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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(129)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

宗俊(津川雅彦)が亡くなった。葬儀が終わった晩、親族やご近所が集まって故人をしのぶ。しかしあまりに急な死で、友男(犬塚弘)や善吉(小松政夫)は受け入れられず、彦造(森三平太)は石のように固まっている。元子(原日出子)は、自分がもっと早く医者に連れて行っていれば…と自分を責め、正道(鹿賀丈史)は静かに元子をなぐさめる。仕事を再開した吉宗だが、トシ江(宮本信子)の心にもぽっかり穴が開いていた…。

桂木家茶の間

骨箱の前の位牌”徳善院宗薫日法居士”

仏壇には笑顔の宗俊の遺影

 

宗俊の葬儀も滞りなく終わって、その晩のことです。

 

元子「さあ、皆さん、どうぞ召し上がってくださいな。はい」

幸之助「もういいから、もっちゃんもここ来て一緒に飲まねえか」

元子「はい。彦さんも善さんもこっち入って、みんなと一緒に飲んでちょうだいよ」

友男「どうしようもねえな。さっきから全然動きやしねえよ」

元子「ねえ、飲んでやってよ。供養なんだから」

 

洋三「そうだよ。あんだけ急に逝っちまったんだ。ショックはみんなおんなじだよ。だけど、にぎやかなことが好きな人だったんだから。ね」

善吉「けど…あんなに世話になったくせに肝心の死に目に会えねえなんて、あっしは、もう…」

順平「本当に飲んでくれってば。メソメソしてたら、おやじが化けて出るぞ」

善吉「化けて出られたって構わねえ。あっしは、もう一度、旦那にぶん殴られた方がましだ…」

 

藤井「本当に遠いところ、ご苦労さんです」

平八郎「まあ、私が最初に電話に出ましたもんですけん、亡くなられたと聞いても、一瞬、誰のことだか分からんほどでしたわ」

 

友男「とぼけやがって。風呂と棺おけの小せえのは大嫌(でえきら)いだと言ったくせに、こんな小さな箱におさまりやがって」仏壇に向かって語りかける。

 

元子はたまらず台所へ移動。茶の間にいたのは男たちだけ。台所で作業してるのは、福代、巳代子、キン、陽子。

元子「あっ、陽子さん、あなたも遠くから来て疲れてらっしゃるんだから、どうぞ向こうで平八郎さんとご一緒に。ねっ」

キンは泣きだして、外へ。

 

宗俊の部屋

トシ江「こんな急なことになるとは思わなかった。ただの風邪だとばっかり…。それが申し訳なくてね」

絹子「それ言わないでよ、義姉(ねえ)さん」

小芳「ゆんべもうちのが通夜から帰ってきて考えてみたら河内山らしい死に方だったって、そう言ってたよ」

 

元子がお茶を運んでくる。

小芳「中の湯さんもうちに上がって一緒に飲み始めたんだけど、しまいには2人抱き合ってオーオー泣いて…」

元子が涙を流す。

小芳「もっちゃん。あんた、初めて新幹線にも乗せてあげたし、雑誌にも出してあげたし…。あんた、親孝行だよ」

元子「おばさん…」

 

茶の間

友男「でもよ、なんていい天気だったんだい、今日の葬儀はよ」

正道「はい」

友男「日本晴れだよ。これが本当の日本晴れだ。からっとどこまでも真っ青でな。これ以上、河内山らしい花道がほかにあるかい」

幸之助「それにしても遺言一つねえなんて、あっけなさすぎるじゃないか、え、河内山」

藤井「僕もですね、お義母(かあ)さんのためにもそれが何とも心残りで…」

友男「なぁに、女房なんてのは毎日遺言聞いてるようなもんだけどよ、竹馬の友なんだぜ、俺たちは。後を頼むとか、お先に失礼とか何とかひと言、言ってくれたっていいじゃねえか、河内山よ」

幸之助「いけねえや、悪酔いしちゃったな、友ちゃん」

 

