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【ネタバレ】チョッちゃん(29)―連続テレビ小説―

NHK 1987年5月8日(金)

 

あらすじ

当初はその気はなかった蝶子(古村比呂)だが、周りにあれこれ聞かれるうちに、いままで気づかないでいた神谷先生(役所広司)への恋心を刺激され、いつしか意識するようになっていた。神谷が宿直を務める夜、まかないを届けにきた川村先生(中原理恵)は、神谷に対する気持ちを抑えきれなくなり、想いを吐露しはじめる。それを、寄宿舎をこっそり抜け出した邦子(宮崎萬純)が廊下で聞いていた。

2025.4.25 NHKBS録画

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脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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北山蝶子:古村比呂…字幕黄色

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川村市子:中原理恵

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田所邦子:宮崎萬純

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熊田剛造:津嘉山正種

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遠山伊佐子:紘川淳

斉藤峰子:江馬小百合

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石井スエノ:仁科扶紀

山口フサ:土屋里織

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森川とみ子:久野翔子

杉本いね:守川くみ子

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石野スズ:加藤麻里

生徒:松永由美子

   外川由起

   榎美咲

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鳳プロ

劇団いろは

劇団ひまわり

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神谷容(いるる):役所広司

 

神谷の授業

伊佐子「『長々の月日、雪の下にしのびたる』…」

 

<チョッちゃんと神谷先生の仲が怪しいという噂は、その後もそこここでささやかれ、チョッちゃんに至っては、今まで気付かないでいた恋心を刺激されたようなのです>

 

伊佐子「『初めてしみじみと味わわれるのである』」

 

蝶子と邦子の間を歩いている神谷を目で追い、蝶子と邦子の目が合い、教科書に視線を戻す。

 

伊佐子「『大地を踏み歩く足音の久しく聞こえなかったのを静かな夜に』…」

 

なぜかコケる神谷。物音に振り向く生徒たち。

神谷「すまん、すまん。続けて」

噴き出す蝶子。

神谷「…続けなさい!」

 

伊佐子「『大地を踏み歩く足音の久しく聞こえなかったのを』…」

 

また目が合い、教科書に視線を戻す蝶子と邦子。

 

校長室

神谷「そんなものはただの噂ですよ。根も葉もないことです」

熊田「ただの噂と言うが…」

神谷「え?」

熊田「それはまずいわ。噂になるということ自体、教師という立場にある者としては、よくないんでないか?」

神谷「身に覚えがなくてもですか?」

熊田「したけど、噂になるにはなるだけの根拠があったはずだ」

神谷「ありません!」

熊田「そうかい? これまであまりにも生徒寄りの教育をしてきたツケだべ? 生徒に近づき過ぎた、その反動でないんかい?」

神谷「私の姿勢を批判してるんですか?」

 

熊田「君の授業は時々、教科書の内容とは、かけ離れることがあると聞いた。俗っぽい恋愛小説などを引用して君の授業はまるで講談だという声も一部ある。授業はやはり厳粛であるべきだ」

神谷「より深い理解をさせるためには型にはまったやり方では無理なんです」

熊田「それが君の言う『自由』ということかい?」

神谷「人はそれぞれ一人一人違った性格です。物の見方もさまざまです。そういう集まりをひとつ形にはめようというのが土台無理だと思ってます」

 

熊田「それで君はいちいち生徒の顔色をうかがい、うかがい接しているんかい? したから生徒は増長するんだ! 秩序を乱すんだ! 特にあの北山蝶子!」

神谷「校長には増長としか受けとれないでしょうけど、私には、おおらかと見えます」

熊田「好き勝手に振る舞うことがか?」

神谷「好き勝手に振る舞ってますか!? この前、校長、言ったでないですか。生徒たち見てると時の流れば感じると。とまどってるんだと」

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熊田「忘れた」

神谷「忘れたらよくないわ、校長! ああいう気持ちこそ忘れたらダメだ! 若い連中が妙に頼りなく見えたり、好き勝手にしてると見えるんは、従来の慣習に当てはめようとしたり規則で縛ろうと考えるからでないですか」

熊田「したら、ほっとけと言うんかい」

神谷「違います! 何もかも縛ること考えては、うまくないと思うんだわ。教育ってのは規制することでないっしょ? むしろ逆だ。教育の『育』。これは育(はぐく)むという字だもね。『育む』ということは大きな視野と寛大さを持たないといけないんでないですか? そうしたいんです、私は! 伸び伸びと一人一人がいろんな考えを持てるような、そんな教育。これからの女性は、どんどん社会へ出るべきだと思うし、そういう時が来ると思うんだわ。その時のために幅の広い考え方ができるよう、今、手助けするのが、私の…」

 

熊田「違うね! 女は家庭に入るものだ」

神谷「そうだとしても!」

熊田「良き妻、良き母、そうなるための教育が私の本願だ! 家庭にあっては伸び伸びとしたものの考え方などは不要だ。混乱のもとだ…物事の決まりを知り、家のために尽くす女を育てることが大事だ」

神谷「賛同できません!」

 

⚟♪はるかさかりて

 

音楽室

蝶子たちが歌う。

♪たたずまえば

なおもきこゆる

ここに幸あり

はるかさかりて

たたずまえば

菩提樹

菩提樹

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宿直室

川村「先生」

 

⚟神谷「はい」

 

川村「川村です。ちょっといいべか?」

 

⚟神谷「どうぞ」

 

