徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】木下恵介アワー「おやじ太鼓」 #32

TBS  1968年8月20日

 

あらすじ

秋子がオーストラリアへと旅立った。亀次郎は秋子の見送りに行った愛子たちを家で待っていたのだが、一向に帰ってこない。結局のところ、飛行機が一時間半も遅れてしまったということだった。その翌日、唐突に亀次郎が、子どもたちを連れて北海道へ行くと言いだした。

2023.8.24 BS松竹東急録画。12話からカラー。

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鶴家

亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。2月5日で61歳。

妻・愛子:風見章子…5月で56歳。

長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社で働いている。3月3日で30歳。独身。

次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。28歳。

長女・秋子:香山美子…出版社勤務。26歳。

三男・三郎:津坂匡章(現・秋野太作)…二浪して大学生。

次女・幸子:高梨木聖…女子大生。1月の成人式に出席。

四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。

三女・かおる:沢田雅美…4月から高校生。

*

お手伝いさん

お敏:菅井きん…愛子の4つ下。6月で52歳。

イネ:岸輝子…お敏の母。結婚3回目。

 

夜、鶴家でイネの歌声が聞こえる。

♪…のうて 夜逃げは つらか

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この間お敏さんも歌ってたけど、同じ部分が無音だった。

 

亀次郎「お敏」

 

⚟イネ「はい!」

 

亀次郎が台所に行くと、イネが縫い物をしていた。「なんだ、おばあちゃん一人か?」

イネ「はい! 何かご用でしょうか」

 

お敏は朝が早いからと寝てしまった。亀次郎はイネが起きていて、お敏が寝ていることに驚く。タバコがなくなってしまい、武男の部屋か、隣のうちにはあると思い、お敏に見てもらおうと思っていた。お敏ならタバコ持ってるもんね。イネがタバコを取りに行こうとすると、いいんだと座らせた。

 

イネ「でも、タバコがないとおつらいでしょう?」

亀次郎「まあ、なきゃないほうが体のためにいいんだ」

 

イネはお茶を入れると言い、亀次郎は番茶でいいと気遣う。

 

今は深夜12時過ぎ。秋子のオーストラリア行きの見送りに行った愛子たちがまだ帰ってこない。外国行きの飛行機は正確に飛び立つ方が珍しいくらいだと亀次郎が言う。

 

イネ「私は、また飛行機ぐらい速いものはないと思っておりましたよ」

亀次郎「いや、飛べば速いんだが、なかなか飛ばないんだ。まあ、用心深いのに越したことはないがね。やっぱり帰ってくるまでは心配だよ」

イネ「そうですとも。親の心、子知らずですよ」

秋子はニコニコ出かけて行ったとイネが言う。

 

亀次郎は茶の間で一緒にお茶を飲もうとお茶セットを持って移動。あんたのお茶碗も持ってきなさいと言われて、「はい!」と返事。イネさんは返事はめちゃくちゃいい。

 

イネ「さてさて、どうせ茶碗を持っていくなら茶碗酒のほうがいいからね」

自分の茶碗に酒を注いで、つぎすぎちゃったよとひと口飲む。

 

洋二「おばあちゃん、まだ起きてたの?」

 

亀次郎と洋二は留守番? イネに亀次郎が茶の間にいると聞き、向かう。

 

茶の間

洋二「お父さん、寝てればいいのに」

亀次郎「気になって寝られやしないよ」

イネ「洋二様もお茶をあがりますか?」

洋二「そうね」

 

洋二が自らお茶碗を持ってこようと席を立った時、亀次郎はイネの茶碗にお茶を注いだ。

イネ「おやおや、せっかくの寝酒がお茶になっちゃいましたよ」

亀次郎「お酒をついできたのか?」

イネ「お茶だと眠れなくなっちゃうんですよ」

 

戻ってきた洋二。「みんな寝損なっちゃいましたね」

亀次郎「おい、洋二。おばあちゃんにお酒を持ってきてあげなさい」

 

イネは遠慮し、お酒もお茶も同じような色だと飲もうとするが、亀次郎はお酒は祝い事に使うから、お茶の入ったお酒なんか縁起でもないと止める。イネは飲むのをやめ、洋二が捨ててきてあげると言うが、イネは私のお酒ですからと立ち上がり、どんな味がするのかしら?と結局は飲んだ。

 

イネ「ああ、まずい。こりゃやっぱり墜落するより捨てたほうがいいですよ」と言って、台所へ。

 

洋二「嫌なこと言うんだな、おばあちゃんは」

亀次郎「大体、今度の旅行は初めからケチがついてんだ。行くはずの人が急に病気になったり」

 

台所

イネ「だけど、捨てるのももったいないから、なんか煮物に使えないかしら」

飲み干した方がいいって!

