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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(151)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

元子(原日出子)の書いた自分史は、出来が良ければ出版すると福井(三木弘子)に褒められ、大原家はまた元子の仕事場になる。絹子(茅島成美)は洋三(上條恒彦)が描いた絵を本の装丁に使ってくれと、気の早い申し出をしてくる。元子が呆れていると、正道(鹿賀丈史)まで、装丁は出来れば僕にやらせてほしいと言い出す。筆が進まなかった元子だが、放送員時代の室長・立花(渥美国泰)と再会し、思い出が一気にあふれ出す…。

オープニング

いつものメンバーの中に立花室長の名前が!

 

ほか回想多め?

波津(回想)…原泉

邦世(回想)…磯村みどり

沢野(回想)…森田順平

川西(回想)…富田浩史

宗俊(回想)…津川雅彦

 

吉宗

巳代子「へ~え。出版とはすごいじゃないの。するとお母さんもいよいよ作家の仲間入りね」

道子「さあ、それはどうか知らないけど、ところてん式に押し出されちゃ大変って、もうこのごろまたまた、うちのお母さんの顔色一つでうちの中がピリピリしてるの」

トシ江「まあ」

巳代子「でも、新人のライターさんにお尻つっつかれているんじゃ作家になるかどうかの瀬戸際なんでしょ」

トシ江「まあ、じゃあ当分は大介のこと考えないで済むわね」

道子「そうか。それでお母さん、あんなに夢中になってるのね」

トシ江「けど、夢中になるとね、周りのことに気がいかなくなるっていうのが、あんたのお母さんのまあ悪い癖だから」

道子「大丈夫よ。そういうことならね、こっちも小さい時から鍛えられてるから」

巳代子「そいじゃあね、そのうち叔母さんが穴埋めにおいしいお料理作りに行ってあげるから」

道子「うわぁ、期待してます!」

笑い声

 

道子は学校帰りかな? 制服姿。俊平ちゃんは無言で絵を描いている。

 

大原家ダイニング

原稿を書いている元子。うまく書けずに原稿を丸め、新たに書こうとしたときに電話が鳴る。

 

茶の間

元子「はい、もしもし大原でございます」

絹子「あっ、もっちゃん? 私」

元子「ああ、叔母さん」

 

老人ホーム

絹子「聞いたわよ。いよいよ本を出すんですってね。おめでとう」

元子「でも、ちゃんと書けたらの話なんですよ」

絹子「いえ、ちゃんと書けるに決まってますよ。一体、下積みで何年修業してきたのさ。大丈夫。叔母さんが太鼓判押してあげますからね。それでね、今日はちょっとお願いがあるのよ」

洋三「よしなさいよ。もっちゃんだって迷惑しとるよ」着物姿にエプロン当ててたすき掛けしている。

絹子「そんなことありませんよ」

洋三「あんたこのごろね、押しつけがましいんだから」

絹子「いや、大丈夫大丈夫」

 

茶の間

元子「もしもし叔母さん? もしもし?」

 

老人ホーム

絹子「あっ、ごめんなさいね。隣で叔父さんがゴチャゴチャ言うもんだから」

洋三「いや、それはだね、もっちゃん」

絹子「叔父さんにね、本の装丁をやらしてほしいのよ」

 

茶の間

元子「えっ」

 

老人ホーム

絹子「私たちね、このご近所で元・絵の先生に絵を習ってるの」

洋三「習ってるったって、まだ油に入ったばっかりだよ」

絹子「けど、筋がいいって言ってくださってるじゃありませんか。悔しいけどね、私より才能はあるみたいなのよ。だから私はせめてバックの空の色だけでも塗らしてもらえれば、それで大満足なのよ」

洋三「お前さん、何を言いだすんだよ」受話器を取り上げようとする。

絹子「ねっ、お願い。それを私たちの心ばかりのお祝いにさせてほしいのよ。ねっ、頑張るわ」

 

それにしても憧れの老後だな~。広いベランダにデッキチェアとか置いちゃってさ。

 

