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【ネタバレ】木下恵介アワー「おやじ太鼓」 #15

TBS  1968年4月23日

 

あらすじ

敬四郎は予備校に通っているが、勉強に全然身が入らない。一足先に社会人となった高校時代の同級生は、新生活を楽しんでいるようで羨ましい。夜な夜な浪人仲間と出かけて公園で勉強するが、アベックの隣になってしまい、何とも居心地が悪い。

2023.8.1 BS松竹東急録画。12話からカラー。

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鶴家

亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。2月5日で61歳。

妻・愛子:風見章子…5月で56歳。

長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社で働いている。3月3日で30歳。独身。

次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。28歳。

長女・秋子:香山美子…出版社勤務。26歳。

三男・三郎:津坂匡章(現・秋野太作)…二浪して大学生。

次女・幸子:高梨木聖…女子大生。1月の成人式に出席。

四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。

三女・かおる:沢田雅美…4月から高校生。

*

お手伝いさん

初子:新田勝江…亀次郎と同じ誕生日2/5で30歳。

お敏:菅井きん…愛子の4つ下。6月で52歳。

*

杉本:池田二三夫…敬四郎の浪人仲間。

 

脚本・山田太一

 

今日はキャストクレジットで初めて見かける名前が多い。

 

西城学院予備校

講師「我々は生きんがために食うのであって食わんがために生きるのではない」

生徒「We eat to live not live to eat」

 

講師「我が国の発展は主として君たち青年の努力いかんによる」

「いかんによる」を尋ねられるが答えられない敬四郎と隣の席の杉本。その隣のいかにもガリ勉っぽい眼鏡に学ランの男が「depend on」と答えた。

 

終業のベルが鳴り、今度はこの続きをやると講師が告げるが、このぐらいでおたおたしちゃ来年も危ないぞと敬四郎を指す。杉本は先ほど答えた学ランの男に思い切って英作文のことを聞いてみるが答えてくれなかった。この学生、岡本富士太さん。私はなぜか熱心に見ていた記憶もないのに「中学生日記」の先生役として記憶している。講師役は有馬昌彦さんかな。

 

杉本は嫌々予備校に通っている。学歴より実力で生きてみせると父親に啖呵を切ったものの「そんなに実力見せたいなら入学試験で見せろ」と答えられた。きっと杉本の家もそれなりに金持ちなんだろうな。

 

まだ授業がすべて終わったわけではないが、杉本は新宿に誘う。

 

新宿駅東口の百果園前が映し出される。

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コロナ禍で店はなくなったらしい。でもつい最近まであったのね。

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コマ劇場の看板。都電が走る道。

 

敬四郎と杉本が行った喫茶店で平岡という青年と再会。平岡はユリ子という女性連れで敬四郎と杉本は他に席がなく相席した。平岡は高校時代の同級生で工場勤めをしていて、初任給はまだ出ていないものの、母に前借していいスーツを着ていた。

 

やっぱり敬四郎はこの間まで高校生だったってことか。高校生らしさ皆無だったのにな~。かおるとは3学年差。

 

平岡とユリ子は鎌田で出会った。駅前でキョロキョロして一人でいたユリ子に声をかけたと言う。

平岡「何飲む? コーヒーか? おごってやるぜ」

杉本「コーヒー代ぐらいはあるよ」

平岡「そりゃそうだよな。金持ちの息子だもん」

やっぱりそうか。

 

平岡はコーヒーを2つ注文するとさっさと席を立ち、今度飲みに行こうと名刺を渡して、金があるならついでに頼むと自分たちのオーダー分も押し付けて帰ってしまった。実社会へ出たせいか変わってしまったと話し合う敬四郎と杉本。

 

ウェイターから相席よろしいですか?と話しかけられ、カップルが席に着いた。ウェイターが柏木隆太さん。カップル…いや、この時代はアベックというのか? 男の方は篠原靖夫さんかな。

男「何、お飲みになりますか?」

女「あなたと同じでいいわ」

男「ミルクセーキなんかいかがでしょうか?」

女「ええ」

男「卵も入ってるし、栄養もあるし」

女「ええ」

男「コーヒーなんて百害あっても一利なしですからね」

女「ええ」

 

