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ドラマの感想など

【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (79)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

清原(浜村純)から夫妻のなれ初めを聞き、秀平(髙嶋政宏)とのことに思いをはせる純子(山口智子)。大阪では純子の帰りを待ちわびる昭(西川弘志)たち。雄太(唐沢寿明)は帰ってくるよう電報を打とう、と言うがあき(伊藤榮子)はまだ危ないかもしれないから、と止める。もも(藤山直美)は、美山村へたどり着けず、帰ってくる。復旧作業の休憩中の秀平に、純子は大雨の中で聞いた秀平のことばの真意を確かめようとするが…。

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79回は本来1989(昭和64)年1月7日(土)に放送されるはずが、昭和天皇崩御のため、休止。1989(平成元)年1月9日(月)放送となり、以下1日ずつずれ、土曜日に2話分放送されたそうです。これが平成最初の朝ドラなんだね。

 

興園寺家。澄はまだ寝込んでいて、純子が水を運ぶと、枕元に座っていた清原が話し始めた。

清原「この人が僕と知り合ったのは『金色夜叉』の貫一お宮じゃないが大学の教授のお宅で開かれたカルタ会でね」

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簡単なあらすじを調べてみました。貫一の許婚のお宮がカルタ会で富豪に見初められて、お宮は貫一ではなく富豪を選んだ。お宮が蹴られてる図しか分からなかったけど、そういうことなら蹴られても仕方ない!?

 

清原「遅くなって帰り道、この人をうちまで送り届けた。それから時々、芝居に行ったり音楽会に行ったりするようになってね。そしたらある日、この人がドイツ語で僕にこう言ったんだ。リブスト ドゥ ミッヒ。これはね『なんじは我を愛するや』という意味でね。この人がドイツ語を知ってるのにまず驚いた。そしたら『これはどういう意味ですか』って言うじゃないか。この人は全然ドイツ語なんか知らなかったんだよ。本当は誰かに教わって僕の気を引こうとしたらしい。で、僕は答えを言うかわりにこの人に同じ言葉を言ったんだ。『リブスト ドゥ ミッヒ』とね。そしたら、意味も分からないはずのこの人が耳まで赤くなってうつむいてしまった」

純子「それやったら奥さんの方からプロポーズしはったようなもんですね」

清原「まあ、そういうことだね。この年になっても思い出すのは、この人と知り合った頃のことだなあ。この人をおいて生涯を共にする人はないとそう純粋に考えついたことを思い出す」

笑顔の純子。

 

小野家。昭が雄太をマッサージしている。明日の昭と雄太の試合は第1試合で8時から。6時前には家を出なければならない。

昭「なあ、お姉ちゃん、いつ帰ってくんのやろな」

あき「そやなあ。そろそろ道路は復旧されたという話やけどな」

雄太「はよ帰って試合見に来てくれんと2回戦で負けてしもたらおしまいや」

昭「最後の夏やしな。もっとも僕には出るチャンスもないしどっちでもええか」

あき「昭」

雄太「はよ帰れて電報打ったらどないやろ」

あき「危ない思いして帰ってくることあらへん」

 

興園寺家。純子はつやたちとおにぎり作り。純子はおにぎりを取りに来た清彦に秀平がどこの現場にいるか聞いた。清彦はひょっとしたら清原先生の土砂崩れの後始末じゃないかという。

 

そこに慌てた様子の清原が来て、内藤先生を呼んでくれないかと言った。家内の様子がおかしいというので純子が呼びに行った。

 

清原欽一郎の妻・澄の容体が急変したのは、その日の夜9時ごろのことでありました。

 

枕元には清原、秀平、つや、純子、久助、清彦、正太夫

太夫「先生、なんとかならんやろか」

内藤「申し訳ないけど、私にはこれが精いっぱいです」

清原「澄。分かるか? あなたが好きだった『万葉集』を詠んであげよう。あなたが一番好きだと言っていた歌だ。『君が行く 海辺の宿に 霧立てば あが立ち嘆く 息と知りませ』」

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旅立つ夫を送り出す妻が別れを悲しんで歌ったもの。

 

