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【ネタバレ】チョッちゃん(8)―連続テレビ小説―

NHK 1987年4月14日(火)

 

あらすじ

蝶子(古村比呂)は神谷(役所広司)を旅館まで送り、帰りに邦子(宮崎萬純)の家に寄る。邦子は、私も先生に会いたかった、と旅館へ行く。蝶子と二人で行くが、先生は出かけていた。俊道(佐藤慶)は、自分が診察で外している間に神谷が帰ってしまったことが気に入らない。頼介(杉本哲太)が北山家に来ると、帰ってきた蝶子と会う。蝶子が、先生が来て父に音楽の話をしてしまった、と言うと、頼介は先生の不注意だと憤慨して…。

2025.4.1 NHKBS録画

peachredrum.hateblo.jp

脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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北山蝶子:古村比呂…字幕黄色

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神谷容(いるる):役所広司

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北山みさ:由紀さおり

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彦坂頼介:杉本哲太

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田所邦子:宮崎萬純

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石沢嘉一:レオナルド熊

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北山道郎:石田登星

北山俊介:伊藤環

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山本たみ:立原ちえみ

高畑品子:大滝久美

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女中:松井信子

早川プロ

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北山俊道:佐藤慶

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野々村泰輔:川谷拓三

 

神谷先生と歩く蝶子。「先生、さっきは、すいませんでした」

神谷「え?」

蝶子「父が、その…先生の教育方針に、つまり水差すようなこと言いだして」

神谷「ハハハハッ。そんなこと何とも思ってないわ。それこそこっちこそすまんかったねえ。音楽の道、志してること」

蝶子「ああ」

神谷「やあ、親御さんにだけは、しゃべってるもんだとばっかり思ってて」

蝶子「なんも気にしないでください」またスッ転ぶチョッちゃん

神谷「大丈夫かい? ほら」助け起こす。

蝶子「あっ、あっ、ああ~! はい。ああ、ダメですねえ」

 

馬ソリに荷物を積んでいた頼介が2人を目撃。だから昨日の回に名前があったのかな? どっかに見切れてた!?

 

蝶子「先生、滝川には、いつまで?」

神谷「明日。国木田独歩が休んだ華月旅館に泊まって、明日、岩見沢の下宿、帰るわ。さ、もういいぞ、北山君」

蝶子「はい」

神谷「したらな!」

 

神谷のあとをついて歩く蝶子。

 

神谷「本当に。もういいよ」

蝶子「旅館まで」

神谷「道、分かるからいいよ」

蝶子「はい」

神谷「はい」蝶子に背を向けて歩き出す。

 

北山家茶の間

俊道が入って来た。「神谷先生は?」

みさ「お帰りになったわ」

俊道「黙ってかい?」

みさ「いや、蝶ちゃんが診察室見たら、当分、あなたの手、空かないって」

俊道「ワシには、まだしゃべりたいことがあったんだ。さては、そそくさと逃げたな」

 

泰輔「いやぁ、義兄(にい)さん。あの人は、なかなかいい先生ですよ。ああいう先生に教わってたら、僕の人生もだいぶ変わってたかもしれません。そういう人です」

俊道「蝶子は?」←ガン無視!

みさ「『先生をお送りする』って言って」

泰輔「あ、義兄さん、座りませんか?」

 

泰輔がみさの隣に移動し、奥に俊道が座る。「音楽って、一体何だ?」

みさ「さあ…」

泰輔「音楽というのはですねえ」

俊道「君には聞いてないわ」

泰輔「はい。では…」凧を手に持ち、部屋から出ていく。

 

田所呉服店

邦子「神谷先生が?」

蝶子「家に上がってくださって両親とも会ってくれたんだわ」

邦子「ふ~ん」

蝶子「いやいや、焦ってしもたもね!」

邦子「自慢しに来たんかい?」

蝶子「なんも。先生、なして、あれ、滝川に見えたか分かったわ」

邦子「へえ」

 

蝶子「国木田独歩っているっしょ、文士の。その独歩が明治の二十何年かに滝川に来たことがあって、先生、その足跡をたどりにいらしたんだわ」

邦子「先生に聞いたんかい?」

蝶子「そう! ウフフフ」

邦子「やっぱし自慢してるしょ!」

蝶子「なんも」

 

邦子「したけど、そのこと言いにわざわざ来たんでないの?」

蝶子「なんも。こっちまで先生、送ってきたんだ」

邦子「どこにさ?」

蝶子「華月旅館」

邦子「すぐ近くでないの!」

蝶子「うん」

邦子「先生、なしてうちに来ないのさ?」

蝶子「1回、来たっしょや」

邦子「その時、私、いなかったっしょう!」

蝶子「うん」

 

邦子「チョッちゃん、言ってくれたかい、先生に?」

蝶子「うん?」

邦子「私、うちにいるってこと」

蝶子「ううん」

邦子「う~ん、意地悪!」

蝶子「なしてぇ!?」

邦子「私に会わせまいとして!」

蝶子「会いたかったんかい?」

邦子「そんなこと言ってるんでなくてさ、チョッちゃんの友情について!」

蝶子「したら、華月旅館行けばいいしょ!」

邦子「分かったわ、行くわ!」

 

