NHK 1987年5月9日(土)
あらすじ
卒業の日。神谷先生(役所広司)や川村先生(中原理恵)、そして同級生たちとの別れをすませ、ついに滝川に蝶子(古村比呂)が帰ってきた。幾多のトラブルを乗り越えて手にした卒業証書を見て俊道(佐藤慶)、みさ(由紀さおり)の喜びもひとしおだ。ところが兄の道郎から帝大受験に失敗したと連絡が入ると、俊道の機嫌は一転。さらに幼なじみの頼介(杉本哲太)の母が危篤、との急報が入る。
2025.4.26 NHKBS録画
脚本:金子成人
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音楽:坂田晃一
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語り:西田敏行
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北山蝶子:古村比呂…字幕黄色
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神谷容(いるる):役所広司
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北山みさ:由紀さおり
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川村市子:中原理恵
田所邦子:宮崎萬純
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熊田剛造:津嘉山正種
木崎とよ:十勝花子
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山本たみ:立原ちえみ
高畑品子:大滝久美
北山俊介:伊藤環
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遠山伊佐子:紘川淳
斉藤峰子:江馬小百合
石井スエノ:仁科扶紀
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山口フサ:土屋里織
森川とみ子:久野翔子
石野スズ:加藤麻里
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生徒:松永由美子
外川由起
榎美咲
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鳳プロ
早川プロ
劇団いろは
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北山俊道:佐藤慶
♪~(「故郷を離るる歌」)
<卒業を2日後に控えたある日、チョッちゃんのクラスでは、お菓子などを持ち寄り、ささやかな別れの会が開かれたのです>
黒板
組一年四
會れ別御
♪最終(おわり)の日なり
おもえば涙 膝をひたす
さらば故郷(ふるさと)さらば故郷
さらば故郷 故郷さらば
伊佐子、邦子、蝶子、スエノ、フサ、峰子が黒板の前に立ち、紙芝居を見せる。
フサ「4月8日は神谷先生の4年1組の始まりの日でした」
スエノ「一同、胸をワクワクさせました」
蝶子「斉藤峰子さんは神谷先生が担任だと知って感激の涙を流しました」
峰子「涙は、うそだ!」
笑い声
邦子「5月、みんなで花摘みに行きました」
伊佐子「最初は『てれくさい』などと言っていた神谷先生ですが、いつの間にか夢中になって花摘みに熱中していました」
一同「そうだ、そうだ!」
神谷先生もニコニコ見ている。両脇にいるのがとみ子とスズだね。
峰子「そういう先生の姿を見て『少年みたいだなぁ』と思ったものでした」
神谷、大笑い。
フサ「花摘みで忘れてならないのは何と言っても北山蝶子さんです」
スエノ「蝶子さんは花摘みの名人です。花の種類もどういう花がどこに咲いているかということも大変よく知っていて、私たちは目をみはったものです」
フサ「次、チョッちゃんだよ」
蝶子「あっ…6月、修学旅行で函館方面に行きました。出発の日、石野スズさんが遅れてきて一同をハラハラさせたことも付け加えます」
スズ「その節は、どうもどうも」立ち上がって頭を下げる。
神谷「あん時は、もう置いていこうかとも考えたんだからな」
邦子「スズさんもまぁ間に合って長い長い汽車の旅をしました。」
紙芝居、絵がうまいだけでなく結構、仕掛けも凝っている。
邦子「その夜、旅館で山口フサさんと森川とみ子さんは寝言を言っていました」
神谷「そうかい?」
とみ子「知りません! 寝たあとのことは責任持てません!」
神谷「何て言ったんだい?」
笑い声
伊佐子「夏休みも終わって9月。運動会において、我々、4年1組は学年優勝を果たし…」
神谷は、とみ子、スズなど近くの生徒と盛り上がって聞いていない。
伊佐子「(大声で)学年別対抗リレーにおいても堂々の1位をもぎ取りました!」
神谷がとみ子たちと盛り上がって爆笑している。
伊佐子「静かに!」
スン…となる神谷先生が面白い!
