徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】チョッちゃん(60)―連続テレビ小説―

NHK 1987年6月13日(土)

 

あらすじ

蝶子(古村比呂)は連平(春風亭小朝)を通じて、岩崎(世良公則)からの結婚の申し入れを断る。それを聞いた岩崎は蝶子の下宿先に押し掛け、断った理由を聞こうとするが、蝶子は会おうとしない。蝶子は、東京行きを応援してくれた母や女学校の仲間たちのためにも、反対した父のためにも、まだ声楽の道を究めなければならないと考えていた。だが、叔父の泰輔(前田吟)は、直接返事をするべきだと蝶子を諭す。

2025.5.31 NHKBS録画

peachredrum.hateblo.jp

脚本:金子成人

*

黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

*

音楽:坂田晃一

*

語り:西田敏行

*

北山蝶子:古村比呂…字幕黄色

*

岩崎要:世良公則

*

国松連平:春風亭小朝

*

河本:梅津栄

北山道郎:石田登星

*

梅花亭夢助:金原亭小駒

ピアニスト:赤司まり子

*

彦坂安乃:近藤絵麻

鳳プロ

劇団ひまわり

*

野々村富子:佐藤オリエ

*

野々村泰輔:前田吟

 

カフェ泉

連平「ねえ、結婚申し込まれた時、要さんのこと、ひっぱたいたでしょ。あれ『拒否するって意味なのか』って、要さん随分心配してるわけさ」

蝶子「あれは…つい、たたいただけ」

連平「ふ~ん。じゃ、次の夜、千駄木に行った時に会わなかったのは?」

蝶子「ただ…何となく」

連平「なるほどね」

 

要の部屋

要「彼女を迷わせてるものは一体何なんだ?」

連平「うん。はっきり口には出さないけどね」

要「うん」

連平「チョッちゃん、やっぱり要さんの過去の女性関係のこと気にしてるねえ」

 

2人してアイスキャンディーを食べている。要はノースリーブ。

 

要「例の蓮川粂子(はすかわくめこ)の一件か?」

連平「フフフ、あったねえ。粂子の昔の男がどなり込んできて。チョッちゃん、あれ、ちゃんと見てたもん」

要「それだけじゃないのか?」

連平「それだけじゃないでしょう」

要「でも、彼女がほかにどうして知ってんだよ」

連平「うん。私が全部話して聞かせたから」

要「何!?」

 

今まで見てきた要の中で、このシーンの前髪おろした感じが一番好きかも!

 

カフェ泉

♬~(タンゴ)

奥様お手をどうぞ

奥様お手をどうぞ

  • provided courtesy of iTunes

初めのシーンの曲は分からなかったけど、このシーンは曲検索によると「奥様お手をどうぞ」というタンゴかな。

 

”音樂世界”という本を読んでいた連平は左目の下に傷を負っていた。要に殴られたんだろうね。

連平の顔を見てびっくりの蝶子。「どうしたの!?」

連平「チョッちゃん、お願い! 要さんの偏見は、なしにして!」

蝶子「私、偏見なんか持ってない」

連平「じゃあね、認識を新たにしてよ! 要さん、今、女性問題なんか何にもないんだから。昔は昔。今の要さん、見てあげてよ! お願い!」

 

野々村家

蝶子「ただいま!」

富子「お帰り!」

夢助「お帰んなさい!」

 

蝶子は傘を閉じて玄関の中へ。

夢助「うまいね、これね。うん」

富子「お帰り」

蝶子「安乃ちゃん、来てたの?」

安乃「今日、休みだったから」

富子「安乃ちゃんのお土産」

夢助「おまんじゅう」

蝶子「おいしそう」

 

富子「ぬれてるよ」手拭いを渡す。

蝶子「ありがとう」自分の体を拭く。

富子「秋の雨だねえ」

夢助「うん」

蝶子「いただきます!」まんじゅうを口に入れる。

 

