徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】本日も晴天なり(146)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

圭子は元子(原日出子)から住み込みの働き口を紹介され、赤ん坊を連れてアパートから引っ越した。残った大介(木下浩之)は久しぶりに大原家に帰って来て、自分自身の戦後史を書き始めていた元子から甲斐甲斐しい世話を受ける。巳代子(小柳英理子)は祐介(赤塚真人)との別居状態を解消するようトシ江(宮本信子)に諭され、弘美(谷口美由紀)もトシ江から「かすがい」になってひと肌ぬいで頑張れと励まされる。

BSのない環境にいたため、遅れ視聴しています。この回は2023年3月17日(金)放送。

 

大原家茶の間

テーブルの上で書き物をしている元子。大介が縁側からのぞいてノックする。

元子「大介…」

大介「ただいま」

元子「お帰り。圭子さんは?」

大介「今朝、茜島さんまで送ってきたよ」

元子「冬彦君も?」

大介「ああ。で、友達呼んでアパートの掃除を終えて、今、引き揚げてきたところ」

元子「ご苦労さんでした。あっ、帰ってきたんだから玄関から入んなさいよ」

大介「やだよ、てれくさい」

元子「バカね」

 

大介「一人?」

元子「うん。あっ、まさか、そのかばんの中、汚れ物がぎっしり詰まってるんじゃないでしょうね」

大介「モンパリじゃ、あんまり景気よく洗濯物を翻すところがないもんでね」

元子「いいわよ、洗濯機の前、出しときなさいよ」

大介「うん」

元子「おなかは?」

大介「うん、おばあちゃんの顔を見て帰ろうと寄ったら、人形町でうなぎを取ってくれた」

元子「そう、それは豪勢だわね」

大介「ハハ…。今、何書いてんの?」

元子「うん、母さんの戦後史」

大介「ふ~ん」

元子「お茶いれようか」

大介「ああ」

 

元子「大掃除になったんでしょう? ゆうべのたてかえしだけど、ひとっ風呂浴びる? ガスつければね、すぐにでも入れるようになってるんだけど」

大介「そういえば、鼻の穴ん中がムズムズしてる。入ろうかな」

元子「じゃ、先につけてくるわね」

大介「うん」

 

元子「初めての所で冬彦ちゃん、泣かないといいわねえ」

大介「うん」

元子「茜島さんには、あとで電話しておくけど圭子さんなら大丈夫よ。あそこはみんな明るくて陽気でコセコセしてなくて気持ちのいい人(しと)たちばっかり働いてるから。ねえ、大介…」風呂場から戻ると大介の姿がない。

 

大介の部屋

ベッドに横になった大介は机の上の宗俊の写真に語りかける。「おじいちゃん、全部終わったよ。終わっちゃった…。けどさ、おばあちゃんったら、先付け小切手でひ孫もらったようなもんだってさ」

 

⚟電話

 

目をつぶる大介。

 

⚟元子「はい、もしもし、大原でございます」

 

モンパリ

のぼる「もしもし、私。大介ちゃん、帰ったんですって?」

元子「まあ、相変わらずの早耳だこと」

のぼる「だって今、モンパリなんですもの」

元子「何だ」

のぼる「ねえ、空襲を記録する会って知ってる?」

 

大原家茶の間

元子「空襲を記録する会?」

のぼる「うん。今ね、あちこちでそうした動きがあるのよ。それで私も首突っ込んでるんだけど。ガンコ、自分の戦後史、始めたんですって?」

元子「あっ、そんな大したことじゃないんだけど…」

 

モンパリ

のぼる「けど、その中に出てくることと記録する会のこととダブるところがあると思うのよ。それでね、こっちにも協力してほしいなと思って」

元子「ええ、私にできることだったら喜んで」

のぼる「ありがとう。頼りにしてます。それじゃ、またね。よし…」

1973年だから時期も合ってるね。

 

大原家ダイニング

食卓をローアングルで映すのは珍しい。

元子「大介、お代わりは?」

大介「はい、頂きます」

元子「はい」

道子「やっぱり、みんなで食べるとおいしいわね、お兄ちゃん」

大介「まあね」

正道「しかし、大介もようやく大任を果たしたっていうわけだ。なっ? 飯ばっかり食べてないで、もう少し飲んだらどうだ、え」

元子「別に威張れることしてきたわけじゃないんですから、あんまり甘やかさないでくださいよ」

道子「うれしいくせに、無理しちゃって」

正道「こら」

 

道子「それで圭子さん、どんなふうだった?」

大介「うん、別にどうってことはないさ」

道子「うそ」

元子「いいかげんにしなさいよ、道子も」

道子「だってみんなをこんなに心配させたんだもん。お兄ちゃんだってちゃんとみんなに報告する義務があると思うわよ」

大介「『女は弱し、されど母は強し』だよ」

道子「何? それ」

大介「だからさ、これからは俺がしっかりしなきゃいけないってこと。うん、やっぱ、うちの漬け物はうまいね」

道子「すぐごまかすんだから」

正道「年頃だなあ、道子も」

道子「えっ?」

笑い声

道子「やだ…」

 