峰子「しかし、追い羽根試合において準決勝まで勝ち残った北山・山口両選手は小田・川村両先生と対戦することになりました」
1人で付くのは「つき羽根」、相手と突き合うのは「追い羽根」だそうで。
邦子「北山さんは両先生に対し、盛んにやじや皮肉を飛ばし、戦意を喪失させんと試みたのですが、その努力のかいもなく3対2で敗退しました」
蝶子「申し訳ありません」
スエノ「学芸会の芝居では田所さん、岸本さん、鈴木さん、中村さん、伊東さんが活躍しました」
また近くの席の女の子たちと盛り上がる神谷先生。
神谷「私は教師として、この1年、君たちに自立の精神を持つような教育をしてきたつもりだ。この1年に限らず、私の教育の方針は最初からそうだった。その考えが正しかったかどうかは今は分からない。これまでの私の君たちを含めた教え子たちが、これからどう生きていくのか、どう生きたか、それらを見てみなければ分からない。したから、5年後、10年後にまた会いたいと思う。その時も今のように輝いていてほしい。終わり!」
拍手する一同。
♪~(「空知高女校歌」)
講堂
古川「北山蝶子」
蝶子「はい!」壇上に上がり、頭を下げる。
熊田「卒業証書、北山蝶子、以下同文」
中庭
川村「頑張ってね。何かあったら手紙ちょうだい」
邦子「はい」
スズ「先生、お世話になりました!」
とみ子「さよなら!」
川村「さよなら」
邦子「手紙書いてね」
とみ子「うん、元気でね。じゃ!」
スズ「したら!」
蝶子「先生、お世話になりました」
川村「頑張るんだよ」
蝶子「邦ちゃん…」
峰子「あ、ここか!」
蝶子「峰ちゃん!」
峰子「あんたたちとは明日、寄宿舎行って、ゆっくり別れるから。じゃ!」
女生徒たちに囲まれて笑っていた神谷が輪から外れるのが見えた蝶子は「私、ちょっと…したら」と川村、邦子から離れた。
廊下
蝶子「神谷先生!」
神谷「おう!」
蝶子「先生には一年中、迷惑のかけどおしですいませんでした」
神谷「いや」
蝶子「それに私のために何かれとなくかばってくださって先生には感謝しかありません」
神谷「北山君」
蝶子「はい」
神谷「私は担任の生徒だからって、かばったわけでないよ。いくら担任でもかばいきれないことはある」
蝶子「はい」
神谷「騒ぎを起こした君の行動には一つも悪意がなかったからかばえたんだ。これは大事なことだ」
ウルウルした目で見ている蝶子。
神谷「これからの人生においても結果的に騒ぎを起こしたとしても、それが悪意からでないとしたら、きっと誰かがそのことを見ていて君を助けてくれるよ」
蝶子「はい!」
うなずく神谷。
蝶子「したら、私」
神谷「うん」
蝶子は次に校長室に行き、ノック。
熊田「はい」
蝶子「いろいろとご迷惑かけました」
熊田「今後、君は、どうするんだ?」
蝶子「音楽の道に進もうと」
熊田「うん…で?」
蝶子「は?」
熊田「音楽学校は、どこに?」
蝶子「それはまだ」
熊田「ああ…ま、君がいなくなると思うと、ほっとするわ。校長としては本当。校長でなかったら違ってたべな。私が校長でなかったら、あるいはもっと楽しく仲よく、その…眺められたのかもしれん。ま、そういうことだ」
校長ー!