 

インターホンが鳴る。敬四郎が家に入ってきた。洋二も表玄関を開けて迎える。亀次郎はイネにみんなおなかが減ってるから、お敏を起こしてきなさいと命じる。裏玄関を開けて出ようとしたイネだったが行くのをやめた。お敏さんは隣の別宅に部屋があるんだっけ。

 

表玄関

愛子、武男が入ってきた。飛行機が1時間半も遅れたと言う。幸子、かおるも入ってくる。愛子はイネが起きていることに驚く。

 

台所

お盆の上に置かれた湯飲みを前にイネは数を数える。「旦那様と奥様と武男様はハンサムで洋二様と秋子様は行っちゃって、三郎さんのおっちょこちょいと敬四郎さんはかわいくて、おっと、幸子さんを飛ばしちゃったと」

 

お茶セットを持ってきた幸子に突っ込まれると、数えないと人数が分からないとイネが答えた。

 

幸子「8人よ。秋子姉さんが行っちゃったから」

イネ「ああ、そんなふうに引き算でいくといいんですね」

幸子「手伝ってあげるわ。ねえ、これ捨てていいんでしょ?」とイネの茶碗に手を伸ばすと、イネが慌てて止め、変な味ですけどねと飲み干した。

 

イネ「ああ~、これこそ”おちゃけ”って言うんじゃないでしょうかね。やっぱりポーっときましたよ」

 

裏玄関

洋二「お前の車庫入れは乱暴だよ」

三郎「うまいんですよ。一遍で入っちゃうんだから」

洋二が外へ出たのは車庫入れの手伝い?

 

茶の間

洋二「みんなお茶漬けぐらい食べるの?」

すでにくつろいでいたかおる、敬四郎、武男が食べたいと言う。愛子は夜中だからやめとく。しかし、いただいた京都の佃煮があると教えた。洋二はお茶を持ってきたイネにお茶漬けの準備を頼む。

イネ「はいはい! すぐ支度します」

 

台所

三郎はお茶碗を用意し、洋二は京都の佃煮を探す。三郎によると鯛の尻尾もひと切れある。冷蔵庫じゃない方向を見てるから戸棚とかに入ってるのかな。普段は女がやれよというタイプの三郎なのに珍しい。

 

茶の間

亀次郎「お敏はどうしたんだね」

イネ「はい! 起こすのをやめたんですよ。どうせ寝ぼけて起きてきたってしょうがありませんからね」

愛子「おばあちゃんを起こしておいて自分は先に寝ちゃったの?」

イネ「寝かしちゃったんですよ。もう眠くて椅子ごとひっくり返りそうになっていたんですからね」

武男「疲れたんですよ。今夜の夕食は大変だったから」

イネ「すぐごはんをお持ちします」

 

イネが飲酒後だったからか、しゃっくりをした。イネが酒を飲んだことを知っている幸子だけがくすっと笑う。こういうの細かい。

 

軽井沢からみんなで帰ってきて、家にいた武男と秋子と合流して、夕飯を食べて、空港に行ったということか。イネさんが秋子がニコニコしてたって分かってるだもんね。しかし、洋二が家にいたとして、武男が運転して三郎と2台で行ったのかな?

 

亀次郎「あんなにしょっちゅう口ゲンカをしていてもあれでやっぱり親子なんだな」

愛子「それにしたってお母さんを起こしといて自分が先に寝ちゃうなんて」

 

こうしてイネの株が上がるのは納得できない。はたから見てればイネさんは面白おばあちゃんなんだろうけど、お敏さん、ああいう母親で相当苦労してきたし、恥ずかしい思いもしたと思う。

 

かおる「ほんとに親みたいな気がしないのかしら」

幸子「あんな親子見たことがないわ」

敬四郎「そうでもないんじゃないの。まだいいほうじゃないの」

武男「母親をぶん殴る息子だってあるんだからな」

幸子「息子ばっかりじゃないのよ。娘がお父さんをぶん殴ったって、この間聞いたわ」

愛子「まあ、あきれた」

 

かおるはその点、うちのお父さんは顔見ただけでそんな気が起きないと言い、敬四郎もそうかなと亀次郎の顔を見る。

亀次郎「かおると敬四郎がいちばんいけませんよ」

愛子も武男も亀次郎をバカにしたような発言をしたかおると敬四郎を注意する。

 

三郎がおひつ、洋二が茶碗を運んできた。

 

