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【ネタバレ】岸壁の母 第十七章「たのもしき わが子」その二

TBS 1977年11月29日

 

あらすじ

昭和十六年十二月、太平洋戦争が始まる。いせ(市原悦子)はいくら国のためとはいえ、新二(大和田獏)を戦争に送り出したくないと考えていたが、戦争は激しさを増し、男たちは続々と出征していた。

岸壁の母

岸壁の母

2024.7.16 BS松竹東急録画。

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冒頭はお決まりのシーン。青白画像。船が港に帰ってくる。

いせ「石頭(せきとう)教育、13981(いちさんきゅうはちいち)部隊、荒木連隊、第1大隊、第6中隊の端野新二(はしのしんじ)を知りませんか? 端野新二知りませんか? 端野新二を知りませんか? 端野…新二~!」

 

端野いせ:市原悦子…字幕黄色。

*

端野新二:大和田獏…字幕緑。

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三浦とよ子:生田くみ子

石田健太郎:長澄修

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石田の母:宮内順子

石田の父:前沢迪雄

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三浦文雄:山本耕一

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音楽:木下忠司

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脚本:高岡尚平

   秋田佐知子

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監督:菱田義雄

 

屋根にうっすら雪が積もる。

 

<次々にもたらされる輝かしい戦果に私などは日本が勝つと信じておりました。皆様はどう思っておられましたか?>

 

このドラマの当時見ていた視聴者層でも2、30代の若い主婦は戦後生まれだろうから、それ以降の視聴者への問いかけかな? でも話が分かる人がまだまだいた時代。

 

<昭和17年のお正月はそんな中に巡ってきたんでございます>

 

端野家ではお雑煮を食べ、三浦家ではおせち。

 

<三浦先生の奥様の体も順調のようでした>

 

三浦家

とよ子「あなた。まさか召集されるようなことはないでしょうね」

三浦「大丈夫だろう。俺はもう年だから」

とよ子「そう? 子供が生まれるのに、あなたが戦争に持っていかれたりしたら…」

三浦「俺みたいな年寄りが召集されるようじゃ、日本もおしまいだ」

とよ子「そうよね。グアム島も占領したし、次々に勝ってるんだもの」

三浦「うん。この戦争も長くは続かないだろう」

とよ子「どういうのかしら。このごろ、食べ物やいろんな物が思うように手に入らなくなってるでしょ? 戦争勝ってるのに」

三浦「うん」

 

三浦先生、ことごとく予想を外しまくってないか? 30代夫婦なのかなー?

 

<戦争が始まってからこっち「欲しがりません 勝つまでは」「ぜいたくは敵だ」というような標語が合言葉のように日本中に行き渡りました。いろんな物資が不足してきたんでしょう。だんだん、仕立物を頼む人も少なくなりましてね>

 

仕立物を届けに行ったいせは華々しく送られる出征兵士の一団の後ろをすり抜けて歩いて行った。

 

端野家

新二「どうしたの? それ」

いせ「今どき珍しいだろ?」白地にピンクの柄のきれいな着物。

新二「うん。誰? そんなきれいな着物頼むの」

いせ「ある所にはあるもんだね。軍需工場やってる人の娘さんだって」

新二「へえ~、景気がいいんだね」

いせ「そうらしいよ。おかげで母さんは、こうやって仕事がもらえるんだけれども。男の人がどんどん出征していくね。戦死したっていう人の話も聞くし。戦争いつまで続くのかしら」

 

新二「今にアメリカが降参するさ」

いせ「のんきなこと言って。母さん、お前のことが心配なんだよ」

新二「なんで?」

いせ「あんたがいつ取られるかと思って」

新二「フフフ…母さんも苦労性だなあ。僕が二十歳の兵隊検査受けるまでには、あと3年もあるんだよ」

いせ「年が明けたから丸3年はないよ」

新二「うん、まあ、そりゃそうだけどさ。でも、僕が兵隊検査受けるころまでには戦争も終わってるよ」

いせ「そうかね」

新二「そうさ」

 

作業台の前に寝っ転がる新二。「母さん」

いせ「なあに? 何か用?」

新二「呼んでみただけ」

いせ「用事がないのに呼ばないの。またお金かと思ってドキッとするじゃないの」

新二「だってさ、石田さんは田舎へ帰ってるし、呼ぶ人がいないだろ? 呼んでみたいから呼んだんだよ」

いせ「大きな体して」

 

