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【ネタバレ】裸の重役

1964年 日本

 

あらすじ

中央商事の重役・日高四郎(森繁久彌)は”仕事の鬼”と呼ばれているが、バーのマダム(草笛光子)からは”日本一さびしい男”と言われている。十年前に妻を亡くしそれ以来やもめ暮らし。22歳の娘・啓子(星由里子)を政略結婚させようと画策するが、啓子は父親の思惑とはうらはらに四郎の部下で出世から忘れられた奥田(児玉清)に好意をよせていた。会社一筋のサラリーマンとして、父親として、様々な思いに揺れる男を描いた哀歓溢れる物語。

 

2021.2.9 日本映画専門チャンネル録画。カラー作品。

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原作者が同じ源氏鶏太さん。

 

星由里子さんと草笛光子さんといえば「あぐり」。

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あぐり」では里見浩太朗さんを夫に持つ星由里子さん、元恋人の草笛光子さんという役柄だったけど、実年齢10歳も離れているとは思わなかった。

 

草笛光子 1933年10月生まれ

里見浩太朗 1936年11月生まれ

星由里子 1943年12月生まれ

 

日高部長が入社4年目の奥田を見積もりの計算が違うと怒鳴りつけた。森繁久彌さんも児玉清さんもこんな若い姿は見たことないかも。仕事一筋で厳しい日高部長を噂し合う社員たち。知ってる顔は次長の松村達雄さん。奥田は定年間近の浜中(宮口精二)にパチンコに連れて行ってもらっていた。立ってやるパチンコね。

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宮口精二さん、どこかで見たと思った。

 

浜中は病気の妻と5人の子供がいて、定年退職後も嘱託として会社に残れないか日高に低姿勢でお願いしたものの無能な社員はいらないとバッサリ断られた。昔の日本は55歳で定年退職して悠々自適できていいよなあなんて世界はないみたい。今まで見た映画やドラマで55歳で退職して悠々自適に暮らし始めた人なんて、まあ見ない。

 

小杉社長は東野英治郎さん。森繁久彌さんよりずっと年上なんだね。

 

天に星

地に花

人に愛

というポエムと花の絵が描かれた色紙を社長にもらった。日高の家の応接間にとプレゼントしてくれたもの。1月2日、女性社員が晴れ着で日高の娘・啓子と母・松代と食事の用意、男性社員は応接間で飲めや食えや。女性社員も同じ客じゃないのか? 星由里子さんかわいい。奥田は叱責されたためか来ていない。

 

数日後、料亭で日高部長持ちで日高部長の50歳の誕生日パーティーが行われた。社員からピンクのチョッキをプレゼントされた。日高は宴会の席で浜中に今までの月給の半分になるかもしれないが…と就職口を世話すると言った。

 

社員数人と行ったバーのマダムから日本一寂しい男だと言われる日高。マダムは草笛光子さん。美しい。

 

日高は啓子の結婚相手を仕事ができる若手社員3人のうちから選ぼうとしていたが、啓子は結婚したくないという。松代は啓子が奥田とどこかに出かけたのを見たことあると話す。おとなしく仕事ができない奥田を日高はよく思っていなかった。

 

翌日、浜中を再就職先の上野機械に連れて行く車中、奥田のことを聞いた。浜中は奥田を好きな社員だというが、日高は俺に好かれなければ意味ないだろうとバッサリ。上野機械での浜中の月給は3万5,000円。上野社長は有島一郎さん。

 

浜中をバーに連れて行くが、妻に一刻も早く伝えたいと帰って行った。マダムは誠実の塊のような人と言うが、日高は浜中をクズだという。クズとか無能とか言い過ぎ。

 

日高は奥田のこともサラリーマンのクズだと言い、啓子は出世の早い夫を持った母は決して幸福ではなかったと言い、日高に叩かれた。

 

パリに出張に行った日高。上野社長と上野機械で働き始めた浜中にパリからハガキが届いた。浜中のハガキには奥田と啓子が別れるように説得してくれと書かれていた。浜中は恩のある日高の言うことを聞き、奥田を家に招待して話をした。

 

そして、上野機械で一緒に働こうと言った。万年平社員で無能扱いされていた浜中も仕事を楽しんでいる。浜中の長男は定時制に通う学生。長男が学生ならまだ小さい子ばかりだね。

 

啓子は関西に一週間ほど旅をしたいと言い、奥田は日高に退職願を出した。奥田の退職を社長に報告する日高。浜中のことも奥田のことも無能、無能また言ってる。

 

日高は上野機械に怒鳴り込んだ。奥田がまだ啓子と交際を続けていたからだ。児玉清さんは黒目の色が薄くて、今いてもカッコいい。昔風の美男子ではない。

 

