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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (71)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

和歌山からもも(藤山直美)を連れ戻しに金太郎(高嶋政伸)がやってくる。金太郎は働いていて、昭(西川弘志)や雄太(唐沢寿明)と比べて大人っぽい。純子(山口智子)が店に出なくなって3日たち、ぬひ(西岡慶子)は純子の頑固さに音を上げて、あき(伊藤榮子)に頼まれたから純子に謝らなかった、と白状してしまう。純子はあきに、どうしてそんなことを頼んだ、と問い詰めるが、あきに、純子は思い上がってる、と指摘され…。

ミシンを踏んでいるあきと繕い物をする純子。

あき「純子。いつまでもそんなことしててええのんか?」

純子「そやかて…」

あき「意地を張るのもいいかげんにしいや」

純子「そういうわけやないねんけど、ここまで来たら後へ引けんようになってしもたわ」

あき「ほんまに店やめるようなことになったかて、お母ちゃん知らんさかいな」

 

あき「なあ、今のうちにぬひさんに頭下げて、改めてももさん使うさかいによろしゅうにて言うたらどうや?」

純子「あかん。ぬひさんは頭ごなしに『あの店では2人は働けまへんで』とこうやもん。そやさかい行きがかりで『ほな私がやめる』て言うたんや。私、そない言うたらてっきりぬひさんの方から頭下げて分かったって言うと思たんや。それやのに何で今度に限ってぬひさん頑固なんやろ。意地になってるのは向こうの方やわ」

あき無言でミシンを踏む。

 

純子「現に私がこないして休んでても、ぬひさん何も言うてけえへんのやもんな。なあ普通やったら『ほんまにやめるんですか』とか何とか言うてくると思わへん?」

あき「意地を張ってんのか行きがかりか知らんけどほんまに店やめるつもりがないんやったら純子の方が折れんのが筋やと思うけどな」

純子「嫌や、そんなん。あ~あ、ほんまにどこぞ就職先探さんとあかんわ」

あきの複雑な表情。

 

小野家の前をスーツで歩く高嶋政伸さん。若い。

金太郎「じゃ~ん!」

何と金太郎の役でした。ももに話があると言ってやって来た。

 

このネクタイを締めた青年。皆さん、覚えておいででしょうか。村一番の悪ガキ、牛山家の金太郎であります。

 

金太郎はしょうゆ会社の営業を任されている。中卒で働いてるってことか。紀州→しょうゆ→銚子→「澪つくし」を思い出すねえ。久兵衛たちだって元々紀州の人だし。

 

後に山口智子さんと高嶋政伸さんは1992年「いとこ同士」や1993年に「ダブル・キッチン」では夫婦役を演じた…らしいけど、どっちも見てなかったな。長身同士でお似合いだったんだろうね。

 

夜。ベランダで語り合う若人たち。

金太郎「小百合は学校出たらどがいするんな?」

小百合「私? 大学に行くんや」

金太郎「短期大学か?」

小百合「ううん、4年生の学校に行く」

金太郎「4年も勉強してどがいするんな。わいのしょうゆ工場にもな大学出たあるもんあるけどな、わいら中学だけ出たもんと比べてもそう大して変わらんで」

 

小百合「そやけど、東京へ行きたいもん」

雄太「東京の大学に行くのか?」

小百合「うん、お茶の水を狙うてるねん」

金太郎「お茶の水て何やそれ? あ、お茶屋か。大学行くんと違うんか」

小百合「お茶の水という大学の名前なんや」

金太郎「そらけったいな名前やな」

 

昭「でも僕らはあかんわ。野球ばっかりで。ろくに受験勉強してへんし。そこそこの大学探して行くしかないわ」

もうそろそろ帰る時間だという小百合を男たちが引き留め、雄太が送ると言った。

 

ももが夕食を食べてるところに金太郎が来た。

金太郎「お母ちゃん、帰ったんか」

もも「どがいしたんな?」

金太郎「いや、実はな、わいな、おばあちゃんたちにお母ちゃん連れ戻してこいて言われて来たんや」

もも「お母ちゃんは帰らへんで」

金太郎「まあそう言うやろと思たわ」

 

もも「おばあちゃんたちは何て言いやら?」

金太郎「何言わってもええわらよ。わいももう子供やないんやし自分で食うぐらいのことはそらできるさかい。お母ちゃんな誰にも気兼ねせんと自分のしたいようにしたらええんやらよ」