アベックの会話を聞いていた敬四郎はムッとして杉本に出ようかと話した。そこに敬四郎たちの注文したコーヒーが届き、ミルクも砂糖も拒絶して苦いブラックコーヒーを無理して飲んで、向かいに座ったアベックに鼻で笑われた。

 

電車に乗って帰る敬四郎と杉本。さっきの英作文について敬四郎は「兄貴は俺以下だけど女のほうは割とできるんだ」と姉さんに聞き、杉本に電話すると約束した。

 

本宅の裏口から家に入る敬四郎を初子が出迎えた。お敏たちのいる台所へ。愛子は布団皮を見てくると出かけていた。

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布団カバーとは違うのね。

 

敬四郎「ふ~ん、誰もいないの?」

お敏「いますよ。お敏さんと初子さんが」

 

お敏と初子はおいしいかのこを食べていた。1個残っていたのは初子のとっておき。敬四郎はさすがに横取りすることはなく、もう帰っているというかおるの部屋へ行く。

 

かおるの部屋

ラジオから歌が流れている。

 

♪星が知ってる すてきな恋

だけど言いましょう さようならと

 

歌詞検索したけど出てこなかった。

 

テーブルの上のシュークリームを勝手に食べた敬四郎だったが、目を覚ましたかおるは特に怒ることもなく世間話に応じている。勉強の邪魔だから出てってとかおるに言われても、黙ってここにいるからいいじゃないかと出ていこうとしない敬四郎。数学の勉強を見てほしいと言うと、さすがに部屋を出ていった。

 

階段を下りてきた敬四郎は何となく広間を見るが、大きな花瓶に生けた花を持って歩いていたお敏に「お母様はまだですよ」と言われる。

 

インターホンが鳴り、慌てて敬四郎が出ると幸子が帰ってきた。おなかがすいたという幸子にシュークリームを勧めるが、幸子が食べたいのはご飯。「初ちゃん、おなかすいた」と台所の扉を開けた。幸子のためにおかずを探す敬四郎。

 

お敏は敬四郎が1人でつまんなくてウロウロしていると幸子にバラす。幸子に勉強のことを聞くが、簡単に人に聞いちゃダメと答えてくれない。幸子と敬四郎のやり取りを見て笑ってしまうお敏と初子。

 

お敏「ほほ笑ましくて微笑してたんです、ねえ?」

初子「ほんと」

敬四郎「微笑って顔じゃないよ」

初子「杉本さんと敬四郎さんってほんとに仲がよくって今時珍しいって羨ましがってたんですよ」

敬四郎「女は魔物だからね」

 

お茶漬けの用意をしてもらった幸子と敬四郎。干物は一つで姉さんにと言っていたが、勉強を教えてくれないとなると自分のものにした。

幸子「あっ、どら息子ね、全く」

 

電話が鳴り、敬四郎が杉本だと思って電話に出ると、松本という男から幸子あてにだった。委員会でメーデーの方針が決まり、その結果を聞きに行くと出かけようとしていて、お茶漬けもあげると言う。メーデーまで7日もあるから慌てることはないと引き留めるが、やっぱり出ていった。

 

また独りぼっちですねとお敏と初子に言われた敬四郎はお茶漬けはお敏さんにあげるよと出ていった。

 

初子「よしなさいよ、あんまりからかうの」

お敏「ムキになったらおかしくって」と笑い合う。

 

初子とお敏がお茶漬けを食べていると、敬四郎が杉本に電話している声が聞こえた。杉本も不在。

 

♪ひとりだと淋しくて

君の笑顔を 思い出す

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この回でも歌っていたあおい輝彦さんの「僕の秘密」という曲。

 

♪思い出す

毎晩 眠れない

I love you

 

歌いながら別宅に入り、インターホンを押したまま歌う。

お敏「はい!」

敬四郎「♪I love you」

お敏「は? なんでございますか?」

敬四郎「なんでもないの」

 

♪I love you I love you

I love you I love…

I wan'na tell you my Hidden Secret

 