友男「てやんでぇ、俺ぁ酔っちゃいねえよ。俺ぁな、どうしても勘弁できねえんだよ。え、悔しかったら何とか言ってみろ、河内山!」

善吉「いいかげんにしてくれませんか。それ以上ガタガタ、ガタガタ言ったら、仏だって成仏できるわけねえじゃねえですか」

友男「できなかったら迷って出てくりゃいいんだよ! 誰に遠慮がいるもんか。そうだろ!」

幸之助「そうだよ…そうだよ、そのとおりだ!」

 

台所に戻っていたキンは再び泣きだし、福代が慰める。巳代子、陽子は茶の間。

 

初期の頃に時々、ご近所さんとして出ていた長谷川のおじいちゃん(荒谷二中校長)と娘の百合子さんは戦後、吉宗バッグの手伝いをしてた後から見なくなったな~。

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宗俊の死を惜しんで、果てしのない集まりがお開きになったのは、その夜も更けてのことでした。

 

大原家茶の間

正道「あ~、お疲れになったでしょう。最後までつきあってもらったから」

平八郎「いんや。私どもの方こそ何のお手伝いもできんで」

元子「けど、陽子さんも驚かれたでしょう。何しろめちゃめちゃな人(しと)の集まりでしたから」

陽子「いいえ、そうだけ、おとう様は皆さんに好かれておられただなあって、そぎゃんふうに思っちょうましたよ」

正道「そのとおりなんだよ。あの人のことを悪く言う人なんか一人もいなかった」

平八郎「はい…」

元子「もう、切りがありませんから、どうぞ、もう…」

 

平八郎「そげですか。じゃあ、失礼して…陽子。じゃ、お先におやすみなさい」

正道「おやすみなさい」

 

廊下を出た平八郎、陽子、元子。

平八郎「じゃ、お先におやすみなさい」

元子「おやすみなさい」

元子は階段を上っていく平八郎たちを見送る。

 

茶の間

正道「疲れただろう」

元子「あなたこそ」

正道「しかしな…あっけないもんだねえ」

元子「私がいけなかったんです」

正道「元子」

元子「背中が重いって言いだした時に、もっと早くお医者様に診せるべきだったんです。ただの風邪だなんて思ってたもんだから…。まさか…まさかあんなことになるなんて思わなかったんです。私が殺したようなもんなんです」

正道「バカなこと言うもんじゃないよ」

元子「でも…」

 

正道「そりゃね、僕だって看病一つ、する暇なく逝かれたんだから、それ、どれだけ心残りか分からないよ。でもね、元子、それは残された者の言い分だよ。中の湯さんだって言ってたじゃないか。お義父(とう)さんの告別式にふさわしい日本晴れだって」

泣きだす元子。

正道「俺は、ぽっくり逝きたいって、それがお義父さんの口癖だったじゃないか。恐らく心臓にショックがあったのもほんの一瞬のことで、お義父さん願いどおり苦しまずに逝かれたんだよ。それは僕だってね、もっともっと長生きしてもらいたかったけれども、苦しまなかったっていうことをよしとするしかしょうがないじゃないか。惜しまれて逝かれたんだよ。お義父さん、みんなに惜しまれて逝かれたんだよ」

元子「あなた…」正道に抱きついて泣く。

 

正月用の注文を抱え、秋の紺屋は戦同様。順平たちは初七日を待たずに仕事に取り組みました。

 

裏庭で作業する彦造、善吉。順平は中の作業場で仕事。

福代「皆さん、お茶になりますけんど」

順平「お茶なら、そこ置いときな。手が空いたら自分たちで勝手に飲む」

福代「はい」

 

善吉「若旦那、そっち済んだら、のり頼んまっせ」

順平「おう! 彦さんは少し休んでてくれ」

 

彦造は順平の言葉が耳に入っているが、そのまま作業を続ける。

 

順平「お~し、善さん、もうひと頑張りだ!」

善吉「へいよ!」

 

絵付け?のとき、宗俊は布がゆらゆら揺れてたけど、彦さんの方が手元が安定してるように見えた。

 

