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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (22)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

あくる朝、薬を飲んで回復した正太夫笑福亭鶴瓶)が、看病して眠ってしまった純子(山口智子)に抱きつくと、たまたま居合わせたジョージ北川(細川俊之)が止める。純子が帰って就職の件を陽一郎(川津祐介)に報告すると、陽一郎は稲本専務に辞退の電報を打つようにと頼む。純子は納得がいかず、興園寺家で速水(髙嶋政宏)にどう思うかと聞くが、速水は陽一郎の気持ちもわかる、と答える。速水が日本を去ると聞くと純子は…。

20軒以上も探してようやくキニーネを探した純子は正太夫に薬を渡した。

 

どうもえらいことになりました。大阪で正太夫マラリアの発作に襲われたのであります。

 

薬を飲んだ正太夫は布団に横になった。朝になり、壁際で座ったまま寝ている純子に「ごめんやで」と近付いた。気付いた純子が大きな声を出し、それでも「純ちゃんごめん」と抱きついて離れない。いやー!! 

 

そこに現れたのは「また君か。こんなところで何をしている」。「チッチッチッ…」と指を左右に振りながらジョージ北川登場!

 

太夫「何で僕だけこんな目に遭わなあかんねんな、もう」って、はぁー!? 

 

おかみさんが朝飯(フリガナは”あさはん”)を作ると言い、純子は持参の米を渡した。ぬひさんのところに行かなかったね、そういえば。

 

北川にも正太夫が家出をしたことを話す。

太夫「『男子志を立てて郷関を出ず』ちゅう話や。それから、あの、ほれ『何やら何やら死すとも帰らず』いうて。せやさかい帰れませんねや」

fukushima-net.com

男児たるもの、志を立てて、故郷を出たからには、 学問が、成就すること無ければ、二度とは帰らず。

kotobank.jp

これか。

 

北川「しかし一旗揚げるといったって大変だよ」

太夫「分かってますがな」

 

純子は、これからすぐにでも帰るといい、正太夫は母に心配しないよう言ってくれと伝言を頼んだ。

純子「ほんまのこと言うてもええ? うちうそつくの嫌やから」

太夫「そらもちろん言うてもええよ」

北川「純子ちゃんに抱きついたこともいいわけ?」

太夫「そいはあかんねら」

純子「嫌やわ」

失礼だけど、こういうとこ男性脚本家だなーと思ってしまう。あんな照れたように「嫌やわ」なんて言ったら、正太夫ますますつけ上がる。抱きつかれて普通に接し続けるのも無理なレベル。

 

北川は「ちょっと待ってて」と席を立った。北川が何でここにいるんだろ?という正太夫に、純子はおかみさんとも顔見知りで何日もいるようだと話した。正太夫とあんな顔近づけて話したくもないわ!

 

「これ、興園寺の奥様に差し上げてくれないかな?」と純子に小さな箱を渡した北川。正太夫はしばらく僕が面倒を見ると言ってくれた。

 

小野家。あきはコーリャンおかゆを作った。

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英一郎も戦地で食べていたというコーリャン

 

この辺では口に合わないと捨てられるものをもらってくる。実がはじけるまで炊いたら結構食べられるとあきは言う。家族で満州にいたんだから、コーリャンもよく食べていたのかな。砂糖をちょっと入れたらうまいという陽一郎。しかし砂糖は貴重品。

 

雄太のお母さんの尋ね人はいつ放送になるのだろう?と昭があきに尋ねた。もう手紙は東京に届いてるはず、雄太のお母さんは引き揚げてるのか?などと小野家の面々が会話しても雄太は無言。

 

純子が帰ってきて、正太夫と駆け落ちしたと噂を立てられたと聞かされ、一笑に付した。稲本専務におわびをしたか聞いてきた陽一郎に「就職、お父ちゃんの体がようなるまで待ってくれはるて」と嬉しそうに報告した純子。

 

