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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (123)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

深夜うとうとしながらも、純子(山口智子)が食事の支度をして、秀平(高嶋政宏)の帰りを待っていると、秀平が食事を済ませて帰ってくる。翌日も慌ただしく出かけてしまい、秀平とのすれ違いが気になる純子。と、そこへ金太郎(高嶋政伸)がやってくる。金太郎は、将来県会議員になるためにしょうゆ屋を辞めて、農協へ勤め始めた、と言う。金太郎は純子に、もも(藤山直美)に食堂を辞めさせて、ここで働かせてほしい、と頼み…。

ちゃぶ台の上に食事の用意をしてウトウトする純子。目を覚まして伝票の整理をしていると秀平が帰ってきた。「ただいま」

純子「お帰りなさい」

秀平「起きてたの?」

純子「そうや」

秀平「これ、どうしたの?」

 

純子「どうしたのって…はい。今日はここで食べてもらおう思て待ってたんや」

秀平「ごめん。今日、梅田で食ってきちゃった」

純子「え~、何でやの。いつもうちで食べてるやんか」

秀平「いや、今朝、君に帰るとも何とも言わなかったから…」

純子「帰っても帰らんでも、いつも用意はしてるやないの」

 

秀平「そうなんだけどね。いつも板場で一人で食べるのもわびしいなと思ったもんだから」

純子「それやったら、そない言うてくれたらええやんか」

秀平「いや…」

 

純子「今朝かてそうや。ももさんに桃出してもろて施設にお土産持っていったんやて?」

秀平「ああ、あれね。子供たちすごく喜んでくれてね」

純子「私が『手土産は?』て言うたらいらんて言うといて…。持っていくなら持っていくで、ちゃんと言うてほしいわ」

秀平「最初は持ってくつもりじゃなかったんだよ。ところが君に言われてさ、ああ、そうかなって思っただけじゃないか。どうしたの?」

 

じっと秀平を見つめる純子。「秀平さん。私のこと、愛してる?」

秀平「!?」

純子「なあ、夫婦て何やと思う?」

秀平「どうしたの、いきなり」

純子「なあ、私のどこが好きで一緒に暮らしてるか言うてほしいねん」

 

秀平「そんなこといちいち言わなくたって分かってるじゃないか」

純子「そんでも言うてほしいねん。なあなあ。アメリカの男の人は毎日どころか朝晩やそうやないの。君は花のようやとか空に輝く星のようやとか」

秀平「僕はアメリカで生まれて育ったけど、パパに日本人として育てられたからな。そういうことは口にしないんだ」

 

純子「ちょっとだけでも聞かせてほしいわ」

秀平「よせよ」

純子「何でやの」

秀平「じゃあ、言うよ。君の全部が好きだ(棒)」

純子「そんなんあかん。知らんわ、もう」

バシッと音がするくらいうちわで秀平の頭をたたく純子。

秀平「どうしたの」

 

秀平以外のジョージ北川、陽一郎さん、清原先生…みーんな妻に対して優しい人ばっかりだもんねえ。

 

板場

食器を片づけてきた純子。「はい、すんません。これ、よろしくお願いします」

知らない仲居さんいるね。

小百合「だいぶんおかずもごはんも残ってますけど」

石田「何や味が合わんかったんやろか」

あき「そやないのや。試合が近づいて緊張して食べられへんのや」

 

勝手口から金太郎登場。裏口、勝手口、裏玄関…みんな同じ?

金太郎「じゃ~ん!」

純子「金太郎君」

綾「何な金ちゃん何しに来たんな?」

金太郎「おう。恭子ちゃん、来たったんか」

 

恭子「そうや。金ちゃん、元気?」

金太郎「元気やで。見てのとおりや」

綾「なあ、また試合見に来たんか?」

金太郎「いやいや、ちょっとな用事あって来てんらよ」

もも「忙しいんか」

 

金太郎「今日はな、農協の出張で来てんらよ」

もも「農協?」

純子「農協の出張て、おしょうゆ屋さんはどないしたん?」

金太郎「3か月前にな、しょうゆ屋やめて、今は美山村の農業組合に勤めたあんねん」

もも「お母ちゃん、そんなこと聞いてないで。何でお母ちゃんに言わへんのや」

 

