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【ネタバレ】木下恵介アワー「おやじ太鼓」 #3

TBS  1968年1月30日

 

あらすじ

高円寺で気楽な一人暮らしを楽しんでいる亀次郎の義姉・正子。今日は正子が秋子に縁談を持ってきた。彼女は大変に口うるさく、食べ物のことにまで口出しをする。そのため鶴家にとっては、いささか煙たい存在だ。そこに不機嫌な亀次郎が会社から戻ってきて…。

2023.7.14 BS松竹東急録画。11話までモノクロ。

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鶴家

亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。2月5日で61歳。

妻・愛子:風見章子…5月で56歳。

長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社で働いている。3月3日で30歳。独身。

次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。

長女・秋子:香山美子…神尾光という恋人がいる。

三男・三郎:津坂匡章(現・秋野太作)…二浪して大学生。

次女・幸子:高梨木聖…女子大生。4月から3年生(20歳)。

四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。

三女・かおる:沢田雅美…4月から高校生。

*

お手伝いさん

初子:新田勝江…2月10日で30歳。

お敏:菅井きん…愛子の4つ下。

 

インターホンの呼び出し音が鳴る。「高円寺ですよ」。もちろん高円寺という名字の人ではありません。お敏と初子は3時過ぎにようやくお昼を食べて一息ついていたところに高円寺の奥さんが来たので慌てる。愛子は高円寺のおばちゃんと言ってる。お敏に何かお茶菓子はないかと聞き、コーヒーをいれるように言う。

 

愛子は一人で退屈してたのと迎えるが、高円寺の伯母さん・正子(小夜福子)は忙しくて忙しくて貧乏暇なしと語る。家に入るなり初子にインターホンの上が汚れてるだのいちいち嫌味くさい。砂埃がすごいから表に水を撒いとけとも言う。

 

正子はこたつは暖房費がもったいない。愛子が留守番だから仕方ないと言うと、「まるでお金にくるまって留守番じゃないの」とチクリ。すごい表現。お敏が羊羹を持って来た。お敏が愛子にどら焼きはなかったと言うと、正子はそれも食べたかったと言う。とにかくお腹が空いたとうな重と肝吸いを頼んだ。

 

正子はアパートの経営をしていて、単身者と子供のいない夫婦に限って貸している。この頃は赤ん坊の方より若い人がうるさい、テレビ、ステレオ、あげく自分まで歌い出す。「あの…みたいな歌を」。あからさまにセリフが消されてた(どうやらキ〇ガイらしい)。男の子は女の子を連れ込むし、逆もある。今は女の子の方が積極的。

 

夫を亡くして亀次郎にアパートを建ててもらった。いつか恩返しをしたいわと話す。愛子は義姉さんと呼び掛けているので、亀次郎の兄嫁だろうか? 正子が今日来たのは秋子の縁談を持ってきたと言う。とびきり上等な話だといい、上等な羊羹をもらいに行くと席を立とうとした。もうすぐうなぎが来ると愛子が言うとうなぎと羊羹は別腹と返す。

 

お敏と初子が台所?でどら焼きを食べていると正子が顔を出した。悪くなりかけていたから…とごまかすお敏。羊羹も食べていて、正子はうなぎとどら焼きは別物ですよとお敏たちにも言う。

 

インターホンから三郎が初子に「何かうまいもの持って来てよ」と呼び掛けた。正子がインターホンに出て「うまいものはみんな女中さんが食べちゃいましたよ」と答えた。すぐに初子からもインターホンから連絡があり、三郎はうまいものとコーヒーを要求する。本宅と隣の家もみんなつながったインターホンなのか。隣の家との連絡は楽だね。

 

隣の家に三郎と幸子がいる。三郎がギターを弾き始めるので幸子が怒る。一服ばかりしている三郎にのんきねえと嫌味を言う幸子。兄さんは3年生になれるの?と幸子に聞かれる。三郎は二浪して2年生? 「やあよ、私が3年になって兄さんが2年生だなんて」。幸子はこの前成人式だったら同級生だよね? 一緒の大学。