大原家ダイニング

正道「えっ、装丁を?」

元子「そうなのよ。お気持ちはありがたいんだけど、まだ肝心の原稿がどんなふうにまとまるか分からないんですもの。返事のしようがなくて困っちゃったわ」

道子「駄目よ、そんなの」

正道「うん、できればね、僕にやらせてもらおうと思ってたんだよ」

元子「あなたが!?」

道子「やだ、弘美ちゃんもやらせてほしいって張り切ってたわよ」

元子「冗談じゃないわ。私の方が全然進んでないのに、そんな今から装丁のことなんか勝手に騒がれたんじゃ、母さん、頭がおかしくなっちゃうわ」

道子「情けないこと言わないでよ」

元子「だってね、雑誌と単行本じゃ違うのよ。今度は本の背中に『大原元子』って名前が出て、お客は、その人(しと)が書いたものを読んでみようって買うんですもの。責任重大だわ」

正道「え~、ちょっと自意識過剰だぞ」

道子「うん、その気は多分にある」

元子「道子まで一緒になって言うことないでしょう」

道子「は~い。それじゃ私は、この辺で失礼します」

正道「ハハ…」

元子「全く」

 

電話が鳴る。

 

茶の間

元子「はい、大原でございます」

恭子「私、ブルース。ねえ、明日出てこない?」

元子「出てこないって…」

恭子「実はね、立花室長とお会いするのよ」

元子「室長と…?」

恭子「ええ。案外あなたの筆が進むんじゃないかと思って」

元子「ええ、本当」

恭子「2時にモンパリでだけど、どう?」

元子「そうねえ、うん…」

 

そういえばあの時、一緒に辞表をたたきつけた相棒がブルースこと向井恭子でした。

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回想

恭子「長い間お世話になりました」

室長のデスクに置かれた辞表の束。

立花「何だね? これは」

元子「私たちの辞表です」

立花「辞表!?」

恭子「第16期生、東京組9人の意見一致を見ましたので全員辞表を提出いたします」

立花「意見一致とは、そりゃ何のことだ?」

元子「ご自分の胸に手を当てていただければお分かりのことと思いますが」

立花「おいおいおい、ちょっと待てよ」

恭子「いえ、いろいろと教えていただくことばかり多く、ふがいない生徒たちでございましたが、最後にせめて皆様の解雇の防波堤に私たちがなれますことで、お世話になりました感謝のしるしにさせていただきます」

回想ここまで

 

横で見ていた沢野と川西。このあとに本編なら「おかしな嫌がらせはやめたまえ!」という沢野のセリフが続くんだけどね。

 

モンパリ

立花「ハハハハハ…何が驚いたってあれほど驚いたことはなかったな。ハハハハハハ…」

恭子「私たち、本当に向こうっ気が強かったから」

のぼる「ああ、これが江戸っ子なんだなって、私、あの時、本当に感心したのよ」

元子「もう、やめてよ。思い出しただけでも冷や汗が出てくるわ」

笑い声

のぼる「そうよ、私たちだって一致団結してしまったんですもの。何にも言えないわね」

恭子「若かったんですね、私たちも」

立花「ああ。それに混乱期だったからねえ。この前の集まりの時にも私は言ったが、それからの君たちは本当に自分たちの道を切り開いて、たくましく生きてくれた。16期生は私の誇りだよ」

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元子の手記が特選になり、モンパリに集まったときも室長はいた。

 

元子「室長」

立花「まあ近頃は世の中が忙しくなって、あのころのことを問題にはしなくなってきたが、いや、だからこそ立山君のその空襲を記録する会も大原君の我が来りし道も書くべき意義があると思うんだ。やはりそれが新しい日本の、そして君たちの出発点だったんだからね」

元子「はい」

立花「何か私で役に立つことがあったら、いつでも声をかけてくれて結構だよ」

のぼる「ありがとうございます」

立花「ハハハハハ…いやぁ、あの江戸前のたんかは今でも忘れられないからな」

元子「またそれを」

笑い声

 

NHKを辞めた経緯が今の人間にしたら理解しがたいのかもしれないけど、恭子がその時言っていた「皆様の解雇の防波堤に私たちがなれますことで、お世話になりました感謝のしるしにさせていただきます」が全てだと思うんだけどね。

 

局内では沢野一人が女性社員たちを邪魔にしてるような演出にしたけど、本当は男性たちが戦争から帰ってくるから、女性たちが会社に居づらい雰囲気があって、自社のことだし、そんなに悪く描けなくてあんな感じの描写になったのかな~とは思う。元子たちのわがまま?で辞めたようにとらえてる人には分かってもらえないだろうけど。

 

夜、大原家茶の間

棚に飾られた大介の写真を見ながら原稿を書き進める元子。

 

立花に会って、あの敗戦の日から既に四半世紀を過ぎた現実をかみしめ、苦しかったこと、楽しかったこと、元子は様々な思い出に包まれて、ひたすら筆を進めました。

 

ナレーションの間にいくつか回想シーン

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白無垢姿の元子を見ている波津、邦世、宗俊。思えばNHK辞めたのが40話で結婚が50話なんて早いね~! 