新二「母さん」

いせ「何よ? うるさいね」

新二「そんなにお金のことが心配?」

いせ「そりゃ心配よ」

新二「今に僕がうんと稼いでやるよ」

いせ「頼りにしてるわよ。いつのことやら」

新二「まあ、4~5年の辛抱だな」

いせ「おやおや」

 

新二「ちゃかすなよ」

いせ「ちゃかしちゃいないわよ。母さん、あんたが頼りなんだから。それより試験がもうすぐでしょ? しっかりしなさいよ」

新二「またそれか」

いせ「勉強があなたの仕事でしょ」

新二「つまんないこと言うんじゃなかったよ」

部屋を出ていく新二に、フフフフと笑ういせ。

 

自室に戻った新二は机に向かう。

 

<あのころ私が一番困ったのは糸のことです。だんだん質も悪くなり手に入りにくくなってきまして、日本が勝ってるのに、どうしてこう物が不足してくるのだろうと変には思っていたんですが糸一本もみんな軍需品に回されていたんですね>

 

すぐに切れてしまう糸。なかなか今の時代の人には描けないね。

 

三浦家

出かけようとした三浦先生にお弁当を渡したとよ子がふらつく。

三浦「おい、どうした? 大丈夫か?」

とよ子「大丈夫」

三浦「いかんなあ。このごろ貧血ばかり起こしてるじゃないか。この間みたいなことになったら大変だ。医者行ってみろよ」

とよ子「そうするわ」

三浦「せっかくの授かりもんだ。大事にしてくれよ」

とよ子「はい」

三浦「無理しないようにな」

とよ子「いってらっしゃい」送り出した後もこめかみを押さえる。

 

端野家

石田「ただいま」

いせ「おかえりなさい。どうでした? 田舎のほうは」

石田「ええ、相変わらずです」

いせ「寒かったでしょう?」

 

石田「おばさん、お土産です」

いせ「まあまあ、すみません。お父さんもお母さんもお元気でした?」

石田「はい。これ卵です。うちの鶏の。母が持ってけって」

 

箱に入った10個ほどの卵!

 

いせ「まあ、貴重な物を…ありがたいわ。このごろ東京じゃ卵もろくに手に入らないから」

石田「田舎はまだ東京のようなこともありませんよ。戦争が始まってるのかな?っていう感じがしますね」

いせ「あら、そう」

石田「でも…うちは兄貴が海軍に行ってるから」

いせ「お寂しいわね。お父さんもお母さんも」

 

三浦家

とよ子「まあ…助かりますわ」

いせ「少し長めにしておきました。腰が冷えないように」

とよ子「あっ、ホント? すいません。これ、端野さんの手作り?」

 

いせが石田が帰ってきたときにたたんでいて、とよ子に渡したのは綿入れはんてんというものかな。

いせ「ええ。奥様、お体いかがですか?」

とよ子「それがね、このごろ貧血ばっかり起こして、ちょっと心配なの」

いせ「いけませんね。それでお医者様なんて?」

とよ子「栄養不良気味だって言うのよ。ちゃんと食べてんのに。このごろ、なかなか滋養のある物が手に入らないでしょ? だからかもしれない。このままじゃどうにか生まれても何か悪い影響があるんじゃないかって心配で…」

 

いせ「卵なんです、これ」

とよ子「卵?」

いせ「はい。うちに下宿している石田さんが田舎からのお土産にってお裾分けですけど」

とよ子「すいません。いろいろ気を遣っていただいて」

いせ「なんとか滋養を十分にとらないとね。普通の体じゃないんですから」

 

<身重の三浦先生の奥様には栄養のある食べ物が必要でした。配給される食べ物では、なかなか思うようにまいりません。新二にしても食べ盛りですし、石田さんにまで私たちと同じ粗末な食べ物を食べさせるわけにもいきません。皆さんもなさったように買い出しに出かけました。行く先は石田さんの実家でした>

 

端野家

家の中の食料や布などを探しているいせ。

 

石田がいせに地図を描いたメモを渡した。「僕が案内できるといいんですが、今日はどうしても学校のほうが…」

いせ「いいえ。お手紙も書いてくださったし、これがあれば」

石田「母が喜んでます。ただ、喜んでもらえるような物があるかどうか」

いせ「ううん。こちらの者にとっては、どんな物でもありがたいから。新二、早くしなさいよ! 三浦先生、待たしちゃ悪いから」

 

