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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(72)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

朝鮮戦争がはじまり、日本は特需景気に活気づく。藤井(赤塚真人)は、金もうけのチャンスとばかり、家に帰らず飛び歩いて、巳代子(小柳英理子)に厳しく怒られる。幸之助(牧伸二)と小芳(左時枝)が引き取った戦災孤児だった吾郎(吉田茂樹)は、成長し、警察予備隊に入りたいと言い出す。自分の金を貯めて、三味線ではなくジャズをやりたいのだという。元子(原日出子)と正道(鹿賀丈史)は、吾郎を説得しようとするが…。

朝鮮戦争が始まって最も身近な危機感を持ったのは、アメリカ国籍のハヤカワと結婚したのぼるだったかもしれません。

 

裏庭で巳代子が大介を抱っこし、花子もいる。

 

大原家

元子「それでハヤカワさんは何て言ってきてるの?」

のぼる「昨日、エアメールで走り書きみたいな手紙が届いたんですけど…」

正道「いいんですか?」

のぼる「どうぞ」

正道「それじゃ」手紙を開く。

のぼる「彼は心配するなって言ってきてるんですけど、やっぱりアメリカ人だし、召集されれば入隊しなければいけないし、軍隊に入隊したら朝鮮戦争にだって参加しなければいけないでしょう。そんな…私、結婚する時に想像もしてなかったから」

元子「六根…」

のぼる「この間の戦争は、日本とアメリカが戦ってたんだから彼が従軍したのは当然のことだって思うわ。でも、今度のは2つの朝鮮のいわば内戦みたいなもんでしょう。そのために何でジョーがよその国行ってまで殺し合わなきゃいけないのか私、納得できないの」

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この1946年のアメリカ映画の中で主人公の元兵士たちに「アメリカが邪魔しなければドイツや日本は勝ってた。無駄な戦争、間違った戦争だった」みたいなセリフを投げかける人がいて驚いた。アメリカはイギリスに利用されて参戦させられたと考える人もいたと知り、へえ~と思った。

 

元子「私もあの8月15日で、もう二度と世界に戦争は起こらないもんだってそう思ってたのよ。だからまさかこんなに早くまた戦争が起きるなんて」

のぼる「私、悔しくって。こんなことになるんなら、なにも別居生活してまでアメリカ人となんか結婚することなかったんだわ」

元子「それは言い過ぎよ」

のぼる「だって…青い目のお人形、パパのプレゼントなのよって抱いて遊んでる何にも知らない花子の顔見てると…」

正道「くれぐれも心配するなって書いてあるじゃないですか」

のぼる「でもアメリカ国内の状況は全然詳しく書いてくれてませんもの」

 

正道「しかし、たとえアメリカが戦争をしたとしても、僕はアメリカという国を信用してます」

元子「正道さんが?」

正道「うん」

元子「私、初めて聞いたわ」

正道「まあ、国というより国民って言った方がいいかもしれませんが。あの戦争が終わって僕たちは、みんな反省したよね。変だな、嫌だなと思いながら日本人の多くが戦争に反対しなかった。いや、できなかったんだね。それが戦後、本当に民主主義というものに出合って、そこがアメリカ人と根本的に我々が違うとこだっていうことが僕には気が付いたんだ」

元子「ええ」

正道「国が号令かけても、その号令に納得できない時には実に堂々と反対意見を述べる国民性があるんだよ。だから、この手紙にあるようにね、日本との戦争で夫や息子を亡くした悲しみがまだ生々しいからアメリカの介入も一時的なものだろうって書いてあるでしょ。大丈夫。ジョーを信用することですよ。ねっ、六根」

 

史料映像

当時の板付基地の米軍機

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朝鮮戦争関連のニュースはいっぱいありすぎてどれか分かんない!

