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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(70)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

元子(原日出子)がついに産気づいた。宗俊(津川雅彦)はじめ、彦造(森三平太)も善吉(小松政夫)も大騒ぎで、何の役にもたたず、巨釜で無駄にお湯を沸かしたりと右往左往。トシ江(宮本信子)とキン(菅井きん)が産婆と共につきっきりになる。友男(犬塚弘)や幸之助(牧伸二)らご近所も集まって大賑わいの中、正道(鹿賀丈史)もとんで帰ってきた。そして念願の産声がひびいた。元子は無事、玉のような男の子を産んだ。

昭和25年の春です。この年、初めてお年玉つき年賀葉書と聖徳太子の大枚千円札が出ました。

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私も聖徳太子のお札は覚えてると思ったら、聖徳太子が1万円、伊藤博文が千円の時代を覚えてました。500円札も微妙に覚えてる。

 

そして…。

 

桂木家階段下

元子「ありがとう。はいはい」すっかりおなかが大きくなり、キンの手を取り段差を降りる。

キン「それじゃ、お願いします」お茶菓子の乗ったお盆を渡される。

元子「はい。でもさ、年を満で数えるようになったのが何たって一番よね。おかげで25になるとこ2つも若返られちゃうんだもの。もう一回23になれるなんて思ってもみなかったわ」

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マー姉ちゃん」でも満年齢ネタは扱ってました。

昭和25(1950)年

元子 昭和元(1926)年12月生まれで、まだ誕生日が来なくて23歳。

巳代子 恐らく昭和4(1929)年の巳年生まれで21歳。

 

裏庭

宗俊「てやんでぇ。でっけえ腹抱えやがって23も5も8もあるかい」

元子「あら」

キン「いいえ。女はね、そりゃいつだって若く見てもらいたいもんなんですからね」

善吉「そうだろう、そうだろう。還暦を過ぎるとな、また1つから数え始めるんだもんな」

キン「まあ、親をバカにして。だからね、嫁が来手がないんだよ」

善吉「置きゃあがれ。だからよ、何だい今年から自由に商売ができるようになって、よろしゅうござんしたねぐらいのこと言えねえのかい、この。一体、何年、紺屋の奉公してんだい、この古だぬきが」

キン「何だい、親に向かって言うことかよ…」

善吉「痛(いて)えな、本当に」

 

彦造「あれですねえ、旦那」

宗俊「何だいその、あれですねってのは、え」

彦造「ゆんべも表でだいぶ派手な声がしてたようだけど送ってきたのは、やっぱり銀太郎じゃなかったんですかい?」

宗俊「やっぱりってのは何だ、やっぱりってのは、え? お前、これはお前、つきあいだからしょうがねえじゃねえか」

彦造「ふ~ん。あっしはまたあっちの方の虫が騒ぎ始めたんじゃねえかと思ってね」

宗俊「テッ…。おい元子、お前、彦さんにな、もうちょっとましな茶菓子、お前、やってくれ」

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彦さん久しぶり! ちょっと髪が短くなった? 正大の戦死を知り、吾郎に殴りかかって以来? 善吉と並ぶのが初めてだよねえ。

 

善吉「ヘッヘッヘッヘ…流石の旦那も彦さんにゃあ頭上がらねえや。いい気味(きび)だね、こりゃどうも」

宗俊「何だい、この野郎。てめえもな、悔しかったら芳町のきれいどころでもかみさんに据えてみろ。そしたら大きな口の一つもたたかしてやらあ」

キン「やめてくださいよ、まあ。変なことけしかけないでくださいましな」

彦造「大丈夫だよ。せがれのこの面でそんな甲斐性があると思ってんのかい」

キン「まあ、おっしゃいましたわね!」

宗俊「まあまあ、まあまあ…いいから…まあ今夜から俺もな少し遊びは慎もう」

笑い声

宗俊「おい、元子どうした!」

元子「来たみたい」

宗俊「えっ、来たみたいって、お前、それじゃあ…」

キン「陣痛がですよ。大丈夫ですか」

元子「大丈夫よ」

 

宗俊「お~い! トシ江! トシ…」

キン「あ~、ジタバタしないでくださいまし! 来ました、参りましたって言えばいいんですよ」

宗俊「はい、来ました、参りました…。参りました!」家の中へ

 

キン「落ち着いたらね、お部屋へね、お連れしますから」

元子「お願いします」

キン「何してんだよ、男が2人、ほら…」

 