蒸気機関車

歩いているのはいせと三浦先生。ここがCMで見たところだった。そんな先の話ではなかったのね。

 

三浦「静かなとこですね。新二君も一緒に来られるとよかったのに」

いせ「急に学校から呼び出しがありまして」

三浦「受験のことで学校もいろいろ対策練ってるんでしょう。あっ、ちょっと…」メモを見る。「ああ、もうすぐのようですね。しかし、へんぴなとこですね」

いせ「日に3回しかバスが通らないんですって。これですよ。ここですね」

 

2人きり~!? それにしてもロケが多くて、ホントいい。

 

石田家

いせ「これ、配給物で気持ちだけですけど」

三浦「僕のほうもつまらない物(もん)なんですけど」

石田の父「いや、そんな…いや、健太郎のヤツが何かとお世話になっておりますのに」

 

海軍の兄貴がいるのに石田健太郎なのね。それいうと新二…

 

いせ「いいえ。満足にお世話もできなくて。どうぞお構いなく」

石田の母「お正月に健太郎が帰ってきましたときに、とっても親身になってお世話していただいてると申しておりました」

いせ「いいえ」

 

石田の父「東京のほうは大変でしょう?」

三浦「はあ、こうしてお伺いしなければならないような状態で…」

石田の父「早く戦争が終わればいいんですが…」

石田の母「健太郎の兄が海軍のほうにおりましてね」

 

軍服姿の青年と石田の写真が並べて飾られているのを振り返って見るいせと三浦。

 

石田の母「うちは2人しか子供がいないもんですから心配になりまして。でも、健太郎は、まだ学校で徴兵猶予がありますけど…端野さんの息子さん、新二さんとおっしゃいましたか」

いせ「はあ」

石田の母「まだ中学でしたね?」

いせ「4年生です」

石田の母「じゃあ、心配ないですね」

 

石田の父「今日、ご一緒にみえるとか」

いせ「はあ、急に受験のことで学校に呼び出されまして」

石田の父「ああ」

石田の母「あっ、そうですか。歌がとってもお上手だとか」

いせ「いいえ…ハハッ、いいえ」照れ照れ

 

石田の父は前沢迪雄さん。検索したら出てきた。何の役だったかは?

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石田の母は宮内順子さん。「心」では民宿のおばさん。

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どちらもwikiがあり、作品数も多い。しかし、キャストクレジットメモっとくと、あとになって、この作品にも出てたと気づくことが多い。

 

川で野菜を洗ういせと三浦先生。かなり大きなかごに野菜がたくさん。

三浦「まるでウソのようだ」

いせ「何が?」

三浦「ここにいると戦争してるなんてことが」

いせ「ホント」

三浦「ハハッ」しかし、腰が痛くなったのか立ち上がる。「よっ…ああ~、やれやれ」

 

いせ「慣れない仕事で」

2人で笑う。

三浦「年かなあ」

 

いせが首にかけていた手ぬぐいを受け取り、手を拭くと、大きな石に腰掛け、タバコを吸う。いせも一休みしたけど、手ぬぐいがないから手をふるふるさせてるじゃないか、手ぬぐいを返せよ!

 

三浦「とよ子は、あなたに感謝してますよ」

いせ「何を?」

三浦「いや、ホントに」

 

石田の母が追加で大きなかごに大根を運んできた。「ほっといてくれれば、私が洗うのに」

いせ「まあ…これで十分ですから」

石田の母「せっかくこんな所まで来てくれたのに。さあ、これも」

いせ「まあ…」

三浦「どうもすいません」

いせ「ありがとうございます。ホントに…」

 

石田家

リュックに荷物を詰めているいせと三浦。

石田の母「分家で牛(ぎゅう)を1頭、肉にしたっていうからもらってきました。今時分なら、まあ、2~3日は大丈夫でしょう」

いせ「まあ…牛肉を」

石田の母「せっかくこんな所までみえたのに芋や卵じゃね」

三浦「ありがとうございます。家内も喜びます」

石田の母「こんな物でよかったら、いつでもどうぞ」

石田の父「健太郎がお世話になっとるんですから、これぐらいのことは」

いせ「ありがとうございます」

石田の父「さあさあ、どうぞ、お包みください」新聞紙を渡す。

 

リュックを背負ったいせと三浦先生が石田家の前で振り返り、改めてお礼を言い、歩き出す。

 

三浦「持ちましょうか?」

いせ「いえ、大丈夫です。ええ」

 