道郎「お前、要さんとのことはどうなってんだよ?」

蝶子「別に」

富子「別にって?」

蝶子「別によ」

道郎「返事は?」

蝶子「してない」

 

夢助「してないったって、気持ちはね!」

富子「どういうことだい?」

夢助「今日だって、雨ん中、どこへ行ったの?」

蝶子「銀座よ」

夢助「ほら、ね!」

富子「連平と会ってたんだよねえ」

蝶子「そうよ」

夢助「けど、それを誰が見ました?」

蝶子「夢助さん!」

夢助「昔から言うでしょ? 『嫌よ嫌よも好きのうち』ってね」←うわ~、嫌い。

道郎「なるほど」

 

夢助「本当は要の旦那と会ってた!」

蝶子「違うって!」

夢助「今日なんざ、折よく雨」

富子「何で折がいいんだい?」

夢助「銀座の柳のほとりをば『さしつさされつ逢引の相合傘のふたりづれ』ってなとこで」立ち上がって身振り手振り。

蝶子「夢助さん!」立ち上がって手拭いでたたく。

富子「ちょっと、チョッちゃん!」

 

蝶子「本当に連平さんとよ!」

道郎「要さんの方はどうするんだよ?」

蝶子「それは…」カメラがグーンと寄る。

道郎「何、迷ってんだ?」

富子「チョッちゃん、まだ若い。まだ早いよ!」

蝶子「もういい! 私は断ることにします!」2階へ。

 

外は雨。自室で窓から外を見ている蝶子。部屋には安乃が来ている。

安乃「蝶子さん」

蝶子「何?」

安乃「この前も言ったけど、兄のことは気にしないでくださいね。兄のことで蝶子さんがその…気にすると、やだから」

蝶子「安乃ちゃん」

安乃「蝶子さんのこと兄は勝手に思ってただけだから。思ってただけで口には出さなかったんだから兄の一人相撲だったんです。蝶子さんは何も責任なんてないんですから気になんてしたらダメですよ」

 

安乃ちゃん、大人だなー!

 

カフェ泉

連平「よう!」

蝶子「要さんに伝えて。結婚の話は…お断りします!」

 

夜、野々村家の戸をたたく音がする。

 

外では犬の吠える声。

 

玄関

泰輔「はい」

 

⚟要「夜分、恐れ入ります。岩崎です」

 

茶の間

富子「来た!」

蝶子「どうしよう」

富子「お逃げ!」

蝶子「えっ!?」

富子「断られた腹いせに何やらかすか分かったもんじゃないんだから!」

蝶子「どこに?」

富子「え? 道郎さんとこ…ああ、夜道だ!」

蝶子「え、ど…どこ? 押し入れは?」

富子「うん、いいだろ」

 

玄関の戸を開けた泰輔。

要「実は…」

泰輔「はい」

要「私は以前、蝶子さんに結婚を申し込んでおりました」

泰輔「はあ」

要「はい。ところが今日、連平を通じて断られました。蝶子さんに会わせてください」

泰輔「いや、それは…」

要「野々村さん!」

泰輔「いくら要さんでも変なことしたら承知しませんよ!」

要「理由を聞きたいんです!」

泰輔「あ、はぁ…」

要「断った理由を聞かせていただきたいわけです」

泰輔「お気持ちは分かりますが、時間も時間ですし、また改めてということでは、どうでしょうか?」

何も言わずに帰っていく要。

泰輔は玄関の鍵を閉めた。外では犬の鳴き声がする。

 

押し入れに声をかける富子。「チョッちゃん

蝶子「帰った?」階段下のスペース?