寄宿舎の厨房
とよが干し芋をかじりながら雑誌を見ていた。「うん?」
蝶子「おばさん!」
邦子、伊佐子、スエノ、フサ「長い間、お世話になりました!」
伊佐子「これ、みんなの寄せ書きだ」
蝶子「感謝の気持ちで書いたんだ」
とよ「ありがとう。大事に取っとくからね!」
蝶子たちが拍手を送る。
とよ「食べるかい?」干し芋を渡す。
邦子「ありがとう!」
とよ「食べるかい?」
結局、食事がおいしくない問題は解決しなかったけど、賄いのおばさんとの関係が良好で終わったのはよかったよ。
明清寮
蝶子たちの部屋
暗い部屋で布団にくるまって座っている蝶子、邦子、伊佐子。
蝶子「最後の夜だね」
邦子「うん」
伊佐子「うん」
邦子「4年か…」
伊佐子「うん」
蝶子「ホントなら加代ちゃんもいるはずだったんだよね」
伊佐子「4年かぁ」
邦子「あっという間だった」
蝶子「そうだね」
伊佐子「こうやって一緒にいるのも最後なんだね」
蝶子「うん」
邦子「うん」
伊佐子「もう二度と同じ時は過ごせないんだね」
蝶子「別れって何が寂しいんだべ?」
邦子「取り戻せない時間と別れていくからだよ。もう戻れないから、余計…」
蝶子「したから、神様は『思い出』というものを下さった。時がたてばたつほど鮮やかによみがえるように」
伊佐子「意地悪だね」
蝶子「♪なつかし」
3人で歌う。
♪わがオールドケンタッキーホーム
夏の日かげ 照り
<こうしてチョッちゃんの4年間の高等女学校の生活は終わりました>
北山家
蝶子「ただいま! ただいま!」
俊介、みさ、品子、たみが出迎えた。
みさ「蝶ちゃん! いや~、卒業…おめでとう!」
3人「おめでとうございます!」
蝶子「うん、ありがとう!」
卒業証書
北山蝶子
明治四拾三年五月十二日生
髙等女學校四年間一課程ヲ
卒業セシコトヲ證ス
昭和三年三月二拾五日
北海道立空知高等女学校長 熊田剛造
蝶子「卒業証書です」俊道に渡す。
じっくり読む俊道。
蝶子「父さん」手をついて頭を下げる。
俊道「何だ!」
顔を上げウルウルした目で見る蝶子。「高女に行かしていただいてありがとうございました。寄宿舎の費用など大変だったと思います。本当に感謝してます」また頭を下げ、今度は、みさに視線を向ける。「母さんにもいろいろ迷惑かけました。お礼申します」
みさ「う~ん、なんもだ」
蝶子「いや、父さん母さんには心配ばかけてすいませんでした」
俊道「うん」
蝶子「ともかくおかげで昨日、卒業することができました。ありがとうございます」
俊道「ま…とにかくまずは、めでたい」
蝶子「はい」
みさが拍手を送る。「今夜の晩ごはん、ごちそうだよ。たみちゃんも品子さんも一緒にお祝いすることになってんだ」
蝶子「いやぁ、本当かい!」
みさ「うん!」また拍手し、蝶子も拍手する。
自室に戻ってカバンから荷物を取り出していた蝶子。俊介が勢いよくふすまを開けた。
蝶子「うっ! 戸開ける時は!」
俊介「道郎兄ちゃんから今、手紙来た」
茶の間
みさが手紙を読んでいる。仁王立ちの俊道。
蝶子「兄ちゃん、何だって?」
みさ「帝大の医学部、今回も不合格だわ」蝶子、俊介と共に俊道を見上げる。
俊道「道郎は東京から呼び戻す!」
夕飯
俊道
俊介
品子 蝶子
たみ みさ
気まずい食卓。
戸が開く音がする。
⚟男性の声「おばんです! おばんです!」
たみ「はい!」玄関へ。
たみ「先生! 先生! 石沢のおじさんの使いの人が頼介さんのお母さんの容体が変だと!」
俊道「支度!」
蝶子「はい! 私も行く!」
俊道「来なくていい!」
蝶子「ついていく!」
みんなワタワタするなかご飯を食べている俊介。
俊介の隣に蝶子が乗り、馬ソリが走る。
<帰る早々、チョッちゃんは休む時間もありません>(つづく)
じんわりする卒業の時…てか、音楽学校はいつからなんだろ!? 神谷先生が見られなくなるのは寂しいなあ。

