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ドラマの感想など

【ネタバレ】チョッちゃん(32)―連続テレビ小説―

NHK 1987年5月12日(火)

 

あらすじ

蝶子(古村比呂)は、父・俊道(佐藤慶)に東京行きの相談をしたいのだが、俊道は診察を理由に蝶子と向き合うことを避ける。そこへ東京の叔父・泰輔(川谷拓三)がふらりと現れる。泰輔は、蝶子の兄・道郎(石田登星)から俊道への伝言を預かっていた。浪人しながら帝大医学部に合格できなかった道郎。それもそのはず、秘かに小説家を目指す道郎は、あえて試験受けていなかった。それを聞いた母・みさ(由紀さおり)は…

2025.4.29 NHKBS録画

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脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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北山蝶子:古村比呂…字幕黄色

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北山みさ:由紀さおり

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彦坂頼介:杉本哲太

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石沢嘉一:レオナルド熊

北山俊介:伊藤環

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山本たみ:立原ちえみ

高畑品子:大滝久美

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男:谷津勲

鳳プロ

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北山俊道:佐藤慶

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野々村泰輔:川谷拓三

 

茶の間

俊道「何だ?」

蝶子「話、あるんだ」

俊道「話?」

蝶子「私の今後のことだ」

俊道「う~ん」

蝶子「東京の音楽学校に行くっちゅう」

俊道「したら、簡単には済まんな」懐中時計を見る。「患者が来たりすると、あれだ」立ち上がる。

蝶子「診察済んだら話できるかい?」

俊道「うん」部屋を出ていく。

 

顔を見合わせる蝶子とみさ。

 

待合室

俊道「たみちゃん、お茶、2つ」

 

⚟たみ「は~い!」

 

松田「いや~、そいでさ」

俊道「うん」

松田「石狩川空知川の合流する辺りで釣ったんが、こんぐらいのアカハラ

俊道「あ~、そらぁ見事だわ。したけど、あの辺り、雪は?」

松田「ああ、だいぶ解けてた。大したことないべ」

俊道「う~ん」

 

蝶子が奥から出てきた。「おじさん、こんにちは」

松田「やあ、チョッちゃん! 卒業おめでとう」

蝶子「ありがとう。(俊道に)診察、一段落したんかい?」

俊道「松田さん、悪いね。ちょっと用事思い出した」立ち上がる。

 

お茶を運んできた、たみ。「あれ?」

 

蝶子「おじさん、ごゆっくり」

松田「いやあ」

 

オープニングでは役名”男”だったけど、松田さんって呼ばれてる。

 

診察室

蝶子「父さん」

俊道「ちょっと調べることあるんだ」書類を見ている。

品子「先生」

俊道「おお」

品子「村尾さんです」

俊道「おお、すぐ通して」

品子「はい」

 

俊道「ま、後でな」と蝶子に言う。

 

俊道「あんばい、どうだ?」

村尾「はい。腰痛くて痛くてしかたないんだわ」

俊道「うん」

 

茶の間

蝶子が勢いよく戸を閉めた。

みさ「なしたの?」

蝶子「父さん、ひきょうだわ!」

みさ「なして?」

蝶子「何やかや理由つけて私ば避けてる!」

みさ「そんなことないしょ」

蝶子「いや~、あれは絶対避けてる!」

みさ「なして?」

蝶子「話し合い避けて時間の引き延ばしば図ってるんさ。時間ば、ずるずる延ばして、私の決心を鈍らそうとしてるんさ!」せんべいを食べる。

 

みさ「ふ~ん、お父さん」手でせんべいを割る。「時々、こそくな手、使うことあるもね」砕けた一片を口に入れる。

蝶子「だもねえ!」

 

戸が開く音がし「こんにちは!」と男の声がする。

 

みさ「たみちゃん! お客さんだわ」

たみ「は~い!」

 

蝶子「母さん」

みさ「ん?」

蝶子「こうなったら準備だけでも進めておかないとどうしようもないわ」

うなずくみさ。

 

たみ「奥さん! 東京の」

泰輔「ハハハハハハハ!」

蝶子「叔父さん!」

みさ「泰ちゃん!」

泰輔「お久しぶり!」

みさ「いやいや!」

泰輔「いやいやいや!」

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13話以来か。

 

診察室

俊道「無理なことさえしなけりゃ、体動かした方がいいんだ」

村尾「はい」

俊道「栄養のあるもん、食べてね」

村尾「はい」

俊道「お大事に」

 

品子が患者と診察室を出ようとしていた。

俊道「品子さん」

品子「はい?」

俊道「今、誰か、人、来たんでないかい?」

品子「ああ、東京の野々村さんです」

視線を上に向け、ウンザリ顔の俊道。

 

茶の間

泰輔「女房が『持っていけ』って言うもんだから、つくだ煮とおこし」

みさ「そんなに気ぃ遣わんでも」

泰輔「ま、気持ちだから…」

みさ「いや、そうかい?」

たみが奥からお茶を運んできた。

 