亀次郎「お前がそういうふうだから子供たちがまねをするんだ」

愛子「お母さんがごはんつけてあげますよ」←華麗にスルー。

 

亀次郎「そんな簡単には寝られませんよ、今日は」

愛子「じゃあ、お父さんも1杯あがりますか?」

亀次郎「食べますよ」

三郎「じゃあ、鯛の尻尾がありますよ。お父さんのに」

武男「バカ。わざわざ尻尾ってやつがあるか」

愛子「ひと切れありますって言えばいいのよ」

三郎「それもそうですね」

 

軽井沢の回で幸子が給仕したり、風邪で行けないかもってなったときには(女手一人で)大丈夫?と聞いたりしてたけど、普通に男性陣もやってるね。何なら亀次郎だってやるときはやるからね。それより時代が後の橋田ドラマは特に長男など家では一切動きません。というか母親が大事な息子に家事など絶対やらせません。

 

愛子「さあさあ、黙って食べなさい」

亀次郎「黙って食べなくてもいいですよ」

愛子「あら、そうですか」

亀次郎「こうやってワヤワヤ食べるのが楽しい食事というんですよ」

イネ「ほんとににぎやかで結構ですわ」

 

敬四郎はおばあちゃんの食事だって、いつもお敏とケンカしてる分、にぎやかだと言うが、イネは腹が立ってにぎやかなんてもんじゃないと言う。愛子は子供たちからご飯を持って、亀次郎の茶碗が足りなくなり、イネが取りに行った。

 

みんなで「いただきます」

愛子「これだけの頭数が毎日三度三度ごはんを食べるんですからね」

亀次郎「そんなことは当たり前じゃないか」

愛子「当たり前だけど、お父さんがつくづく大変だと思うんですよ」

 

亀次郎はイネに寝るように言い、イネはお先にと席を立とうとしたが、亀次郎にさっきの寝酒は飲んだか聞かれた。

イネ「ありゃ”おちゃけ”になっちゃいましたよ」

亀次郎「じゃあ、台所でひと口飲んでから寝なさい」

イネ「あら、いいんですか?」

亀次郎「いや、今日はおばあちゃんがいちばん大変だったからな。遠慮することはないよ」

イネ「はい! いただきます」立ち上がり「やっぱり出世する人は違いますよ。惚れ惚れしますよ」とクネクネ。

 

調子いいよね、とかおるはあきれ気味だけど、敬四郎はあれだから若いころモテたんだと納得。「大抵の男はコロッと参っちゃうよな、あの手でこられりゃ」と三郎。

 

愛子「お父さんもコロッとしたんですか」

亀次郎「バカなことを言いなさい」

愛子「だって惚れ惚れするって言ってましたよ」

亀次郎「それは昔のお前のことですよ」

愛子「違いますよ。お父さんのほうですよ」

敬四郎「そうそう」

三郎「確かそうでしたよね」

愛子「決まってますよ」

亀次郎「だけどだよ…」

愛子「だけどじゃありませんよ」

武男「全く我が家ときたら真夜中にこれなんだから」

洋二「ちょっとした原宿族ですね」

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竹の子族的なのじゃなくて暴走族的なもの?

 

幸子「これでお父さんが怒鳴りだしたらオートバイの代わりよね」

かおる「そういや似てんじゃない?」

敬四郎は馬力が似てると言い、三郎はダットサンだと言う。幸子と敬四郎はトラックだと盛り上がる。やっぱり日産車を出してくる。

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イネは茶碗酒を持参して、この辺に座らしてくださいなと茶の間に戻ってきた。おばちゃんここ入んなよとかおるがずれる。一人で台所で飲んでてもつまんないというイネに佃煮や鯛の尻尾を勧める三郎。

亀次郎「こら! それはお父さんが食べてんじゃないか」

 

イネさんに甘い亀次郎でも譲れない鯛の尻尾。

 

翌朝、裏玄関の戸が開いたまま。食器を洗う音に「台所にいるのはお敏かい?」と話しかける亀次郎。「どうして頭の悪いやつは耳まで悪いんだろう」。

 

台所にいたのはイネ。「あっ、おはようございます」

一家の責任を持ってるとそうそうのんきに寝ていられんよと早起きした亀次郎。お茶をお出ししましょうかというイネに歯を磨いてないから水でいいという。イネは冷蔵庫から水の入った容器を取り出す。

 