 

お菓子を運んできた初子から正子がうな重を頼んだと聞くと、幸子は私たちも食べたいと言い出す。三郎、幸子、ちょうど帰ってきた敬四郎の3人分のうな重と肝吸いを頼む。うーん、おやつ代わりなのかな? 贅沢。家を出る時、「私だってたまには食べたいんですよ」と一人つぶやく初子。

 

正子は子供がいない。7人いるなら1人出来の悪い子でいいと言うが、愛子は敬四郎はいちばん頭がいい、無試験で入れるような顔してる。哲学志望。三郎が二浪したのは学校が悪い。授業料値上げ反対、安保闘争でろくに勉強ができなかった。正子に授業料値上げは去年で安保闘争はもっと前とつっこまれると、じゃあ羽田事件だったかしらと愛子。幸子もかおるもとても頭がいいと褒める。

 

羽田事件は1967年10月8日

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正子の話は秋子の縁談。代議士の息子なので、政治嫌いの亀次郎がいい顔しないだろうと愛子は言う。正子はご恩返しのつもりだし、秋子だって26なんだからぼつぼつ片付かなくちゃと引かない。

 

亀次郎はいつもより早く帰ってきたがすこぶる機嫌が悪い。初子が玄関の銅羅が鳴らす。

 

玄関にうな重が届く。「バカ者! 贅沢は敵だ!」と亀次郎は怒鳴る。「ニキビができるよ、思春期のくせに」とそっちの心配? 愛子は構わず子供たちにうな重を持って行くように行く。愛子さんのこういう強さ好き。

 

亀次郎のもとに三郎たちがわざわざおかえりなさいと言いに来て、頭を下げた。愛子はうちの子を見ていると他の子供が見劣りして見えると話す。

 

正子が持ってきた秋子の縁談が政治家の息子だと知ると、うそつきの政治屋なんか、わしゃ大嫌いだ!と亀次郎がますます怒る。

 

機嫌が悪い理由は亀次郎の会社のトラックが道いっぱいに丸太を転がせて、3人もケガ人を出してしまったことだった。

 

うな重を食べている三郎たち。食べ終えて幸子は自室へ。幸子のことを「頭がいいときてるから、なおいけないよ、男性にとっては」と敬四郎。三郎も敬四郎も食後の一服。タバコを勝手に吸おうとした敬四郎に「兄弟は他人の始まり」と言う三郎の言葉から幸子姉さんを片付けようと言う敬四郎。おばちゃんにあげちゃおうという話をしていると、正子が三郎たちのいる部屋に来た。

 

亀次郎を避けて隣の家に来た正子に敬四郎がタバコをせがむ。「いこい」だけどいい?と正子。昔は男女ともに喫煙率高い。三郎が敬四郎が正子の家の子になりたいと話し、敬四郎は僕じゃなくて幸子姉さんだと否定する。喜ぶ正子だったが、そこに亀次郎が来て、もう一度縁談を断るようにガミガミ。(終)

 

初登場の正子さんで1話。なかなかくせ強伯母さん。小夜福子さんはタカラジェンヌから劇団民藝へ。「原爆の子」にも出てたんだ。亀次郎も「おばちゃん」と言ってたけど、結局、亀次郎の亡き兄の妻という解釈でいいのかな?

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今日は子供たちは三郎、幸子、敬四郎のみ出演。昔のドラマには子沢山夫婦の他に子供のいない夫婦というのも一定数出てくるね。「道」もわかの子供は4人で郁にはいなくて…。何か意図があるんだろうか?

 

亀次郎も愛子もすごく子煩悩。あんなに子供を褒める親、滅多にいないよ。それと女の子にもちゃんと教育受けさせてるしね。男の子は大学に入れても、女の子は高卒で結構という家じゃないのもいいね。