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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (121)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

マリ子(熊谷真実)たちは、現在磯野宅に住む松枝(有崎由美子)たちと同居することになった。咳き込むヨウ子(早川里美)を見て、タマ(星清子)に病気の詮索を入れる松枝だが、うつらないようにと脅されて磯野家との接触を避ける。一方、マリ子は製本の納品日に森田(大塚周夫)を訪ねるが、もう少し待って欲しいと言われる。騙されているのかと心配になり、不安になるマリ子。そんな時、朝男(前田吟)が戦地から戻ってきて…。

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玄関の「中村」という表札の左隣に「磯野」の表札を掛けるマリ子とお千代ねえや。

千代「ばってん、こっちが大家ではなかとですかね? お隣さんの表札をもうちょっと脇に寄せてくれてもよかとですとにね」

マリ子「いいじゃないの。お二階に移っていただけただけでもありがたいことだわ」

千代「当たり前ですたい! なんもこっちが小そうなることはなかですよ」

マリ子「お千代ねえや、当分は一緒に住むようになるんだから仲よくしてくれなくちゃ困るわよ」

千代「はい…」

 

明日からいよいよ12月という日に磯野一家は昔のうちに戻ることができたのですが、当分は雑居家族になることでしょう。

 

ということは今日の回は、昭和21年11月30日(土)。

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澪つくし」は最終回の前の回で昭和21年7月。入兆創業300年。終盤で慌ただしく太平洋戦争が終わって復興もまだまだの中、含みを持たせて終了した感じ。

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あぐり」は特に戦後からだいぶ創作が多くなってしまった。姑が亡くなったのは実際には昭和19年だし。

 

マチ子は部屋で原稿を描き、ヨウ子は横になって寝ている。マリ子は印刷所へ。

マチ子「ちゃんと持って帰ってきてよ。私たち姉妹出版の初めての本なんだから」

マリ子「ちゃんと持って帰ってくるに決まってるでしょう」

マチ子「ならばいいけれど、マー姉ちゃんもどっちかっていうと人に褒められるとすぐに差し上げてしまうタイプだから」

マリ子「大丈夫。それはまず本が完成した喜びをみんなと分かち合ってからにするから。ねっ、ヨウ子?」

 

ヨウ子「ええ、楽しみにしてるから大変でしょうけど、早く帰ってきてね」

マリ子「もちろんよ。でも今日のところは寝てなくちゃ駄目よ。長旅のあとだからまた熱でも出たら大変ですからね」

ヨウ子「はい」

ヨウ子は完治したのかと思ったけど、東京に着いたばっかりだからか。

 

マリ子を送り出したとき、2階の住人の松枝も下に降りていて一緒に送り出した。そしてヨウ子がせき込むのを眉をひそめて見ていた。

 

昭栄洋紙店に出向いたマリ子はまだできていないと言われ驚く。

森田「悪い、悪い。年末でね、印刷の方がもう手いっぱいなんだから」

予定は今月(11月)いっぱい。マリ子は、だから家族全員東京に引き揚げてきたと言っても、それは大変でしたねと他人事。まあ、他人だけど。

 

約束は守ってもらわないと困るというマリ子は「どうしてですか? だから私はちゃんとこうしてあとの半金を…」とカバンからお金を出そうとしたが、森田に止められた。

森田「し~! いろいろ来てるんだからこんな所でお金を見せて後でもつけられたら困るじゃないですか」

 

森田はもう少し待ってください、あと10日…クリスマスまでには何とか仕上げるというが、マリ子は「まさか…」と言いかけたが言葉をのみ込み、10日後に来ると言った。

 

マリ子がのみ込んだ言葉は「まさかだましているのではないでしょうね」だったのです。

 

磯野家の勝手口?

松枝「天海さん。ちょっとすいませんが」

タマ「はあ、何ですか?」

松枝「磯野さんの」

タマ「へっ?」

松枝「一番下の娘さんですけどね」

タマ「へえ」

 

松枝「あの人、胸の病気なんですか?」

タマ「あ…お宅じゃまだ小学校でしたね。まあ、ああいう方と一緒に住んでいたんじゃ子供さんが心配ですよね」

松枝「じゃあ、やっぱり」

タマ「この前もね、血を吐いたんですって」

松枝「まあ…」

 

タマ「ゴホンゴホンってね、あの声を聞いてるだけでも陰気くさいですもんね。またね、血を吐いたあとは危ないんですって。ほら、話をしていてもね胸のばい菌がね、うじゃうじゃ。目に見えなくてもね、そっちへ飛んでくそうですよ」

松枝「ええ…」

タマ「まああの…せいぜいね、うがいでも何でもなさって変なものはね、もらわない方がようござんすよ」

松枝「ええ…。あっ、それじゃあどうも」

 

千代の姿を見かけて慌てて去って行く松枝。タマ、酷いな~とも思ったけど、松枝も差別的な目でヨウ子を見ていたので、どっちもどっちな気がする。タマは千代に「どうやらうまくいきそうだよ」とさっきの会話を耳打ちした。

 

磯野家台所

はる「まあ、天海さんが?」

千代「はい。これで逃げ出してくれたら万々歳ですけんね」

はる「なんという人でしょう、あなたという人は」

千代「はあ?」

 

はる「いくらこちらが家主だというても、あちら様にとっては甚だ迷惑な同居人なんですよ。それだというのにヨウ子をだしに脅しをかけるなんて一体、なんということでしょう。天に恥じなさい」

千代「けど…」

はる「いいえ、二度とそんな小細工をしたら私が許しませんよ。バラックでもいいと覚悟していたのにこうして屋根も壁もある。しかも昔なじんだ家に住めるなんて幸せだと思いなさい」