亀次郎「お敏はまだ寝てんのか?」

イネ「すいません。あの子はどうしてああ寝坊なんでしょう。やっぱり苦労が足りないんでございますよ」←またそういうこと言う。

亀次郎「ゆんべはあんたより先に寝ちゃったくせに」

イネ「そんなこと当たり前みたいな顔してますよ」

亀次郎「少しでも親に楽をさせようと思わないのかな。全く」

 

亀次郎にコップの水を渡したイネは「やっぱり亀の甲より年の功でございますよ。若いもんときたら自分が楽することばっかり考えてるんですもんね」とどや顔。

亀次郎「楽あれば苦ありっていうことを知らないんだ」

イネ「ずるくずるく世渡りしようとするんですからね」

亀次郎「そのほうが頭がいいと思ってるから始末が悪いよ」

 

イネは頭が悪いばっかりに3人も亭主をかえたと語りだし、私がずるくて亭主を乗り換えたんじゃない、亭主のほうがずるくて怠けもんで、その上、ケチの大酒飲み。よくもあんなもんに惚れた。「あきれてものが言えませんよ」はよく亀次郎が使うフレーズ。

 

亀次郎はせき込み、イネは話を続ける。女は初めにつまずいたらダメ、初めにあの六さんと一緒になれていたらこんな惨めな思いはしなかった、それが不幸の始まり。六さんはそりゃもういい男で、すれ違って振り返らない娘がなかった。イネとは好いて好かれる仲だった。ポーっとして熱いのなんのってとアクション付きで語るイネを見て、ニコニコの亀次郎はもう1杯水を求める。

 

イネは六さんと一緒になれず、三日三晩泣き続けて痩せた。亀次郎は遠い昔の懐かしい話だと思っているが、イネにとっては昔話ではなく、今、六さんが独りもんで生きて、近くにいると知ってから、切ないやらつらいやら。それで今の夫とはうまくいかない。ウドの大木のくせにやきもちだけは一人前。帰るつもりのないイネ。夫の肩には中途半端な入れ墨がある。まだ色をさしてない紅葉の葉っぱ、イネはあれが嫌で嫌で何べんかみついてやったか知れない。ヤクザな男ってホントのヤクザ?

 

六さんはもういい年なんだろ?と聞いた亀次郎に、イネは旦那様は六さんに似てると言う。目はパッチリと色白でどっかおっかないようで優しくて、男の中の男は違う。亀次郎も思わずにやつく。

 

イネ「肩の辺りの頼もしいこと。ほんとに奥様は幸せ。昔は随分振り返ったんじゃないんですか、若い娘が」

亀次郎「いや、そりゃまあ。いや、今でも振り返るよ、男も女も」

イネ「あらやだ、旦那様ったら」

 

今振り返るのは大声出してたからとかそんなじゃないの?

 

ふすまが開き、愛子が起きたことに気付いたイネ。亀次郎は朝食の準備とお敏を起こすよう頼んだ。

 

イネ「♪逢いたさ 見たさに 恐れを忘れ」歌いながら食器を拭いている。

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この回でもかおるが歌っていた。

籠の鳥

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結構長くイネの六さん語りだった。

 

茶の間

朝ご飯を食べる亀次郎。「いや、天気はいいし、秋子の飛行機も無事に飛んでるだろう」

愛子「でも日本の天気とは違いますからね。もうマニラに着くころじゃないんですか」

亀次郎「よくもよくも遠くへ出かけたよ。フッ、秋子も偉くなったもんだ」

愛子「それにしても牧場の見学団なんて、いろんな団体旅行があるもんですね」

亀次郎「そのうち、わしたちもどっかへ出かけるかな」

愛子「いつのことやら。そんなのんきな身分になれるのは」

亀次郎「お前がその気にさえなりゃいつだって出かけるさ。武男を留守番にして洋二か三郎を通訳に連れていきゃいいんだ」

愛子「そんなこと言ったら洋二も三郎も大喜びですよ」

亀次郎「そうさ。いや、これからの若い者はどんどん外国を見てこなきゃダメだ。こんな狭い日本の中でものを考えていちゃ遅れちゃうよ」

 

グローバル亀次郎。愛子がその前に武男さんのお嫁さんのこともあると言う。この間、ツイッター(Xなんて言わない)で愛子は長男である武男だけがさん付けだと指摘してる人がいて、確かに! 