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布団に寝かされている大介と着物姿の元子とスーツ姿の正道は、↑この回かな?

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松江城を見ている元子(道子をおんぶ)、正道、宗俊、トシ江。

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お医者さんが手術室前に立っているので正道の手術後かな。正道がストレッチャーで運ばれていく。橋本、工藤という正道の同僚たち、あとは宗俊、元子、大介、藤井かな。そして、いつもの看護婦さん。この辺の人たちは(回想)で名前が出てこなかったね。

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明かりを消そうとした元子が布団で寝ている宗俊と目が合い、宗俊の目が見開かれる。

回想ここまで

 

思い出のどれもこれもが元子の歩いてきた道だったのです。そして、それは元子自身の歴史であり、戦後を一緒に歩いてきた人たちの歴史でした。

 

茶の間で元子が原稿を書いていると、ダイニングに来た正道が2つの湯飲みを取り出してお茶を入れようとしている。あら、すてき。

 

庭に飾られた小さい菊?の鉢植え。

 

元子の処女作は編集長からの意見で手直しを重ねた上に相変わらず、ルポの仕事に中断されて、ようやくゲラの校正までこぎ着けた時は既に秋の声を聞いておりました。

 

ダイニング

辞書を引きながら校正をしている元子。

 

⚟正道「お~い、元子」

 

元子「は~い」

 

⚟正道「ちょっと来てくれないか」

 

元子「はい、ただいま」

 

正道の仕事部屋

正道は何枚かの水彩画?を見ている。

 

元子「はい、あなた。どうぞ」

正道「うん?」

元子「お茶なんでしょう?」

正道「いや」

元子「えっ?」

 

正道「今日な、ゲラを持ってく時についでにこの絵を持ってってもらおうと思ってね」

元子「この絵をですか?」

正道「ほら、装丁は僕にやらせてくれるって言っただろ」

元子「あなた…」

正道「ほら」

 

絵の上に透明なフィルムに書かれた題字を重ねる。

 

元子「『明るい窓に向かって』…」

正道「うん。本のタイトルだよ。どうかな?」

元子「どうかなって…」

正道「ゆうべね、ゲラ読んだんだけど、タイトルはやっぱこれがいいな。これにしなさい」

元子「驚いたわ。あなたがこんな強引に人の仕事に割り込んでくる人だなんて、私、今の今まで知らなかったわ」

正道「君がね、あんまり迷ってるからさ」

元子「だって、それは…」

正道「決して強制はしないけどな、ゲラと一緒に持ち込んでくれるだけでいいんだから」

元子「うん、けど…編集長には編集長のお考えがあるでしょうし」

正道「だから、ボツならボツでも構わんさ。しかしな、元子、どう思う? この絵」

元子「ええ…」

 

明朝体で青い字の「明るい窓に向かって」という題字。鳥かごの鳥と羽ばたいている鳥と窓の絵。

 

正道「窓はな、開くためにあるんだよ。僕はね、元子を見てると明日という窓に向かって、まっすぐに歩いていく姿が見えるんだよ。一生懸命にね」

元子「ええ…」

正道「ん? どうかな?」

元子「いいわ。とてもいい」

正道「うん」

 

⚟女性「ごめんください」

 

元子「はい!」

正道「圭子さんかな?」

元子「ええ…」

 

玄関

元子「まあ、いらっしゃい」

圭子「大ちゃんから手紙が来たんです」

元子「まあ」

圭子「そしたらおかみさんが、今日は休みにしてやるから大原さんに手紙を見せてあげなさいって言ってくれたもんですから」

元子「ああ」

 

