TBS 1972年9月12日
あらすじ
駆け落ちをした南(沢田雅美)と道夫(小倉一郎)の行方を捜すため、一郎(山口崇)はしばしば夏目(倍賞千恵子)と会うこととなった。そのころ、熱海にいた南と道夫は、最初の意気込みも失せ、すでに東京に戻るつもりで…。
2024.6.19 BS松竹東急録画。
松田夏目:倍賞千恵子…昼はOL、夜は占い師の28歳独身。字幕黄色。
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松田南:沢田雅美…夏目の妹。19歳。
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新田道夫:小倉一郎…新田家の五男。20歳。
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新田研二:倉石功…新田家の次男。
新田麗子:木内みどり…精四郎の妻。
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新田精四郎:山本コウタロー…新田家の四男。
妙子:西条まり…夏目の同僚。
新田英三:鹿野浩四郎…新田家の三男。
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新田サク:小夜福子…新田家の母。
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監督:中新井和夫
前回ラストの続きから。出勤前に占おうとしていた夏目の部屋を一郎が訪れた。今朝、早く出る用があったもんで…と何か手掛かりがあったか聞いてきた。昨日の今日で何もない、これから会社に出かけると夏目が言うのに「あの、ちょっと上がっていいですか」とズカズカ上がり込む一郎。「まあまあまあ、あの…弟と妹さんのことじゃありませんか。ちょっとぐらい会社を遅刻してもいいでしょう。占ってみてくれませんか?」
夏目「占うんですか?」
一郎「どうぞ。しっかり頼みますよ」ちゃっかり椅子に腰掛ける。
夏目「バカにしていたくせに」
一郎「いや…今日は特別」
一郎も笑顔を見せる。
熱海
岸壁にいる道夫とカールを食べている南。ゆうべは隣がマージャンの音がうるさくて、よく眠れなかったと話す南。道夫の部屋は同額だが、庭もついてる。道夫は夜中に目が覚めて、みんなが心配してることなどいろいろ考えてしまった。誰も心配しないようじゃ、こんなことやっても無駄だと南は言う。
南「ねえ、私たち、やっぱり別々の部屋を取れてよかったわね」
道夫「うん、まあな」
南「やっぱりまともな結婚したいもんね。少し古くさいなんて言われても、そのほうがいいわ。だって、結婚のとき、感激薄いもんね」
道夫は2人だけでここに来てるから、みんながどう思うかな?と気にする。
南「そんなことどうだっていいじゃない。人がどう思おうと。気がちっちゃいのね」
道夫「小さくなんかないよ。バカなこととかなんとか味気ないこと言ったのは君のほうじゃないか。君こそ気が小さいよ」
南「すぐ、そうムキになる。あんまりプリプリすると男が廃るわよ」
歩き出した道夫にお土産を買いに行かない?と誘う南。前は働く覚悟でいろ、すぐ帰る気になるなと言っていた南だったので、道夫は驚く。南は道夫がふらついているから脅かした。「それに、旅に出るときって、誰でもおセンチになるでしょ? 私も妙にこう悲しくなっちゃって。気にしないで」
南はカラッとしようと伊豆一周を提案。
電車に乗って缶のコカ・コーラを飲む道夫と南。缶にストローさして飲んでる。南は下田から船で大島へ行こうと言いだし、道夫は、この調子で結婚したら大変だなとあきれる。南はサンダルシューズも買っていた。
道夫「君のそういう気まぐれなところが結婚早いって言われるの」
南「そうかしら? そうね。そう言われればそうかもしれいないわね」
道夫「ハァ…頼りないな」
新田厨房工事店
機械で作業している研二と英三。麗子がサクのことを捜していた。
英三「あっ、あのね、お花の先生んとこ。夕ご飯の支度は頼むって」
麗子「ええ~。じゃあ、何にしようかな? あっ、ひとつ実験といくかな」
英三「えっ?」
麗子は道夫を結婚させてやらないとかわいそうだと研二たちに言う。精四郎が前に言っていたみたいに給与証明を出して、公団に申し込めるようにしてあげたらどうかしら?と提案。でなかったら、みんながいくらかずつ融通してあげて部屋を確保できるようにする。融通とは無期限、無利子、無担保でお金を貸す。研二はそんなことをしたら甘ったれになるのではと危惧する。