 

初め、再び戦渦に巻き込まれるかとおびえたものの、日本が朝鮮戦争の兵たん基地になるだけだと知るとホッと胸をなで下ろしたのが当時の人たちの正直な気持ちだったでしょう。同時にどっと米軍関係の仕事が発注されるや大中小の企業はこぞってこれに飛びつきました。

 

夜、モンパリ

絹子「いらっしゃいませ」

巳代子「いらっしゃいませ」

大きなプレゼントを抱えた藤井が来店。「こんばんは」

絹子「こんばんはじゃないわよ。あれからさっぱり現れないし、大原さんに聞いたら何だか分かんないけどあちこち飛び歩いてるって言うし、巳代ちゃんがどれほど心配してるか分かんないのよ」

藤井「それはそれはどうもすいませんでした。そのかわり、はい、お土産です!」

 

巳代子「私、これでも河内山の娘なの知ってる?」

藤井「もちろん。巳代子さん」

巳代子「さんざん心配かけといて何かやりさえすれば、それでいつもニコニコ、おつむてんてんだと思ったら大間違いなんですから」

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小さな子供扱いして物をあげればそれで満足するような女性ではないってことかな。

 

藤井「巳代子さん…」

巳代子「何よ、こんなもの。さっさと持って帰ってちょうだい」

藤井「そんなあ」

巳代子「いいえ、なしのつぶてで糸の切れたたこは我が家の河内山だけでたくさんなの」

藤井「僕が悪うございました。本当に…本当にごめんなさい!」

巳代子「だったら叔父さんと叔母さんの前で正直にどこで何をしてたか報告してよ。何たって2人は藤井さんの親代わりなんですから」

 

洋三「ハッハッハッハッハ…。思い直すなら今のうちですよ、藤井君」

藤井「何をですか」

洋三「いやぁ、僕にしても巳代ちゃんは、もっちゃんと違うんだからと思ってたから意外だったけどね、それにしても、私ぁ河内山の娘です、キリキリ白状しなせいと、これからこの先、事あるごとに言われたらつらいだろ」

藤井「とんでもない。別に僕は悪いことをしてきたわけじゃないから、どんどん聞いてもらいますとも。いやぁ、忙しかったの何のって。今なら資金さえあれば猿から関白様になれるのも夢じゃありませんよ」

巳代子「何のこと?」

藤井「ええ。いやぁ、もう品物が動くわ動くわ。朝鮮で戦争が始まってからいろんな品物が、うなるように日本中を駆け回ってるって感じなんですよ。ですからね、僕もその品物について駆け回ったところ、どんな品物でも一度転がすたんびに聖徳太子さんの人数が増えて帰ってくるもんですから、おかげで倍の紙を買って帰ってきたってわけなんですよ、ええ」

絹子「へえ~、藤井さんって意外と商売人なのね」

 

藤井「いやぁ、それほどでもないですよ。どさくさですよ、どさくさ。このチャンスに乗り遅れたらね、バカを見ますから。バンバンもうけてバ~ンと家でも建ててやろうって気概がなければ巳代子さんだっていつまでも待ってくれないだろうし」

巳代子「嫌よ、私はそんなの」

藤井「えっ?」

巳代子「そんなことして、もしも間違いが起きたらどうするの」

藤井「大丈夫、ヘマやりませんよ」

巳代子「嫌ですってば」

藤井「巳代子さん…」

巳代子「私、怖いのよ」

藤井「怖い? 何がですか?」

巳代子「何だかよく分からないけど、そんなにジャンジャンお金をもうける藤井さんって何か別の人みたいよ」

藤井「そんなあ…それはないですよ。僕は巳代子さんのために…」

巳代子「私のせいになんかにしないで」

 

洋三「巳代ちゃん」

藤井「マスター、僕はどうしたらいいんですか」

絹子「巳代ちゃんはね、藤井さんのこと本当に心配してたんですよ」

藤井「ということは、僕をそれほど愛してくれたということですね」

洋三「おい、はっ倒されたって知らないぞ」

藤井「いえ、だから僕は巳代子さんのためにと思ったんですが…これから気を付けます」

巳代子「もう知らない!」

藤井「巳代子さん。許してください。このとおりです」

巳代子がそっぽを向く度、頭を下げる藤井が面白い。

 

