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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (75)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

興園寺家は芝居の準備で大忙し、故郷に錦を飾る、と正太夫笑福亭鶴瓶)は張り切るが、純子(山口智子)が雨で中止になったらいいのに、とつぶやいている。芝居が始まり、純子の出番が来たところで、突然のどしゃ降り。正太夫は、純子がつぶやくせいだと騒ぐが、雨はどんどん強くなり、堤防が決壊し、川のそばの住民が避難するほど。純子は朝大阪を車で出発したまま到着しない秀平を心配するが、美山村は電話線が切れ、停電し…。

この回は1988(昭和63)年12月28日(水)放送で年内最終放送日。

 

はるかなる山脈

  作 チャーリー・ウェブマン

 

清彦が客席に案内している。ももの祖母・うめはお弁当を食べている。正太夫の妹の綾がお茶係。家族総出だね~。正太夫は客の入りを見て笑顔。

太夫「うわ~、えらい入ってるわ、おい」

(今なら問題!?の)黒塗りメイクをする。

 

純子は金髪のカツラにピンクのドレス姿でセリフの練習。

純子「『馬車で3時間もかかってニューオリンズに行ってきたというのに…』。あかん。何やったろ」

太夫「『おば様ったらルイジアナに行っておしまいになるんですもの』や」

純子「あかん。頭の中が真っ白になってしもた。正太夫さん、どないしよ。やっぱり私、あかんわ」

太夫「純ちゃん、頼むでほんまに」

 

純子は泣きたい思いなのであります。ただでさえ恥ずかしいのにましてやこれからやって来るという速水秀平の前でしどろもどろのお芝居を見せるなんて。

 

純子「ほんまに雨になってほしいわ」

太夫「何を言うてんねんな。え~? 大丈夫やて。え~? あのな、セリフやったらプロンプターがちゃんと陰から言うたるさかい」

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プロンプターといえば、転入してきたばかりの加藤優がクラスで劇をやった時にやったやつ。

 

太夫「(まじまじ純子を見て)ほら、きれいやが。衣装もよう似合うてはるわ。(周りを見渡しながらこっそり)うちの劇団の誰よりもきれいや」

純子「正太夫さん。私、一生恨むからね」

 

何や、その顔と正太夫には言って、純子にはいや~きれいやと褒めるつや。照れる純子。

つや「そやけどな、落ち着いてやったらほんまの女優さんみたいやわ」

足が震えるほど緊張する純子。清原も一人でやって来て、席に座る。清原の隣で相変わらずお弁当を食べ続けるうめ。

 

いよいよ開幕。黒塗りアフロの正太夫があいさつ。

太夫「本日は美山村の皆さん、たくさんお集まりいただきましてありがとうございます。本日は皆さんに楽しんでいただこうと大阪から劇団かもめ座がやって参りました。チャーリー・ウェブマン作『はるかなる山脈』どうぞ最後までごゆっくり」村人の拍手と歓声。

 

舞台上

女「スレイニー。スレイニー」

太夫「はい、奥様」

女「馬車の用意をしておくれ。銀行まで出かけなきゃならないの」

太夫「はい、奥様」

 

舞台袖で緊張する純子。

太夫「純ちゃん、もうすぐ出番や。あのな、ジョージが『いけない、12時や』って言うたら出てや」

 

舞台上

男「ちぇっ。今日こそ母さんが本当に銀行に2万ドル預けてあるのか確かめようと思ったのによ。いけない12時だ」

 

太夫「純ちゃん、純ちゃん、出番や。純ちゃん!」

 

男「あ、いけない。もう12時だ」

純子が出てきて拍手する村人。

純子「お兄様、何をしてらっしゃるの?」

 

雷鳴

 

男「お母さんがたった今…」

 

雷鳴と雨が降り出し、客が屋内に避難し、正太夫はすぐに芝居を中止した。正太夫は純子が雨が降ったらいいなどと言うからだと責める。

 

興園寺正太夫が故郷へ錦を飾るはずであったかもめ座の公演は突然の豪雨にあわれ水の泡となって流されてしまったのであります。

 

太夫「ちぇっ。ついてないなあ」

しかし、純子はほくそ笑んだ。

 

清彦は清原を自宅まで送った。

清原「澄、大丈夫か?」

澄「お帰りなさい。お芝居は?」

清原「中止だよ。この雨だもの。あなたが心配で帰ってきた」

澄「すみません」

清原「興園寺さんの清彦君に送ってもらった」

澄「それはどうもありがとうございました」

 

清彦は帰るといい、雨がもっとひどくなったら様子を見に来ると言った。天井から雨漏りがし、清原が水を受ける器を捜しに行っている間、澄の布団を移動する清彦。優しい。

 

雨はひどくなり、半鐘が鳴る。

 

昭和28年7月17日 近畿地方、殊に和歌山県の日高地方は記録的な豪雨に見舞われたのであります。

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学校が避難場所になり、村人が集まっていた。うめも避難していた。正太夫もあちこちで道路が潰れてるという話を聞いて手伝いに行った。

 

純子は村山はきもの店に電話をし、小野家に行き、秀平が何時ごろそっちを出たのか聞いてもらえないか、返事は興園寺さんあてでと言った。

 

久代が小野家に行き、純子から電話があったことと秀平のことを聞いた。秀平は7時ころの汽車に乗って行ったが、なぜ純子が知っているのか不思議がるあき。

昭「僕らが教えたったんや」

あき「えっ?」

雄太「びっくりして、お姉ちゃん気絶するとあかんさかいな」

あき「何や。そやけど、まだ着いてはらへんのやろか…」

久代「何や知らんけど、向こうはえらい雨や言うてはりましたで」

 

雄太「僕らも明日大阪大会の開会式やけど大丈夫やろか」

久代「こっちもだいぶ降ってまっせ」

あき「えらい時に美山村に行ってしもて…」

 

興園寺家では炊き出しをしている。純子はかまどの火をたいていた。正太夫は劇団員と消防団の手伝い。おにぎりを握りながら、正太夫もこんな時はきりっとしているという久助

 

そこに純子宛に大阪から電話があった。あきからの電話で秀平は7時に自動車で出てことが分かった。

純子「私らも炊き出しをしたりして戦争みたいな騒ぎやねん」

しかし、会話の途中で電話が切れた。電話線が切れてしまったらしい。テキパキとつやが中心となって炊き出しをする。できる人ができることをやるって当たり前のようでいてすごい。

 

純子はつやが秀平が車でこっちに向かったことを知らせた。夜になっても雨はやまない。

 

清彦「お母ちゃん、大変や! 堤が切れた!」

つや「えっ?」

純子「大丈夫?」

清彦「低い所は水浸しや。消防のもんが2人流された!」

私ちょっと行ってくるという純子を止めるつやと清彦。その上、停電になった。

 

純子の頭の中は、速水秀平のことでいっぱいでした。無事なのか、それとも…。そして、悪い方へ悪い方へと想像は膨らんでいくのです。

 

純ちゃんの雨降らないかな♪という軽い感じから、重い大災害へ。これが昭和63年の最後の放送とは…! これで新年まで待つのか。この時期は自粛ムードで明るい感じではなかったけどね。

 

炊き出しのおにぎりと言えば梅沢先生の「おにぎりには人格が出ますよ」という名言があったな。全体的にはコミカルだったけど、重い時は思いっきり重いドラマだった。ほとんど取り上げられてことのない明治三陸津波を扱っていたのも新鮮。地元に近いけど知らなかった。

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