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ドラマの感想など

【連続テレビ小説】本日も晴天なり(73)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

巳代子(小柳英理子)の嫁入り支度が整いつつあるというのに、藤井(赤塚真人)の家探しが進まず、結婚式は延び延びになっていた。気をもんだ宗俊(津川雅彦)は、仲人役の元子(原日出子)と正道(鹿賀丈史)に何とかするように談じ込む。そんなさなか、善吉(小松政夫)にも縁談があると彦造(森三平太)が口走る。相手はなんと、芸者の銀太郎(日向明子)だというので、ご近所一同が大騒ぎに。そこへ当の銀太郎がやってきて…。

昭和25年秋

 

吉宗前

タンス屋「よいしょ。どうだい? そっち…」

トシ江「まあ、ご苦労さんですね」

タンス屋「へい、へい」

 

まことに不謹慎な言い方ですが、朝鮮戦争の特需によって景気は回復。ぜいたく品だった桐のたんすもこのとおり復活して巳代子の嫁入りの支度も着々整いながら、なぜか、結婚式の方は延び延びになっておりました。

 

銀太郎「こんちは!」

トシ江「あっ、こんにちは」

銀太郎「まあ~、立派なのが出来たじゃないの。もちろん注文なんでしょう」

トシ江「フフ、まあね」

 

タンス屋「おかみさん、どこへ置きましょうか?」

 

タンス屋…松田章さん。「ふぞろいの林檎たち」などなど結構知ってるドラマに出ている。「古畑任三郎」第3シーズン「灰色の村」の和尚役など。

 

トシ江「はい! ちょいと失礼」

銀太郎「あっ、どうも。いいわねえ。羨ましいわ。金らんどんすの帯しめて。はあ…女にとっては一番の夢だもんね」

元子「へ~え。芳町の銀太郎さんっていったら男嫌いで有名だったんじゃないんですか?」

銀太郎「それは表看板。いい人(しと)がいたら私だって一度ぐらいお嫁に行きたいわよ」

元子「本当なの? おねえさん」

銀太郎「そりゃあ、私だって女だもん。だけどこれないしょよ。ねえ、誰にも言っちゃ嫌よ」

元子「さあ、どうしようかしら?」

銀太郎「本当よ。そんなことしゃべられたら営業妨害になっちまうもの。バカだねえ、私も。けどさ、巳代ちゃんのお嫁入りは一体いつなのよ」

元子「それがまだはっきりしないんですよ」

銀太郎「何言ってんのよ。お仲人、元子さんたちなんでしょう?」

元子「けど、肝心のお婿さんがね、お式をもう少し、もう少しって延び延びにするもんだから…」

銀太郎「それ何だか心配ですよねえ。だけど一体、どうしてなんですか?」

元子「それが分かんないから心配してるところなんですけどね」

銀太郎「ふ~ん」

 

夜、大原家

宗俊「だからさ、俺にしたってトシ江にしたってな、巳代ちゃんいつお嫁に行くんですかって近所の連中にさんざん聞かれてよ、もう答えようがなくなってんだよ」

正道「はあ、まことにもって…」

宗俊「そらぁ初めは、トシ江の体が本調子になり、元子もお産が済んでからって、巳代子がな、けなげなことを言ってくれたから、正直、俺もほっとしてたんだよ。けど、お前、こう延び延びになったんじゃ、ただでもうるせえ連中のこった、何か不都合なことでも起こったんじゃねえかって、俺は痛くもねえ腹探られんの、もう真っ平なんだよ」

元子「だからそれは、適当なうちが見つからないからって、藤井さんが…」

宗俊「んなこと、分かってらぁ。あいつがおめえ、仕事の合間に大車輪になって探してるし、俺も慌てず探せと言った。けどお前、ここまで延びたんじゃ、見つかった家にいちいち俺がお前、ケチつけて延ばしてるみてえじゃねえか」

正道「いえ、決してそうじゃないことは、この私が保証します」

宗俊「てめえに保障されたって始まらねえんだ、このバカ」

元子「お父さん!」

正道「あ…」

 

宗俊「おめえ、仲人だろ? 仲人ってのはな、保証するんじゃなくて、まとめるのが仕事なんだ、え。本当にうちが見つからねえのか、それとも所帯を持つ気がなくなったのか、きちんとあいつに確かめてくれ。なあ。事と次第によっちゃ、俺はただじゃおかねえからな」