 

愛子は子供が責任持てばいい、親が難癖つけることないと言うが、亀次郎は子供のことを思ってのことで難癖ではないと言う。

愛子「武男さんだって好きな人があるんですよ」

亀次郎「何? 好きな人がある?」

愛子「とっくの昔ですよ。好いて好かれて愛し合ってるんですよ」

亀次郎「おばあちゃんみたいなこと言うな。何が六さんだ、ろくでもない。好いた惚れたでお嫁さんが決められるか」

 

秋子について、亀次郎はもうちょっとマシな男はいないのかと言っている。

愛子「神尾さんなら立派なもんですよ。テレビ局だって一流だし。何が気に入らないんだか私には訳が分かりませんよ」

亀次郎「うるさい! ごはんをつけなさい」

 

愛子はごはんを盛りながら「親が分からず屋だと子供がかわいそうですよ」と言い、大盛りご飯を渡した。

 

神尾は羽田まで見送りに来て初めての海外旅行は僕も一緒に行きたかったなと言っていた。

亀次郎「あんな下っ端が外国へ行けるか」

愛子「神尾さんは新婚旅行で行きたかったんですよ。食堂のおかみさんだって香港くらい行く世の中ですからね」

亀次郎「じゃあ、飯屋の娘を嫁さんにすりゃいいんだ。ヘッ、たかがよろめきドラマの助手じゃないか。もったいなくてうちの娘がやれるか」

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不倫ドラマ…この中には「岸辺のアルバム」のことも書いてある。

 

愛子「そんなこと言うんなら、あなた、昔、なんだったんですか」

亀次郎「うるさい! 人が一生懸命食べてるのに。なんだ、この山盛りは」

愛子「人間の価値は将来で決まるんですからね。あなたが見込みのない土方だったら、私だって一緒になるもんですか」

亀次郎「それ、見ろ。お前だって惚れたんじゃないか。好いて好かれた仲ですよ」

愛子「いやらしい。おばあちゃんみたいなこと言わないでくださいよ」

 

お敏「はい! おはようございます。おばあちゃんをお呼びでございますか」

亀次郎は今頃起きてきてとムッとしているが、お敏はゆんべも起こしてくれるようにイネに頼んでいたのに忘れて朝までぐっすり寝ていたと言うが、亀次郎も愛子もあきれ気味? お敏はおみおつけのお代わりを持ってくるとお椀を手にした。「ワカメだって頭の毛にいいんですからね」。まあ、進藤英太郎さんは年の割にまったく薄くなく黒々としてんだけどね。

 

愛子は子供たちの結婚は自由にさせてやると武男を起こしに行った。亀次郎はイネやお敏に起こさせればいいと言うが、愛子にひとりで食べるのが寂しいんですかと見抜かれる。

 

亀次郎「バカ者! お前なんかいんほうがせいせいするよ」

愛子「そんなら1人でガツガツ食べててくださいよ」

亀次郎「何がガツガツだ。自分のことは棚に上げて。今でこそ奥さんで澄ましているが自分だってヨイトマケもくず屋もしたくせに」

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おみおつけを持ってきたお敏に文句を言う亀次郎。まだ減ってないご飯を盛ろうとして「こら、バカ! 馬や豚じゃないんだぞ」と怒鳴られる。

 

武男の部屋

まだパジャマ姿の武男はそんなにだらしのない男じゃないと待てなかったら最後の手段があると言う。イネが紅茶を持ってきた。武男はおばあちゃんの情熱でいくと語り、片桐さんのためにお父さんと戦うと宣言。イネは武男と六さんはそっくり。誰だってすれ違ったら振り返ると亀次郎に言ったのと同じことを言う。

 

亀次郎がドアの向こうで愛子を呼んでいる。イネには三郎、敬四郎を起こすように言い、どうして?という愛子に「どうしてじゃありませんよ。軽井沢が1泊になったから北海道へ連れてってやるんですよ」と言いだす。牧場の見学。秋子がオーストラリアの牧場に行くから、他の子供たちは北海道。武男にホテルを調べるよう命じた。

 

お前はしっかりしないといけませんよと武男に言い、なんだだらしのないとまだパジャマ姿の武男をとがめる。「愛子、お茶!」と部屋を出て行き、一人残された武男はシャドーボクシングみたいな動きをする。(つづく)

 

秋子はもちろん、前回は出番なし、今回は最後にちょっとだけという菅井きんさんはもしかしたら香山美子さん同様他の仕事が忙しかったのかもね。次回の北海道旅行もまたお敏は出番なしかも。

 

監督の川頭義郎という名前はオープニングの最後に毎回のように出てくるから何となく覚えてはいたけど、さっき別のことを調べようとして偶然、川津祐介さんの実兄と知りびっくりした。どちらも「かわづ」と読み、川津は芸名。川頭義郎さんは1972年に46歳の若さで亡くなっている。昔のほうが家族とか親戚の勧めで芸能界に入ったという話が多いのかな。