歩いていて、土手の野花に目が行く三浦。「野花か」

いせ「奥様がお好きだって伺ったことがありました」

三浦「ええ」

 

歩き出したが、いせは木につかまり手を伸ばす。

三浦「端野さん」

いせ「奥様にお土産」

 

時計をチラ見する三浦。「最終バスまでにあまり時間が…大丈夫ですか?」

 

しかし、土手を滑り降りてしまういせ。「ああっ!」

三浦「どうしました? 大丈夫ですか?」

いせ「大丈夫です」

三浦「さあ」

いせ「はい、大丈夫です」

三浦「つかまって」

 

歩き出したが、いせは足を引きずっていて、三浦は時計を気にする。さっきまで明るかったのに薄暗くなってるということはバス停までかなり時間がかかるのか~。いせは座り込んでしまった。

 

三浦「端野さん、痛むんですか?」

いせ「先生、お先にどうぞ。バスに乗り遅れますから」

三浦「歩けますか? さあ、私につかまって」

 

なんとか立たせたが、痛さに座り込むいせ。「どうぞ、先生。先いらしてください」

三浦「何を言うんですか、さあ」

いせ「ああ…」

 

三浦家

とよ子は鼻歌を歌いながら夕食の準備。

 

端野家

新二「そろそろ帰ってくるね。ご飯炊いて待ってようか」

石田「君、ご飯炊けるの?」

新二「炊けるよ」

石田「まめだね」

新二「フフフッ、おふくろの子だもん」

 

石田家

左足に包帯を巻いてさすっているいせ。

石田の母「大変でしたねえ、まだ痛みますか?」

いせ「だいぶ。お世話になりました」

石田の母「いいんですよ、うちは。これ」着替えを渡す。「お宅のほうへは電報も打ったことだし。ゆっくりなさってください」

いせ「はい」

石田の母「三浦先生は、お父さんのお酒の相手につかまってますから、先に休んだほうがいいですよ」

いせ「はい」

 

石田の母が部屋を出たが、まだ痛そうに左足首付近をさするいせ。

 

三浦家

置時計は9時3分を指していた。心配そうなとよ子の顔。

 

端野家

新二「あっ、おばさん」

とよ子「新ちゃん、あなた一緒に行かなかったの?」

新二「ええ、出かける前に学校から連絡があったんですよ。受験のことで集まるようにって」

とよ子「じゃあ、主人は、お母さんと2人で?」

新二「はい」

とよ子「まだ帰らないんだけど、一体…」

 

新二「あれ? 電報、来ませんでしたか?」

とよ子「電報?」

新二「うちへは今、電報が来たんです。あっ、ちょっと待ってください。ああ…寒いから上がりませんか?」

とよ子「いいの、ここで」

 

電報を渡す新二。「終バスに乗り遅れたらしいんです。石田さんのお宅に泊まってるから心配いりませんよ」

とよ子「行き違いになったのかしら。うちには来てなかったから」

新二「帰ったら届いてるかもしれませんよ」

とよ子「そうね、じゃ」

新二「寒いから気をつけて」

 

おやすみなさいと言い合い、とよ子は足早に帰っていった。

 

石田家

いせの部屋のふすま1枚隔てた隣の部屋に三浦先生の布団が敷かれていた。部屋に戻ってきた三浦先生。「端野さん。もう休みましたか?」

いせ「いいえ」

 

⚟三浦「足、どうですか?」

 

いせ「だいぶよくなりました」体を起こす。

 

⚟三浦「よかった」

 

襟元を押さえるいせ。

 

三浦「新二君には電報を打っときましたから、心配しないで休んでください」

 

⚟いせ「おやすみなさい」

 

三浦「おやすみなさい」しかしまた「端野さん」と話しかける。

 

いせ「はい」

 

⚟三浦「とよ子のことではホントに心配していただいて感謝しています。子供が生まれるっていうことは、すばらしいことなんですね。僕たちもなんとかうまくやっていけそうです」

 

走って帰ってきたとよ子は家の灯りをつけて玄関に挟んであった電報を見る。

 

発信人居所氏名

トチギ 

タカネザワ

ミウ

フミオ

 

シュバス ノレズ

イシダタク トマル

     フミオ

 

なんだか眠れない三浦先生といせ。(つづく)

 

戦争を描いたドラマなので朝ドラ気分で見ていると、やっぱり昼ドラだよねという要素をぶち込んでくるねー! とよ子さんが無事出産できますように。