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【ネタバレ】チョッちゃん(33)―連続テレビ小説―

NHK 1987年5月13日(水)

 

あらすじ

蝶子(古村比呂)はついに父・俊道(佐藤慶)と向きあい、東京の音楽学校へ進むことを許してほしいと訴える。だが、一流の音楽家になれるともわからないのに東京へ行くのは賭けでしかない、と俊道は聞く耳を持たない。すると同席していた母・みさ(由紀さおり)が、もし道郎のかわりに医師になるために東京へいくのなら、蝶子の上京を許したかと俊道に問う。それなら認めると答える父に、蝶子は思わず憤慨するのだが…

2025.4.30 NHKBS録画

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脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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北山蝶子:古村比呂…字幕黄色

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北山みさ:由紀さおり

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彦坂頼介:杉本哲太

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田所邦子:宮崎萬純 

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石沢嘉一:レオナルド熊

田所久子:寺田路恵

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山本たみ:立原ちえみ

高畑品子:大滝久美

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彦坂安乃:近藤絵麻

彦坂公次:中垣克麻

劇団いろは

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北山俊道:佐藤慶

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野々村泰輔:川谷拓三

 

<チョッちゃん音楽学校行きについて俊道さんと話し合おうとしていたのですが、俊道さんは、どうも避けていたようなのです。しかし、ついに今夜、その話し合いの場が持たれたのです>

 

俊道と蝶子が向き合う部屋にみさも入って来た。

俊道「向こうは?」

みさ「あ…勝手に盛り上がってるわ」

 

石沢「チョッちゃん、何の話だべか?」

泰輔「将来のことについて、ちょっとね」

頼介は奥の部屋を気にする。

たみ「はい、お待ち遠さま!」徳利を持ってきた。

泰輔「いよっ!」

 

蝶子「父さん、私の音楽の道に進むという決意は変わってないんだ。したから許可してください」

俊道「音楽は東京でなければならないんかい?」

蝶子「一流を目指すなら、やっぱり東京でないと」

みさ「音楽の先生もそうしゃべっておられたもね」

うなずく蝶子。

 

俊道「音楽学校行ったら誰でも一流になれるんかい?」

蝶子「そうとは限らないさ」

俊道「音楽学校出たあとは、どうするのさ?」

蝶子「声楽家になるつもりだ」

俊道「なれるんかい?」

蝶子「それは…分からないわ」

 

俊道「ふ~ん。一流になれる保証どころか声楽家っちゅうものになれる保証もない?」

蝶子「はい」

俊道「にもかかわらず東京に行くっていうんかい? わざわざ音楽学校行くっていうんかい?」

蝶子「したけど、物事は、ぶつかってみんことには分かんないっしょ。今、こうしたいと思うことにぶつかってみんことには何にも始まらないんでない?」

 

俊道「賭けだな。泰輔君の生き方とおんなじだわ。目的だけは持っている。それも取りとめのない浮ついたもくろみだ。そして賭ける。当たる時もあるだろうが失敗も多いべさ。正月来た時もそうだ。石炭の大鉱脈が見つかるかもしれないっちゅうて大風呂敷広げて、ん? 結果はどうだ? 徒労だったべさ。賭けというのは、それだけ危険ということだ。そうした生き方をお前もしたいっていうんかい?」

 

みささんセリフはないけど、泰輔の話をされて小さくなったりしてる。

 

蝶子「そりゃ、賭けかもしれんけど」

俊道「賭けだ」

蝶子「時には、そういうことも必要でないかい?」

俊道「男なら、そりゃ2~3年の無駄は人生の肥やしになっていいかもしれんが…」

蝶子「女だと、なして肥やしにならないの?」

俊道「心がすさむ」

蝶子「そんなことないしょ! そういう決めつけは偏見だわ」

俊道「何?」

 

みさ「あの…話、聞いてると、蝶ちゃんがダメだった時のことばかりでないですか」

俊道「ん?」

みさ「一流の声楽家になった時のこと、なして話さないのさ?」

俊道「なしてって…」

みさ「一流になれないって決まったわけでないんだし」

蝶子「そうだ」

 

