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【ネタバレ】チョッちゃん(5)―連続テレビ小説―

NHK 1987年4月10日(金)

 

あらすじ

北山家がそろって朝食を取っていると、泰輔(川谷拓三)が俊道(佐藤慶)に、仕事納めはいつか、と聞く。俊道は、病気に休みは無いから仕事納めは無い、と答える。食後、出かけようとする蝶子(古村比呂)に俊道は、泰輔のことをどう思う、と聞く。俊道は、捉え所のない泰輔のことがあまり好きではないのだ。だが蝶子は、楽しい東京の話を聞かせてくれる泰輔のことを気に入っていて、友人の邦子(宮崎萬純)を家に誘い…。

2025.3.28 NHKBS録画

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脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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北山蝶子:古村比呂…字幕黄色

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北山みさ:由紀さおり

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田所邦子:宮崎萬純

北山道郎:石田登星

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山本たみ:立原ちえみ

高畑品子:大滝久美

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北山俊介:伊藤環

署長:鈴木泰明

男:加藤治

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芸者:豊藤美

   藤間豊太郎

   内田とも子

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鳳プロ

劇団いろは

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北山俊道:佐藤慶

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野々村泰輔:川谷拓三

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豊藤美さんは「夢千代日記」シリーズでは三味線指導だった。

 

北山醫院

 

茶の間

俊道のお膳、泰輔のお膳、その他はちゃぶ台で食事をとる。長男の道郎がその他大勢扱いとは珍しい。

 

泰輔「義兄(にい)さん、仕事納めは、いつなんですか?」

俊道「そんなものはないです」

泰輔「へえ」

俊道「年末だからとか正月だからとかといって病気は休んでくれません」

泰輔「うん、なるほど」

 

俊介や蝶子がたみにご飯のお代わりを求めた。

 

俊道「ああ、今夜、私、出かけるわ」

みさ「はい」

俊道「町長から宴会に呼ばれてるんだわ」

泰輔「なるほど」

俊道「『なるほど』とは?」

泰輔「いや、義兄さんは町の名士だから何かとお呼ばれが多いんだ」

俊道「多くないです」

 

泰輔「しかし、義兄さん、今夜はキレイドコロがズラリっと並ぶんでしょ?」

蝶子「『キレイドコロ』って?」

道郎「芸者さんのことだべ」

みさ「芸者さんていうと…」

 

蝶子「父さん、そういうとこ、行くんかい?」

俊道「そういうとこって?」

蝶子「日ノ出楼とか新盛楼とか」

俊道「何言ってる! それは遊郭だべ」

蝶子「は?」

泰輔「チョッちゃん遊郭は、お女郎。今夜は芸者さんなんだから」

蝶子「違うんかい?」

泰輔「違う、違う」

 

みさ「あの…」

俊道「泰輔君」

泰輔「はい」

俊道「今夜だって、なにも芸者がつくと決まってるわけではないんですわ」

泰輔「いや~、それはつきます。フフフフ!」

 

自室で小説を読んでいた道郎を蝶子が訪ねた。

道郎「何だよ」

蝶子「うん…」

座布団に半分隠した小説を見つめる蝶子。「小説?」

道郎「なんも…」

 

蝶子「いいんだ、私、知ってんだ」こたつに入る。「昨日、聞いたさ。泰輔叔父さんとの話。小説家目指してるってこと」

道郎は慌てて立ち上がり、廊下を見る。

蝶子「俊介は隣のうちだ」

道郎「お前、しゃべんなよ」

蝶子「そりゃ、しゃべんないけど」

道郎「ん?」

 

蝶子「第一、言えないっしょ。父さんは兄ちゃんが跡継ぐもんだと信じてるし、たとえ、帝大に入れなくても医者になるって決めてんだから」

道郎「分かってるさ」

蝶子「その本人が、とうの昔に医者を諦めてるって聞いたら。いつ打ち明けるんさ? いつかは言うんでしょ?」

道郎「できれば面と向かっては言いたくないさ。俺が東京にいる時に知られたい。それも俺が知らせるんでなく、風の便りで何となく知られたいんだ」

蝶子「虫がいいんだから」

道郎「何とでも言えや」寝転がる。

 

蝶子「あ~あ」

道郎「何だよ」

蝶子「私のことなんか、ますます…」

道郎「え?」体を起こして蝶子を見る。

蝶子「もういい!」部屋を出て行く。

 

出かけようとしていた蝶子。

俊道「どこ行くんだ?」

蝶子「邦ちゃんとこ」

俊道「蝶子」

蝶子「ん?」

 

