徒然好きなもの

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【ネタバレ】チョッちゃん(106)―連続テレビ小説―

NHK 1987年8月6日(木)

 

あらすじ

病院で倒れた蝶子(古村比呂)は、二日間寝込んで、起きると要(世良公則)が朝食を作っていた。その後加津子(椎野愛)の病室へ顔を出すと、富子(佐藤オリエ)と安乃(貝ますみ)が看病していて、富子はみさ(由紀さおり)から電話がかかってきて、蝶子が倒れたことを喋ったと言う。みさは俊道(佐藤慶)に、東京へ手伝いに行くと言い、俊道は何も出来ないみさが行っても仕方ないと言うが、みさが上京すると蝶子は喜び…。

2025.8.14 NHKBS録画

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脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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岩崎蝶子:古村比呂…字幕黄色

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岩崎要:世良公則

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北山みさ:由紀さおり

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野々村富子:佐藤オリエ

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国松連平:春風亭小朝

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増田たま:もたいまさこ

岩崎加津子:椎野愛

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梅花亭夢助:金原亭小駒

彦坂安乃:貝ますみ

横山里子:吉田やすこ

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岩崎雅紀(まさのり):河野純平

看護婦:麻生真美子   

    松井摩味

    小堤五月

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早川プロ

劇団いろは

劇団ひまわり

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神谷容(いるる):役所広司

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野々村泰輔:前田吟

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北山俊道:佐藤慶

 

岩崎家

要「よいしょ!」朝、雨戸をあけている。

 

<加津子ちゃんの看病疲れで倒れたチョッちゃんは2日間、寝込んでしまいました>

 

目を覚ました蝶子。

 

⚟︎要「よっ! よいしょ」

 

布団から体を起こした蝶子。

 

要は台所で何か切っている。おぉ!?

 

蝶子「何してるの!?」

要「あっ! おい、大丈夫か?」

蝶子「大丈夫」

要「おお」

蝶子「何してるの?」

要「え、いや、朝ごはん作ってんだよ。食べるだろ?」

 

蝶子「うん。病院には?」

要「ゆうべからね、安乃ちゃん」

蝶子「ごはん食べたら、私、行くから」

要「大丈夫か?」

蝶子「もう大丈夫」

 

蝶子におでこをツンと指で突く要。しかし、蝶子はふらついてしまう。「ああ、ほら、ふらついてるじゃないか、まだ」

蝶子「食べてないせいよ。顔、洗ってくる」

要「おお」ちゃぶ台に箸を並べていたが…「おっ?」

 

縁側に正座している蝶子。「私が寝てる間、大変だったでしょ?」

要「まあね」

蝶子「すみませんでした」頭を下げる。

要「そう思ったらね、二度と無理はするな」

蝶子「はい!」

 

病院の廊下をさっそうと歩く蝶子。顔もピカピカ!

 

病室

蝶子「おはよう!」

富子「もういいの?」

蝶子「ご心配かけました」

加津子「よくなったの?」

蝶子「うん」

加津子「うん」

 

蝶子「安乃ちゃん、大変だったでしょ?」

安乃「いいえ」

 

蝶子「あ、マーちゃんたちは?」

富子「ああ、うちの人と夢ちゃんがね、遊びに連れ出した」

蝶子「あ、そう。(安乃に)代わるわ。ね!」

 

加津子「本当に大丈夫?」

蝶子「ぐっすり眠ったから」

富子「病人に体のこと心配されてちゃ世話ないね」

蝶子「本当だ!」加津子の汗を拭く。「あ、安乃ちゃん」

安乃「はい」

 

蝶子「今日は、もう部屋に帰って休みなさいね」

安乃「いいえ、私まだやることあるんです。洗濯や掃除や」

蝶子「いいから」

安乃「いいえ」

蝶子「頑固なとこ、頼介さんにそっくりなんだから。じゃ、安乃ちゃんにはマーちゃんたちを洗足の方に連れてきてもらおうかな」

 

