徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】木下恵介アワー「おやじ太鼓」 #53

TBS  1969年7月22日

 

あらすじ

 

鶴 亀次郎は裸一貫からたたき上げ、一代で築いた建設会社の社長である。ワンマンで頑固一徹な亀次郎は子どもたちに"おやじ太鼓"とあだ名を付けられている。この"おやじ太鼓"、朝は5時に起き、夜は8時になるともう寝てしまうが、起きている間は鳴り通し。そんな亀次郎をさらりとかわす7人の子どもたちに比べて、損な役回りはお手伝いさんたち。ひと言多いばっかりに、毎日カミナリを落とされる。

2023.9.22 BS松竹東急録画。12話からカラー。DVDは第1部の39話まで収録。

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鶴家

亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。62歳。

妻・愛子:風見章子…良妻賢母。57歳。

*

長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社で働いている。31歳。

妻・待子:春川ますみ…正子の紹介で結婚。

*

次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。29歳。

長女・秋子:香山美子…出版社勤務。27歳。

三男・三郎:津坂匡章(現・秋野太作)…二浪して今は大学4年生。

次女・幸子:高梨木聖…大学4年生。

四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。

三女・かおる:沢田雅美…高校2年生。

*

正子:小夜福子…亀次郎の兄嫁。高円寺の伯母さん。59歳。

*

お敏:菅井きん…お手伝いさん。愛子の4つ下。53歳。

 

夜の東京。三郎は正子とタクシーに乗っている。

正子「一体、どこへ連れてってくれるの?」

三郎「まあ、今日は僕に任しといて。たまには東京の真ん中へ出ないとね。おばちゃん、高速道路もめったに走ったことないんじゃない?」

正子「そりゃまあ新宿で用が足りちゃうものね」

 

車で移動中、背後に「セドリック ブルーバード」というネオンが映りこむ。おー、さすが日産一社提供!

 

三郎「だからダメなんだな。おばちゃん、このごろちょっとホコリっぽくなったものね」

正子「まあ、失礼。いつだって、そんな変な格好してませんよ。身だしなみですからね」

 

今日のおばちゃんは洋装で真珠のネックレスをつけている。

 

三郎「そうそう。そりゃ大事な心がけですよ。だから今日はちょっと変わった所へ連れてってあげるんですよ」

正子「洋食なの? 日本食なの?」

三郎「まあまあ、そうガツガツしたこと言わないでさ。ほら、おばちゃん、あれが東京タワー」

 

今の感覚でいうと暗く感じる。

 

正子「東京タワーぐらい知ってますよ」

三郎「だって、きれいじゃない。夜見ると」

正子「そりゃまあ、きれいだけど、それよりも私…お手洗い行きたいのよ」

三郎「また行くの?」

正子「だってあんたが急がしたもの」

三郎「だって…まさか半分残したんじゃないんでしょ?」

正子「バカね」

 

高円寺からTBSのある赤坂へ行ったと予想しました。

 

BARドルダー

三郎「急な階段だから気をつけてよ」

正子「ねえ、ちょっと三郎さん」

三郎「何さ、そんな心細い顔して」

正子「そうじゃないけど、私、おなかが減ってるのよ」

三郎「ありますよ。食べるものだってトイレだって」正子の手を取り階段を上る。

 

洋二がピアノを弾いている。この曲かな。

ピアノ・ソナタ第14番「月光」 - 第1楽章

ピアノ・ソナタ第14番「月光」 - 第1楽章

  • イェネ・ヤンドー
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落ち着いた大人の店という感じ。ウェイトレスは長い黒髪をそのままおろして白シャツ黒ズボン。細い。マスターは金子、ウェイトレスは芙佐枝とちゃんと字幕に出ている。

 

金子:加藤恒喜…BARドルダーのマスター。「記念樹」などに出演。

芙佐枝:岩倉高子…「結婚できない男」の5話に出てる。へえー!