吉宗

宗俊「来たぞ、来たぞ、おい、来た来た、来た来た、来た来た来た! おい、参りました、参りましたよ! 参りました、参りましたってんだ、え! なあ、今度こそお前、無事な子供を産んでもらわねえことには、いつまでたっても、こちとらは、お前、半端おやじみてえで世間様に顔向けができねえやな、え。(しゃべりながらダイヤルを回し、電話をかける)おう、平和出版ですかい。こちとら日本橋の吉宗でやんすが、おう、何だ、藤井さんか。というわけでな、今度こそ、お前、しっかりした子供を取り上げてもらわにゃなんねえから、これはもう腕っこきの産婆を呼んだからな。だからすぐに帰(けえ)ってきてもらいてえ。じゃ、よろしく頼んだぞ。(受話器を置く)よし、邪魔したな。よし…」←めちゃくちゃ早口!

 

彦造、善吉が顔を出す。

宗俊「何だ、てめえたちは。何してんだい」

善吉「へ…へい」

宗俊「へいじゃねえ! お前、湯を沸かさねえか! 大釜に湯を沸かすんだ!」

彦造「大釜にですかい?」

宗俊「あたぼうよ、え。吉宗8代目の初孫が生まれるんだい。もったいなくもその産湯だ。ジャンジャン沸かせ、ジャンジャン。たっぷり沸かすんだぞ」

善吉「へい、ジャンジャン、へい、ジャンジャン!」

宗俊「気が利かねえ野郎だ。だからお前、こういう時に男は役に立たねえって言われんだい! 今日は、もう仕事休みだ、休み!」

 

外に飛び出した宗俊。「おう、幸ちゃん! 秀美堂! おい! ガキが生まれるんだい、ガキが!」

 

作業場

善吉「彦さん、もっとパタパタと威勢よく!」

彦造「へえへえ、大丈夫だい」

善吉「ア~ッチッチッチ」

彦造「気を付けろい」

善吉「沸いた、沸いた、沸いた。沸いたよ」

 

トシ江「はい、どうぞ」産婆と入ってくる。

善吉「う…生まれたんですか?」

産婆「まだですよ」

善吉「いや、まだってあんた、そんな」

トシ江「ちょいとあんたたち何やってんの?」

善吉「見りゃ分かるでしょ。産湯沸かしてんでさあ」

産婆「冗談じゃありませんよ。こんなにグラグラ煮えくり返しちゃって石川五右衛門じゃないんだから」

彦造「ごつい冗談やめてくんな!」

トシ江「まだ当分時間かかるから大丈夫よ」

 

彦造「いや、当分って一体(いってえ)?」

産婆「潮の満ち引きと一緒でね、潮が上げてこなきゃ、赤ん坊も生まれてこないんですよ」

トシ江「さあさあ、そんじゃ、こちらへどうぞ」

産婆「はいはい」

 

産婆…春江ふかみさん。wikiには生没年記載なし。宝塚歌劇団22期生(1932(昭和7)年入団)。1990年くらいまでドラマなどに出演していた。「おしん」にも出てたらしいし、1985年の大河ドラマ春の波濤」でも産婆役をしていた。

 

善吉「どうもご苦労さんでございます」

彦造「はあ~、よし、ハハ。あ~、そんなに熱い…」

善吉「あ~、こりゃ、やっぱり熱いわな」

彦造「おい、今日の上げ潮は何時だい?」

善吉「俺が釣りに趣味のねえのは彦さん、一番知ってんじゃねえですか」

彦造「ヘッ、趣味はあっても雑魚一つ釣り上げられねえのは、おしろいつけた夜釣りの方だったよな」

善吉「彦さん、言っていいことと悪いことがあるんじゃねえですか、え!」

 

幸之助「よう、ハハハハハ…。いよいよだってな。おめでとう」

友男「待ってたんだよ、首長くして、俺たちは」

宗俊「おい、それで男か? 女か?」

彦造「まだまだだそうですよ」

銀太郎「あら、どうしてさ」

善吉「メダカ釣るのたぁ訳が違うんですとよ」

 

宗俊「この野郎! もう一度言ってみやがれ、善吉!」

善吉「な…何ですよ」

宗俊「生まれてくるのは俺の初孫だ。それをつかまえて、メダカたぁ、てめえ…」

幸之助「宗…宗ちゃん」

宗俊「何だよ、この野郎! え!」

友男「やめろよ、こんなめでてえ時によ」

善吉「どうもすいやせん。いや、あっしが言ったんじゃねえんですよ。産婆の野郎がね」

宗俊「よ~し、産婆呼んでこい、産婆!」

 

トシ江「何、騒いでるんですよ、本当に」

宗俊「だって、おめえ…」

トシ江「だっても何もありません。お産は始まったけど、人間そう簡単には生まれてこないんですよ。胸に手を当てて自分たちが取り上げてもらった時のこと、よ~く思い出してごらんなさい!」