バーで心臓を抑えて横になった日高。旅行から帰った啓子は奥田の部屋に行った。

 

体調が悪く10時過ぎ、会社に行った日高は社長に報告。社長は奥田との結婚を許すと言った日高を怒鳴り、仲人は引き受けないと言った。

 

料亭に呼び出された奥田と啓子。日高が来て、奥田ははっきりと娘さんをくださいと言った。日高は啓子に幸せにしてもらえ、奥田を幸せにしてあげろと言い、奥田にも娘を頼むと言った。あとは気楽なところで2人きりの方がいいだろうとお金を渡して、追い出した。

 

そのあと、上野社長と浜中が顔を出し、日高は上野社長に仲人を頼んだ。中央商事では無能でも上野機械ではそこそこやれてるとか小杉社長とバカにしてたくせにねー!

 

あっという間に結婚式も終わり、またバーに行った。大株主の松本の息子を啓子に紹介されたが断ったため、出世に対する自信をなくしてしまったと話していた。

 

バーから出ると若い女性に「社長さん」と声をかけられた。屋台のおでん屋に行く2人。え、マダムじゃなく、このポッと出の女は何!? ホテルに行って、一緒にお風呂に入りましょう、背中流してあげるって、ええー!? 次のシーンではベッドにいる2人。

 

女は結婚していたこともあるが、逃げ出して時々こういうことをしている。一晩こうしてじっとしていたらいいと言ってるから何もしてないみたい? 女の方も寝ちゃうけどいいの?と言ってるしね。

 

消極的になり仕事で失敗した日高は体調も思わしくない。次長から預かった極秘資料を鍵付きの引き出しにしまったが、家に帰ってから鍵をかけたか気になって会社に戻った。会社で確認すると鍵がかかっていてホッ。

 

夜中、タクシーで帰った日高は啓子のアパートへ行った。奥田は大阪へ出張中。日高はノイローゼだと自ら言い、このところ、眠れないのだと明かした。

 

次長からも疲れてるんじゃないかと指摘され、疲れているが会社を休むほどではないという日高。小杉社長から東洋製鉄との取引を始めようと思うと言われるが即答できなかった。

 

ある時、小西咲子という女性から電話があった。聞き覚えのない名前だったが、いつかホテルに行った女性で名刺をこっそりもらったのだという。また会いたいという咲子。またホテルへ。君は寝たっていいよと言うが、そんなの嫌よと咲子からキス! うわー、おっさんドリーム。

 

翌朝、朝食をとりながら、月5万でどうだと日高はいう。月3万でもいいと咲子は言い、しまいには嬉し泣きした。ひええ〜。こんな女いるかよ。お勤めしているが、月給12,000円。アパート代が4,500円でとても暮らしていけない。定年間近のじいさんの半分以下の月給かあ。

 

日高の仕事は難航中。咲子はその時代の若い女性という感じだが、古風なところもあり、アパート前のお地蔵さんを毎日拝んでいたという。しかし、東洋製鉄との取り引きは失敗。日高は退職願いを胸にしまっていた。

 

バーには上野社長と浜中が来た。上野社長は奥田を経理係長にするという。無能社員と思っていた日高は驚き、啓子に電話をかけて内示より先に知らせた。日高は最初、日高の娘婿だからの配慮だと思っていた。自意識過剰過ぎない?

 

奥田が日高の会社を訪ねた。上野社長からの言付けで、東洋製鉄には複雑な派閥があり、山田常務ルートではなく、上野社長と将棋仲間である田所専務(加東大介)と話をするように言った。加東大介さんは森繁久彌さんより年上!? 奥田が話の中で「アタック」とか「チャンス」とか言うもんだから、なんとなく感動した。

 

咲子のアパートに行った日高。一緒にお地蔵さんを拝んだ。愛人?契約は3ヶ月延長。咲子のアパートはすすけた壁の粗末な部屋。近くで救急車のサイレンが鳴り、咲子が見に行った。アパートの2階の女性が睡眠薬で自殺を図ったが、どうにか助かりそう。しかし、咲子は日高に出会う前の私みたいだと落ち込んでいた。

 

東洋製鉄の取り引きは成功。バーのマダムにおめでとうをいいたい女がいると臆面もなく語る日高。バーを出た日高は咲子と夜道を歩いた。(終)

 

バーのマダムのいい感じになるのかと思ったら全然違った。サラリーマン小説だからひたすら若くて美しくて優しい女性ばっかり出てくる。パパ活女子はいつの時代もいたんだね。

森繁久彌さん、有島一郎さん、加東大介さん…「南の島に雪が降る」を思い出した。