオーストラリアに行ってる設定?

 

待ってましたよ、山口崇さん!

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橋田壽賀子脚本の単発ドラマは「おやじ太鼓」の約1年前。このドラマは白黒だったから、やっぱりカラーの山口崇はいい!

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マー姉ちゃん」の再放送を見てるときにカッコいいなこの人はと思っていて、同じころ「二人の世界」や「3人家族」の再放送を見て、山口崇さんと竹脇無我さんは似たタイプのインテリイケメンみたいに思ってて、共演作品はないかと思ってました。

 

大岡越前」シリーズで長く共演されてたらしいけど、「おやじ太鼓」を調べたらお二人の名前があって楽しみにしてました。まさかこんな終盤での登場だとは思ってなかったけど。というかカメオとの共演はあるのでしょうか。これで鶴家のきょうだいはみんな美男美女好きということが分かりました。