女性時代編集部

元子「その節は、いろいろとご丁寧にありがとう存じました」

福井「ご愁傷さまでした。で、もう仕事にはかかれるの?」

元子「はい」

福井「じゃあ、早速だけれどもサリドマイドをやってほしいの」

元子「はい」

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ドラマ本編には使われてないけど、原案本には最初のお子さんを妊娠中に眠れない布枝さんを心配した茂さんが睡眠薬をくれて飲んでいたと姉に話すと、新聞読んじょらんの?と怒られたというエピソードがありました。最初のお子さんが生まれたのは昭和37(1962)年だから、まさにその時代なんだね。

 

福井「いよいよ、被害者の28家族が提訴することに決まったの。本来、人間の命を救うべき薬が人間の五体の健全をその生涯にわたって奪い取っていく。それがどんなことなのかしっかりと追ってちょうだい」

元子「はい」

福井「あの時、私たちが一生懸命頑張ったから通った企画なのよ。ママさんライターとして頑張ってちょうだい」

元子「はい」

福井「じゃ、これ資料」

 

桂木家茶の間

トシ江「そう…出来たの。これにお父さんの言ったことが出てんだね」

 

女性時代は和服女性が表紙のわりと厚い雑誌。

 

元子「そうよ、ほら、ここ」

トシ江「あ~、よく撮れてること。楽しそうな顔して」

元子「うん」

トシ江「ありがとう、元子」女性時代を仏壇に供える。「松江の帰りに汽車ん中でさ」

元子「ええ」

トシ江「お父さん、お前は先に逝っちゃいけない、俺の方が先に逝くからなって笑ってたけどね」

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↑この日のセリフは「逝く」じゃなく「行く」と書いてた。昭和31年、トシ江50歳(1906年生まれ)。エイスケさんと同じ年だあ。

 

元子「そうよ。うるさいのがいなくなったら、お前はゆっくりおいでって、お父さん、そう言ってるわ」

トシ江「本当だね。順平だって、まだまだ半人前だし、福代さんだって9代目吉宗のおかみとして恥ずかしくないように長い目で見てやらなきゃならないしね」

元子「そうよ…本当にそうよ」

トシ江「けどね」

元子「ええ」

トシ江「何やってても『何してんだ、トシ江』って、お父さん、フッとそこから入ってくるような気がしてさ…。まあ、当分の間はしょうがないけど」

 

元子「としたら、お父さん、たった一つ心残りがあるからだわ」

トシ江「心残り…?」

元子「あの晩さ、お父さん、お母さんのこと…」

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宗俊「今度、バス旅行をやめた代わりによ、ひとつ温泉にでも連れてってやるかな。山の湯がいいかな。紅葉がきれいだぞ」

 

今日も津川雅彦さんのクレジットはあって、カメラアングルも違うような気がするし、セリフの細かいてにをはも違うので新撮なんだろうね。

 

元子「そりゃ楽しそうに言ってたわ」

トシ江「そう…。お父さん、そんなことをね…」

元子「やっぱり何てったって、お母さんなのよね。そのくせちゃらんぽらんで、とうとう最後まで調子のいいこと言って逃げちゃったんだから」

トシ江「あっ…だって、しょうがないじゃないか。本当にそういう人だったんだもの」

元子「お母さん」

 

宗俊の死は、やはりみんなの胸にぽっかりと大きな穴を開けていました。

 

つづく

 

来週も

 このつづきを

  どうぞ……

 

はあ~、来週からは本当に宗俊がいない世界なんだね。ナビ番組を見ていた時は、宗俊のいるシーンが使われることが多かったから、もしかして先にトシ江の方が亡くなるのかも?と思ったこともあったな。

 

しかし、ここまで次回の再放送作品が発表されなかったことがなく…4月以降もタイムテーブルには再放送枠は残ってるらしいけど、BSプレミアムはあと1年でなくなる。ドラマ好きな人は4K対応テレビ買って見てくださいねって感じなのかな。

 

最近、昔のドラマをデジタルリマスターしましたって4Kでしか放送しないことが多いのが地味にストレスだった。朝ドラ再放送枠もここまでなんだろうか。