NHK 1987年4月25日(土)
あらすじ
ロシア人、ユーリー・ゴドノフ(東銀之介)のパンの味にすっかり魅せられた蝶子(古村比呂)。ゴドノフから冬はあまりパンの売れ行きが良くないと聞いた蝶子は、自分の女学校にきて売ることを提案する。それから昼休みになると、蝶子は親友・邦子(宮崎萬純)たち学友とゴドノフのパンを買い求めるようになる。一方、寄宿舎の弁当の食べ残しが増えたことが問題となり、教師の川村(中原理恵)が蝶子たちを調べ始める。
2025.4.12 NHKBS録画
脚本:金子成人
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音楽:坂田晃一
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語り:西田敏行
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北山蝶子:古村比呂…字幕黄色
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川村市子:中原理恵
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田所邦子:宮崎萬純
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熊田剛造:津嘉山正種
ユーリー・ゴドノフ:東銀之介
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小田:水島涼太
木崎とよ:十勝花子
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古川教頭:林昭夫
森田:中島元
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吉池:木下浩
女教師:宮内順子
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飯島加代:蛯名由紀子
遠山伊佐子:紘川淳
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斉藤峰子:江馬小百合
石井スエノ:仁科扶紀
山口フサ:土屋里織
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鳳プロ
劇団いろは
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神谷容(いるる):役所広司
朝、寄宿生は、とよの作った弁当を持って登校する。
この弁当の光景、「岸壁の母」を思い出すな~。
毎日の朝食、夕食の他に昼食用の弁当を持たせる。
昼休み、渡り廊下で屋台を待つ蝶子たち。
邦子「本当に来るんかい?」
蝶子「うん、来ると思う」
峰子「ちょっと~、あんたたち、昼ごはんも食べんで教室抜け出して何してんのさ?」
邦子「ロシア人のパン屋さんが来るんだって」
蝶子「おいしいんだ」
峰子「あ、知ってる。町でよく見かけるわ!」
蝶子「うん! 私一人で食べるのもったいないと思ったから誘ったんだ」
峰子「したけど、見っかったら怒られるんでない?」
蝶子「したけど…これは買い食いとは違うっしょ」
邦子「うん、昼食だよね」
フサ「そうだ、そうだ」
峰子「したら、私も買う」
蝶子「うん」
スエノ「あ、来た!」
屋台が近づき、歓声が上がる。
ユーリー「遅かったかい?」
蝶子「なんもなんも」
「1つ下さい」
「私も」
「5銭だね」
ユーリー「はい」
ワーッとしゃべると誰が誰やら…5銭渡し、ユーリーが手渡しでパンを渡す。
峰子はその場で食べる。「うまい!」
蝶子「でしょ?」
峰子「うん。おじさん、また来てね!」
ユーリー「はい」
蝶子「したら!」
生徒たち「さよなら」
ユーリー「どうもありがとう。はい」
教室でパンを食べる蝶子。みんな半分割ってから食べ始めるのね。昨日は、あんぱん?と思ったけど、今日見るとジャムパンっぽく見える。
伊佐子「どこで買ってきたのさ?」
蝶子「うん。なんもロシア人のおじさんが学校にまで売りに来ることになってんだ」
<チョッちゃん、まるでお抱えのパン屋さんみたいな言い方だなぁ>
蝶子「フフン、少しあげるわ」
伊佐子「うん!」
蝶子「はい」
伊佐子「おいしい!」
蝶子「でしょ?」
伊佐子「うん」
明清寮
とよが寄宿生から弁当箱を受け取る。「はい、お帰りなさい」
生徒「ごちそうさま~」
昼休み
生徒「おじさん、私も!」
パンを受け取った生徒「ありがとう!」
蝶子「はい。したら、明日ね!」
ユーリー「うん、またね。はい」
前より生徒が増えている。
別の日も、別の日も生徒たちはパンを買っていき、買う生徒も増えている。