陽一郎「ん? お断りしたんやないのか?」

純子「何人も就職を頼みに来てはる人がいてはるのや。それ見てたら今ここでお断りしたら当分あかんのやないか思て。それでお願いしてみたの。なんとか2か月待ってくださいて。初めはほかに希望してはる人もようけおるさかい無理や言うてはったの。せやけど、うち、一生懸命お願いしたら『分かりました。なんとかしましょう』言うてくれはって。そやから大丈夫。安心して体を治したらええんや」

 

ニコニコしながら話す純子にニコニコ聞いていた陽一郎は笑顔のままうつむき、純子から稲本からの手紙を受け取り、正座し直して読んだ。厳しい表情になった陽一郎。

 

陽一郎「僕は今度の話をお断りするのに失礼のないようにと純子に大阪まで行ってもろたんや」

純子「それはそやけど…」

陽一郎「出社を2か月先まで待ってほしいと、お前の方から頼んだんやな?」

純子「うん、そうや」

陽一郎「お父さんがいつそういうことを言うてくれと頼んだ? 余計なことをしてもろたら困るんや」

純子「何で? 何で困るの? うちのしたことがあかんかった言うの?」

陽一郎「ああ。就職を希望してる人は大勢おるんや」

純子「それは稲本さんも言うてはった…」

陽一郎「そやろ? それをお断りして僕のためにポストを空けておくためには、稲本さん随分無理をせないかんはずや。下手をすると稲本さんの責任問題にもなりかねん。それに僕は情実は嫌いなんや」

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純子「でもせっかくええて言ってくれはったんやから…」

陽一郎「あかん! そういうことは絶対にあかん!」

 

あきに稲本宛の電報の文面を伝えた。

「ご配慮に感謝すれどもご厚意を受くるは心苦し。就職の件、固く、ご辞退申し上げます」。

 

納得のいかない純子。

陽一郎「世の中、そういうもんなんや」

純子は部屋を出ていき、洗い物のコップを拭いた。

あき「純子。お父ちゃんもあんたの気持ちはよう分かってはんねやさかい」

純子「何でやの。稲本さんがええと言わはんのやからそれでええやないの。それをわざわざお断りの電報やなんて。こちこちや」

あき「そんなこと言いな」

純子「そやないの。ぶきっちょにも程があるわ」

あき「そうや。お父ちゃんのそういうところが好きなんや、お母ちゃんは」

 

純子は興園寺家に正太夫のことを話しに行った。陽一郎は縁側で膝を抱えてぼんやり。陽一郎だってそりゃ待ってくれた方がいいに決まってると思ってるよねえ。

 

つやは北川から香水をもらって喜ぶ。純子がいなくなり、小さくたたまれた手紙を読んだ。

 

月は沈みぬ。されど月は又昇る。

日々その身をやせ細めながら、青白き

輝きにてあの人を照らすために。

 

つや「あの人を照らすために…」とつぶやいて手紙を口に当て、懐にしまった。

 

興園寺家で薪割りをしている秀平の手伝いをする純子は陽一郎のことを話した。「お父ちゃんのしたことはただの瘦せ我慢や」という純子に「だからいいんじゃないの? 僕は痩せ我慢好きだなあ」と薪を割った。

 

純子が北川に会い、秀平がこの村にいると話すと「会いたいね」と言ったと言うと、秀平は「もう恐らくあの人に会うことはないと思うよ」と返した。日系二世だから許可された日数しか日本にいられないと言う。ずっと日本にいると思っていた純子。

 

秀平の思いがけない言葉が純子の胸に小さな波紋を起こしたようです。

 

お父ちゃん…真面目過ぎる。手紙を読むのに姿勢を正したり、声を荒げることなく純子を諭したり…金八先生で3年A組の担任の上林先生も真面目な堅物先生だったけど、嫌な先生ではなかったな。

 

マラリアにはキニーネとか、コーリャンおかゆとか宿屋に持参の米を渡すとか戦後といっても知らないことがいっぱい。”情実”というのも知らない言葉だった。

 

朝ドラももう戦前から戦後を描くのに無理があり過ぎるんじゃないかと思ってしまう。実体験で書ける人はもういないし、現代感覚で批判する人はいるし…。そうかといって高度成長期やバブルの時代を描くのもまた難しいんだろうかね。