富子「ああ、うちはいいのよ」

蝶子「いや、要さんの演奏会も終わったことだし」

富子「そうかい?」

 

安乃「じゃ、後で」

蝶子「うん」

 

富子「そういえば、ね、昨日ね、滝川から加津(かっ)ちゃんの様子、電話で聞いてきたから『チョッちゃんが倒れた』って言っといた」

蝶子「心配するからいいのに!」

富子「あら、つい言っちゃったよ」

蝶子「もう!」富子から受け取った麦茶を飲む。

 

北山家

たみが配膳している。ていうか、今日、たみちゃんの名前、出てなかった。

 

俊道「(たみに)ありがとう」

みさ「うん」軽く頭を下げる。

たみは台所へ。

 

みさ「あの…け…け…結核性股関節炎ちゅうんは入院の期間が大した長くなるって、お父さん、しゃべったしょ?」

俊道「うん」

みさ「したら、加津子ちゃんは、あと、ひとつきやふたつき入院ちゅうことになるんでない?」

俊道「そういった判断は、私にできるわけないべ!」

みさ「…はい」俊道の様子をうかがいつつ、食べ進める。「したけど、仮に入院がまだまだ続くんなら、蝶ちゃん、また倒れるんでない? 蝶ちゃん、あのとおりだもの。また無理すると思うんだわ。無理したら、また倒れるもね? ま、あと2~3回は倒れるんでないんですか」

 

俊道「お前」

みさ「はい?」

俊道「なして、お前は倒れるもんと決めてかかるんだ?」

みさ「…倒れませんか?」

俊道「そんなこと分かるわけないべ!」

 

みさ「したけど…」

俊道「うん?」

みさ「…富子さんの話、聞くと、付き添いちゅうのもなかなかゆるくないらしいさ、お父さん。や、加津子ちゃん、この暑い時期にギプスだもの。やあ、暑がったり、かゆがったり、夜には蚊に刺されたりで、いやいや、蝶ちゃん、眠れないっちゅうもね」

 

俊道「お前、なんば言いたいんだ?」

みさ「いや~…昨日からず~っと考えてたんだ。例えば、もう一人くらい手があったら、蝶ちゃん、楽なんでないかなって」

 

俊道「お前、東京へ行きたいんかい?」

みさ「いや、東京へちゅうんでなく」

俊道「手伝いにか?」

みさ「うん…」

俊道「お前、洗濯できるんかい?」

目をそらすみさ。

俊道「掃除もできないべ。料理もできないべ。なんもできないお前が行って、何の役に立つっちゅうんだ」

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みささんは父から「娘が家で立ち働くような家には嫁がせない」と言われていた。

 

みさ「したけど…」

俊道「祈るんかい?」

みさ「祈りもしますけど、加津子ちゃんの体拭いたり、うちわであおいだりするくらい、私にもできますもねえ」

俊道「うちわあおぎに東京に行くんかい?」

みさ「…」

俊道「それだけのためにうちを空けるんかい?」

 

みさ「したけど、お父さん。蝶ちゃん、また倒れてもいいんかい?」

俊道「ワシば脅すんかい!」

みさ「なんも」

じーっとみさの顔を見て、みそ汁を飲む俊道。

 

病室

加津子に話を聞かせる神谷。「キツネは夜空の星たちと話をするようになったんだ。小熊座や白鳥座、大犬座、やぎ座、やまねこもおひつじもいる。それらもみんな独りぼっちだとキツネは知った」蚊の羽音に視線を送り、一瞬中断。「小熊や白鳥はキツネに言ったんだ。『流れ星を見たことがあるかい? あの流れ星は本当は怪物のいけにえになったアンドロメダの涙なんだよ』。そして、こうも言った」

 

床に置いてある蚊取り線香の奥に人の脚が…安乃がドアの陰から話を聞く。

 

神谷「『僕たちは、あのアンドロメダの涙を拾うことができたら、母さんのもとに帰ることができるんだ。独りぼっちじゃなくなるんだ。だけど、僕らは、いまだに拾えないでいるんだ。キツネ君、君も手伝ってくれないか? 君が拾ったら、僕たちだけでなく、君も母さんのもとに帰れるんだ』」

 

加津子「安乃おねえちゃんだ」

神谷「あ、いやいや、聴いてたんかい」←あら、珍しく照れてる!?