俊道「お前、泰輔君のこと、どう思う?」

蝶子「どうって?」

俊道「つまり、ああいう得体の知れない…」

蝶子「母さんの実の弟でしょや」

俊道「そういうことでなく、ああいう、その…」

蝶子「私は楽しい。面白い人だ」

俊道「したけど、あれだ。面白いというだけで人間の価値は決められないべ。実というもんがないと。つまり、自分の知らない世界にいる人物を見ると、新鮮だし刺激的だ。それで、えてして、自分の方向を失うこともある」

蝶子「どういうことさ?」

俊道「いい! 行っていい」

首をかしげる蝶子。

 

田所呉服店

邦子「へえ~、お兄さん、小説をね」←もうしゃべってる!

蝶子「そうなんだ。そんなこと知ったらますます音楽学校のこと言いだしにくくなったさ」

邦子「したけど、お父さん、まだ知らないんだから」

蝶子「したけど、何となくねえ」

邦子「うん。何となく分かるけど」

蝶子「そうなんだ」

 

邦子がお茶を出す。「ねえねえ、その東京の叔父さん!」

蝶子「うん」

邦子「まだ居るんだ?」

蝶子「そう」

邦子「いいねえ。東京のいろんな話聞けて」

蝶子「そうなんだ」

邦子「東京か~」

 

蝶子「叔父さんね、とうきょうで活動写真館の経営もしてんだ」

邦子「うわ~!」

蝶子「いいっしょ!」

邦子「ねえ、ねえ、ねえ! 宝塚のレビューってどいういうもんか聞いた?」

蝶子「何、それ?」

邦子「『モン・パリ』とかいうレビューが、この秋に始まったんだって」

蝶子「へえ~」

 

邦子「神谷先生に聞いたんだ」

蝶子「先生に!? 教室で?」

邦子「うん。教室でならチョッちゃんも知ってるはずでしょう?」

蝶子「じゃ、どこさ?」

邦子「先生の下宿」

蝶子「えっ!?」

邦子「ウソ、ウソ! 札幌から来てる遠山伊左子に聞いたんだ」

蝶子「からかったな~!」

邦子「あ~あ、恋がしてみたい!」

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二言目には「恋したい!」だな~。

 

蝶子「ねえ、今度、叔父さんに東京の話聞く会、開かないかい?」

邦子「うん!」

蝶子「兄は東京の話、してくれないから叔父さんに」

邦子「うん!」

蝶子「私一人で聞くのもったいないもんねえ」

邦子「ありがとう、チョッちゃん

 

北山医院診察室

子供が泣いている。

俊道「ああ、よく我慢したね。強い、強い。さあ、ア~ンして」

子供の母親「ア~ンだって」

俊道は子供の口にキャラメルを入れる。「はい、ご褒美。ハハハハハ」

子供の母親「どうも」

子供「お世話さまでした」

俊道「はい、お大事に」

品子「今、薬作るからね」

 

親子と入れ違いに泰輔が入って来た。「いや~、さすがですね、義兄さん」

俊道「何がさ?」

泰輔「いや、子供の扱いにしても何にしても」

俊道「いや、大したことはないさ」

泰輔「あれですか? やっぱり今でもお金のない人からは治療代は受け取らない、あれで?」

俊道「ない人からは取れんでしょうが」

泰輔「なるほど。相変わらず校医とか、あの~警察医とかも務めてらっしゃる?」

俊道「ええ」

 

泰輔「もうかりもしないことは、なかなかやりたくないっていうのに、義兄さんは大したもんだ。義兄さんは『医は仁術』を地で行ってらっしゃる。なるほど」

俊道「泰輔君」

泰輔「はい」

俊道「その、いつもいつも『なるほど』と言うのをやめてくれないかい。妙に耳について」

泰輔「あ、なる…あ、はい。専門が産婦人科というと、あれでしょう? 遊郭の女郎衆なんかとも、この…」

 

俊道「泰輔君」

泰輔「はい」

俊道「私に何か用事ですか?」

泰輔「あ…実は、はい」

俊道「何なの?」

せき込みながら机を指さす泰輔。「アメ玉を1つ頂きたく」

俊道は机の引き出しから箱を取り出し、差し出した。

泰輔「すいません」

 

邦子の部屋

2人ともうつぶせの姿勢でお茶を飲み、お茶菓子を食べる。しんどくない?