蝶子「おじさん、下さい!」
邦子「下さい!」
ユーリー「売り切れてしまったわ」
一同「ええ~っ!?」
顔を見合わせてがっかりする蝶子と邦子。
厨房
テーブルの上に並べられた食べ残しの弁当。
とよ「残ってるのは、これだけじゃないんですよね。川村先生に見ていただこうと取っておいた分でして」
川村「今日だけではないんですね?」
とよ「はい」
川村「いつから?」
とよ「4~5日前からボツボツ」
川村「どういうこと?」
とよ「さぁ?」
川村「おなかすいてないのかしら?」
とよ「したけど、先生、こう、いっぺんに弁当残すっていうのは…」
川村「変ですよねぇ」
とよ「はい。おかずの量を減らしたわけでもないんですよねえ。『おいしくない』って話も聞きませんしねえ。生徒さんたち、私に何か恨みでもあるんだべか?」
川村「そんなことないですよ」
蝶子たちの部屋
邦子「したけど、なしてこうおかず少ないんだろ?」
蝶子「1週間のうち4日は厚揚げかガンモドキだ」
加代「賄いのおばさんのせいでないっしょ」
伊佐子「寄宿代が安いからしかたないのさ」
邦子「値上げしたらいいっしょ」
加代「値上げは困る」
蝶子「うん。親にこれ以上、負担かけられないもねぇ」
邦子「したけど、これでは…おいしくないっしょ」
加代「邦子さん、ぜいたくだ」
フサが部屋に入って来た。
蝶子「なしたの?」
フサ「川村先生が弁当食べ残してる訳、聞いて回ってるわ。昼休みにパンを買って食べてることは、まだ誰も言ってないみたい」
蝶子「うん、分かった」
フサ「したら」
川村が入って来た。
フサ「では」
川村「山口さんも居なさい」
フサ「はい」
川村「この中で最近、弁当を食べ残したことのある人」
蝶子、邦子、フサが手を挙げる。
川村「はい、結構。食べ残した訳を教えてください」
蝶子「…別に」
邦子「大して…」
フサ「なんも」
川村「理由は本当にない? 北山さん」
蝶子「ありません」
川村「おいしくないとか…」
邦子「それは、ずっと前からで…」失言に口を押さえる。
川村「分かりました」部屋を出ていった。
校長室
熊田「食べ残しの件は昨日、賄いの木崎さんから伺いました」
川村「はあ」
熊田「これは、したっけ調べてみる必要がありますな」
川村「実は、ゆうべ寄宿舎の生徒たちについては聞いてみたんですけど」
熊田「はい」
川村「全員一様に『大した訳はない』と」
熊田「食べ残しは、しかし、寄宿舎の生徒だけでしょうかね?」
川村「さぁ…」
<もうこうなるとパンがおいしいからとかいうことでなく、昼食はパンを食べるというのが一種のブームになってしまったんですね>
教室
弁当を食べる生徒、パンを食べる生徒がいる。
蝶子「おいしいね!」
邦子「ね! おいしい」
突然戸が開き、神谷が教室を覗き込んだ。慌てて残りのパンを口に入れる蝶子。
神谷「フフフッ、なるほど、こういうことか」
会議室
熊田「先生方は、これをどうお考えですかねえ」
古川「なんとも情けないことですな」
吉池「何が情けないんですかね?」
古川「こういうことは、やっぱりよくないんでないですか」
神谷「なぜよくないんですか?」
古川「そら、なぜって」
小田「なにも盗んで食べてるわけではないんだし、いいとか悪いとかいうことでないんでないですか?」
川村「通いの生徒は、ともかく寄宿舎の生徒にかぎっては、よくないと思います」
吉池「え、それは?」
川村「賄いの木崎さんに悪いと思うからです。弁当の食べ残しを見て、木崎さんは随分、気にしてました。自分が悪いんでないだろうかとションボリしてました」
熊田「パン食は、いかんね。弁当ちゅうもんがちゃんとあるのにだね、パンを買い、それを弁当代わりにするなんてね。これはもう秩序の問題だ。一部でこういう自由勝手な行動をするのを認めると全体の秩序というものが崩れる。したけど、なして学校にパン屋が出入りするようになったのかねぇ?」
川村先生の言い分と校長の言い分、ちょっと違うよね。
教室
蝶子や数人の生徒が残っている。
神谷「私はパン食がいけないとは思わない。ただ、君たち寄宿生には毎日、弁当を作ってくれる木崎さんへの配慮が欲しかった。パンを食べてもいいが、弁当を残したことは、よくない! もったいないというのも、もちろんあるが、木崎さんを悩ませ、傷つけたことは最もよくない! 今日、弁当を残した者は机の上に出しなさい。残した者は今ここで食べていくように」
邦子「え~?」
神谷「今日、残してない者も今までの罰として半分協力してやること!」
蝶子「はい」
神谷「うん。いや、何なら先生、協力するぞ」
生徒たち「はい! はい!」とそれぞれの弁当を差し出す。
神谷「うん…あ、したら山口君のが多そうだから」弁当を受け取り、邦子の前の席に座って食べ始める。「実は、ちょびっと腹減ってたんだ」
蝶子たちが笑う。
神谷先生かっこいいね~。しかし、木崎さんを気遣う発言をしたのは川村先生!