安乃「すいません」

神谷「や、なんもなんも」

 

病室に入ってきた安乃。「あの、蝶子さんは?」

後ろから来た蝶子。「あ、安乃ちゃん、今日はこっちいいのに」

安乃「滝川から手紙が届いたんです」

蝶子「ん? あ、母さんだ」

蝶子に手紙を渡し、蝶子が持っていたヤカンをさりげなく持つ安乃。「急用だと何だから、マーちゃんたち、中山さんにお願いしてきました」

手紙の封を開ける蝶子。「わざわざ悪かったね」

安乃「いいえ」神谷と会釈して病室の奥にヤカンを運ぶ。

 

神谷「いい手紙かい?」

蝶子「母さんが手伝いに来るそうです」

安乃「奥さんが!」

蝶子「うん! いや~」

 

<その、みささんが東京へ着くという日になりました>

 

看護婦詰め所から笑い声が聞こえる。

連平「お芝居好きな人!」

看護婦3人が手を挙げる。「ハイ!」

下を向く里子。

連平「あれ、里子さん、お芝居嫌い?」

里子「嫌いじゃないんだけど。(同僚に)ね!」

看護婦A「横山さんは音楽なのよね」

里子「うん」

 

連平「音楽? 任せてよ!」

里子「や、クラシックですよ」

連平「あたし!」

里子「はい?」

夢助「実はと言やあね、この連平さん、ああ、元バイオリン弾き」

連平「バイオリニストだろ」

一同「へえ~」

夢助「あ、それなの」

 

看護婦B「冗談ばっかり!」

連平「あれ、冗談じゃないよ。あたしは、こう見えてもね、加津ちゃんのお父さん、要さんと一緒にバイオリンを学んだ仲なんだ」

里子「え、岩崎さんと!」

連平「うん、な!」

夢助「へい!」

里子「すごい!」

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ドアが開き、たまが入ってきた。「騒々しいですね」

夢助「どうも」

たま「あなたね、いつもいつも看護婦詰め所に入られたら困るんですよ」

連平「あたしたちはね、病人の面倒を見てる皆さんを慰めに来てんですよ!」

夢助「へい!」

 

里子「増田さん、国松さんて、元バイオリニストだったんですって!」

連平「連平ちゃんって呼んでよ」

看護婦A「岩崎さんのご主人とね、一緒にお勉強してたんですって」

たま「ふ~ん、だけど、活動写真の楽士になった」

里子「楽士?」

たま「でしょ?」

 

連平「誰に聞きました?」

たま「ね、夢助さん!」

シーッというジェスチャーをする夢助。

たま「何よ、本当のことなんでしょ?」

連平「夢ちゃん。夢、この野郎、お前!」夢助につかみかかる。

たま「静かに! こんな所で! こんな所で騒がない!」連平をファイルでたたく。「騒がない! 静かに!」と連平の腕をねじり上げる。

連平「いててててて!」

 

泰輔「何だ何だ、どうしたんだよ?」

連平「社長!」

連平の腕を放すたま。

連平「覚えてろ!」

 

要「ああ、女房の母親です」

泰輔「私の姉ちゃんだ!」

みさ「孫がお世話になっております。今、着きましたので、皆様にご挨拶をと思いまして」菓子折を渡す。

たま「ご丁寧にどうも」菓子折を受け取る。

 

たまの後方で連平に腕をねじ上げられている夢助。「あ、いててて!」

 

病室

みさ「蝶ちゃん!」

蝶子「母さん!」

要「『一度、うちの方へ』って言ったんだけどね」

みさ「いや、来てしまったの」

蝶子「そうかい! 座って」

 

みさ「ハハハ~、あれ~、加津子ちゃん!」

加津子「こんにちは!」

みさ「はい、こんにちは! アハハハ。いやいや、かわいそうに。動けないのかい?」

加津子「うん」

 