 

三郎は金子や芙佐枝から「いらっしゃい」と声をかけられ、店内へ。三郎にここに掛けようよと言われた正子だったが、それよりお手洗い。三郎はそれよりあそこ見なよとピアノを指さす。洋二がピアノを弾く姿に正子は驚く。

 

正子「洋二さんがこんな所にいるの」

洋二「おばちゃん、いらっしゃい」

 

ピアノを弾いてるのに普通に話しかけるおばちゃん。洋二も器用に返すね~。しかし、すぐにおばちゃんはお手洗いへ。

 

鶴家

敬四郎「さてさてと、食べるもんも食べちゃったし」

かおる「どうする? テレビでも見る?」

敬四郎「他にすることもないしね」

かおる「ああ、つまらない。彼はどうしてるのかな」

 

茶の間で食べた後、自分で食器を下げたから台所から出てきたのかな。2人は広間へ向かう。茶の間にもテレビあるし、この時代テレビ2台あるんだよね~。ほとんど見てる場面はないけどね。お敏はお盆を持って茶の間へ。

 

茶の間

お敏「もうお下げしてもよろしいんですか?」

愛子「ええ」

お敏「スイートメロンが冷えてますけど、お持ちしますか?」

愛子「お父さん、あがりますか?」

亀次郎「今はいいよ」

 

愛子は今日の変わったスープがおいしかった、しゃれた味がしたとお敏に言った。今日のスープは敬四郎が作ったらしく、お敏は好きなことはうまくなる、また作ってもらうと食器を下げた。

 

愛子さんは今日は襟のついたワンピース。洋二のアパートに行ったときは着物を着替えてたけど、ここんとこ夏だからか洋装率が高い。

 

しかし、亀次郎は「あんなスープをちょいちょい作られたらかなわんよ」と愛子に言い、「やっぱり日本人は日本のおつゆですよ。麩だって菜っ葉だって、どんなにおいしいか分かりゃしない」と愚痴る。

 

愛子「その割には機嫌よくあがってたじゃありませんか」

亀次郎「しかたがないさ。作っちゃったものは」

 

ヘンテコリンなにおいがしたと言うが、怒鳴ってばかりが能じゃない、子供に気を遣っていい顔するなんてちょっと見直しましたよと愛子が言う。

 

亀次郎「バカなこと言いなさい。わしぐらい子供に気を遣ってる親が他にありますか」

愛子「まあ、そういえばそういうとこもありますけどね」

亀次郎「ありますけどじゃありませんよ。なんだ、今頃見直されてたまるか」

愛子はお父さんは優しいとこがあると褒める。「大ありのこんこんちき。これからはそれでいきましょうよ」

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亀次郎「結局はお前と二人きりか」

愛子「そんなことありませんよ。武男さんたちだって隣にいるし、洋二だって会いたければいつだって会えるんですからね」

亀次郎「秋子だって三郎だって幸子だって、どうしてこう夕飯までに帰ってこないんだ」

愛子「もう大人なんですよ。それぞれ自分の生活があるんですよ。いつまでも親の前に座らせておこうと思ったって、そりゃ無理ですよ」

 

亀次郎「無理が通れば道理引っ込む、か」

愛子「老いては子に従え、ですからね」

亀次郎「知らぬが仏だ」

愛子「良薬は口に苦しですよ」

亀次郎「骨折り損のくたびれ儲け」

愛子「喉元過ぎれば熱さを忘れる」

亀次郎、愛子を見る。

愛子「子は三界の首枷。何ですか? 私の顔見て」

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亀次郎「お前こそなんですか。いろはがるたじゃあるまいし」

愛子「いいんですよ。なかなかいいこと言ってるんですよ。油断大敵、身から出た錆。お父さんはちょっとそんなとこもあるんじゃないですか?」

亀次郎「バカなこと言いなさい」

 

今日は間にマカDXのCM。この時間帯にやめて。亀次郎に怒鳴られろ。

 

BARトルダー

三郎は席についてタバコを吸っている。酒?を運んできた金子に「掛けませんか?」と向かいに座らせる。

 

三郎「おばちゃんはもうあの始末ですからね」

 

正子は手にコップを持ったまま、洋二に絡み、「ほんとにまあ、ようこそいらしてくださいました」と女性客に話しかける。割と年配のグループ3人。キャストクレジットに名前が出てたのは2人だったけどね。

 

バーの客

志賀真津子…志賀直哉が名付け親ってすごい。

本橋和子…「3人家族」7話、「兄弟」13話など。

 