厨房
蝶子はじめ寄宿生が並ぶ。「おばさん、これまで何回も弁当残してすいませんでした」
一同「すいませんでした」
蝶子「したけど、私たち、おばさんを困らせようとかどうこう思ってたわけでは全くないの」
とよ「うん」
蝶子「昼休み、ロシア人のパン屋さんのパン買って食べてたから、弁当、全部食べれんかったの」
とよ「ああ、そうかい」
一同「すいませんでした」
とよ「分かったから。もう、いいんだって」
このドラマでは報われた賄いのおばさんだけど「岸壁の母」じゃ胸糞展開だった。
部屋でトランプしている蝶子たち。
伊佐子「神谷先生のおっしゃることは、もっともなことだね」
蝶子「本当だ。私、おばさんのこと何も考えてなかったもね」
邦子「神谷容かあ…」
伊佐子「そんな言い方しないでや!」
蝶子「いやいや、やっぱしいいんだわ」
伊佐子「そんなこと今になって分かったのかい?」
蝶子「誰さ。クローバーの10、止めてるのは?」
邦子「早く!」
加代がせき込む。
蝶子「大丈夫?」
加代「うん」
蝶子「え~いっ、しかたない!」トランプを出す。
邦子「出た出た、あっがり~!」
ガッカリの蝶子。
昼休み、ユーリーが寒い中、待っている。
森田「あ、あんた」
ユーリー「はい」
森田「もう学校には来ないでね」
ユーリー「なして?」
森田「来てもね、生徒さんたちには買わないように言ってあるんだわ」
ユーリー「なして?」
森田「『なして』って…とにかく校長先生の命令だから。ね! うんうん」
ユーリー「は、はい」
屋台を押して帰るユーリーを廊下の窓から見ていた蝶子。
掃除をしている蝶子。
峰子「チョッちゃん、大変だ!」
蝶子「なしたの、峰ちゃん?」
峰子「校長先生、調べてるわ」
蝶子「何を?」
峰子「パン屋がなして学校に来るようになったのか」
邦子「どうする?」
蝶子「自首する!」
<自首するなんて大げさだよ、チョッちゃん>
邦子「なんも黙ってたら分かるわけないっしょ」
フサ「私たちもなんも言わないし」
蝶子「ありがとう。したけど、知らん顔してるの嫌なんだ。私、行ってくるわ!」
♪なつかし わが おお ケンタッキーホーム…と歌いながら教室を出た。
校長室に入った蝶子。「失礼します」
熊田「何事かね?」
蝶子「はい、実は…」
熊田「うん?」
蝶子「校長先生がなしてロシア人のパン屋さんが学校に来るようになったか調べておらえると聞きました」
熊田「ほう、知っとんのかね?」
蝶子「私がパン屋さんに学校に売りに来るように言いました」
熊田「ん?」
ノックして神谷も入って来た。「ああ、北山君」
熊田「神谷君、またこの子だよ」
蝶子「申し訳ありません!」
神谷「したけど、なしてパン屋を?」
蝶子「あのパン食べたら大しておいしかったんで、みんなにも食べさせたら喜ぶだろうなと」
熊田「したけど、なして学校に呼ばねばならないんだ? おかげで弁当を残す者が出た。無駄遣いをした。学校では、うちや寄宿舎から持ってきた弁当を食べるのが当たり前だべ。それが全体の秩序というもんだ。君はその秩序を乱すようなことをした」
神谷「したけど、それは少し…」
蝶子「申し訳ありません!」
熊田「神谷君」
神谷「はい」
熊田「君ももう少し担任として生徒管理ちゃんとやらんと」
神谷「はあ」
蝶子「申し訳ありませんでした!」
<チョッちゃんは素直に謝りました。それでこれはこれで一応、収まりはしたのですが…このことで思わぬ波紋が広がることになるのです>(つづく)
毎日5銭出して、弁当残すとは…もったいない!
でも、これってやっぱりドラマの舞台の昭和初期でなく、ドラマ放送時の1987年がバブルで飽食で給食を残してた背景を描いてたんではないかな。ホントにそういうエピソードが本に書かれてたのかもしれないけど…。
木崎さんにきちんと説明して謝ってたのはよかったけどね!
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— NHKドラマ (@nhk_dramas) April 11, 2025
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