金太郎「いや、びっくりさいたろと思てな」

小百合「綾さん、知っとった?」

綾「うちは知ってた」

金太郎「もっとびっくりすることあらよ」

もも「何な?」

 

金太郎「村の外れによ中井さんちあるろ」

もも「あるある」

金太郎「あっこ、わい手に入れた」

純子「金ちゃん、家、買うたん?」

金太郎うなずく。

 

もも「ほんまか?」

金太郎「ほんまや。村に帰るについてはな、まあこの際やと思て一軒、ちっこい家やけどな、買うてんら。母ちゃんももし来る気あるんやったらいつでも来たらええわらよ」

もも「ありがたいけどな、お母ちゃんはもう美山村に帰るつもりはないねん」

金太郎「そう言うやろと思た」

 

あき「偉いなあ。雄太と同い年でもう一軒の家持ちかいな」

金太郎「中学出てからつうもの、そらもう金ためることに夢中でな。わい、営業の成績抜群やったさかいな」

もも「そらやったらなんも、しょうゆ屋やめることなかったん違うんか?」

 

金太郎「いやあ、村会議員になるには御坊のしょうゆ屋におるより美山村の農業組合におった方が都合がええんや」

もも「今、何て言うた? 村会議員になるにはて言わなんだか?」

金太郎「言うた。そやから、そのためには農協におって、ほいで村の世話なんかした方が顔も売れるやろと」

純子「村会議員になるの?」

金太郎「そうやら。村会議員を手始めに、まあ、県会議員くらいのとこは狙たんね」

 

もも「あきれた。おまいは一体何を言いだすんやら。ハハハハハ、夢みたいなこと言うて。アハハハハ」

小百合「金ちゃんの話はいつでも大きいばっかりや」

もも「今にな、ホラ吹き金太郎て言われるで」

金太郎「ハハ、言うだけやったらタダや。口には税金かからんてな」

金太郎たちは笑っているが、ももは恐縮している。

 

パントマイムで西川登場。

純子「あ、西川さん」

恭子「どないしたん?」

あきと純子は笑顔で顔を見合わせた。

 

部屋で昼寝している秀平。

純子「秀平さん。秀平さん、なあ秀平さん」

秀平「ん…。何時?」

純子「1時や」

秀平「えっ、1時? 12時に起こしてくれって言わなかった?」

純子「一遍起こしたんやけど、あんまりよう寝てはったもんやさかい」

秀平「冗談じゃないよ。すぐ行かなきゃならないよ」

逆切れするんじゃねえ。

 

純子「お昼は?」

秀平「飯食ってる暇ないな。3時に神戸の施設訪ねていくことになったんだ」

純子「西川さんが来てはんのや」

秀平「へえ~、西川さんが? 恭子ちゃんと仲直りしたのかね」

純子「まだやねん。そやけど仲直りするのんと違う?」

秀平「そうだよ。あれだけ好きで一緒になったんだからね。今更けんかはないよな」

 

純子「今日は?」

秀平「そのまま暗室籠もって多分帰らないと思うから」

純子「ほんま…」

秀平「しかたないだろ。お互い忙しいうちが花だと思ってほしいな」

 

純子「私なんも不平がましいこと言うてないけど」

秀平「いや、それならいいよ。よし、じゃあ顔洗って出かける」

純子、うなずく。

 

恭子「お姉ちゃん」

秀平「やあ、こんにちは」

西川「どうもおにいさん、久しぶりです」

秀平「西川さん、おにいさんというのはやめてくださいよ」

 

純子「秀平さん、行かなあかんのやて」

恭子「行ってしまうの? 何やちょっとぐらい話できるかと思てたのに」

秀平「ごめんね」

純子「ここんとこ、ずっと擦れ違いなんや」

 

恭子「あかんな。夫婦の危機なんやないの?」

秀平「バカなこと言うなよ。よし、じゃ行ってくる。ごゆっくり」

西川「どうも」

純子「行ってらっしゃい。気ぃ付けて」

部屋を出ていく秀平。

 

恭子「いや~、ほんまに忙しいんやなあ」

純子「日本中に混血児がいてるやろ。もう毎日飛び回ってんのや。そのうち、アメリカへも行くかも分からへんのやて」

西川「へえ~、アメリカへ?」

純子「よう分からへんのやけど向こうの養子になってる混血児を追いかけるて言うてはった」

 

