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【ネタバレ】停年退職

1963年 日本

 

あらすじ

停年を九十日後に控える男やもめの章太郎(船越英二)は、最近失恋した娘・のぼる(藤由紀子)や反抗期の高校生の息子・章一(倉石功)らにやきもきしつつ、停年後の再就職先も決まらずにいたが、行きつけのバーのマダムから求婚され心がざわつく。

停年退職(新潮文庫)

停年退職(新潮文庫)

 

満員電車。バナナを食べようとする男がいたり、至近距離で女性の髪の匂いを嗅ぐ男、キスしようとする男(口にだよ?)…昔はセクハラをギャグというか、こういう仕方ない男がいるんだよ的描き方をするから腹立つんだよ…と思っていた矢先、停年を90日後に控えた章太郎が入社2年目の女子社員・小高秀子(江波杏子さん)に結婚はそろそろ? 恋人いるの?と今の基準で言えばセクハラのオンパレードをしていた。娘と同じ歳という気安さもあるんだろうけど。

 

秀子は妻子持ちの男と付き合っていると部下から報告を受けた。この部下の平山課長代理が中条静夫さんだった。若い!

 

章太郎は停年後の再就職先を探していたが、停年60日を前にしても決まっていなかった。これから大学生になる息子のためにも、まだまだ働く気もあって、会社の嘱託として残れないかと思っていた。

 

5年前に妻に先立たれた章太郎は、社会人の娘・のぼると高校生の息子・章一(倉石功さん)とお民さん(浦辺粂子さん)と暮らしている。お民さんは住み込みの女中さんかな? 浦辺粂子さんは80年代でもおばあさんだったのに、60年代でもおばあさん。耳が遠くて聞き間違いばかりして笑われている。のぼるは高卒? 短大卒? 大卒?

 

のぼるは最近失恋した。章太郎はその話をいきつけのバーのマダム・道子に話していると小高秀子のことを話している男達の会話が耳に入ってきた。秀子の不倫相手・井筒でちょいと涙を見せて別れてやるから次はお前にトレードするとか下品な話をしていた。

 

思わず話に割って入った章太郎に井筒は怒り出し、絶対別れないと言い出した。道子が「バカな女は何するかわからない」とし、井筒の妻や会社に話すことをほのめかして店から追い出した。

 

秀子が心配になった章太郎は後日、道子のバーに会社の後輩・坂巻(本郷功次郎さん)を通じて呼び出してもらい、話し合おうとした。道子は証人として井筒の友人も呼び出していて、秀子に井筒の本性を話してもらった。友人ならそんなにペラペラしゃべるかあ?

 

失恋のショックで会社を休んだ秀子のため、道子と山に捜しに出かけた章太郎。道子が今にも川?湖?に飛び込みそうなところを説得した。秀子は、しばらく休んで大阪の叔父さんのところで過ごしますと章太郎に告げた…っていいのかそれで。

 

以前、章太郎の家に遊びに来た坂巻は娘ののぼるが気に入っていた。章太郎の前の前の厚生課長が坂巻に重役の娘との結婚の話を持ってきたが、坂巻はのぼるの気持ちを確かめたいと、のぼるに会いに行った。しかし、のぼるは結婚する気はないと断った。のぼるは会社の同僚であり、坂巻の友人でもある青島が社長の娘と結婚するためにフラれたショックを引きずっていた。

 

坂巻は元会社の先輩で今は居酒屋をやってる田沢に重役の娘かのぼるのどちらと結婚したらいいか相談した。田沢は出世のためにも後ろ盾があった方がいいとアドバイスするが、坂巻が決めたのはのぼるだった。田沢は居酒屋、坂巻に結婚話を持って来た西田は退職後、書道教室の先生(生徒は若い女性ばかり)と退職してゆっくりしてる人なんていないんだね。

 

会社では横山専務派、福井専務派で争っていた。有望な坂巻は派閥争いに巻き込まれそうになっていたが、章太郎が醜い派閥争いに巻き込むな!とハッキリ言った。

 

しかし、停年1ヶ月を前にして専務に逆らったことで厚生課長を辞めさせられ、閑職である参事室に回されることになった。給料そのままならいいじゃないと思ってしまった。

 

のぼるは坂巻に、父親が付き合っている人に会わせてほしいと章一と共に会いに行った。妻に先立たれて5年、道子と付き合い出して3年。慎ましい態度の道子に「お母さんと呼んでいいですか?」とのぼる。ええーーーー!

 

章太郎は道子が見つけてきた月給5万の管理人に決まりそう、のぼるは坂巻のプロポーズを受け入れた。(終)

 

昔は55歳で停年であとは悠々自適で暮らせるなんて羨ましいなと思うこともあったけど、この映画みたいに再就職するのもまたよくあることだったのね。 

peachredrum.hateblo.jp

↑停年間近とはいえ、この映画で小中学生の子供がいる父親役の笠智衆さんは再就職先を探していました。

 

阿修羅のごとく」の父親役の佐分利信さんは停年後、70歳で週に何日か会社に行ってるという設定だったな。章太郎がなりたかった嘱託社員というやつ?

 

少女漫画は地味な普通の女の子が学園一のイケメンに好かれるとかあり得ない設定みたいに言われるけど、これだって同じようなもんだよ。

 

万年課長の平凡な男が美人で商才もありそうなバーのマダムに好かれ求婚される、美人の娘にも頼られる、部下の女性社員にも慕われる…男の理想を詰めたような話だった。

 

船越英二さんは声は船越英一郎さんに似てるけど、顔はお父さんの方が端正に感じた。本郷功次郎さんは「特捜最前線」の再放送で見たかもしれない。倉石功さんは、この映画がデビュー作で、私が知ってるのは「スクール⭐︎ウォーズ」の相模一高の監督。

 

男の目から描いた理想の上司像みたいな? でも昔はあのくらいプライベートに踏み込むのが普通だったのかな。こういうの見てるとつくづく今の方がいいなと思ってしまう。

 

でも、昔のドラマを見ると妻に先立たれた男が長女を妻替わりに家事をさせるパターンも多く、この家みたいに家事させる人を雇う方がまだいいと思ってしまった。逆に今の時代なら耳の遠いお婆さんに家事をさせ、年頃の娘が家事しないの?という批判が起きそう。