圭子「どうも」

正道「あ~、それはそれは。さあさあ、上がんなさい」

元子「あっ、でも困ったわね。私、これから出かけなきゃならないんですよ」

正道「いやぁ、構わん構わん。僕、休みなんだからな、冬彦ちゃんの相手は僕がしてあげる」

元子「そう? じゃあ、ゆっくりしてってくださいね。私、すぐ帰ってきますから」

圭子「はい。じゃ、これが手紙です。おなかも壊さずに元気ですって」

元子「そう…。じゃあほら、さあ、冬彦ちゃん」

圭子「あっ、はい」

正道「はいはい、は~い」

 

女性時代編集部

正道一押しの絵を見せている。

野村「へえ~、いいじゃないですか、なかなか」

福井「うん」

冬木「しかし、装丁は岸井先生にもう発注してしまったんでしょう」

福井「うん…」

野村「けど、あの先生も結構忙しいし、まだ手をつけちゃいませんよ」

元子「いえ、いいんです。ただ主人が私のために描いてくれたものですから、一応、見ていただければと思いまして」

福井「じゃあ野村君、岸井先生のキャンセル、あなたやってくれる?」

野村「えっ…ええ、いいですよ」

 

元子「でも、そんな」

福井「うん、一応発注してしまったから、もうかかってるって言われたらどうしようもないけれども、私はこの本には、これがピタリだと思う。さすがにご夫婦ですよ」

元子「はい」

冬木「けど、大原さんのご主人にこういった才能がおありだったとは知らなかったな」

元子「昔々なんですけどね、ちょっとの間、お友達と一緒に小さな出版社をやってたことがあるんです」

野村「へえ~」

元子「終戦のよくとし辺りで廃物利用のおもちゃの作り方なんて本出してたんですよ」

福井「廃物利用のおもちゃ?」

元子「ええ。まだ何もない頃でしたから進駐軍の缶詰の空き缶とか板っ切れなんかを材料にして。まあ、今風に言えば手作りのおもちゃ読本みたいなものでしょうか」

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福井「知ってるわ。装丁がブルーで中に絵がたくさん入ってる本じゃない?」

元子「ええ。あれも主人が装丁したものなんです」

福井「はあ~、世間は狭いわねえ。私ね、この会社に入社したてでこういう本を作りたいって先輩に意見具申したら生意気だって叱られたことがあるの。だからはっきり記憶してるのよ。そう。あれ、ご主人がお作りになったの」

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元子「ええ。でも今は家具のデザインをしていますのでこういうのはあれ以来じゃないでしょうか」

冬木「あっ、ちょい待ち」

元子「えっ?」

冬木「そのお仕事で去年受賞なすったんだよね?」

元子「ええ」

冬木「いけるじゃないですか、編集長。デザイン賞受賞者の装丁となればパンチも効くし宣伝文にしても夫婦合作をキャッチフレーズにすれば、これは主婦層には断然ウケますよ」

福井「頭の回転は悪くないのね。分かったわよ。その切れる頭で岸井先生のキャンセル頼むわ」

冬木「任せてください。まとめるのは下手だけど、ぶち壊すのは得意なんだから」

福井「変な編集者」

笑い声

元子「どうもありがとうございます。本当にありがとうございました」

 

かくして元子の初めての本は正道の装丁に包まれて店頭へ並ぶことになりました。昭和48年10月です。

 

平積みされる「明るい窓に向かって」。

☆愛・死・戦争・親子・仕事・自立…。

☆邂逅と別離をさまよい、ひたすら自己を求めて生る

 女の姿 それは美であり、真理の証である。

☆汗と涙でつづる生きた昭和女性の半生記。

☆筆者の求めたものは……!!

 

つづく

 

出版する本の名前が「本日も晴天なり」じゃないのが面白い。

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近藤さんの初作品は1968年に書かれた歴史小説

毎日が最終回とばかりに、ロケ、回想が多くて寂しくなってきた。正道さんがずっと変わらず元子思いなのがいいなあ。今日はやけに強引だったけどね。

 

やっぱり私は夫婦萌えする朝ドラがハマる。「ゲゲゲの女房」であったり、「あぐり」だったり、「はね駒」「本日も晴天なり」はヒロインも夫も演技力が高いのもよかったな。原日出子さんも斉藤由貴さんも老け顔ではないけど、女学生役より母親役の方がハマってた。