そして、次の晩。舞い戻った大介を囲んで男たちの奇妙な集まりが久しぶりに銀太郎の店で持たれました。

 

銀太郎

銀太郎の隣には善吉が立っている。カウンターは友男、幸之助、藤井、正道、大介、彦造、順平がL字に囲む。

友男「けどまあ、さすが河内山の孫だ。粋だね、え。ほれた女をとことんさ、面倒見て。な。きれいさっぱりと引き揚げるなんざ、こりゃ、今の若いもんにはできねえまねだよ」

大介「そんなんじゃないんだってば」

藤井「いやいやいや、駄目だよ、駄目だよ。今夜のさかなは君なんだから、ド~ンと覚悟をきめなくちゃ、え」

幸之助「へへへへへ…違(ちげ)えねえ」

 

善吉「けどやっぱり、こりゃ血ですかねえ。さんざん親の気ぃもたしといてよ、これで順平ちゃんにしたって手妻使ったみたいにかみさん連れてくる、そういう芸当なんざね、我々にはなかなかできるもんじゃございませんやね」

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手妻は1話にも登場。手品、奇術。

 

順平「冗談じゃねえよ。あれは、ちっとばかし俺の目違えだった…」

銀太郎「何言ってんですか。働き者で愛きょうよくて親思いで、んなこと言ったらバチが当たりますよ」

善吉「そう! そうよ」

幸之助「けど、そん中に亭主思いってえのが入ってねえのがちょいと気になるな」

善吉「あっ、そりゃいかん」

友男「尻に敷かれてんじゃねえのか、順ちゃんよ」

善吉「あっ、そこら辺はね、あっしんとことおんなじなんで、ハハ…」

銀太郎「ちょいともう一度言ったんさい」

順平「俺んところは、そこまでは言わせないけどね」

善吉「あ~、またまた、またまた…」

 

正道が彦造の隣に移動する。「彦さん、熱いとこ、一杯どうですか、え」

順平「駄目なんだよ。最近、耳の方がさっぱり遠くなっちまって」

大介「彦さん」そっと肩をたたく。

彦造「ああ…」正道が立っているのに気付き、お酒をもらう。

 

藤井「銀太郎さん、僕に水下さい」

銀太郎「お冷やですか?」

藤井「ええ、ちょっとね」

友男「何だ? その薬は」

藤井「ええ、肝臓を…」

幸之助「ケッ、年だな、お互いによ」

善吉「ちょいとお互いにって、そんな、ご隠居たちと一緒にされちゃかわいそうでしょ」

友男「大した変わりはねえだろうが」

笑い声

 

薬を飲んだ藤井がせき込む。

友男「ほらほら、ほらほら…」

銀太郎「大丈夫ですか?」

藤井「いや、大丈夫…大丈夫、大丈夫」

藤井の様子を見ている正道。

 

桂木家茶の間

巳代子「藤井が肝臓の薬を?」

元子「うん。正道さんもね、やっぱり不規則だからじゃないかって心配してたわよ」

巳代子「駄目なのよ、あの人は。一緒にいる時だって、いくら口酸っぱくして言っても不規則なのは商売繁盛の証拠だとか何とか」

トシ江「元子は食べ物のこと言ってんのよ」

巳代子「食べるもの?」

元子「弘美ちゃんも言ってたわよ。あの子が行かないとね、ほとんど外食か出前の店屋物で済ましてるんだって」

巳代子「もう!」

トシ江「ねえ、折を見て、ゆっくり話し合ったらどうなの。あんただってさ、ぽっくり逝かれたら寝覚めが悪いでしょう」

巳代子「変なこと言わないで!」

元子「私はね、別居の時、あくまでも冷却期間って言ったでしょう。そろそろ結論出した方がいいんじゃないの?」

巳代子「何よ、結論って」

 

トシ江「並の奥さんから見ればね、あんた随分好きなことしてんじゃないの。それだってさ、初めは祐介さんの応援があったからじゃないの。言いたいことを言い、したいことをして、今更、若い者みたいにもう性格の何とかじゃ、あんまり格好つかないじゃないか」

巳代子「じゃあ、格好さえつければいいんですか」

トシ江「ほら、早いんだよ。だから、私が言ったとおりじゃない。もう少し放っとけばよかったんだよ」

元子「本当、余計なお世話だったみたいね」

トシ江「あぁあぁ」

巳代子「お姉ちゃんったら…」

 

藤井の部屋

鍵が開く音

ベッドで寝ている藤井。「ん…弘美か?」

 

部屋に入って来たのは巳代子。

 

藤井「ん…ううっ…。巳代子…」

巳代子「まあ、なんてだらしがないんでしょう! ゴミ箱なんだか人間の住むところだか分かりゃしないわ」

藤井「巳代子…」

巳代子「私は忙しいんですからね。洗濯物があるなら出してくださいよ。洗濯機はどこ?」

藤井「えっ、いや…あっち」

巳代子「あ~あ、こんなところにこんなものを。洗濯物出しといてって言ったでしょう。さっさと脱いでくださいな。着替えは…はい、これ、新しく持ってきましたから」

藤井「いや、しかしよ…」

巳代子「しかしも、ヘチマもありません。肌着も清潔にしてないと風邪をひきやすいし風邪は万病のもとってこと知らないんですか」

藤井「いや、分かってますよ。でもね、なにもそんなポンポン、ポンポン言わなくてもいいでしょうが」

巳代子「しかたないでしょう。心配だからポンポン言ってるんですよ」

 