戸を開けて宿直室に入った川村。「賄いのとよさんに預かってきました」

神谷「わざわざどうも、どうも。どうもすみません」お膳を受け取るが立ち去らない川村に声をかける。「あ、ちょっとお茶でも」

川村「はい、じゃ、私が…」

神谷「いやいや、いいんです、いいんです。どうぞ、どうぞ」

川村「では」座る。

神谷がお茶を入れる。

 

川村「昼間、校長に呼ばれたんでないですか?」

神谷「ええ」

川村「校長、何か?」

神谷「教師としては噂が立っただけでもうまくないって言うんだわ。ま、そのことについては校長の言ったことがもっともだべな…どうぞ」お茶を渡す。

川村「すみません」お茶を飲む。「私…正直言って、先生見ていて危ないなと思ってたんだわ。生徒たち16~17って言ったって女は女だもねえ。同性として…生徒たちの気持ち、分かります。いろんな生徒いるもねえ。中にはそりゃ嫉妬心抱く者もいるっしょ。陰口になったり、噂になったりするんでないですか? そういうもんだ」

神谷「う~ん」…といいつつピンときてない!?

 

川村「私が生徒だったら、やっぱり嫉妬したべなあ!」

急なぶっちゃけにお茶を噴く神谷。

川村「いや、それよりもしかしたら自分で自分の噂、バラまいてたかもしれないわ。いや、ウフフ」

笑い飛ばす神谷。「川村先生は、そんなに積極的な人だったんですか? アハハハハハ!」

川村「逆です。そういう積極的な人間だったら、どんなにいかったか…」

 

明清寮

蝶子「どうだい?」

フサ「風呂場にもどこにもいないわ」

蝶子「どこ行ったんだ?」

伊佐子「川村先生に見つかったら大変だよ」

スエノ「いや、川村先生もいないんだわ」

蝶子「邦ちゃんの行きそうなとこっちゅうと…」

フサ「こんな時間にそんなとこあるわけないっしょ!」

蝶子「そりゃそうだ」

 

邦子がいるのは宿直室前!

 

川村「私…好きな人がいても口に出せないんだわ。気持ちを素直に出すのが恥ずかしいことみたいに思えて心で思えば思うほど構えてしまうんだ。鎧つけてしまうんだわ。それでいっつも男の人、寄りつかないんだわ」

神谷「そんな」

川村「そうなんですよ」

神谷「いやぁ」

川村「現に神谷先生だって私のこと煙たく思ってたっしょ?」

神谷「いや、なんも…」

 

川村「そうやって…もうすぐ30」

 

神谷「先生、私…高女にはもういられないかもしれないわ」

川村「噂のことで?」

神谷「いや、それだけでなく」

川村「やっぱり校長と何か?」

神谷「ええ。まあ、いろいろ」

 

蝶子たちの部屋

蝶子「どこ行ってたのさ? 邦ちゃん」

伊佐子「川村先生に知れたら大変だったわ」

蝶子「ちょっと邦ちゃん」

邦子「神谷先生、空知高女辞めるかもしんないわ」

 

教室

峰子「先生! 学校辞めるかもしれないっていうのはホントかい!?」

フサ「どうなんさ?」

スエノ「なして?」

生徒たちが口々に「先生!」と呼びかける。

神谷「騒ぐんでない! どっからそういう話出たんか知らんが、そういう噂だけで惑わされるんでない! そういうことだから私と北山君の変な噂騒ぎになるんだ。物事は、よく見ることだ!」

 

神谷の下宿先

いね「神谷先生、まだ帰ってないんだわ。待ってるかい?」

邦子「いや…したら」戸を閉め、外に出て泣きそうな表情をしている。

 

蝶子たちの部屋

布団をかぶっている邦子。

蝶子「邦ちゃん! 邦ちゃん!」

伊佐子「なしたのさ?」

蝶子「風呂入りに行かないかい?」

伊佐子「私、先、行っていいかい?」

蝶子「うん。邦ちゃん! 邦ちゃん!」

 

邦子は布団の中ですすり泣いている。

蝶子「邦ちゃん…?」布団を引っぺがす。「なしたの?」

号泣する邦子。

蝶子「なしたの?」

邦子「チョッちゃん、ごめん! 先生とチョッちゃんの噂広めたの、私だ! いつもチョッちゃん、先生にかまってもらえて羨ましかった。少しいじめてやろうと思ったし、噂になったら先生とも気まずくなるんでないかって。したら、先生、学校辞めるって言うでない? 私のせいだ。私が悪いんだ!」

蝶子「邦ちゃん…」

邦子「ごめん、チョッちゃん…ごめん、チョッちゃん、ごめん!」

蝶子「もういいって」

号泣する邦子。

蝶子「もういいって。もういいって。邦ちゃん、もういいって。邦ちゃん、もういいって」邦子のそばにいたが、立ち上がり、障子を開ける。「邦ちゃん見て! ほら! いつまで泣いてんだい! 早くおいで! 早くおいで!」

 

<友情や怒り、嫉妬や和解、喜びや悲しみ、さまざまな思い出を作った高等女学校の生活ももうそろそろ終わりに近くなってきました。そして外には名残雪が降っています>

 

蝶子と邦子が並んで外の名残雪を見ている。(つづく)

 

邦ちゃん…蝶子はいつも矢面に立たされて(…自分でやったことだけど)校長に目ぇ付けられてんのに、先生にかまってもらえて羨ましいはないだろ! 

 

熱い教育論を持った立派な先生なのに顔がいいばかりに周りの女性にチヤホヤされちゃう神谷先生も気の毒だなーって。金八先生ならこういう展開ないからさ←っておい!