清原「『わが妻は いたく恋しく 飲む水に 影さへ見て 世に忘られず』。分かるか?」

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離れ離れになった妻があまりに恋しく、水に映る自分の顔さえ妻の顔に見えてくる。

 

清原「じゃあ、あなたが嫌いだと言っていた歌を歌ってあげよう。♪『妻をめとらば 才たけて みめ美(うる)わしく 情けあり 友をえらばば 書を読みて 六(りく)分の侠気(きょうき) 四分の熱』。この人はね、『みめ美わしく』というところが気に入らないんですよ。しかし、僕は…」

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与謝野鉄幹作詞、作曲者不明。三高(京都大学)寮歌だそうです。

 

内藤先生が澄の瞳孔を確認「ご臨終です」。澄は眠ったまま逝ってしまった。そうだよなあ、現実は死ぬ前に一人一人にメッセージを残すとかそんなことできない。

清原「さようなら。長い間ありがとう」

 

何で嫌いな歌を…と思ったけど、澄さんはこの歌の結婚するなら賢くて見た目がよくて人情があってみたいな歌詞が嫌いだったけど、清原先生にとって澄はみめ麗しい人だったと言いたかった…のかな。

 

純子は涙を拭いてその場を出ていき、皆はそれぞれその場で悲しんだ。

 

純ちゃん食堂。あきが切り盛りしていると、帰ってきたのは、もも。あきの顔を見ると、その場でへたり込んでしまった。ぬひや村山も駆けつける。

もも「和歌山まではな、なんとかたどりついたんやけどな。そこから先があかんねらよう。橋は流されたある。道はない。駅でな野宿しやったんやけどもな、あと美山村に2~3日は行けん言うさかな、ほんでもうこらあかん思てな引き返してきたんや」

ま、ももさんは大丈夫だと思ってました。

 

興園寺家の縁側にいる清原。つやがお茶を出し、しばらくここにいたらどうかと提案した。久助が使っていた離れがあり、久助も道路がよくなったらすぐに大阪へ帰る。

清原「お気持ちはありがたいが、奈良県の下市が私の生まれ在所でしてね、そこへしばらく行こうかと考えてます」

随分長く帰っていないので、家内のお骨をそこへ納めてやりたい。この村に先生がいなくなったら寂しくなると別れを惜しむつや。

 

純子は食事中の秀平を覗く。

秀平「何だ、君か。何してるの? 入ってくれば? どうしたの?」

純子「清原先生、おかわいそうやった」

秀平「そうだね」

純子「先生はふだんは怖いお人やけど、奥さんにはそれはそれはお優しくしてはったし」

 

秀平「うん。亡くなる時にかんで含めるように『万葉集』の歌を奥様に聞かせてらしただろ。歌の意味は分からなかったけど涙が出てきた。僕も結婚したらあんな夫婦でいたいなあと思ってね」

純子「ほんまやね」

秀平「あとの歌は僕も知ってる。アメリカでパパが酔っ払うとよく歌ってたから。♪妻をめとらば 才たけて みめ美わしく 情けあり 友をえらばば 書を読みて 六分の侠気 四分の熱」

 

純子「秀平さん」

秀平「何?」

純子「あの…」

 

そこに清彦がやって来て、橋の架設工事をこれから始めるから集まって欲しいと土木事務所から召集がかかってると言ったので、秀平は出ていってしまった。プイとむくれる純子。

 

純子はあの山崩れの崖をよじ登っている時に聞いた秀平のプロポーズの言葉をもう一度確かめたかったのであります。しかし、なかなかそういうことはタイミングが合わないんですね。いや、それよりも純子の口から聞き返すには、それはそれは勇気がいるのです。そして純子が大阪の家に帰ったのはそれから更に3日後のことでありました。

 

昔の朝ドラって例えとか慣用句とか万葉集とかいろんなものが出てくるのが楽しい。人によっては普通の会話にそんなもん出てこないだろとくどく感じてしまうのかもしれないけどね。清原先生の夫婦は普段から万葉集の話してたんだろうな。悲しい。