正子「さあ、いかがですか? もう1杯」

女性「あら、どうも」

おばちゃんはこれからあとの分はおごると言う。「あの子のピアノを聴きに来てくださったんでしょ?」

女性「ええ、そうなんです」

 

正子「じゃあ、遠慮なんかなさらなくたっていいんですよ。あの子もこの子も大金持ちの息子なんですよ」

三郎「おばちゃん、あんまり大ボラ吹いちゃ困るよ」

正子「だってそうじゃないの」

三郎「今は哀れな身の上なんだからさ」

正子「何をビクビクしてんのよ」

 

この店、ピアノを弾いてる洋二とウェイトレスの芙佐枝以外みんなタバコ吸ってる。正子はこっちへも1杯ずつ持ってきてちょうだいとマスターの金子に言い、「あれだから嫌になっちゃうんですよ」とこぼす三郎に「こっちは商売繁盛で結構ですよ」と金子は言う。元々、三郎の知り合いだったりするのかな?

 

正子「大体、あの子とこの子のおやじさんという人はですよ…」と女性グループに話している。洋二の姿が嬉しかったのかな。しかし、いろんな客がいる店で大金持ちの息子とか言っちゃまずいよ。

 

マッサージ椅子に座る亀次郎。部屋の隅に置いてあるのが映りこむことはあっても、使ってるのを見るのは結構久々。

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ここ以来かも?

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プレゼントされたのは去年の母の日。

 

マッサージが停止され、亀次郎が気付くと愛子がいない。大声で呼びつけると広間からかおるが出てきて、敬四郎と話してると言う。10円持ってきなさいと言われたかおるは「あっ、按摩継続ね、自民党としては」。

亀次郎「あれが末っ子か。まだまだ先は長いよ。おい、愛子、ちょっと来なさい!」

愛子「なんですか、うるさい」と広間から出てきた。

 

敬四郎と何を話していたか気になる亀次郎。かおるが10円持ってくると、愛子に掛けるように言う。「この椅子はお前に買ってやったんじゃないか。このごろさっぱり掛けないじゃないか」

愛子「暇がないんですよ。そんなのんきな気分にもなれないし」

亀次郎「だから肩が張るんですよ。かおる10円入れなさい」

 

かおるは愛子がまだ敬四郎と話し合いが終わっていないことを気にする。亀次郎は敬四郎をここに呼んで話せばいいと言うが、そのまま自ら広間へ入って行き、「お母さんに相談することがあったら、お父さんにも相談しなさい」と話しかける。

 

かおる「お母さん、ちょっと助けに行ってやったほうがいいんじゃないの?」

愛子「いずれは敬四郎が話さなきゃダメなことですよ」と10円入れさせる。

かおる「案外冷たいのね、お母さんは」

愛子「冷たいんじゃありませんよ。もうみんな子供じゃないんだから、自分のことは自分でぶつかってく勇気を持たなきゃダメですよ」

 

マッサージ椅子でマッサージを受ける愛子、広間を気にするかおる。幸子が帰ってきた。ノースリーブワンピースが素敵。幸子さん、この年代の人にしては長身に見える。広間の扉に耳を当てるかおるは、お父さんと敬四郎がホテルへ料理の見習いに行きたいという話で向かい合ってると幸子に教える。

 

幸子はそんなことより一度西川先生に会ってちょうだいと愛子に言う。

愛子「またお夕飯を外で食べてきたんですか」

幸子「そんなことどうだっていいじゃないの」

愛子「そんな話は今聞きたくないんですよ」

幸子「敬四郎の話なんて簡単じゃないの。2度も大学に入れなかったんですもの。じゃあ、自分のしたいようにするしかないじゃないの。それもお金がいる話じゃないし、自分で苦労してみたいって言うんですもの。こんな簡単な話はないわ」

愛子「じゃあ、あんたが行ってお父さんにそういうふうに言ったらいいでしょ。敬四郎はきっと困ってるんだから」

幸子「ええ、いいですよ。だけど、私のこととなると、どうしてそういうふうにお母さんは冷たいの?」

愛子「冷たいわけじゃありませんよ」

かおる「幸子姉さんだってもう子供じゃないんでしょ?」

幸子「何よ、その言い方は」

かおる「だから自分のことは自分でぶつかっていく勇気を持たなきゃダメですよ」と愛子の受け売りする。

 

