徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】見事な娘

1956年 日本

 

あらすじ

家族想いの善良な娘の葛藤を描く、源氏鶏太の小説を映画化した恋愛群像劇。デビュー間もない司葉子が、問題を抱える家族のために奔走しつつ、自らの幸せを模索する女性を生き生きと好演した逸品。丸の内で働くOLの桐子(司葉子)は、同僚を弄んだ男性に抗議しに行った縁で、その弟・志郎(小泉博)と出逢う。桐子の父・耕造(笠智衆)の会社の経営が傾き、志郎の両親に借りた金を返済するうちに二人は惹かれ合うが、様々な障害が立ちはだかる。

2023.3.8 日本映画専門チャンネル録画。

peachredrum.hateblo.jp

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源氏鶏太原作というと、おっさんドリームな作風という感じ。それでもこの話の原作は「婦人倶楽部」連載で女性主人公だし女性向けだろうか?

 

朝の通勤電車。桐子の隣に立っていた志郎は「隣にスリがいる」と話しかけてきた。志郎は小泉博さん。「マー姉ちゃん」の伯父様。この頃からダンディー。好きな顔。

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噂好きの同僚・周子に志郎と一緒のところを見られて、あの人は誰だとしつこく聞かれる。

 

仕事中、鈴子という同僚が倒れた。周子は妊娠したのでは?と勘繰る。鈴子を家に送ると病気の妹が寝ていて、鈴子は家まで送った桐子に帰ってと拒絶する。

 

桐子は兄の恋人の久美子に会う。喫茶店に入る2人。久美子はダンサーや女給をしており、両親は結婚に反対していたが、桐子だけは賛成したことを久美子に感謝される。兄の信夫は仕事が見つからず、久美子が女給などをして働いていたが、信夫にヤキモチを焼かれてバーを辞めたといい、桐子に借金を申し込む。

 

家に帰った桐子は会社で消防演習があり、3階からシューターで飛び降りたことを嬉しそうに話す。母の豊子(沢村貞子さん)や父の耕造(笠智衆さん)は、お転婆すぎる娘を心配する。訓練なんだからお転婆とか関係ないんだけどね。

この両親の組み合わせは、「冬構え」でも見た。

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豊子は桐子が男で信夫が女だったら…とこぼす。

 

桐子は3万円を久美子に貸した。これで1ヶ月は暮らせるといい、このお金でお茶でも飲もうと久美子が誘う。桐子は、もうお金は貸さないとキッパリ断る。借金する人のメンタルは昔から変わらないなと思う。

 

同僚の鈴子が出社しないので桐子が見舞いに行くと、鈴子の母から鈴子が流産して入院していること、相手の名前を言わないことなどを聞かされ、鈴子を見舞いに行く。

 

鈴子を妊娠させた雪村達夫の家に行った桐子。お金持ちそうな家で男の責任として1万円の手術代を出すから処置しろと言っていたと悪びれる様子もない。さらに1万円渡すから銀座で会おうと桐子を誘う。怒った桐子が家を飛び出すと、大型犬を散歩させていた志郎と再会する。志郎は達夫の弟で達夫はかつて何度も同じような問題を起こしていたと言う。

 

志郎が夕方5時半、銀座の資生堂で待ち合わせしようと桐子を誘う。その待ち合わせの前に耕造に会った桐子は耕造から100万を渡さなければ会社が不渡手形を出すことになるが、90万円までは集めたから5万円を貸して欲しいと言われる。久美子に3万円を貸していた桐子は困る。

 

待ち合わせに遅れた桐子は志郎に泣きそうな顔をしていると指摘され事情を話す。志郎は自分の父からお金を借りるように言い、桐子を両親に紹介する。桐子は給料から毎月4,000円返済することを約束し、毎月、直接返しに行くことになる。

 

大阪にいる信夫から病気で動けないと手紙が来た。久美子ではなく、島木竜吉という男からの連絡で、耕造はほっとけと言うが、桐子も豊子も心配し、桐子が単身で大阪へ。

 