元子「変なこと言わないでよ」

宗俊「てやんでぇ! ここまで来てほごにされたんじゃ俺も親として黙っちゃいられないからな」

正道「本当に申し訳ございません。気にはしておるんですけども、藤井君もこのところちょっと忙しく飛び回り過ぎているようでして…」

宗俊「お~、そうかい。まあな、仕事が忙しいってのは、それは結構だよ。ならな、巳代子よりも仕事の方が好きだってんなら、お前、仕事と祝言挙げりゃいいじゃないか」

元子「むちゃくちゃを言わないでちょうだい」

宗俊「てやんでぇ! ここまで言わなきゃ事は進まねえんだい」

 

大介の泣き声

元子「ほら、泣きだしちゃったじゃないの」

宗俊「おお~、よしよし、よしよし…。ほらほらほら、よしよし…。ほらほら、う~、ほらほらほら…。なあ、そうか、そうか、そうか。よしよし、なあ。(大介を抱き上げる)悪いのはな、みんなな、おめえのな、お父っつぁんとおっ母さんでな、この大きなあんちゃんじゃねえんだからな」

 

大きなあんちゃん=宗俊!? 厚かましい。

 

なるほど近頃の桂木家では巳代子と藤井のことが最大の話題のようでありました。

 

吉宗前の路地

巳代子「どうもありがとう。ここでいいわ」

藤井「そうですか」

巳代子「だってまた顔を合わせれば家の人たちがうるさいし」

藤井「どうもすいません。でも僕を信じて、もう少し待ってください」

巳代子「いいわよ。私、藤井さんを信じているもの」

藤井「巳代子さん。(近づいて手を握り)ありがとう」

巳代子「今日は本当に楽しかったわ」

藤井「僕もです」

 

桂木家茶の間

幸之助「あ~、それにしたって尻をたたかねえことには、この分には年が明けちまうよ、おかみさん」

トシ江「ええ。だから、うちの人、今、元子のとこに行ってるんですけどね」

友男「いや、うち、うちっていってもさ、当節、若夫婦で一軒建てのうちってのは、なかなか無理なんじゃねえかな」

トシ江「私たちもぜいたくは言わないって言ってるんだけど…」

友男「けどさ、あの横丁でもう2軒、家作があんだろ。どうにか立ち退いてもらうわけにはいかねえのかい」

幸之助「バカ。部屋をまた貸ししてるくらいだから立ち退くはずがねえじゃねえかよ」

友男「あっ、そうか」

トシ江「そういう掛け合いはどうもねえ、河内山だけじゃなく、私たち、みんな駄目なんですよ」

幸之助「だらしがねえと言いてえところだが、俺も苦手なんだ」

友男「本人たちはどうなんだろうね?」

トシ江「それがまた巳代子がのんきなもんだから」

幸之助「早く一緒になりたいわって、こう、催促することはできねえのかな、あの子は。あ~、気がもめて、しょうがねえな、全く」

トシ江「どうも相すいませんね」

 

扉が開く音

巳代子「ただいま!」

 

トシ江「あっ、お帰り」

幸之助「のんき屋が、え。宗俊に似りゃよかったんだ。爪のあかでものみゃいいんだ」

巳代子「あら、おじさんたちおそろいで」

幸之助「遅かったじゃねえかよ、え。彼氏と一緒だったのか?」

巳代子「当たり。銀座で待ち合わせて洋画を見てきたの。すてきだったわ、イングリッド・バーグマン

昭和25年だとこの辺りだろうか。

 

友男「バーグマンでもハンバーグでも構わねえけどよ、親ぁ心配させちゃいけねえよ」

巳代子「あら、ちゃんと断って行ったわよ。公明正大なのよ、私たちのおつきあいは」

幸之助「あ~あ、イライラする…本当にもう」

巳代子「じゃあ、どうぞごゆっくり…」部屋を出て行く。

友男「はいはいはい…」

 

あ~あって感じの大人たち。しかし現代感覚で言うと、イライラするなんて言われる筋合いねーよ!って思うけど、笑顔でかわす巳代子が賢い。江戸の人情というより現代の田舎だって同じようなもんだけどね。

 