お母さんやお父さんにも喜んでもらいたい、洋二兄さんや三郎兄さんのように困らせたくないと言う幸子だったが、「じゃあ、そういうような恋愛をしてくれなきゃダメじゃないの。そんな前に婚約していた人とまだはっきりしていないような…」と愛子が言い、「それが困るわね」とかおるも乗っかる。

 

あ~、おかしいとにこやかに隣から戻ってきたお敏はまた海ゆかばを口ずさむ。

海ゆかば

海ゆかば

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幸子「あんたどうしてそんな歌ばっかり歌ってんの?」

お敏「さあ、どうしてでしょう。つい口から出ちゃってるんですよ」

幸子「陰気くさいからやめてちょうだいよ」

お敏はムッとして台所へ。

 

幸子「あんな戦争中の歌がどうして軽々しく口から出るのかしら。気が知れないわ」

かおる「それぐらい変にならなきゃ、このうちにいられないんじゃないの」

愛子「変なのはこのうちばっかりじゃありませんよ。毎日の新聞を見てごらんなさい」マッサージ機が止まり「ああ、いい気持ちだった。せめてうちの中ぐらい円満無事でいきたいわね」

 

お敏は今度はおやじ太鼓を歌いだす。

♪誰が捨てたか 大太鼓…

 

幸子「変な人。『海ゆかば』の次は『おやじ太鼓』なんだから」

 

でもまあ、昭和44年で「海ゆかば」は昭和12年に発表されたんなら、50過ぎのお敏さんに耳なじみがあって歌いたくなるのもしょうがないような気がした。軍国主義とかそういうんじゃなくてね。私も覚えちゃったよ!

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進藤英太郎さん出演の映画でも流れてたそうだけど、この歌自体を私が知らなかったので気付いてなかった。

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「父ありき」はラストシーンで「海ゆかば」が使われたそうだけど、戦後、GHQの検閲で削除されたそうで、私が見たのも流れてなかったように思う。2作品とも戦中の作品。

 

昭和44年の32年前が昭和12年。2023年の32年前が1991年。

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知ってる曲ばっかり。ヒット曲と同じにするなよって感じだけどね。

 

亀次郎と敬四郎の話し合いを気にするかおる。静かに話し合いを終えた亀次郎が愛子を茶の間に呼び出した。お敏が「おやじ太鼓」を口ずさんでいても怒鳴らない亀次郎を不思議に思うかおる。敬四郎はガックリ疲れて広間から出てきた。誰か10円入れてよとマッサージ椅子に座るが、幸子はそっぽを向く。

 

秋子帰宅。秋子が2話連続で出てくることってほとんどなかったように思う。酔っ払っているのかフラフラの秋子は玄関を入ってすぐの茶の間であいさつをし、茶の間の奥の扇風機の前に陣取り、お敏に「私、お茶漬けを1杯、食べたいの。わさびがあったら海苔茶漬けがいいわ」とお願いした。

 

秋子は神尾出演のテレビ映画の試写のパーティーへ出席していた。秋子はあんなの恥ずかしくて、見てるほうが照れちゃったわと笑う。嫌だっていうのに3度も電話をかけてくるのがしゃくで飲んで食べてやった。

 

今まで黙ってじっと秋子を見ていた亀次郎がようやく「そんならお茶漬けなんか食べなくていいだろ」と言葉を発する。海苔だって、わさびだって安くない。早く台所へ行って食べてきなさいと言う愛子に、神尾さんってちょっと軽薄なところがありゃしない?と秋子は聞く。

 

愛子「そんなことお母さんに聞くより、あんたが一番よく知ってるでしょ」

そうかなと返す秋子に「夢中で恋愛したのはお母さんじゃありませんよ」と愛子。

 

秋子「そりゃそうね。お父さんなら多少分かってくださるかな」

亀次郎「な…なんですか、お前は」と戸惑う。秋子はふらつきながら台所へ。

 

愛子「恋愛も難しいもんですね。酔ったりさめたり」

亀次郎「お前がいけませんよ。変なことを言うから」

 