洗濯物を持って、脱衣所?に移動した巳代子についてくる藤井。「いや、そんなら、やっぱり僕のことを…」

巳代子「掃除機はないんですか、掃除機は」

 

桂木家茶の間

弘美「お父さんのところの鍵を貸せっていうから貸したら、どうしてあんなにだらしなくしておくんだって、お母さん、私のこと怒るのよ。そんなことってあるかしら」

トシ江「体裁が悪いからじゃないのかい?」

弘美「だって、散らかしたのは私じゃないのよ。ただ、この2~3日、ちょっとご無沙汰してただけで、その間、散らかしたのはお父さんなのに私が怒られるなんて、全然割が合わないわ」

トシ江「潮時だね」

弘美「潮時?」

トシ江「ああ。物事、潮時を逃がすとね、まとまるものもまとまらなくなってしまうんだよ。弘美(しろみ)、あんた一人(しとり)娘だろ。『子はかすがい』っていってね、この際、あんた、一肌(しとはだ)脱いで頑張っておやりよ」

弘美「一肌…? 脱ぐの? 私が?」

トシ江「ああ。それが一番、角が立たなくて済むからね」

弘美「うん、分かった」

 

藤井の部屋

藤井「弘美、何をするんだよ。こんな押し込んだら何がどこにあるか分からないでしょう」

弘美「いいの。こんなものね、あとで整理すればいいんだから。物事ね、潮時を外したらどういうことになるか分かってるんですか」

藤井「しかしだね」

弘美「本当に帰りたくないのなら、私は構わないのよ。けど、かすがいをバカにするともう構ってなんかあげないからね」

藤井「えっ?」

弘美「お母さんだって、お父さんの体のこと心配してるのよ。だから『子はかすがい』なの」スーツケースに服を詰め込む。

 

大原家茶の間

正道「ハハハハハ…いや、よかったじゃないか。やっぱり弘美ちゃんだよ。よかったよかった」

藤井「私もですね、引き揚げるなら、その前に一応、巳代子にきちっとひと言、言ってやりたいこともあったんですが、まあ、お義母(かあ)さんの言うとおり、潮時ってものがありますから」

元子「だったら、人形町へは?」

藤井「ええ、一応、さっき挨拶に…。しかし、敷居が高かったですわ」

正道「いや、そんなこと言ってるとね、弘美ちゃんの言うとおり、今は子がかすがいにはなりえない世の中なんだから、やっぱりチャンスはね、うまく生かさなくちゃ」

藤井「はあ…。それとお義兄(にい)さんとお義姉(ねえ)さんが上手に話をしむけてくださったからだと思っております。本当にありがとうございました」

元子「あら、私たちは別に」

 

藤井「いえいえ…とりあえずバタバタと帰ってきてしまいましたから落ち着いたら巳代子も挨拶に伺うと言ってました」

正道「いや…そんなことよりね、もう二度とこういう騒ぎは起こさないように2人でよく話し合うことだよ」

藤井「本当にお騒がせいたしました」

正道「はあ~、よかった、よかった。それじゃあ、お祝いに一本つけようか」

元子「はい」

藤井「いやいやいや…ちょっと、あの~当分、医者のOKが出るまでは禁酒なんですよ。それこそ今度は弘美にもたたき出されますよ」

元子「だったら、その方がいいわね。けど、本当におめでとう、祐介さん」

藤井「面目ない」

元子「大体、あなたたちが離婚するなんてこと私には考えられなかったけどね」

藤井「そりゃ、まあ、私だって…ええ」

笑い声

 

「雨降って地固まる」と申しますが、大介も祐介も雨降って、おさまるところへおさまったようでした。

 

元子、正道、藤井の笑顔で7時28分。

 

つづく

 

朝の前奏曲(プレリュード) 通算8回目(約11週ぶり)。

 

朝の沈黙(しじま)きらめく陽ざし

それは季節の調べ告げる

昨日捨てて何処へ行くの

風の中の私 あー

愛のときめき燃えるあこがれ旅の始まり

空のかなた あー心ざわめく冒険

私からあなたへありがとう

想い出の青春(とき)を

peachredrum.hateblo.jp

明日も

 このつづきを

  どうぞ……

 

まあ、私も藤井と巳代子が離婚するとは思わなかったけどさ。

 

久々に20代の若々しい原日出子さんが見られました。20代前半の人でここまでの年齢を演じる人はなかなかいないよねえ。「あぐり」の田中美里さんもすらっとした大人っぽい美人だからあんまり違和感なかったけどね。

 

残り1話分やると明日だいぶ楽になるけど、さすがに今日は疲れたな。