隣の国の戦争でいやが上にもハッスルした日本人もいましたが、一方では…。

 

吉宗

小芳「とにかくね、何とか言って聞かしてもらいたいんですよ。お父ちゃんの言うことなんかてんで相手にしないんですよ」←全身手拭いみたいな布地のワンピースだな。

トシ江「けど、どうして吾郎ちゃん予備隊へ?」

小芳「そうなのよ。せっかくお父ちゃんの手ほどきで近頃やっと一人前に三味線扱えるようになったっていうのにさ」

宗俊「ふ~ん…」

トシ江「とにかくね、私は店を継いでもらいたいんですよ」

宗俊「まあ、こういうことなら正道っつぁんの方がいいだろ、え。帰(けえ)ってきたら、すぐにそう言っといてやるから。な」

小芳「そうですか。じゃあ、よろしくお願いします」

トシ江「本当にね、男の子持つと心配だわよねえ」

 

朝鮮戦争が始まった2週間後、マッカーサー元帥は警察予備隊7万5,000人の設置を日本政府に命令。旧軍人らを中心に総志願者数は23万5,000人に上ったそうです。

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秀美堂

正道「それはね、入隊できる年齢が来て、それで君がどうしても予備隊へ入りたいっていうんだったら、おやじさんもおふくろさんもそれを止めるわけにはいかないんだけどね」

小芳「正道っつぁん、私は、どんなことがあっても承知しませんよ。店はどうなるんですか」

正道「いや、しかしですね、どうして吾郎ちゃんが予備隊に入りたいのか、その気持ちを聞かないことにはどうしようもないでしょう」

幸之助「そうともさ。どうせなさぬ仲の親子なんだから、何か不満があるんなら洗いざらい言ってもらおうじゃねえか」

吾郎「だから、そんなんじゃないって言ってるだろ」

幸之助「そんなんじゃなければ、こんなのだとは、おめえ、俺たちにひと言も言ってねえだろ」

吾郎「じゃあ言うよ。言えばいいんだろ」

幸之助「おう、言えるもんなら言ってみろ」

 

吾郎「おやじさん、予備隊の給料、いくらだか知ってんのか」

幸之助「給料!?」

吾郎「おう。着るもん食いもん向こう持ちで月給5,000円なんだぜ。もちろん住むとこだってあるさ」

幸之助「うん?」

吾郎「俺はお金をためたいんだよ」

幸之助「その金でおめえは一体何をしてえんだよ」

吾郎「ジャズ」

幸之助「ん?」

小芳「ジャズって?」

 

吾郎「本当におやじさんにゃ悪いんだけど、どうも俺には三味線よりギターの方が合うんだよな」

幸之助「それがどうなんだよ」

吾郎「だからさ、ゆくゆくは秀美堂も洋楽器を置いたり、外国のレコードなんかを入れたらもうかるじゃないか。ね。それにはまず金だよ、金」

小芳「お前は、そのお金のために…」

幸之助「調子がいいこと言うんじゃねえよ!」

吾郎「若いんだもん。俺だって自分の好きなことをやりたいさ」

幸之助「この野郎、そんな汚(きたね)え根性、俺が許すと思ってんのか、この野郎!」

小芳「おとうちゃん、おとうちゃん!」

正道「秀美堂さん!」

 

吾郎「だったら勘当すりゃいいだろ」

幸之助「何だと、この野郎!」

吾郎「三味線なんて、もう古くさいんだよ。これからは何たってジャズの世の中なんだから」←幸之助に引っ張られてはだけたシャツのボタンを閉める。

幸之助「そんなことを言ってんじゃねえんだよ。おい、よ~く聞けよ。てめえの本当の親たちはな、3月10日の空襲で浜町河岸でみんな全滅したんだよ」

小芳「そうともさ。火(し)に巻かれて、もう駄目だっていう時、お父さんやお母さんは疎開させたお前のこと、きっと思い出したに違いないんだよ。それなのにまた戦争始まったらどうすんだい。お前はまた自分みたいな子供作ることになるんだよ」