外に出た邦子。

蝶子「走るんでない! 転ぶっしょ!」と後を追う。

 

華月旅館

女中「神谷さんかい? ああ、ちょこっと前にお出かけになったわ」

蝶子「どうもすいませんでした」

 

華月旅館を出た2人。

邦子「先生、どっか回るって言ってたんでないの?」

蝶子「どういうことさ?」

邦子「先生、帰ってないこと知ってて連れてきたんでないの?」

蝶子「私、ここまで送ってきたんだぁ」

邦子「先生、どこ行ったのさ?」

蝶子「知らないよ。何さ」

 

邦子「チョッちゃん

蝶子「ん?」

邦子「これは例え話だ」

蝶子「うん」

邦子「今日のことと関係ないんだよ」

蝶子「うん」

邦子「私ら将来もずっと親友だよね?」

蝶子「うん」

 

邦子「したけど将来、恋愛すると思うのさ、さきざき」

蝶子「恋愛?」

邦子「して、ひょっとしたら偶然同じ人、好きになるってこともあるかもしんないよね」

首をかしげる蝶子。

邦子「そういう時は闘いだと思うのさ。恋愛っていうのは闘いだと思うんだ。したから…いくら親友でも恋愛には遠慮なんかしないようにしようね」

うなずく蝶子。

 

<恋愛は闘い? チョッちゃんには、まだ想像もつかない世界でした>

 

北山医院

俊道が患者を診察中、待合室からにぎやかな声が聞こえる。

 

石沢「わあ~、もう参った参った。いや、本当なんだから。ワシはねえ、この子が産まれてすぐ産湯を使う時、初めから見とったんだわ」

泰輔「裸を?」

石沢「はい」

たみ「いや、もう、おじさん、やめてや!」

石沢「ワシはなぁ、お前の母ちゃんに頼まれてよ、おむつ取り替えるのやったんだぜ、俺は」

たみ「もう、いいしょ! もう、いいしょ!」

 

品子が待合室に来て「静かに!」と注意。

 

小声で泰輔がしゃべり出す。「それじゃ、何? それでたみさんは、このうちへ来たわけ?」

たみ「そうそう、そうそう」

石沢「いや、働き者で気はいいんだけど、ちょっとけたたましいんだ」

たみ「いやっ!」

石沢「先生がね『人手欲しい』って言うし、まあ、行儀見習いどうだべってことでな」

泰輔「なるほど」

 

たみ「ねえねえ、ねえねえ! それよりおじさん、地下鉄って知ってるかい?」

石沢「何だい、そりゃ?」

たみ「東京には地下鉄っていうもんが走ってんだと。ねっ?」

泰輔「うん」

たみ「知らないっしょ! フフッ。地面の下を汽車が走るんだと。ね?」

泰輔「うん」

豪快に笑う石沢。

たみ「すごいっしょ!」

石沢「地面の…」

 

小窓から品子が顔を出し「シ~ッ!」

 

石沢「泰輔さん、あんた冗談うまいわ」

泰輔「いえ…」

たみ「冗談でないんだって!」

石沢「たみちゃん、人の言うこと、うのみにしてたらダメだよ!」

泰輔「いやいや、参ったなあ」

石沢「地面の下になんて、そんなこと…」

 

頼介が待合室の障子を開けた。「おじさん、迎えに来たわ」

石沢「あ、そうか。町の用事済んだか?」

頼介「はい」

石沢「よし、じゃあ、先生に挨拶して帰るわ」

頼介「はい」

「やあ!」と手をあげた泰輔だが、頼介は障子を閉めた。

 

診察室

石沢「頼介の母親のあんばいっていうもんは、どんなもんだべ?」

俊道「う~ん」

石沢「この先、よくなるもんか、このままなんか…それで状況がだいぶ変わるんだわ」

俊道「何か?」

石沢「頼介のことで心配なことがあるんだ。まあ、この…農業っちゅうもんに失望し始めてるんだな。は~、これまでだいぶ土地も切り売りしてきたしねえ」

 

外で待っている頼介。

 

♪風の中の羽のように

女心の歌

女心の歌

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蝶子が「女心の歌」を歌いながら帰ってきた。「そんなとこで何してんのさ?」

頼介「か…嘉一さんをちょっと」

蝶子「実はね、頼介君。音楽学校のこと、さっき、父さんに知れたんだわ。私がしゃべったんでないの。いやいや、それが高女の担任の先生がうちに来て、父さんとしゃべってるうちにポロッとしゃべったんだわ」

頼介「先生?」

蝶子「いやいや、焦ったさ~」

頼介「先生は?」

蝶子「今、旅館に送ってったとこなんだ」

頼介「ああ、いやあ~」

蝶子「うん?」

 