泰輔「これは、たみちゃん」

たみ「私にかい?」

泰輔「うん。そう」

たみ「いやいやいや!」

泰輔「開けてみて」

たみ「はい! あ~! くしだ!」

蝶子「よかったでない!」

たみ「ありがとうございます!」

 

俊介「叔父さん、僕には?」

泰輔「ああ、俊介君にもチョッちゃんにもちゃんとある」

蝶子「あるんかい?」

俊介「いかったぁ!」

蝶子「ね! フフフッ」

 

俊道が入って来た。「やあ」

泰輔「ああ」

蝶子や俊介も座り直す。

 

俊道が上座に座り、泰輔が向き合って座る。「義兄(にい)さん、年越しの際には、ごやっかいになりました」

俊道「いやいや」

みさ「今回は、あれだと。昆布とか棒ダラの買い付けに」

泰輔「そうなんです」

俊道「ほう」

泰輔「ええ。あ、大したもんじゃないけど…」

みさ「お土産を」

 

俊道「泰輔君」

泰輔「は?」

俊道「道郎は、どうしてました?」

泰輔「あ…」

俊道「帰るよう手紙を出しておいたんだが」

泰輔「聞いてます」

俊道「いつ帰るって言ってたべ?」

泰輔「それが、その道郎君に頼まれて、仕事のついでにこうやって参上した次第で」

 

みさ「頼まれたって、何をさ?」

泰輔「うん。つまり…今回は帰れないということを」

俊道「何?」

泰輔「あ…『帝大医学部不合格の件は大変、申し訳ない』…と、まあ、そう伝えてくれと言いつかってきたわけで。帰らないということや不合格のおわびを手紙だけで済ますというわけにはいかないから北海道に行く、この私に、その肉声でもって謝っておいてほしいということで…」

みさ「律儀な性格だもねえ」

 

俊道「道郎は、なして『帰らない』って、しゃべったんだべ?」

泰輔「さあ…ただ『東京、滝川往復6日間の旅は、いかにももったいない』とか何とか。つまり、その…それだけの時間があれば来年に向けて勉強した方が父へのおわびになるんじゃないかと」

みさ「そう、しゃべったんかい」

泰輔「いや、そういうつもりであろうと俺は思ったわけさ。何しろ必死で机に向かってたもん。どこが間違ったのか試験問題を復習してました」

俊道「道郎は、こんなに卑怯な男だったんかい。申し訳ないと思うんなら、帰ってきて、直接わびるのが本当ではないか」

泰輔「はい、いや、ですから…」

俊道「代理人に謝らせるなどとは言語道断だ」

 

みさ「したけど、勉強のためにって」

俊道「一年のうち、たった6日ぐらい無駄にしたところで来年に響くわけないべや! 要するに道郎は、ワシと顔ば合わしたくないということだわ。こそくにもワシば避けたんだ」

みさ「そんな…」

俊道「そうに決まっとる!」

 

蝶子「父と子だもの」

俊道「どういうことだ?」

蝶子「同じ血が流れてるっていうことさ」

俊道「ん?」

蝶子「嫌なこと、すぐ避けるんさ!」

 

泰輔「どういうこと? ねえ、ど…どういうこと?」

蝶子「後で」

泰輔「うん」

 

俊道「まあ、もうあれだわ。道郎には、もう、望むことは、やめた方がいいべな。仕送りも打ち切りだ」

みさ「したけど、生活が…」

俊道「そしたらことは本人に考えさしたらいいんだ。あいつだってもう二十歳だ。1人で生きていけない器なら、どだい、医者は無理だわ」

泰輔「なるほど」

俊道がにらみつける。

 

みさ「したら…跡継ぎは?」

みんなの視線が俊介に集まる。お土産のおこしを食べてる俊介。

俊道「俊介」

俊介「はい」慌てて立ち上がる。

俊道「お前…」

俊介「医者になれってかい?」

蝶子「無理だわ」

俊介「そんなことねぇよ!」

俊道「とにかく頑張ってみれや」

俊介「うん!」

俊道「頼む」

 

案外あっさりと承諾した俊介。大物なのかも!?

 

みさ「泰ちゃん」

泰輔「はい」

みさ「泊まれるっしょ?」

泰輔「もし、よければ…」

蝶子「いいさ!」

泰輔「一晩、泊めていただいて、明日は紋別の方へ行こうかと。仕事終わりしだい、帰りにまた寄らせていただこうかと」

俊道「どうぞ」

泰輔「はあっ!」

蝶子と泰輔の笑い声に苦虫を嚙み潰したような俊道。

 

蝶子の部屋

蝶子「はい、どうぞ」

泰輔「お邪魔しま~す」

蝶子「叔父さん」

泰輔「ん?」

蝶子「この前、手紙、どうもありがとう」

泰輔「いやあ、音楽への決意を聞いてうれしかった。決意は変わらない?」

蝶子「うん、それは変わらない」

泰輔「うん。で、どの音楽学校へ行くつもりだい?」

 

蝶子「うん、いろんな条件考えたんだけど、やっぱり東和音楽学校がいいんでないかって」

大きくうなずく泰輔。

蝶子「え、何?」

泰輔「叔父さんもね、道郎君と話し合って、チョッちゃんには東和音楽学校が一番いいということになったんだ」

蝶子「本当!?」

泰輔「だから、ほら!」懐から紙を差し出す。

 