倉石功さんは長身のせいか、周りのバランスを取るために座ってることが多いように思う。長身でも杉浦直樹さんは歩いてるシーンも立ってるシーンも多かったけどさ。それにしたって倉石さんの無駄遣いだな~。
一郎が精四郎を捜していて、麗子が山田さんの家に行ったと答えた。電話のところに「道夫の店 長野 電話」というメモがあり、一郎が意味を聞く。英三が受けた電話でパウロに長野から道夫あてに電話があったが、番号を間違えていて、すぐ切れてしまった。心当たりがあるかもしれないから、一応お知らせしておきますとチーフの佐山が気を利かして教えてくれた。
少なくとも3日は仕事を休んでるのに優しい職場だね。「あしたからの恋」や「たんとんとん」で人手不足で雇用主が従業員に気を遣う場面というのが度々出てきたから、人手不足がまだ続いてるのかな? 道夫も夏目も南もしょっちゅうサボるのに辞めろとは言われないもんね。
一郎は東京に出かけることにした。
夏目の働くオフィス
仕事中の夏目が後ろの席の妙子に南東の方角を聞く。東京駅、もっと範囲を広く遠くだと木場か晴海、その先は東京湾。そして、また夏目あてに私用電話。
喫茶店
一郎「長野には妹さんの行きそうな所ありませんか?」
夏目「いいえ」
一郎「そうですか」
夏目は今朝は15分遅刻した。一郎はサクが駆け落ちなんて絶対あるわけがない、そんなに好き合ってるなら若すぎてもいいじゃないと言うが、そんな意見は無責任だと思うと夏目に話した。
夏目「あなたは、あの2人を絶対許してやる気になれませんか?」
一郎「なれませんね。あんな勝手なマネをして」
夏目「そうですか」
気が小さいと自称する夏目は飛び込み自殺や心中の新聞記事が目について、バカげた想像だと自分で分かっていると言う。
一郎「まったくですよ。バカげてますよ」
夏目「そんなふうに言われると、かえってホッとします」
一郎「クヨクヨするたちなんだな。意外に女性的なんだな」
夏目「意外ってどういうことですか? 私だって女性ですけど」
一郎「あっ、いや、そんな面はかけらもないと思ってたんだけどな」
夏目「あなたって方は、まるで人間らしい感情をお持ち合わせでないんですね」
一郎「ほう、どういうことなんですか?」
夏目「だって、まるで弟さんがいなくなったことが心配じゃないみたいですわ」
一郎「心配してますよ。ただね、僕は、あいつらだって子供じゃないと言ってるだけなんですよ。たかが1日2日いなくなったからって、そんなに騒いだり、おセンチになったりすることはないでしょう」
夏目「私、騒いでなんかいませんわ。でも、心配は心配です。おセンチって言われようと南があんなに言ってるんですから、この際、結婚させたほうがって考えちゃうんです」
一郎「は? なぜ、この際なんです?」
夏目「あなたを見てると、まるで鉄かコンクリートで出来てるみたいですわ。ロボットか何かと話してるみたいです」
一郎「な…まあ、いいでしょう。今日はやめときましょう。しかし、随分、派手に言ってくれましたね。鉄、コンクリート、ロボット。まあ、いくらボロクソに言われてもね、僕の考えは変わりゃしませんからね。失礼します」席を立つ。
お金置いてった? 伝票持ってった?
「太陽の涙」の正司さんだと常にコーヒーのイメージだけど、一郎は今回も夏目と同じオレンジジュースを飲んでたし、ジュース好きだよね!?
大きな旅行かばんを提げたまま、伊豆シャボテン公園へやって来た道夫たち。
南「ねえ、私たちもサボテンと同じになんなきゃダメね」
道夫「えっ? トゲトゲしくなるってこと?」
サボテンが砂漠で生きていられるのは、ラクダと同じでサボテンの中に水をいっぱい貯めている。「あのね、私たちの結婚には反対が多いでしょ?」
道夫「うん」
南「それよ」
道夫「分かんないなあ」←同感
フラミンゴをキレイと指さす南とまだ意味の分からない道夫。
南「つまりね、私たちは砂漠の中で結婚するようなもんなの。だから、それに勝てる勇気ってのがサボテンの水」
道夫「へえ、すごいこと考えてるんだな」
南「フフッ。実はね、そんなのを婦人雑誌で読んだの」
道夫「ハッ、なんだ」
あの山のほうへ行こう、せっかくここまで来たんだから見るだけ見なきゃ損だと南が歩き出した。しかし、新しいサンダルシューズでマメが潰れてしまって休憩。
道夫「シャボテン公園見たからいいじゃないか」
南「あの紅鶴(べにづる)、私、好きよ。変に澄ましてて、うちのお姉さんみたい」
和名は紅鶴だけど鶴の仲間ではない。フラミンゴを紅鶴と呼ぶの初めて聞いた。
そろそろ横浜へ帰ろうと言う南。「潮時ってこういうときのこというんじゃない?」