頼介「ああ、うん。北山先生は何て?」

蝶子「患者さん来て、話は途中なんだ。父さん、何て言うべかなあ?」

頼介「あれは先生かい?」

蝶子「え?」

頼介「いや、さっき、町で男と歩いてる蝶ちゃん見つけたんだ」

 

蝶子「なして声かけないの? 神谷先生っていうんだ。いい先生なんだ」

頼介「いや、したけど」

蝶子「ん?」

頼介「そういう蝶ちゃんの将来の大事なことをポロッとしゃべる先生がいい先生って言えるべか?」

蝶子「先生、何にも知らなかったんだぁ。私がもうしゃべってるもんだと思って」

頼介「いや、不注意だな」

蝶子「そんなことないわ! いいわ!」家の中へ。

 

夜、百人一首を読み上げる泰輔。「『三笠の山に出(いで)し月かも 乙女の姿』…」

 

たみ、品子、道郎、俊介の中、品子が圧倒的に強い。

 

泰輔「『乙女の姿 しばしとどめん 我身(わがみ)一つの』…」

札をとったのはまたしても品子。

たみ「もう、品子さん遅いんだから帰ればいいっしょ!」

品子「これ、終わってから!」

 

蝶子は俊道と向き合っていた。

俊道「音楽とは、どういうことだ?」

下を向き、うなずく蝶子。

俊道「音楽の道に進みたいとは…蝶子」

 

蝶子「声楽家になりたいと思います」

俊道「『せいがくか』?」

蝶子「歌を歌うのです」

俊道「歌?」

うなずく蝶子。

 

みさ「音楽っちゅうと音楽学校行くことになるんかい?」

蝶子「行きたいと思います」

俊道「その学校は、どこにあるんだ?」

蝶子「音楽の先生は東京の音楽学校がいいと」

みさ「ああ、東京…音楽の先生になりたいんかい?」

 

蝶子「歌いたいんだ。そういう職業に就きたいんだ」

俊道「芸人になるんか?」

蝶子「芸人とは違うんだわ」

俊道「どうやって生活するの?」

蝶子「演奏会とかあって」

俊道「金取って歌うんか?」

蝶子「認められたら、もらえると思います」

 

俊道「音楽は、いかん。許すわけには、いかん」

蝶子「なして?」

俊道「人前で歌を歌い、金を取る。そういう娘の姿は見たくない」

蝶子「したって…」

俊道「惨めだべ」

蝶子「見せ物とは違うんだ、父さん」

俊道「音楽などは…趣味にとどめておけばいいんだ」

蝶子「したけど…」

 

俊道「何だ?」

蝶子「音楽学校行くことは行っていいっしょ? 行くだけならいいっしょ?」

俊道「いかん」

蝶子「なして?」

俊道「いかん!」

蝶子「歌を職業にしないなら、いいんでないの?」

 

俊道「へ理屈こくな!」

みさ「あなた」

俊道「お前の担任の神谷の言う自由とはこういうことなんか。こんな大事なことを親には、ひと言の相談もなく親のことは後回しにするというのが神谷の教育かい?」

蝶子「神谷先生は関係ないしょ」

俊道「『何事にも挑戦する、おおらかな精神』と言うが、それは無謀な行動を奨励してるべ」

蝶子「そんな!」

 

俊道「神谷のような教師は、よくない」

蝶子「そんなことないと思います!」

驚く俊道。

蝶子「先生は生徒たちみんなに好かれてるんです!」

俊道「生徒をチヤホヤするからだべ」

蝶子「私たちのこと、真剣に考えてくださる先生だからさ!」

俊道「子供のことを真剣に思うのは親も同じだべ」

蝶子「…そうだけど」

 

俊道「私に言わしたら、あの神谷ちゅう男は女生徒の人気を集めて増長してるだけの軽佻(けいちょう)で浮薄(ふはく)な教師でないか」

蝶子「それは違うわ。断じて違う! 私、父さん、もっと人見る目あると思ってたさ」立ち上がり部屋を出た。

 

みさ「蝶ちゃん!」

俊道「お前、知ってたんか?」

みさ「はあ?」

俊道「蝶子が音楽をやりたいということをだ!」

みさ「いいえ」

俊道「…それにしては驚きもせんな」

みさ「いいえ、驚きました」

俊道「そうは見えん」

みさ「そう言われても…」

 

俊道「音楽と聞いて、うれしそうな顔したべ。東京と聞いて笑ったべや」

みさ「顔はそう見えたかもしれませんけど心は驚いてました」

俊道「そういう見極めの難しいことするんでない!」

みさ「…はい。したけど…自分の思っていること、ちゃんとしゃべれて…アハハハ。蝶ちゃん大人になりましたねえ」

 

蝶子の部屋

蝶子「もう寝る!」

 

<音楽のことを反対されたことより父親が神谷先生を批判したことが今のチョッちゃんには、とても悔しいことでした>(つづく)

 

だんだんこのくらいのペースの話に慣れてきた。いるる先生、また出るかな!?