蝶子「えっ、何?」

泰輔「チョッちゃんにお土産」

蝶子「えっ!?」

泰輔「音楽学校に出す書類」

蝶子「えっ」紙を広げる。

泰輔「学校に行ってもらってきたんだ」

 

蝶子「あ…保護者の署名と判も要るわ」

泰輔「うん」

蝶子「困ったなぁ」

泰輔「どうして?」

 

蝶子「実はね、父さん、東京行きのこと、私と話、するの避けてんだわ」

泰輔「なるほど」

蝶子「したら…はんこなんか押してくれるわけないっしょ」

泰輔「う~ん」

 

⚟みさ「いいかい?」

 

蝶子「いいよ」

泰輔「あ、姉さん」

 

みさが部屋に入って来た。「ねえ、泰ちゃん」

泰輔「うん?」

みさ「道郎さんの様子、どうなんさ?」

泰輔「う~ん、何ていうか…」

みさ「落ち込んでるんでないかい? 精神的に参って自殺などと…」

蝶子「何言うの、母さん!」

みさ「したっけ…!」

 

泰輔「いや、姉さん、道郎君は元気だから」

みさ「いや、本当かい?」

泰輔「至って元気」

みさ「試験、落ちたのにかい?」

泰輔「あ、いや~」

みさ「うん?」

 

泰輔「じゃ…じゃ、正直に言うけどね」

みさ「うん」

泰輔「腰抜かすんじゃないよ」

蝶子「なしたの?」

泰輔「道郎君、実は帝大の試験、受けてないんだよ」

驚いて蝶子と顔を見合わせるみさ。

 

泰輔「ご…合格発表の日を待って、もっともらしく不合格の手紙を出したのさ」

蝶子「あぁ…」

泰輔「試験、受けてないんだもん。合格するわけない」

みさ「なして、そんなことしたの?」

泰輔「うん…正直に言うとね、道郎君、もう医者になる気ないんだよ」

みさ「え…」

 

蝶子「小説家、目指してるんだわ」

みさ「蝶ちゃんも知ってたの?」

蝶子「小説のことは…」

みさ「したら…例えば、したら…お父さんに知れたら…」

蝶子「それは、まずいわ」

泰輔「何としても何としても伏せておいた方が…」

みさ「うん」

 

頼介、石沢が来ている。

泰輔「いや、そうだったのかい。それは、とんだことだったね」

頼介「どうも」

泰輔「遅ればせながら、御愁傷さまでした」

頼介「ありがとうございます」

 

泰輔「ま、とにかく」酒を勧める。

頼介「いや、僕は」

泰輔「あ、飲めない?」

俊道「まだ17だ」

頼介「飲んだことないので」

泰輔「いや、じゃ、無理にはね」

頼介「すいません」

 

さすがにNHKは未成年飲酒シーンは、やらないか。

 

泰輔は石沢の脇に移動。「いや、だけど、私が来たこと、よく分かりましたね」

石沢「このうちへ駅からどうやって来たのさ?」

泰輔「この前を通るっていう馬ソリに乗せてもらって」

石沢「それがうちの若い衆(し)だわ」

泰輔「あっ!」

石沢「人相聞いた時にピンと来たもね!」

泰輔「ハハハッ、ま、お久しぶり」酒を勧める。

 

田舎の情報網はすごい!

 

石沢「いやいや。ホント、この頼介には感心するんだわ。うん」

泰輔「そう」

みさ「頼介さん、食べてるかい?」

頼介「あ、はい」

石沢「畑仕事するより働きに出た方が楽だっていうのに、絶対、土地は手放さないって言うんだ。『つらくても、もう少し辛抱する』って、なかなかこの若さで言えるこっちゃないしょ」

泰輔「う~ん」

石沢「立派だわ!」

頼介「いや…」

みさ「いっつも偉いもねえ」

 

泰輔「いや…いやあ、だけどあれだ。もうどうしても立ち行かんっていう時には東京おいでよ。土地手放して、東京。何せ、ほら、仕事…働き口なら、もういくらでもあるんだからさ」

石沢「土地手放しちゃダメだ」

泰輔「だって、農業も大変だっていうし」

石沢「いくら大変でも土地手放しちゃダメだ」

泰輔「そうですか?」

石沢「おお、農業の形ば変えればいいでしょ。酪農だ、酪農。酪農しか道はねえ!」

 

蝶子が入って来た。

みさ「安乃ちゃんたちは?」

蝶子「俊介の部屋だ」

泰輔「どうした? おっかない顔して」

蝶子「父さんに話あるんだ…今」

俊道「お客様、見えてるべ」

石沢「なんも、なんも、こっちは構わないから」

泰輔「あ、どうぞ義兄さん」

 

俊道は食べるのをやめて立ち上がった。「ワシの部屋へ」

 

<チョッちゃんのなみなみならぬ決意の表れであります>(つづく)

 

道郎…ちゃんと自分で言いなさい!