俊道「したっけ、なれないことの方が公算は大だ」

蝶子「なれるかもしれないっしょ!」

みさ「声楽家っちゅうもんになったら舞台に立つんだべ?」

蝶子「うん」

みさ「レコードに蝶ちゃんの歌ば吹き込まれるんだべ?」

蝶子「うん!」

みさ「演奏旅行っちゅうのがあって、日本中、歩き回ったりするんだべ」

蝶子「うん!」

みさ「ああ~」

 

俊道のあきれたような表情。「ならなかった時は?」

みさ「そん時は…蝶ちゃんが将来、子供産んで育てる時、いい声でたくさんの歌、子供に聴かしてやれるっしょ? それでもいいんでないんですか?」様子を窺う表情。

蝶子「父さん…」

俊道「そういう不確かなことは許すわけにはいかねえな。東京も音楽学校もワシは許さんから」

 

蝶子「そしたら私は…家出しなくてはならないわ」

驚く俊道。

蝶子「そのぐらいの覚悟はしてるんだよ、父さん。ホント言うと音楽学校に出す書類もとうに取り寄せてあるんだわ。反対は反対でいいわ。したけど、口だけでも許すって言ってほしいんだわ」

俊道「そんなこと誰が言えるか!」

蝶子「書類には保護者の署名とはんこが要るんだ」

俊道「そんなもん署名もしないし、はんこも押さんわ!」

 

みさ「お父さん…」

俊道「聞く耳、持たん!」

 

蝶子「分かった」

みさ「したけど、どうすんのさ」

蝶子「そんなもん何とでもなる。署名は誰か人に書いてもらうし、はんこは、はんこ屋で作ってもらう」

俊道「何!?」

蝶子「ホントは、そんなことしたくないさ! ウソでも父さんに書いてもらいたいわ。やっぱり晴れて堂々と出ていきたいから」

俊道「虫のいいこと言うんでない」

 

みさ「例えば…蝶ちゃんが例えば医者になるために東京行くって言ったら、お父さん、どうしてた? 道郎さんの代わりに跡継ぐために医学の勉強したいちゅうことだったら?」

俊道「(蝶子に)その気あるんかい?」

みさ「仮の話だ」

俊道「そういうことで東京へ行くとしたら、それは認める」

蝶子「父さん、矛盾! 父さんは『東京に行くということも許さない』と言った」

俊道「今のは仮の話だ」

蝶子「したっけ!」

 

俊道「音楽はワシは許さんから!」

蝶子「音楽の何がいけないのさ? 父さん、音楽を聴いてみて!」

俊道「また歌う気か!」

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蝶子「レコードでもいい。聴いてみて。音楽っていうもんを知ってもらいたいんだわ」

俊道「そんな必要はない」

蝶子「駅前の喫茶店に行ったらレコードが聴ける!」

みさ「そうだね。いっぺんお父さん、その店、行ってみんかい?」

俊道「誰が行くか!」

 

茶の間

頼介が泰輔にお酒を注いでいる。

泰輔「頼介君、農業は国の礎だ!」

石沢「そうだ!」

泰輔「大学の先生や軍人がいくら偉ぶったって、食うもんなきゃ生きていけねえんだから。へへへへ、くじけるなよ!」

頼介「はい」

石沢「そのとおりだ!」

泰輔「うめえ!」

 

蝶子が部屋に入ってきて、座る。

 

泰輔「話し合いはどうだった?」

蝶子「話にもなるもんでない!」

みさも部屋に入って来た。「うちの人、ちょっと失礼するって」

石沢「あ、いいよ、いいよ」

 

頼介「あの、僕はそろそろ」

みさ「あ、そうだね」

石沢「帰るか?」

泰輔「帰っちゃう?」

石沢「気を付けてよ」

泰輔「寒いからね。何か悪かったね」

蝶子も部屋を出た。

 

玄関

頼介「先に行ってれ」

安乃・公次「うん!」

蝶子「したらね」

安乃「したらね、チョッちゃんねえちゃん!」

公次「さよなら!」

 

蝶子「何?」

頼介「先生との話って東京行きのことだべ? 行くんかい?」

うなずく蝶子。「私は、もう決めてる。もちろん楽な道ではない。したけど、進まんきゃならんことって、あるしょ。畑捨てれば楽なのに捨てなかった頼介君と同じさ」

頼介「したっけ蝶ちゃん。なんもわざわざつらい道行くことないべ。つらい目に遭わんで済むなら、そう生きていいでないか」

蝶子「滝川にいた方がいいっちゅうんかい? 行くなっちゅうことかい?」

頼介「いや、いいんだ」

蝶子「頼介君」

頼介「もう、いいんだ!」

蝶子「何言いたいのさ?」

頼介「したら…」

 