恭子「あのな、お姉ちゃん」

純子「何や?」

恭子「私、お盆までこっちにおってもええやろか」

純子「かまへんよ。西川さんも?」

 

西川「いや、私は明日東京の方へ帰ります」

純子「明日? いや、何でですの? まだ夫婦げんか収まってないんですか」

西川「何を言うてはりますの。そない夫婦げんかちゅうほど大げさなものやっておりまへんのや」

恭子「いや、私がな、一生懸命やってんのに、この人が女の人と海水浴に行ったりするさかいすねてみただけや」

西川「何を言うてんねんな。君、それを口実に実家に帰りたかっただけやろ」

恭子「いや…」

 

純子「西川さんもゆっくりしていかはったら、えやないですか」

西川「いや、仕事があるんですわ。いや~、大阪ちゅうとこはよろしおまんな。駅に着いて、その梅田の辺りをブラ~ッと歩いて、うどんの一杯食べたら何やホッとしましたわ」

純子「そうですか」

 

金太郎「ちょっとええかな」

純子「どうぞ」

 

恭子「ほな、またな」

純子「うん」

西川「今日は手伝わしてもらいますさかい」

純子「すんません、よろしゅうお願いします」

手をつないで部屋を出る2人。

 

金太郎「あの2人、手ぇつないだったな」

純子「アハハ、ええやんか。何?」

金太郎「ちょっと純ちゃんに相談あんねん」

純子「何やの?」

 

金太郎「お母ちゃんのことなんやけど」

純子「ももさん?」

金太郎「お母ちゃんがな、食堂をぬひさんに任いて、ほいでここで働かせてもらえんやろかて…」

純子「何でやの? ここよりも食堂の方がええんと違う? 自分があるじなんやし」

 

金太郎「そらほんと、そうなんやけど…。やっぱり寂しいらしいわ。ここやったら純ちゃんもおるし、おばやんもおるやろ。だから、ここの方がなんぼか気楽やっちゅうか安心するて言うてな」

純子「それはももさんにいてもろたら、こっちは助かるけど…」

金太郎「それやったら頼ま。ここで母ちゃん働かいたってや」

純子「分かった。ほな、私からももさんに言うてみる」

金太郎「おおきに。お母ちゃんのことよろしくお願いします」

 

夜。道北学園の生徒達は、旅館の前で素振りしたり、スパイクを磨いたり。

 

電話のある部屋

もも「ほんまにええんやろかな」

純子「そやから、私の方は助かるて言うてるやないの」

もも「おおきに。ホ~ッとした」

純子「金太郎君、ええ子やな」

 

もも「だんだん生意気な口利くようになって。アハハハ。村会議員らて」

純子「えやないの」

もも「うちな、言うたってん。そんな話、お母ちゃんにすんのはええけど、よそででったい言うたらあかんで笑い者にならて」

突然口を覆い、泣きだしたもも。

 

純子「どないしたん?」

黙って紙を差し出す。

 

金太郎の手紙

「お母ちゃん、元気を出いて下さい。わいが県会議員になるまで長生きして下さい。きっと親孝行をします。 金太郎」

 

もも「そんなもん、うちのポケットにねじ込んで行ってんらよ」

純子「ほな、またみんなで頑張ろ。なっ?」

もも「そやな。若い人はええな。夢がいっぱいでな」

 

浜風荘玄関

生徒「お前らも素振り行ってこいよ」

生徒「はい。行ってきます」

 

純子「ももさんはええわ。大阪と美山村で離れてても気持ちが通じてるさかい。そや、秀平さんに電話してみる。今晩は現像室にいてるて言うてはったさかい」

 

もも「おらんのか?」

純子「うん。どこに行ったんやろな」

 

もも「おかしいな。心配やな」ワクワク顔!?

純子「知らんわ、もう」

電話を切って、モヤモヤ。

 

中卒でも仕事を真面目にしていれば、二十歳で家が買えるなんて夢のある世界。ももさんはいいとしても、ぬひさんが何だかかわいそうだな。大阪に呼んでくれたり、店をやろうと提案してくれたのに、結局今は全然違うことしてる。ぬひさんはそのまま大阪だよねえ。