公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
雄太(唐沢寿明)が1人、美山村の小学校の校庭でぼんやりしていると、純子(山口智子)と小百合(野崎佳積)がやってくる。思わず雄太は逃げるが、純子と小百合に追いつかれ、なぜここに来たか、と問われる。雄太がごまかそうとすると、純子に、小百合は雄太のことが好きなんだ、と言われる。雄太が、小百合が好きだったのは昭だったはずだ、と返すと、小百合は、それは違う、昭が自分のことを好きなのは知っていたが、と…。
今回のオープニングは、昭、雄太、金太郎、小百合は子役の子と大人の役の名前が並んでいました。
浜風荘帳場
あき「雄太、大丈夫やろか」
純子「何しに美山村へ行くか言うてなかった?」
あき「ただちょっと行ってみとうなっただけや言うて」
純子「ここ4~5日、何や考え込んでるみたいやったけど…」
あき「なんぞあったんやろか」
純子「秀平さんかて何も聞いてないて言うてはったし」
秀平に何かを言うわけない!
久助「よいしょ、よいしょ、よいしょ」
純子「校長先生!」
久助「ハハハハ、純子ちゃん、お掃除の方は今日は任してもらいますよ」
山本「雑賀先生、こんなことやってる間に原稿の一枚でも二枚でも書いてください。夏休みの甲子園大会の前までには本屋の店先に並んでなあきまへんのやで」
久助と一緒になって廊下の水拭きをしている山本さん。
久助「はいはい、分かっとりますよ。これはね、私の運動です。気分転換。ねっ。こうして家の中をきれいに掃除して、私の心も新鮮になって、またいい作品が生まれるという私の作戦です。ハハハハ」
あきと純子も笑う。
板場
あき「小百合ちゃん。何も聞いてへん?」
小百合「いいえ。ここ4~5日、雄太さんとはほとんど話らしい話はしてないんです」
あき「そうか」
小百合「おばちゃん。なんぞあったんですか?」
あき「そういうわけやないんやけどな」
秀平「純子、ちょっと」
純子「何?」
秀平「ちょっと」
帳場
秀平「雄太君、昨日、正太夫さんとこ行ってるんだよ」
純子「聞いた」
秀平「正太夫さんと何話してたか秘密だって言ってたけど、ちょっと聞いてみようか」
純子「そやな」
黒電話のダイヤルを回す秀平。
純子は知りました。雄太が美山村に行ったのは、小百合が原因だったのであります。そして今、雄太のために何をしてやればいいのか…。
正太夫があっさりしゃべったのか~。
美山村の小学校の校庭
鉄棒に乗って、足をぶらつかせながら、子供たちの三角ベースを見ている雄太。もう、「愛という名のもとに」とかのトレンディーな唐沢さんになってるね。雄太のポケットからハーモニカが落ちる。ハーモニカを拾って、「戦友」を吹いた。
雄太が振り向くと、つり橋を純子と小百合が走っていた。このつり橋も序盤はよく出てきたから懐かしいな。
純子「雄太!」と手を振る。純子も小百合もよそ行きスーツ。
しかし、純子たちを見た雄太は鉄棒脇に置いていたバッグを手に逃げた。
小百合「雄太さん!」
校舎内
純子「雄太、待って!」
雄太「何でここが分かったんや」
純子「初めは前におった家かと思たんや。そしたらハーモニカが聞こえて…」
雄太「何の用や?」
純子「雄太こそ何で美山村へ来たんや?」
雄太「何でもない。休みやし、たまにはのんびりするのもええやろ思て」
純子「うそやろ。小百合ちゃんが結婚するかもしれんて聞いて、それでたまらんようになってここへ来たんやろ?」
雄太「何言うてんのや」
純子「正太夫さんに聞いたし。それやったら何で自分の気持ちを小百合ちゃんに言わへんの?」
雄太「黙っててくれ! お姉ちゃんが口を挟むことやない」
純子「ほな、これだけ言うとく。それを言うために小百合ちゃんと一緒に来たんやもん。小百合ちゃんは雄太のことが好きやて言うてる。高校生の頃からずっと雄太が好きやったって」
雄太「うそや。小百合ちゃんが好きやったのは昭の方や」
小百合「そやない。そやないの」
純子「小百合ちゃんはな、雄太のことが好きやってん。そやけど、昭が小百合ちゃんのことを好いてたのも知ってたんや。けど、いつかはほんまのことを言わなあかん時が来る。そう思うてたんや。ところが、昭が事故で亡くなってしもた。そやから、その日から雄太が好きやて言えんようになってしもた。それを言うてしもたら亡くなった昭にすまんような気がする。そう思うようになったんやて。それで諦めてお見合いをしたんや。それに小百合ちゃんは雄太がまさか自分のことを好いてくれてるとは思てなかったんやて」
小百合「私は…相手にしてもらわれへんと思てた」
純子「それだけや」
純ちゃんがみんな言った! そしてスッと去っていく。
雄太「お姉ちゃんの話、ほんまか?」
小百合うなずく。