亀次郎は当てつけみたいに恋愛をしたのはお母さんのほうじゃありませんよと言ったのが気にかかったらしい。お父さんのことを言ったんじゃないと愛子が言っても、30年も昔のことを言われたと思った。あの頃は今と違って複雑じゃなかったからよかったと愛子は言う。

 

そして話題は敬四郎のことへ移ろうとしたとき、茶の間の窓が開き、武男が待子が戻したと言いに来た。嫌いな牛肉の照り焼きをおなかの子供のためにと無理して食べた。

武男「ハァ…今夜の夕食はふいですよ。栄養ゼロですっからかんですよ」

 

亀次郎も武男も愛子に待子の元へ行ってやれと言う。

亀次郎「おなかの子供のためにはおばあちゃんじゃないか」

武男も亀次郎もうるさく結局、愛子が茶の間を出る。「なんてうるさいおじいちゃんかしら」

武男「お父さんもいよいよおじいちゃんになるんですね」

亀次郎「なりませんよ。じじいなんか」

武男「はっ、その元気で頼みます!」愛子と隣へ。

 

亀次郎「当たり前ですよ。わしが元気がなくてどうするんだ。何がいよいよだ」

 

一人になってしまい、お敏を呼びつけスイートメロンを出してもらおうとしたが、幸子と敬四郎とかおるが食べてしまった。

亀次郎「しょうがないやつらだ。親の分まで食べてしまって」

お敏「だからすねっかじりって言うんじゃないんですか?」

亀次郎「7人にかじられちゃたまらんよ」

お敏「ですけど、それが親の甲斐性じゃないんですか? 私なんてほんとにかじられてみたいですわ」

 

お敏は「旦那様が年を取ってきた年月だって、私が一人寂しく生きてきた年月だって同じですもの」としんみり。片っぽは怒鳴りづめで7人もかじって、怒鳴られづめでネズミだってかじりゃしない全然違う人間だと言う。「絶望的に孤独ですわ。ああ、スウェーデンが羨ましい」。

 

亀次郎はスウェーデンといわれてもピンとこない。

お敏「新聞だって雑誌だって、いっぱい書いてあるじゃありませんか」

まだピンと来てない亀次郎。

お敏「つまり、こうなんです。まあ、主に若い人たちの天国なんですけどね」

亀次郎「なるほど」でCMに入る。

 

台所

お茶漬けを2杯も食べた秋子。そのスタイルはどうやって維持してるんだ? 三郎と同じ太らない体質かしら?

幸子「恋愛って何かしら? 揉めてる最中に食欲だけは旺盛なんだから」

秋子「そう。非常に快適。私のほうは冷淡な顔してればいいんだもんね。彼のほうはカッカして取りすがってるの。ちょっといい気分よ。あんたのほうはその反対じゃないの」

幸子「まあ、失礼。神尾さんが相手の女優さん好きになったら、どんな顔するの? 姉さんの泣き顔が見たいわ」

秋子「あらそう。そんな軽薄な男なら私のほうからごめんこうむるわ」

幸子「あらそう。軽薄になりかかってるからイライラしてるのかと思ったら、じゃあまだ見込みがあんのね」

秋子「人のことより自分のことよ。一体、西川先生はあんたと前の婚約者とどっちが好きなの?」

幸子「大きなお世話よ」

秋子「そう、お互いにね」

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ずいぶん昔のように思うけど、初期のころも秋子と幸子で恋愛談義してたな。

 

⚟亀次郎「バカ者! こら、お敏!」

 

茶の間から飛び出してくるお敏。

 

亀次郎「お前はいい年をしてなんてことを言うんだ。この神聖な我が家ん中で!」

お敏「でも旦那様は…」

亀次郎「そんな汚らわしい話をこのわしの耳が聞きますか! ピンクもピンク。とんだ天国ですよ!」

 

裏玄関から入ってきた愛子も驚く。

亀次郎「いや、このお敏のバカがピンクムードに憧れちゃって、以後、週刊誌なんか一切見るな!」と茶の間に戻る。

 

愛子「なんのこと? ピンクムードって」

お敏「(小声で)あれなんです。スウェーデンの」

愛子「バカね、あんなこと。おじいちゃんになる人に言うことじゃありませんよ」

 

⚟亀次郎「わしがおじいちゃんなら、お前はヨボヨボのおばあちゃんですよ」

 