邦子「じゃ、あれかい? お母さんの弟っちゅうことは実家は仙台?」

蝶子「そうさ」

邦子「由緒あるおうちでしょ?」

蝶子「そう。あの辺りで野々村家っていったら、すごいものらしいさ」

邦子「ふ~ん」

 

蝶子「男3人、女1人のきょうだいで叔父さんは母の下で末っ子。母の兄2人なんて会社の社長だったり、市会議員だったり、小さい頃から、よく勉強できたんだって。したけど、叔父さん1人、出来が悪くて、お兄さんたちや父さんに叱られたり、いじめられたりしてたんだって」

邦子「へえ」

蝶子「で、13の時に家出して、いろんな仕事に就いて、あげく、株とかで一財産作った人なんだ」

邦子「そうかい」

蝶子「あの叔父さん、野々村家の異端児なの」

お菓子をパクつく邦子。

 

蝶子「私さ、邦ちゃん」

邦子「ん?」

ゴロンと寝転ぶ蝶子。

邦子「何?」

蝶子「叔父さん、私にさ、『山の向こうには何かがあるんだぞ。知らない世界が世の中にはいっぱいあるんだぞ。山を一度越しなさい』って教えてくれるんだ。ううん、口でそう言うだけじゃないんだ。叔父さん見てるとさ、そう言ってるように思うんだ」

邦子「ふ~ん」

 

<なるほど>

 

旅館

芸者が「ストトン節」を歌い踊る。

ストトン節

ストトン節

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男「先生。おひとつ」

俊道「私は、酒は…」

男「飲めないってことはないっしょ」

署長「いや~、先生はホント飲めないんだわ」

男「え~? じゃ、署長」

署長「ああ、ありがとう」

芸者に見惚れる?俊道。

 

署長「いやいや、話の続き。ほれ、奥さんの弟さんとかの」

俊道「いや~、全く株やってたかと思うと仲買やったり、あれはまあ、一種の山師だべね」

署長「ああ~」

俊道「何やら怪しげでとらえどころがなく、何考えてるか分からんっていうのが嫌ですわ」

署長「ほう」

俊道「男のくせによく、くっちゃべりましてね」

 

署長「そういうような人物、どこの身内の中にも必ず1人はいるもんですわ」

俊道「ほう、署長の身内にも?」

署長「いました」

俊道「妻の弟でなければ口もききたくないし、うちには入れたくない種類の人物ですな」

署長「なるほど」

「なるほど」という言葉に反応した俊道。

 

俊道、泰輔を思ったより嫌ってた。

 

北山家

泰輔が目隠しされ福笑いをやっていた。「よし、これでいいと思う! 次は?」

みさも子供たちも大笑いして見ている。

 

家に帰りついた俊道だったが、誰も気づくことはなかった。

 

俊道「えらく、にぎやかだったでない」

みさ「はい」俊道の着物の上に羽織物を着せた。

俊道「お前も笑うことあるんだな。さっき大口開けて笑ってた」

みさ「見てらしたんですか?」

俊道「表通りまで声、聞こえてたわ」

みさ「ウソでしょう? 『声が聞こえた』ってウソでしょう?」

 

茶の間には福笑いがそのまま置かれ、蝶子は泰輔の部屋で2人して笑っていた。「それで酔っ払って、どうしたのさ」

泰輔「いや、うちの近くに不忍池ってのがあるんだ」

蝶子「うん」

泰輔「池の真ん中に弁天堂があって、酔った足でフラフラ、そっちの方へ行ったの。で、池之端七軒町に行こうと思ったら、その弁天堂の裏、ツ~っと行かなきゃいけないわけ。で、歩(ある)ってったら、けつまずいて池の中よ」

大笑いする蝶子。

泰輔「辺りは暗いし、酔ってるわでさ、立ち上がったら、ハスの葉っぱ、頭にくっつけてさ、まるでカッパだよ」

 

またまた大笑いする蝶子。「ねえ、叔父さん、いいっしょ?」

泰輔「え? 何?」

蝶子「31日、そういう東京の話、友達にも聞かして!」

泰輔「いいよ」

蝶子「ウフフフ、ありがとう!」

 

一笑いして「おやすみなさい」と部屋を出た蝶子。

 

<チョッちゃんは東京というものを考えていました。見たこともない東京。花の都、東京。チョッちゃんの中では東京は、そんなに遠くかけ離れた存在ではなくなっているようでした>(つづく)

 

今まで見た昭和の朝ドラの中でも割とゆったり進んでる気がする。12月22日から始まって、まだ年越してないんだもんね。