もも「何を言い出すんな」

金太郎「再婚したいんやったらしたらええし、お母ちゃんもわいもそれぞれ勝手に生きていこらよ。わいな、それをお母ちゃんに言おうと思って来たんや」

 

もも「たったそいだけのことを言いに汽車賃使うて来たんか?」

金太郎「そうや。頑張ってほしいわ」

 

また2階に行く金太郎。

あき「金太郎君、しっかりしてはりますなあ」

もも「時々、大人のようなことを言うようになりましたんや。生意気なことを言うてからに…」

 

金太郎の「それぞれ勝手に生きる」という言葉を将来一緒に暮らす気もないの?と突き放した冷たい言葉のように感じたという感想も見たけど、家に縛られて生きてきた人だから解放するようないい言葉と思ったけどね。再婚してもいいしと言ってるんだし、自分はもう一人前になったから子供のことを気にすることもないよってことで。

 

純子が外で洗濯しているのを玄関から見ているぬひ。純子は3日も店を休んでいる。ぬひは小平治に背中を押されて純子に話しかけた。純子はやめるつもりだと言い張るので、ぬひは「奥さんに頼まれましてん…」と白状した。

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ぬひ「そやさかいな、わての本心は嬢さんがももさんと食堂やりたい言わはんのやったらそいでも構しまへんねんて。なっ。そういう次第だすさかい、分かってくれはりましたか?」

純子「おおきに」洗濯を途中で投げ出して家へ。

 

食堂をやめるつもりだと言った純子を止めないようにしたのが、あきと知りあきを責める純子。

あき「純子、ちょっとそこお座り」

純子「何やの?」

あき「言うことがあるんや。あんた、ももさんに働いてもらうかわりに自分が食堂やめる言うたらぬひさんが折れてくれるて言うたな」

純子「言うたよ」

 

あき「ほんまは店やめるつもりはないのに駆け引きを言うたんやろ」

純子「そうや。ぬひさんがあんまり強う反対するさかい」

あき「ぬひさんは昔、お母ちゃんとこで奉公してたお人やで」

純子「そうや」

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ぬひさん、二十歳で小野家に奉公に上がる。

 

あき「そやから今でも純子のことを嬢さん嬢さんと呼んでくれはる。お母ちゃんのことも奥さんと言うてくれはるんや。そやけどな、昔のことはともかく、今は私らがぬひさんにお世話になってるんやで。市場で働かしてもろておまけに店の半分を改造して純子に食堂やらしてくれてはるんやないか」

純子「そんなことお母ちゃんに言われんかてよう分かってる」

 

あき「そやろか。お母ちゃんにはいっこも分かってへんようにしか見えへんけど」

純子「何でやの」

あき「まだ分からへんのか? 私らは確かにももさんにもお世話になってるよ。そやけど、ぬひさんにも、ももさんに負けんぐらいお世話になってるんや。そやろ? 純子が『そんなら私がやめる』やなんてふてくされたことを言うのは…」

純子「ふてくされたやなんて」

 

あき「そやないと言うのやったら脅しやないか。そういうことが口をついて出てくるていうのは心のどこかでぬひさんを下に見てるからや。自分がやめたらぬひさんが折れてくるやなんて思い上がりも甚だしいと思わへんか? お母ちゃんはなんとまあ純子らしないことを言うんやろかと思たわ。そやからぬひさんが謝りに来はった時に本人がやめるて言うんやったらどうぞやめとくなはれて言うてくださいて頼んだんや。ぬひさんはああいうお人やからつらかったと思う。お母ちゃんな、あんたが自分のことにいつ気が付くやろかと思てた。けどあんたは自分は悪ない、悪いのはぬひさんやてずっとそない思てたやろ。お店にも行かんと。お前がよう働いてくれてんのは、お母ちゃんほんまにありがたいと思てるよ。けどな…」

 

純子「私は…」

あき「何や? 言いたいことがあるんやったら言うてごらん」

純子「お母ちゃんにそんなふうに言われるなんて思てもみいひんかったわ。ええわ。私かて一度はやめるて口に出したんやから食堂はやめます。別にぬひさんのせいやあらへん。ぬひさんはとりなしてくれたけど私はやめる! それならええんやろ!」

あき「純子…」

 

純子「お洗濯途中やから」

あきさんに正論言われてへこんでも洗濯をする真面目な純ちゃん。昔の朝ドラはちゃんと諭してくれる大人がいたんだよねー、どのドラマでも。