胸に手を当てる男たち。ハハハ。

 

吉宗前の路地を走ってくる藤井が店に駆け込む。

 

吉宗

藤井「この度はおめでとうございます! で、坊ちゃんですか? お嬢さんですか?」

宗俊「まだだよ」

藤井「まだなんですか。何だ」

友男「『何だ』だけ余計だろうよ」

藤井「けどさ…」

幸之助「けどは、けででも大原さんどうしたんだよ」

藤井「いえ?」

彦造「いえって、そらぁどういう意味だい」

藤井「はあ?」

友男「そら、ねえよ。お前さんを代理人によこすなんて、な、大原さん冷てえよ」

幸之助「おう、初めて人の子の親になるんだろ。たとえ仕事が忙しかろうと首に縄つけて引っ張ってくるのが、おめえの役目だろうがよ」

 

藤井「あっ…申し訳ありませんでした。いや、すぐ来いって言われたもんですから私への電話かと思いまして…」

宗俊「何だと!?」

藤井「いや、そうですよね…。あの、あれは大原さんへの言づけの電話だったんですよね」

善吉「この野郎…!」

宗俊「この野郎、とぼけやがって! すぐ呼んでこい!」

友男「行った行った、行った行った! 行った!」

藤井、店を飛び出して走る。

 

布団に寝かされている元子。「ううっ…」

トシ江「もう一息(しといき)だよ。頑張って」

元子「ううっ…」

産婆「ああ、どうやら6~7分間隔になってきましたね」

トシ江「それじゃあ、何か少し食べさせておきましょうかね」

元子「無理よ、とっても食べられそうにないもの」

キン「だからってね、いざって時に力が出なくちゃ困りますからね」

 

元子「そのいざっていうのは、いつなの?」

トシ江「6~7分間隔が3分になり2分になって、で、いよいよ赤ん坊が生まれてくるんだよ」

キン「まだ障子の桟が見えますでしょ」

元子「うん」

キン「それが見えなくなったらすぐ始まるんですよ。女はね、みんなそうやって産んできたんですからへこたれちゃいけませんよ」

元子「そんじゃあ、お茶少しもらおうかな」

トシ江「あいよ。じゃ、おキンさん」

キン「へえ」

 

正道が飛んで帰ってきたのは、こんな騒ぎの最中でした。

 

吉宗

正道「あの、子供は!」

幸之助「まだなんだよ」

彦造「まだ時間がかかるようなんですよ」

正道「そうですか」

 

家に行こうとする正道。

善吉「あ~、おい! 行っちゃいけねえんですよ。男の来るとこじゃねえってね、うちのばばあにどやされるのがオチなんだから」

正道「いやあの、しかし…」

善吉「まあまあまあ…」

 

小芳「ちょいと何してんだよ、中の湯さん」

友男「えっ?」

小芳「お風呂開かないのかって表で客が騒いでるよ」

友男「べらぼうめ。こんな時に店なんか開けてられねえよ。俺んとこも吉宗も休み休み」

巳代子「後でお客さんに恨まれたって知らないから」

幸之助「構うもんか。あかで人が死んだってためしは、ねえんだからな。放っとけ、そんなものは」

小芳「悪い癖なんだよ。お前さんたちが騒いだってね、産むのは、もっちゃんなんだから。ねえ、お父さん」

 

正道「はっ…?」

笑い声

正道「お父さんですか?」自分を指さす。

藤井「決まってるじゃないですか。子供が生まれれば大原さんはお父さんですよ」

正道「ハハハ…。あら、お義父(とう)さんは?」

幸之助「えっ、おとうさん?」

彦造「えっ?」

善吉「あっ、そうだい」

幸之助「宗俊の野郎、一体何やってんだ、あれ」

銀太郎「はあ、まるで動物園の熊ですよ」

 

裏庭をうろうろ歩く宗俊。

正道「あっ、お義父(とう)さん」

宗俊「おう。おい、元子はな、しっかり頑張ってるぞ」

正道「はい」

宗俊「なあに、今度はきっと大丈夫(でえじょうぶ)だ」

正道「はい」

宗俊「チキショー…代われるもんなら代わってやりてえがよ、こればっかりはな、男の俺たちはどうしようもねえやな」

正道「ああ、はい…」

宗俊「孫だよ孫。え。孫ってのはな、てめえの子が生まれるより、お前、気がもめるもんだとは知らなかった」

正道「はい」

宗俊「というわけだから、ね、おめえもしっかり頑張ってくれよ」

正道「あっ…はい」

 