愛子「(お敏に)とにかくあんたはスウェーデンを言いすぎますよ。ピンクムードは日本だけでたくさんですよ」

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1960年にお色気番組があったなんてびっくり。フジテレビ、日曜の22:45からの15分番組。

 

亀次郎、過去最大の激怒じゃないかな。

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↑多分、こういうこと? お敏もよく話すよね。

 

台所に戻ったお敏は水を1杯飲む。

秋子「あんた、暑さに当てられて頭がおかしくなったんじゃないの」

お敏「とんでもない。頭じゃないですよ。自由と解放の問題ですからね」

幸子「おや、ベトナムみたいなこと言うわね」

お敏「そりゃ、私だって目覚めますよ。ちょっと遅まきですけどね」

秋子「いいことよね。目覚めるのは」

お敏「そうですよ。とにかく私の育った娘のころなんて目覚めるにも何も、てんで封建的でなっちゃいなかったんですからね。今から思うと」

幸子「目隠しされてたんでしょ?」

お敏「そうそう、目隠しなんですよ。不当な弾圧なんですよ。おかげで私は目覚める前に老けちゃいましてね。30を超したらもうダメ。コブ付きの後添いの話しかないんですからね。大損ですよ。それにあのおふくろでしょ。自分ばっかり発芽しちゃって、娘の私なんてまるっきり芽を出す暇なんてなかったんです」

秋子「だから今頃になって目覚めちゃったのね」

お敏「それがどういうんでしょう。お隣の若奥様のおなかを見てると…この辺かな?(下腹部辺り?)私もこの辺がシクシク痛んでくるんですよ」

 

幸子「盲腸の気があるんじゃないの?」

お敏「まあ、幸子様ったら」

秋子「そんなふうに言っちゃ悪いわよ。女心が痛むんでしょ?」

お敏「そうなんですよ」

幸子「だっておなかだって言うから」とイマイチ意味が分かってなさそう。

お敏「女心はおなかで痛むんですよ」

幸子「あっ、どうりでお敏さんはよく食べるわ」

お敏「まあ、色消し。そんなにガツガツ食べませんよ」

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前はイネがお敏に対して「色消し」って言ってた。「女は子宮で考える」的な話をしてるのかなあ。そういう考え方、正直、めちゃくちゃキモチワルイ。

 

かおるが台所に顔を出した。思春期の問題は簡単だと言い「感じちゃいいんでしょ。ピンクだって青だって、サイケ調で。しびれちゃいいんでしょ」。めちゃくちゃエロいこと言ってんだか何だか分からない。

 

それより、敬四郎が悩んでるから秋子や幸子が敬四郎の身になってほしいとかおるが言う。敬四郎は部屋にいてひっくり返って酔っ払いの歌を歌っている。歌を歌っても解決しないと秋子が言っていると、亀次郎が広間に集まるように言う。お敏にはお茶を持ってくるよう言うが、子供たちには水。

 

亀次郎と入れ違いに愛子が来て、お説教が始まる、今日はちょっと深刻だと話した。武男と待子も顔を出す。待子は洋二の代わりに出る。

敬四郎「だからいじけちゃうんだよ。御前会議は苦手だよ」

 

お敏が水を運んでいると、正子が酔っ払って現れた。三郎も来た。正子はジャケットを脱いだのかノースリーブ姿だけど、二の腕のたるみがないわ~。さすがタカラジェンヌ。お敏から水をもらおうとしてコップを落としてしまう。

 

広間に集まった面々も物音に気付く。

⚟正子「私はね、お酒に酔ったんじゃありませんよ。洋二さんのピアノに酔ったんですよ」

 

酔っ払った勢いか今日こそはどうしても亀さんに言いたいことがあるとわめいている。亀さん、亀さんの連呼に亀次郎がカチーン!

 

⚟正子「あれじゃあんまり洋二さんがかわいそうですよ」

 

怒りに震える亀次郎でつづく。

 

きょうだい全員が出てくるってホントに珍しい。三郎が最後に家に来たから、洋二が家にいれば全員顔が揃うことになったね。最終回までにこんな回は来るのでしょうか。いかにも続きそうな終わりでも次の回はガラッと別の話になることもあるからな~。