泰輔「チョッちゃん、叔父さん思うんだけど、返事はきちんと要さんにした方がいいと思うよ」

 

でもさー、昭和ドラマ好きとすると、結婚の話って昭和40年代あたりでもなかなか本人同士でさせてくれないもんだよ。直接話しなさいなんて、あまり見たことない。

 

練習場

要が「ハンガリー舞曲第5番」を演奏している。

ハンガリー舞曲 第5番 (ヴァイオリン)

ハンガリー舞曲 第5番 (ヴァイオリン)

  • 川畠成道 & ロデリック・チャドウィック
  • クラシック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

ここ、世良公則さんの生演奏? すごいな~。

peachredrum.hateblo.jp

プロポーズしてビンタされた時の曲ね。

 

要「今日は、これぐらいにしときましょう」

ピアニスト「お疲れさま」

要「お疲れさま」

ピアニスト「じゃ、お先に」

要「どうも失礼します」

 

ピアニストがドアを開けると蝶子が立っていた。「岩崎さん?」

蝶子「はい」

ピアニスト「岩崎さん!」

要「はい」

蝶子が練習場に入って来た。「連平さんにここだって聞いて」

要「うん」

 

蝶子が要に近づく。「理由…断った理由、直接言いに来ました。私は、どうしても、あなたのその…」

要「女の問題かね?」

うなずく蝶子。

要「…以前のことだよ」

蝶子「私は気になるんです。昔は昔、今は今っていうけど、仮に結婚したとして、あなたがいつまた昔みたいになるか分からないわけで。理由はそれだけじゃありません。年齢のこともあります。私は19です。まだ若いです」

要「年取ってからじゃ遅いよ」

蝶子「私は、まだ早いと思います」

要「俺のおふくろはね、19で結婚した。君のお母さんは?」

蝶子「…」

要「聞こえないな」

蝶子「…18です」

要「ああ、そんなもんだ」

 

蝶子「私には、まだやることがあります」

要「ん?」

蝶子「声楽です。高女の頃から目標にしてきた声楽の道を進まなければなりません。音楽学校行きを勧めてくださった川村先生…高女の音楽の先生ですけど、川村先生とか友達に私は約束をしました。今、やめたら、私に外国のいろんなレコード聴かしてくれたロシア人のパン屋のおじさん、結核で高女をやめていった飯島加代さんに何と言えばいいか。東京行くこと、声楽の道に進むことを父は反対し、最後の最後まで反対し、私は家出同然で東京に来ました。父の反対を押し切って東京に来たのも声楽家になるという目的があったからで、途中でやめるわけにはいきません」

 

要「君のこと『今までの女とは違う』と言った」

蝶子「はい」

要「うん。真剣だぞ。一緒にいたいと思った。遊び人といわれた、この俺がそう思った。君がそう思わせたんだ。自信を持て」

蝶子「はい」

要「うん」

蝶子「何のですか?」

要「…女としてのだ」

蝶子「いやいやいや…」

 

要「結婚しても女の問題を起こさなきゃいいのか?」

蝶子「いやあ…」

要「あ、それなら心配は要らん」

蝶子「けど…」

要「何?」

蝶子「私には」

 

要「声楽の道か?」

蝶子「はい!」

要「一番好きな歌は何だ?」

蝶子「はい?」

要「得意な歌だ」

蝶子「…『Ich liebe dich(イッヒ リーベ ディッヒ)』」

要「ああ、ベートーベンか」ピアノを弾く。「歌って」

蝶子「え?」

要「歌う!」

蝶子が歌う。

君を愛す

君を愛す

  • provided courtesy of iTunes

要はピアノを弾くのをやめ、蓋を閉じた。「ダメだな。君には声楽家は無理だ」

蝶子「え?」

要「いや、いくら勉強しても無駄だよ」

蝶子「そんな…」

要「いやいや、声楽家を目指してもどうしようもない。諦めなさい」

蝶子「けど…」

要「諦めろ」

蝶子「いやあ…」

要「いや、諦めろ! 諦めて俺の嫁さんになれ!」

蝶子「はい!」

 

<ああ…! 結婚承知しちゃったんだ、チョッちゃん>(つづく)

 

好意を持った人から才能を否定される…なかなかつらいな…手放しでめでたい!とは、ちょっと思えなかったな。

 

ただね、これが令和のドラマになると、視聴者からの反発を恐れて改変したりするのが嫌なの。まあ、昭和でさえ改変はされてるけどさ!