大原家を出た元子は裏庭に集うキン、彦造、善吉を見かける。

元子「何してんの? こんなところで」

キン「いえ、別に…」

元子「巳代子が帰ってきたみたいだったけど」

彦造「へえ。今、あの、2階の方へ」

元子「そう」桂木家に入っていく。

 

キン「初めての仲人だってのに、苦労だよねえ、お嬢も」

彦造「まさかと思うけどなあ」

善吉「何がだよ」

彦造「え? あの藤井ってやつさ。結納は済ましたものの、ほかにも切れねえ仲の女がいるんじゃねえか?」

善吉「冗談言っちゃいけねえよ。あいつがそんな女にもてる男の面かい」

彦造「男は面じゃねえんだよ」

キン「けどさ、そんなこと言って、もし、それが本当だったらどうすんだよ」

善吉「そん時は俺が生かしちゃおかねえ」

キン「物騒なこと、お言いでないよ、このバカ!」

 

桂木家2階

元子「ねえ、見事なたんすでしょう」

巳代子「けど、これが運び込まれたせいね」

元子「何が?」

巳代子「うるさいのがまたまた集まってるもの」

元子「そういう言い方ってないでしょう。みんな、巳代子のことを心配すればこそ」

 

巳代子が言いたくなるのは分かる。

 

巳代子「だから、私たちなら大丈夫だって言ってるのに」

元子「じゃあ、今夜、藤井さんから、その話が出たの?」

巳代子「ううん。僕を信じて待っていろって」

元子「で、巳代子は?」

巳代子「私ってグズなのかしら。待つのは全然平気なのよ。それにあの人の目を見ていると、あんまり一生懸命だから、かわいそうになっちゃったりして」

元子「まあ、聞かされちゃった」

巳代子「ハハハハハハ…」

元子「もう…」

巳代子「ハハハ…」

 

作業場

善吉「で、どうするよ?」

彦造「いや、どうするったって、俺たちじゃ、どうしようもできねえじゃねえか」

 

元子「そんじゃあね!」階段を下りてきた。

 

善吉「え~っと、これで…」

元子「どうしたの? 3人でいつまでも」

彦造「いえ…」

元子「お湯屋、行ったんでしょ。湯冷めでもしたらどうすんのよ、彦さん。体、大事にしてくれなきゃ困るじゃないの」

彦造「いや、あの、実は今、おキンさんと善吉の2人にがん首そろえて相談事持ちかけられていたもんですから」

元子「あら…善さん、何の相談?」

善吉「へ…へい、ですから…」

 

元子「よかったら正道さんもいるし、ちょうどお父さんも来てるから、ねっ、うち上がってちょうだいよ」

彦造「けど、あの、旦那がいたんじゃね…」

元子「お父さんがいたんじゃ話しにくいことなの?」

彦造「まあね」

元子「何なの? ねえ、心配だわ、私」

彦造「いやいや、あの、そんな、悪(わり)い話でもねえんですがね…」

元子「ねえ、話してちょうだいよ。私が役に立つことなら、何でも聞くわよ」

 

と言われると、彦さんも苦し紛れに何かを言わなきゃなりません。

 

元子「何?」

彦造「いや、あの、実は…善吉のやつがですね、その、所帯を持ちてえ女が出来たそうなんで…」

元子「え~!」

善吉「ちょっ…彦、彦、彦、彦…」←面白い。

元子「本当なの? 善さん! よかったじゃないの! おめでとう、おキンさん!」

キン「ああ、へえ…」

元子「嫌だわ、だったらどうして、みんなの前で話してくれなかったのよ。こんなとこでコソコソする話じゃないじゃないの」

彦造「いやぁ、けど、あの巳代子お嬢の話がもたついてるところへ、善吉にしたって話が出しづれえんじゃねえんですか。なあ」

善吉「そうそうそう、そういうことです」

元子「くだらない気兼ねならよしてちょうだいよ。おめでたいことなら早いもん勝ち。善さんが名乗りを上げてくれたら巳代子たちだってのんびり構えてるわけにはいかないんだし」

彦造「でしょう。あっしもそう思ったからこそねえ」

 