自室に戻った敬四郎はノートを広げる。

「我が国の将来は主として君たち青年の努力いかんによる」

 

初子が銅鑼を鳴らす。玄関に集まるお敏、愛子、かおる、洋二。

亀次郎帰宅。「なんだ、だいぶ歯が欠けとるじゃないか」

出迎えなんかいいから勉強しろと言っていたと愛子が反論するものの、「理屈どおりにはいかんよ。顔を見たくて帰ってくるときだってあるさ」と少々ご立腹。全員揃ったところが見たかったらしい。ズカズカ家に入り込む亀次郎。

 

かおる「ヒットラーみたいね」

洋二「顔が見たいなんていいところあるよ」

 

亀次郎の着替えを手伝う愛子は会社で何かあったのか聞く。

亀次郎「なにんもなくたって親ってものは子供を見たくなるもんだ」

愛子「いやに心細いじゃありませんか」

亀次郎「先細りはお前だよ。しっかりしなさい」

ワイシャツの第一ボタンが外せず面倒がってボタンを取っちゃう?

 

亀次郎はかおるを呼んで、三郎と敬四郎を呼ぶように言う。

かおる「はい、パパ。分かりました、パパ」

亀次郎「わしはパパなんかじゃないぞ。日本のお父さんだ!」

 

茶の間

亀次郎所望の苦いお茶を運んできたお敏に「苦いのがいいと言えば仕返しでもするように苦いんだから」と言い、お敏はお茶を下げた。

 

出かけていた三郎は勉強はどうした?と亀次郎に聞かれて、まだ試験じゃないからと答えた。

亀次郎「バカ! 学生の勉強が試験となんの関係がある」

三郎「ハハッ、そうですね。関係ありませんね」

亀次郎「関係は大ありだよ。試験のときだけ勉強するんじゃいかんと言ってるんだ」

 

分かりましたと立ち去ろうとする三郎に何が分かったんだと詰問する亀次郎に三郎は「学生の本文を忘れてデモに出たりして…」と言いだし、怒鳴られるとごまかして去っていった。

亀次郎「三郎! 貴様のようなやつはデモでも炭鉱でも行ったほうがいいんだ!」

かおる「デモ行くんですか? 私が」

亀次郎「お前だって行ったほうがいいんです。とぼけたような顔ばっかりして」

 

敬四郎はどうした?と聞かれたかおるは椅子の上にも布団の中にもお便所にもいないと答えた。

 

愛子は敬四郎不在で亀次郎に怒鳴られる。杉本からの電話で、愛子は思い出したように杉本さんのところで勉強してたのねと部屋を出ていく。

 

亀次郎「勉強なんてものは1人でやるもんだよ。女みたいにすぐ寄り集まって」

 

愛子は杉本の母?と話していた。杉本もいないらしい。

 

夜の街。敬四郎と杉本は夜の公園でノートを広げて勉強していた。

敬四郎「『我が国の将来は』っていうのはfuture of our countryかな?」

杉本「countryは田舎だろう? nationじゃないのか?」

敬四郎「our nationか」

杉本「stateかな?」

敬四郎「我が国ってのは俺たちには日本しかないんだからJapanだっていいわけだよな」

杉本「するとfuture of Japanか」

 

グーグル翻訳してみた。

The development of our country depends mainly on the efforts of you young people.

いかがでしょうか?

 

そこへ一組のアベックが。

男「詰めてもらえますか?」

ぎちぎちのベンチ。

 

男「やっとホッとしたね」

女「ええ」

男「離さないよ、君を」

女「私だって」

 

席を立とうとした敬四郎と杉本だったが、男がなぜか「かまいませんからどうぞ」と止める。女性の手を握り、自分の胸に当てる男性。敬四郎は目のやりどころに困る。(つづく)

 

キャストクレジットには役名が書いてないのでどの人がどの人か分からなかった。

千原光春

沢渓

富永瞳

柏田旦子

太田啓子

平岡役の人やアベックの男女とかだろうとは思う。名前で検索して顔の出てくる人は何となくわかったけど、名前すら出てこない人もいた。

 

山田太一さんの脚本だと両親より敬四郎や三郎寄りの視点で描いてる感じ。