蝶子は自室で手紙を書いていた。

「先生、ご相談したいことがあります。神谷先生、助けてください。東京の音楽学校に行くという私の決意の前に父が大きく立ちはだかっています。どう説得したらいいのか困っているのです」

 

診察室

俊道「はい、おしまいだ」男の子の口にキャラメルを入れる。「はい」

男の子「ありがとう」

俊道「うん」

品子「はい、じゃあ、薬あるからこっちね」

 

入れ違いに泰輔が入って来た。

俊道「何?」

泰輔「あ、あの…今日、これから仕事で紋別の方へ行きますので、ちょっとご挨拶に」

俊道「ああ」

泰輔「また帰りに立ち寄らせていただきますので」

俊道「うん」

 

泰輔「ゆうべは勝手に盛り上がって申し訳ありませんでした。石沢さんは?」

俊道「うん、今朝早く帰った」ずっと背を向けて何か書いている。

泰輔「あ、そうか」

 

俊道「何か?」振り向く。

診察室の椅子に座る泰輔。「チョッちゃんのことですけどね」

俊道「蝶子の?」

泰輔「私はチョッちゃんの決意には、なみなみならぬものがあると見てます。手元を離れていくということで不安もおありでしょう。寂しくもあるとは思います。しかし、もうそろそろ許してやってもいいんじゃないですか?」

俊道「他人の君には親の気持ちなんちゅうものは分かるわけない」

泰輔「そりゃあ…」

俊道「したから、へっちゃらで蝶子ば『東京に来い』とそそのかしたりするんだ」

泰輔「いや、私は、そそのかしたりは…」

 

俊道「君が来る度に蝶子は東京のにおいばかいでたんだ。それは一種のそそのかしだ」

泰輔「いや、そりゃあ、言いがかりですよ」

俊道「それにゆんべの頼介君への発言もワシはどうかと思ってる。せっかく畑仕事をすると決めた頼介君にも君は『東京に出て働け』などと」

下を向いてしまう泰輔。

俊道「そういう無神経な精神の持ち主には今後このうちには出入りをしてもらいたくないわ」再び背を向けて何か書いている。

泰輔は頭を下げ、無言で出ていった。

 

玄関

みさ「帰りまた寄るっしょ?」

泰輔「あ…うん」

みさ「何日ごろ?」

泰輔「そ…そうだなあ」

 

蝶子「私、駅まで送るわ!」

泰輔「あ、いいよ」

蝶子「手紙も出さんきゃいけないし、友達んちも行きたいし」

泰輔「あ、そう」

蝶子「友達って邦ちゃんだ。ほら!」

泰輔「ああ、うん、うん、うん」

蝶子「したから送ってくるわ」

みさ「うん」

 

泰輔「じゃあ…」

みさ「待ってるから」

泰輔「あ…うん。じゃあ」

 

蝶子「叔父さん、持つ!」

泰輔「ああ、大丈夫、大丈夫だ」

手を振るみさ。

 

田所呉服店

久子「あら、チョッちゃん!」

蝶子「こんにちは!」

久子「あの…」

蝶子「邦ちゃん、いますか?」

久子「いや~、したって邦子は…」

蝶子「は?」

久子「邦子は今朝、蝶ちゃんと一緒に岩見沢に行くってしゃべって」

驚く蝶子。

久子「知らないの?」

うなずく蝶子。

久子「そうしゃべって今朝の汽車で行ったんだわ」

蝶子「いや…」

久子「2~3日前にも同級生の送別会があるって岩見沢に行ったんだよ。そん時もチョッちゃんと一緒って。知らなかったんかい?」

うなずく蝶子。

久子「したら、みんなウソ!?」

 

<その日の夕暮れ時です>

 

蝶子が玄関を出ると、邦子が立っていた。

蝶子「邦ちゃん…」

 

<チョッちゃんは一瞬、ドキンとしたのです。邦子の笑みを見て、大人の女の艶を感じていました>(つづく)

 

佐藤慶さんと由紀さおりさんはセリフのないところでも表情がいいんだよ!

 

邦ちゃんは…何がしたいんだろ!?