千代「はい…」

はるさん、正論。まあ、脚本的にタマやお千代ねえやに嫌な役割を押しつけた感じもある。

 

松枝が流しを使いたいとやって来ると、はるは快くお千代ねえやに場所をあけるように言う。マリ子が帰ってきたので慌てて玄関に向かうお千代ねえや。

 

手ぶらで帰ってきたマリ子を迎えたマチ子とお千代ねえや。マリ子にあれこれ聞いていると、松枝の息子、一郎、次郎が帰ってきた。マリ子たちと普通に話していたが、松枝が「ほらほら、お邪魔したらいけませんよ」と子供たちを急き立てて2階へ上がった。

千代「だいぶ薬が効いたようばい」

 

はるはマチ子にマリ子のためにお茶を入れるように言う。

マリ子「ごめんね。クリスマスまでには仕上がるって言ったんだけど…」

マチ子「クリスマスですって!?」

マリ子「だけどそうは待てないって、はっきり言ったわ」

マチ子「そしたら?」

マリ子「だから毎日催促に行くつもり。おとなしく待ってたら駄目なのよ、きっと」

 

マチ子「バカにしてるわね。お金半分受け取ってるくせに!」

はる「そういうご時世なんですよ」

マリ子「ええ…」

 

マチ子「でも、本当に大丈夫なのかしら?」

マリ子「何が?」

千代「素人のお嬢さんだと思って、お金、よそに回して知らん顔してんのと違いますか?」

マリ子「まさか…」

 

はる「そうですよ。人を疑うのが一番卑しい心なんですからね」

マチ子「でも、人をだますことだって悪質でしょ」

はる「でもまだだまされたと決まったわけではないでしょう。それともだまされたんですか? マリ子」

マリ子は遅れているだけだというが、はるはだまされたならだまされたではっきりした方がすっきりすると言いだし、お千代ねえや、慌てる。

 

はる「だったらそんなに心配することはないではありまっしぇんか。私はすいとんのお味の心配しますからね。マチ子は締め切りの心配でもなさいよ」

マチ子「は~い」

 

マリ子にとってまさに薄氷を踏む思いの数日が過ぎた、ある朝のことです。

 

出かける準備をしているタマ。天海家の戸を誰かが叩く。

タマ「うるさいね! 留守ですよ、このうちは!」

朝男「バッキャロ~! 俺だい、俺だい!」

タマ「あの声は…」

朝男「俺だよ! 生きてんのか? 死んでんのか? 魚朝のおっ母はよ!」

タマ「あ~! 朝男だ!」

 

慌てて戸を開けるタマ。復員兵姿の朝男、帰還。

朝男「おっ母」

タマ「朝男~!」

抱きついて泣きだしたタマをそのまま持ち上げて台?にのせる朝男。

朝男「ハハハハハハッ! やっぱりよ、生きていやがったか! この悪たればばあはよ! ええっ?」

 

タマ「朝男…」

朝男「ハハハハハハッ! 何でえ何でえ。鼻水も何もごっちゃじゃねえか。もうちょいと、ええ? 色っぽい言葉かけられねえのかい?」

タマ「だって、お前…」

朝男「で、磯野のお嬢さんやウラマドさんは元気かい?」

タマ「ピンピンしてるよ。当たり前じゃないか」

 

朝男「ハハハッ、そうか、そいつはよかった! じゃあ風呂沸かしといてくれ。ねっ? 俺、これからよ、元気な面見せてくるからよ」

タマ「あいよ。すぐに沸かしとくからね。すぐ帰ってくるんだよ!」

朝男「あたぼうよ。俺はよ、おめえの所に帰ってきたんだから」

タマ「このバカ」

朝男、豪快に笑う。

 

磯野家の前

朝男「お~い! お~い!」と駆け込んだところにお千代ねえやがちょうど水をまいたところだった。

朝男「お~っとっとっとっとっと! またやりやがったな、てめえは!」

千代「あんた…」

マリ子「天海さん?」

朝男「天海さんだよ」

 

信じられないマリ子。

朝男「おう! 後ろから見ても前から見ても天海さんだよ!」

マリ子はお千代ねえやにはるたちを呼びにいせた。

マリ子「よくご無事で!」

朝男「おめえさんとの約束だからよ」

 

マチ子、ヨウ子、はるが顔を出す。

はる「ご無事の帰還、おめでとうございます」

朝男「(ビシッと敬礼して)天海朝男、ただいま戻ってまいりました!」

 

マリ子やマチ子が朝男を家に迎え入れようと腕をつかむ。

朝男「いや~、もてるね~。やっぱり帰ってきてよかったよ」

ヨウ子「そうですとも」

朝男「じゃあ、お邪魔しますよ。おおっ、お千代ねえや。水なんかかけなくたってな、水もしたたるいい男ってな。お前さんも後から来い」寅さんっぽい。

お千代ねえやはムッとした表情だったが、マリ子は笑顔でお千代ねえやを見た。

 

ちょっと早めにドラマが終わり、今日も「小さなシャベル」でした。

天海さん、よかったね~。あとは三吉、酒田燃料店の方々か。

 

ツイッターだと「おしん」の時に深い考察をされ、何度も頷きたくなるような感想を書いてた人がほかの作品だと口汚くボロクソに言ってることもあってショックを受けることがある。

 

きっと次の「芋たこなんきん」は、何があってもべた褒めなんだろうなというのが今から目に浮かぶ。私は初見だし、きっと好きになれそうな作品だと思ってるけど、「おしん」「はね駒」「澪つくし」「あぐり」「マー姉ちゃん」とどれもそれなりに楽しんだ者としては、こうも感想違うかね?と少々びっくりするのです。