格好つかないのでこのまま帰りたくない道夫。二部屋ずつ泊まり歩くとお金もかかるという南の指摘に「女はすぐ現実的になるからな」とため息。バカげてたけど、無意味じゃない、テストに合格したようなものだという南の説得に応じて帰ることにした。
新田家に電話した道夫。電話に出たのはサクで、今、伊東の近くで下田のほうを回って帰ると報告。
夏目の働くオフィス
夏目「はい、総務です。あっ、あなたですか。えっ? 謝りたい? あの、私も少し言いすぎたと思ってたんです。で、こっちこそ謝らなければって…」また喫茶店で待ち合わせ。
喫茶店
夏目「さっきは言いすぎました。あの、もっとちゃんと南と弟さんの結婚のこと話し合いたかったんですけど、どういうのか、私、あなたと会うと、つい、あんなふうに…」
一郎「いや、僕も言いすぎたな。でも、女一人でと大都会で生きていくんだからしかたがありませんよね。少しぐらい女らしくなくても」
夏目「あっ…ハハッ。とにかく2人のことについては、もう一度考え直してあげたほうがいいと思うんです」
一郎「本気ですか?」
夏目「ええ」
一郎「そうですか。じゃあ、僕ももう少し考えさしてください。あなたまで向こう側についてしまったんじゃ、なんだか僕一人で意地張ってるみたいになってきちゃったからな」
夏目「向こう側なんて南たちは敵じゃありませんわ」
一郎「そりゃ分かってますよ。いや、ともかくね…まあ、いいでしょう。仲直りに来たんだから」
夏目「ええ、そうです」
一郎「僕たちね、道夫と南さんのことで随分、会ってきたんだけど、いや、よく考えてみると、会うといつも同じことばかりしゃべってるんですね。まあ、初めて会ったときもそうだったし、今日だって朝から三度目でしょう」
夏目「きっと2人とも強情だからですね」
一郎「ハッ…でも、ちょっと変わってきたと思いませんか?」
夏目「私ですか?」
一郎「あなたも僕も」
夏目「そうかしら」
一郎「僕は変わりましたね。いや、つまりね、こうして会ってるのが楽しいんですよ」
夏目「楽しいですって?」
一郎「あなたもホントのところはそうじゃないんですか?」
夏目「そんな、誤解しないでください」
一郎「あっ…誤解ですかね」
夏目「私は本気に妹のこと心配してるのに」
一郎「そう。心配だったら僕もしてるんです。でも、それとは別なんです」
夏目「何がですか?」
一郎「ハッ…いいでしょう。ともかく弟と妹のためにまた会いましょう。あした、何時にする?」
夏目「ハッ…」
今度はジュースじゃなくて、コーヒーっぽいな。
新田家
サクと麗子は後片付けをしながら道夫の無事を喜ぶ。伊豆に行ってみたいという麗子に今度の休みに四郎と行けばいいというサクは優しいな~。だけど、麗子は精四郎は意外とけちんぼだとチクる。精四郎が顔を出し、道夫の話をしていると、道夫が帰宅。
精四郎「よう、来たな。この親不孝」
麗子「ねえねえ、どこ行ったの? 天城山? それとも西海岸? あっ、下田へは行ったの?」
精四郎はいっぺんに聞かないで冷たい物でも飲ませたらいいというが、サクは疲れたときは熱いお茶に限ると立ち上がる。
道夫は着替えてくると自室へ。一郎は帰ってきた道夫に気付く。
道夫「ごめん、兄さん」
何か言いたそうな一郎をサクが茶の間へ引っ張る。「いきなりガミガミ言わないって約束しとくれ」
一郎「ん…そりゃあ…」
サク「そりゃあもクソもないよ。お説教はあとからでもできるんだから、とにかく今夜は、そ~っとしといてやっとくれ。いいね?」
一郎「ああ」
夏目もアパートに帰宅。部屋には明かりがついていて、南が立っていた。驚く夏目。(つづく)
一郎的には、今まで出会った大抵の女は何か言うと黙ったが、夏目は言い返してくる、おもしれー女で好感を持っている…という感じかなあ。見てるこっちとしては、一郎は変わったかなあ? 相変わらず嫌みだけどなとしか思えない。なぜか夏目も一郎に笑顔になってるというのも分からないな~。
どうしても同じようなケンカップルの「あしたからの恋」と比べちゃうところがあるけど、ただ、このドラマって主演の尾崎奈々さんが忙しすぎて、出番が少ない回もまあまああったから、メインはメインなんだけど、他に目が行く仕様になってて、だいぶ見やすかったのかも、と今は思う。直也も毎回出てくるわけじゃないし。
「あしたからの恋」こそ出演者が他のドラマや映画とかぶりまくりでやりくりに苦心した感じが見えたな。そうなると、逆に「幸福相談」の山口崇さんと倍賞千恵子さんはしっかり出番を確保していたから、やっぱり最初から17話と決まってた説を推す。
「おやじ太鼓」52話。おばちゃんと亀次郎が仲直り。
これから見るけど、洋二兄さんのピアノが聴ける。
そういや、全然「岸壁の母」のCMやってない!? 来週から始まるのにね。