労働者風の島木から信夫が半月ほど風邪をこじらせて寝ていることや久美子に逃げられたという話を聞いた。信夫と再会した桐子は、久美子の借金が信夫発信じゃないことに安堵し、大阪から連れ帰る。

 

信夫は玄関で耕造の許しがなければ家に上がれないととどまる。耕造は玄関へ行き、バカと声をかけ、さっさと上がるように言う。倒れ込んだ信夫を支える耕造。

 

資生堂パーラーで会った桐子と志郎は近況を話す。志郎が会社に電話をすると鈴子が達夫だと思ってハッとするという話を聞いた志郎は日曜日に会う約束を取り付けようとするが桐子は予定がいっぱい。

 

耕造の会社の状況は相変わらず厳しく、自宅を250万円で売って、蒲田の債権者の家へ引っ越しすることになった。耕造も社長を辞め、取締役として会社に残るものの会社の整理を終えたら辞めることになる。新しく引っ越す蒲田の家を内見する耕造と桐子。2階の窓から富士山が見えて、何かいいことがありそうだと話し合う。

 

次の日曜日、桐子は同僚の周子や鈴子に引っ越しの手伝いをお願いすると、桐子に好意を持つ同僚の弥太(小林桂樹さん)もついてきた。弥太は熊本出身、両親は既に亡く、八丁堀に下宿している。会社まで10分。

 

桐子は4,000円を返しに雪村家へ。志郎の母は、父親が浪人(無職)になり、兄も入院中なら桐子も勤めを辞めることができず、しばらく結婚できないだろうと嫌味っぽく言う。桐子は結婚するとしても志郎ではないと家を飛び出した。その足で信夫の病院へ行き、久美子が今も銀座にいることを知らされる。

 

桐子の父は友達の伝手でサラリーマンとして再出発することを桐子に報告。もう心配いらないから、お嫁に行ってもいい、孫の顔が見たいなどと言い出す。父は桐子が弥太が好きだと思っていたが「違います」と桐子は即答。

 

周子は会社のトイレで鈴子に桐子に嫌われても何度もしつこく電話をする雪村志郎ってどんな男だろうと話しかける。鈴子は嫌ってはいないだろうと返す。

 

会社帰り、弥太と歩いている桐子に声をかける志郎。しかし、桐子は弥太の方が先約だと志郎を無視して歩き出した。結局、弥太から話もなく駅で別れた桐子。桐子を見送る弥太の前に志郎が現れ、バーに入って話をする。志郎はポジティブ陽キャって感じだな。弥太は桐子のことは好きだが、桐子に好意を持たれてないことは知っていて、桐子の幸福を願っているという。桐子の親友は僕の親友だと志郎はお酒を勧める。

 

桐子の家を志郎の両親が訪れ、桐子に謝りたいと言ってきた。雪村夫妻が帰ると、こんないい話があるなんてと豊子は大喜び。耕造は桐子自身に決断させないとと話す。

 

一人で「ベニイ・グッドマン物語」を観ていた桐子は、上映後、同じ映画を観ていた周子と鈴子と再会。映画館を出ると、自動車に乗った島木と会った。上京して自動車の運転手になった島木に周子、鈴子とともに送ってもらった。

レッツ・ダンス (ベニー・グッドマン物語より)

レッツ・ダンス (ベニー・グッドマン物語より)

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帰宅すると、島木との再会を喜ぶ両親は家に招待しようと言い出し、今夜はなんて夜だろうと雪村夫妻が来たことを話す。結婚の意思を確認する耕造に桐子は恥ずかしそうに自室に戻った。(終)

 

ここで終わったことにびっくりした。志郎はかっこよかったけど、何度も雪村家を訪れているのに達夫とは全然顔を合わせないことが不自然だし、ああいうクズとは家族になりたくないな〜とも思ってしまう。一度は銀座に行こうと桐子を誘った達夫は結婚後もしつこくしそう。せいぜい志郎の友達っていう設定にでもしとけばよかったのに。鈴子ともなんか気まずい。

 

でも昭和の佇まいは楽しめた。志郎の家はソファセットのある家、桐子や鈴子は、おしゃれなOLだけど、家は純和風。