元子「ねっ、どこの娘さん?」

彦造「はあ?」

元子「ねえ、私にも一肌(しとはだ)脱がしてちょうだいよ。どこの人?」

善吉「えっ、え~…」

元子「嫌よ、そんな今更、水くさい」

善吉「いや、ですから、つまりその…彦さんがですよ…」

元子「あっ、そう、彦さんの口利きなら間違いないわよ。ねえ、私の知ってる人?」

彦造「そ…そりゃあ、まあね」

元子「あら、面倒な人なの?」

彦造「いや、というわけでも…」

元子「ねえ、誰なの?」

彦造「それが…」

元子「うん」

 

彦造「銀太郎のやつなもんで」

元子「え~! 銀太郎…!」

善吉「銀太郎って…」

 

友男「よかったねえ、善さん」

元子「嫌だわ、そんなとこで立ち聞きだなんて」

友男「冗談じゃないよ。俺ぁ、こっから上がったからよ、帰ろうと思って、開けたとこなんだよ。それにしても善さんと銀太郎?」

元子「ねえ!」

幸之助「ちょいと本当のことかよ、それ」

キン「違うんですよ、これはね、訳ありなのよ」

幸之助「何、訳ありだ? この野郎。よりによって銀太郎、落とすなんて。この野郎!」

善吉「痛い、痛い、痛い! 俺は知らねえよ! 俺は知らねえよ!」

キン「彦さんよ!」

 

彦造は元子を連れて裏庭に出て耳打ち。

元子「え~! 何ですって!?」

彦造「すみません。だから、今の話は、つい、この、苦し紛れに出たうそっぱちなんで。へえ」

元子「彦さん!」

 

宗俊「おう、どうしたんだい? え。な…何の騒ぎだ?」

元子「いえ、別に何でもありませんよ」

大原家を出てきた正道と顔を見合わせる宗俊。

 

ほ~ら、ほらほらやって来ました。

 

吉宗

そういえば吉宗バッグを飾っていたウインドウみたいなのいつの間にかなくなったよね。

 

銀太郎「おはようございます。銀太郎でございますが」

トシ江「あっ、おはようございます、銀太郎さん」

銀太郎「朝から本当に申し訳ないんですけど、善さんにちょいと会わしていただけませんでしょうか」

宗俊「おう、何だい、え。朝っぱらから血相変えてよ」

銀太郎「別に血相変えたくて変えてるわけじゃございませんけどさ」

宗俊「それにしても相手が善吉とはな『蓼(たで)食う虫も好き好き』って言うが、まあ、しかし、あれはいい男だ。なに、男は顔だけじゃねえ。おめえもな、キャンキャン言うだけが取り柄かと思ったら、なかなか見る目もあるじゃねえか、え」

銀太郎「チキショー! 出てこい、善吉! 善の字!」

 

大原家

善吉「お嬢! 来たよ、来たよ、来ちまったよ、銀太郎のやつが!」

正道「あ~、随分早かったねえ」

元子「そんなもんでしょうね」

善吉「そんなに落ち着いてねえでさ、早いとこ、早いとこ!」

元子「はいはい。じゃあ、大ちゃん、ちょっと見ててくださいね」大介を渡す。

正道「はい、おいで。はい~」

元子「大丈夫よ。フフフ…」

善吉「本当に大丈夫でしょうかね?」

正道「大丈夫でしょう、元子だから」

善吉「しっかりしとくんなさいよ、旦那! もう…」

正道「善さん」

善吉「へい?」

正道「今、しっかりすんのはね、あなたですよ」

善吉「チッ…チキショー。あのじじいがいけねえんだ。あの彦じじいが、もう…!」

 

吉宗前の路地

彦造とキンが様子をうかがう。

元子と銀太郎が店から出てくる。

宗俊「元子のやつ、何かたくらんでるな」

 

元子「ごめんなさいね。本当にごめんなさい」

銀太郎「私は別に元子さんにそんな…」

元子「あ…ううん、これにはね、いろいろと訳があるのよ」

 

さあ、元子さん、銀太郎ねえさんの誤解をどう解くつもりでしょうか。

 

つづく

 

明日も

 このつづきを

  どうぞ……

 

出たー、昭和のドタバタ劇。でも何だかんだうまくいっちゃうんでしょう?とも思っている。

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友男に「どん・たくお」という芸名を付けられそうになった善吉。

 

今週は水曜日で終わりで木曜日から休止。来週月曜日のあらすじを読んだら面白そうで…木曜日にやってくれればいいのに!! 年末まで言い続ける。