雄太「僕は小学校の頃から君が好きやってん。満州から陽さんに連れられて引き揚げてきた時、僕は君の隣に座らせてもろた。そやけど僕はやっぱり昭に遠慮しとった。昭が君を好きやったら僕は我慢せなあかんと心のどこかで思てた。小百合ちゃん。僕も君が好きやねん。見合いの話断ってくれ」
雄太よ、この前は高校の頃から好きだったと言ってたのに。隣の席というのは、6年生の夏休み明けに転入した時の席かな。
小百合「雄太さん…」
抱き合う2人。キャーッ。
雄太「これからずっと僕と一緒に暮らしてくれ」
校庭で子供たちの三角ベースを見ている純子のもとに雄太と小百合が来た。
雄太「お姉ちゃん、僕ら…。たった今、結婚することに決めた」
純子「そう…」
小百合も恥ずかしそうに微笑む。
純子「おめでとう」
雄太・小百合「おおきに」
クラクションが鳴り、車が校庭に侵入してきた。下りてくる数人の男たち。
金太郎「やあ、ここやここや。こんなとこおったんか、お前。雄太、何しに来たんな?」
雄太「何で僕が来てるのが分かったんや?」
小百合の手を取って金太郎たちのところへ近づく。
金太郎「狭い村や。お前のこと見かけた言うもんあってな、みんなで今、捜いてたやらよ」
純子「いや~、みんな誰やった?」
「俺は厚や」
「俺は清や」
「俺、正紀や」
「俺、まさかずや」
「松男や」
「俺、安秀や」
「勝や」
うーん、分からん。
純子「いや~、みんな大きゅうなって」
「懐かしいな。純ちゃん、変わらんなあ」
「小百合ちゃん、べっぴんになったなあ」
金太郎「雄太。何やお前、小百合ちゃんと手ぇつないで」
雄太「実はな、僕ら結婚するんや」
一同「えっ?」
金太郎「雄太…お前、ついにやったな、おい!」
「胴上げしようや」
一同「わっしょい、わっしょい、わっしょい!」
突然校庭に乱入してきて胴上げを始めた大人たちに戸惑う子供たち。
子供たちが見学で、雄太たちが三角ベースを始める。
「秀平さん!」←遠目でよく分からないけど、呼びかけたの金太郎!?
秀平「おう!」
秀平までやって来た。「おい、純子」
純子「秀平さん」
秀平「いや、気になってね。一本遅れて来てみたんだけど。どうした?」
純子「雄太がな、小百合ちゃんと結婚することになったんや」
秀平「そう! それはおめでとう」
雄太がボールを打つ。
純子「なあ、あれが清君。役場に勤めてるのやて。で、あれが厚君。農業してるのやて。で、ほら、ボール追っかけてるのが松男君。電電公社や」
電電公社。懐かしい響き。1985年だから、純ちゃんやってる頃はNTTだったんだね。
ボールが飛んでいったところから、子供の頃の回想。いつも風呂敷をマントみたいにしていた金太郎。昭とまだ長髪の雄太。雄太が坊主頭になったのは小学校に転入した25話からなので、それ以前の話数だと思われます。金太郎と昭に挟まれてアウトになる雄太。小百合も手をたたいて応援している。見たことあるけど何話だったかな~。
でも、服が冬っぽい。陽一郎と雄太が引き揚げてきたのは昭和22年6月。夏休み明けまで雄太は学校には行ってなかったけど、昭とキャッチボールしたりしてたんだっけ。
子役の昭がキャッチャーミットを放り投げると、そのキャッチャーミットを受け取ったのは大人になった昭で、純子はハッとする。白シャツの昭は新撮だったんだろうか。
雄太がホームインして、金太郎が雄太の頭を小突く。
「金太郎、ドンマイドンマイ。ドンマイドンマイ」
純子「みんな昔の子供の時のまんまや」
金太郎「行くど!」
一同「お~!」
振りかぶった金太郎が子供の金太郎に。それぞれ子供の姿とオーバーラップ。これって改めて撮ったのかな~? あんな1ショットはなかった気がする。金太郎以外、どの子がどの子か分からないけど。みんな坊主頭だしねー。
ここで今の雄太がうつる。雄太や昭の子役の分はないのか。
雄太「小百合ちゃん」
雄太は小百合を連れていき、2人で審判をする。「ストライク!」
純子「みんなここから始まったんやね。三角ベースから始まって、いつの間にか雄太も昭も野球するようになって。今、私は甲子園に来る生徒さんたちをお世話するようになって。始まりはお手製の布のグローブと気を削ったバットと三角ベースや」
セリフはないけど後ろで聞いてる秀平。
いや~、さわやか! 正太夫、あっさりしゃべる。純子が一人でしゃべり過ぎ等々思うけど、別に嫌な感じじゃない。世話好きの純ちゃんですもの、いいじゃないのと思わせてしまう。そして久しぶりの美山村もよかったな~。昭や雄太は大人になってから来たことあったかな? 雄太が回を追うごとに知ってる唐沢さんの顔になっている。
しかし、昭は切ないねえ。勉強でも野球でも雄太に負けていて、小百合ちゃんも最初から雄太が好きで…。雄太は満州で母とはぐれながらも、陽一郎という人格者と行動を共にできて、養子になって、実母とも会えて、家族仲もよく、初恋の女の子と結ばれて、持ってる男だ。