大原家

元子「うっ…。ううっ…」

産婆「息んで! そう、ぐっと息んで!」

トシ江「もうじきだよ、元子。ね。赤ん坊もね、生まれようと思って一緒になって力合わせてんだよ。さあ、頑張って、ほら。そう」

元子「ううっ…」

トシ江「そうだ、そう…」

 

大原家前

正道「はあ…」

宗俊「頑張れ~…」

正道「大丈夫です。元子は頑張ってます!」

宗俊「チキショー、産婆の野郎は一体何をしてやんでい!」

 

キン「産湯だよ! そろそろお湯の具合、見といてくれ!」

正道「う…産湯ですよ、産湯!」

宗俊「産湯か…」

 

作業場

宗俊「ア~ッチッチッチ…」

正道「お義父さん、まき!」

宗俊「いやいや…これもういいんじゃねえかな」

正道「そうですか」

 

産声が聞こえ、アップになったのは宗俊。そこは正道さんじゃないのー?

宗俊「おい!」

正道「生まれました…生まれました!」

宗俊「この野郎!」

正道「元子に子供が…」

宗俊「ああ、ああ。あ~!」正道と抱き合う。

 

吉宗

宗俊「おい、生まれた! おいらの初孫が生まれたい!」

拍手と歓声。宗俊は”ういまご”って言うんだね。

一同「ばんざ~い! ばんざ~い! ばんざ~い!」

ご近所さんみんなで喜びを爆発させる。

 

元子が頑張って無事に産み落としたのは玉のような男の子でした。

 

大原家

隠し撮りみたいな赤ちゃんの映像。

正道「ありがとう」

元子「あなた」

正道「本当にありがとう…」

トシ江「ご褒美に何かいい名前考えてやってくださいな、正道さん」

正道「あっ…はい」

トシ江「それじゃあ、元子も寝かせなくちゃいけないし、向こうでみんなも待ってますからね、もうそろそろ…」

正道「あの、もうちょっと見てていいですか」

トシ江「ああ…」

笑い声

 

元子「ねえ」

正道「うん?」

元子「どっちに似てるのかしら?」

正道「うん…」

トシ江「そりゃあ、2人のいいところを取って生まれたに決まってるじゃないか。ねえ、正道さん」

正道「あっ…はい」

 

とはいえ、生まれたばかりの赤ん坊は赤くて猿に似ているというのが本当でしょう。ともあれ、おめでとう、元子さん。おめでとう、大原さん。

 

正道「あっ、それじゃ、ゆっくりおやすみ」

トシ江「じゃあ、ゆっくり寝て疲れ取らないとね。おっぱいも出ないからね」

元子「はい」

トシ江「じゃ、おやすみ」

元子「おやすみなさい」

正道「それじゃあ、お義母(かあ)さん」

トシ江「はい」

正道「おやすみ」

目をつぶる元子。

 

つづく

 

朝の前奏曲(プレリュード) 通算6回目(約1週間ぶり)。

 

朝の沈黙(しじま)きらめく陽ざし

それは季節の調べ告げる

昨日捨てて何処へ行くの

風の中の私 あー

愛のときめき燃えるあこがれ旅の始まり

空のかなた あー心ざわめく冒険

私からあなたへありがとう

想い出の青春(とき)を

 

明日も

 このつづきを

  どうぞ……

 

家で生まれて、急に母親一人って怖いね。しかしまあ、元子のところは見てくれる人がいっぱいるけどね。

 

来週木曜日の番組表をチェックしたら「本日も晴天なり」76話ではなく、「絶景!ヨーロッパの山小屋めぐり「アーティストが集まる山小屋」」になってる!

1981年12月30日(水) 75話

1982年1月4日(月) 76話

年末年始回で中途半端になるから3日休み?? 「芋たこなんきん」の場合、年末3日分+年始4日分を土曜日に2話分放送することによって帳尻を合わせてた。

 

「本日も晴天なり」はリアルタイムは年末が水曜日までやって、年始が月曜日から始まってるけど、何もこういうやり方しなくてもいいのに。3年前の「おしん」再放送の時は休みなくズレたまま放送したのにな。「おしん」もこのドラマと同じ年末3日で年始は月曜日から始まる編成だった。

 

年末は12/31の土曜日まで放送するのは確定らしいので、来週3日分休むなら新年2日からやるんだろうな。年末年始ギチギチつめないでほしい(-_-;) だったら、休みなく放送して28日で年内分は終わりでいいのに。別に次週予告があるわけじゃなし、3日ズレても年末年始で帳尻合わせられるんだから中途半端な時期の休みが許せん。