ノック

要「はいはい!」

 

みさ「いや~、ねえ」

 

ドアを開けた要。「おお」

連平「さっきは、お母上に挨拶しそびれちゃって」

要「お義母(かあ)さん、これ、私の古い友人で国松連平といいます」

連平「あ、先ほどはどうも。あの、要さんや野々村社長には一方(ひとかた)ならぬ、お世話になっておりまして」

みさ「はあ、そうですか」

泰輔「この人ね、梅花亭夢助って噺家だよ」

みさ「ああ! お二人のことは、よく、話、聞いてます」

蝶子「いろいろ手紙とかで」

泰輔「そうそうそう」

みさ「いやいや、今後ともよろしく」

連平「あ、恐れ入ります、どうも」

夢助「こちらこそよろしくお願いします」

 

泰輔「さてと、後は、どうするかだね?」

要「そうですね。とにかくうちへ行きましょう」

みさ「私ならこのまま加津子ちゃんの付き添い…」

蝶子「母さんは、いいから」

みさ「いや、したけど」

蝶子「うちにはね、安乃ちゃんがいるんだ」

みさ「ええ?」

 

泰輔「じゃ、チョッちゃんもさ」

蝶子「いや、私は…」

泰輔「うん?」

 

要「あ、加津ちゃん、お母さん、うちへ連れてってもいいかな?」

加津子「うん…いいよ」

要「そう」

泰輔「じゃ、付き添いだな」

要「あ…ああ、連平!」

 

連平「夢!」

夢助「あ、へい、あたくしが」

蝶子「けど…」

連平「お前、かねがね言ってたよな。『一度でいいから病人の付き添いをやってみたい』って」

夢助「…実は、そうなんで。皆さん、どうぞ、ご安心を」

泰輔「そうかい?」

加津子「うう~ん…」かなり不満そう。

 

岩崎家玄関

要「ただいま!」

泰輔「安乃ちゃん、帰ったぞ!」

安乃「お帰りなさい!」廊下を走ってきた。「あ、奥さん!」

みさ「あれ、安乃ちゃん!」

安乃「はい!」

みさ「いやいや、また会えたねえ!」

座り込んで泣きだす安乃。

みさ「アハハッ、よかった!」

 

<何しろ安乃ちゃんが滝川を去って以来のことですから、2人は13年ぶりの再会だったんです。その後、安乃ちゃんは「夢助さんの付き添いはかわいそうだ」と言って進んで病院へ行ってしまいました>

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岩崎家茶の間

みさ「俊継ちゃん、起こしちゃ駄目だよ。アハハッ」

泰輔「だけど、安乃ちゃん律儀だなあ」

蝶子「そうなの」麦茶を出す。

泰輔「ああ、ありがとう」

 

連平「けどさ、チョッちゃんのおふくろさんが来てくれれば百人力だ」

要「うん」

連平「ね。ん? うちのこととか…」

みさ「私、うちの中のこと何にもできないの」

連平「またまた!」

 

要「だから、あの、お義母さんは東京に遊びに来たつもりで、ね」

泰輔「そうそう、そうそう、千駄木にも泊まってもらいたいしさ」

蝶子「東京見物のつもりで」

みさ「やあ、本当かい? したけど、それじゃ、お父さんに申し訳ないしょ」

泰輔「義兄(にい)さんには黙ってりゃ分かりゃしないって!」

うなずく蝶子と要。

 

みさ「アハッ、あ、そうだねえ。アハハハハッ」

泰輔「ハハハハッ」

みさ「ちゅうことは、あれかい? 私が来ても何の役にも立たないっちゅうことかい?」

要「いや…」

蝶子「なんもなんも! 来てくれただけで助かるし、うれしいんだから!」

泰輔「そうそうそう!」

 

<チョッちゃんは、みささんが来てくれて本当に気が楽になっていました>(つづく)

 

みささんがたとえ何もできなくても、蝶子のそばにいるってだけでいいの。