吾郎「大丈夫だよ。日本は戦争しないことになってんだから」

幸之助「この野郎! 大原さん、そうなんですかい?」

正道「いや、すいません。ちょっと吾郎ちゃんとゆっくり話をさせてもらえませんか」

小芳「そりゃあ、いいですけどね…」

 

吾郎…吉田茂樹さん。「マー姉ちゃん」の勤労少年、三吉君。成長したし、吾郎みたいにわがまま言う子じゃなかったからギャップあるね。

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三吉が大きくなって正大あんちゃんになって…「本日も晴天なり」は三吉君が子役も大人も出てるんだよね。三吉君は戦争から帰ってきたけどさ。この時代特有というか初期金八先生の生徒役も大体こんなしゃべり方するよね~。

 

大原家

正道「自分で使う金が欲しいから予備隊へ入るってのは、おじさん、あんまり感心しないな」

吾郎「どうしてさ」

正道「いや、何をやるにしてもそんないいかげんな気持ちでやるのはよくないぞ」

吾郎「いいかげんじゃないよ。俺、本気だよ」

正道「いくら本気でも吾郎はまだ子供だからもっと勉強してから進路を決めたっていいじゃないか」

吾郎「けどさ、おじさんはどうしてそんなに反対なの? 元軍人の人が大勢応募してるって話だよ」

正道「おじさんたち、士官学校出の元職業軍人はね、公職追放中なんだよ」

ja.wikipedia.org

吾郎「ふ~ん。じゃあ、予備隊には入れないわけだ」

正道「うん」

吾郎「残念だね」

正道「まあ…世の中には、いろんな考え方があっていいと思ってるし、その自由は憲法で決められてんだからね」

吾郎「それで?」

正道「うん…今のおじさんの疑問は中学生並みの疑問じゃないかって自分で思うこともあるんだけれども、戦争が終わって二度とああいうことがあっちゃならないって願ってきただけに、おじさんも本当のところ、よく分からなくなってきてるんだ」

吾郎「チェッ、おじさんに分かんなきゃ俺たちに分かるわけないじゃないか」

正道「うん…」

 

元子「あなた、お茶いれましょうか」

正道「うん、そうしてくれ」

元子「難しいことは、よく分かんないけど、こうしている間にもたくさんの人(しと)が死んでいくってことは、たまらないわ。理屈はどうあれ、私、戦争は嫌」

 

もう一つ、朝鮮戦争のあとに来たものにレッドパージの嵐がありました。この混乱期に職場を追われた人々があったのです。そして、庶民はつつましい幸せを願いながらも東西大国の政策のはざまで、ただ不安に揺れ動くだけでした。

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レッドパージ

1950年、レッドパージの嵐が日本に吹き荒れた。

50年7月から年末にかけ日本政府や民間企業が、GHQの指示で共産党員やその同調者を一方的に解雇した。

レッドパージはまずNHKから始まり、NHKは全国で119人を即日解雇。新聞・通信・放送では合わせて約700人が解雇された。突然職を無くした被解雇者の動揺は大きかったが、国内法に優先する「超法規的」な占領軍の命令に抵抗することはできなかった。

 

つづく

 

来週も

 このつづきを

  どうぞ……

 

終戦時、吾郎は小学5年生(昭和9年生)、順平は3年生(昭和11年生)だったと思うので、昭和25年の今は、吾郎が16歳、順平が14歳かな。

 

朝鮮戦争はとにかく儲かったくらいしか知識がなかったので、勉強になるなあ。

 

あ~あ、来週は水曜日までやって、木曜日から3日間休み。ズレてもいいから毎日やって、年内を28日で終わらせてくれりゃあちょうどいいのになー! 来週3日休んで大みそかまで放送するなんて変な編成。「おしん」方式でやってくれよ。