TBS 1970年5月26日
あらすじ
鈴木(甲田健右)が芦ノ湖へ向かったと知った直也(大出俊)は、和枝(尾崎奈々)を芦ノ湖へ誘う。和枝は自分には関係ないと怒りながらも、直也とのドライブを楽しむ。ところが、鈴木は東京に戻っていて……。
2023.11.23 BS松竹東急録画。
谷口和枝:尾崎奈々…福松の長女。21歳。(字幕黄色)
野口勉:あおい輝彦…直也の弟。20歳。
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野口直也:大出俊…和枝にお見合いを断られた鈴木桂一の友人。内科医。(字幕緑)
井沢正三:小坂一也…「菊久月」の職人。30歳。
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谷口修一:林隆三…福松の長男。26歳。(字幕水色)
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石井キク:市川寿美礼…野口家に25年、住み込みの家政婦。
鈴木久子:三戸部スエ…鈴木の母。
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鈴木桂一:甲田健右…直也の竹馬の友。
トメ子:丘ゆり子…修一の店を辞め、今は「やぶ清」で働いている。
菊久月
正三が接客している! 奥から桃子が呼びに来ると、正三は和枝がどうなったか聞く。
桃子「ブーブー怒ってるわよ。鈴木さんなんて人がどうなったって知ったこっちゃないって」
正三「そりゃそうだよ」
桃子「どう考えたって自殺するほどさっぱりした男じゃないもんね」
正三「まったく人騒がせなヤツさ」
正三が奥へ、桃子が接客。
修一は茶の間で電話していたが、切った。
正三「和枝さん、怒ってるって?」
修一「あいつも相当短気だからな」
正三「子供んときからすごかったよね。俺の向うずね蹴っ飛ばすんだから」
修一「親父に似たんだろ」
正三「悪いとこが似ちゃったよね」
2階から和枝が降りてきた。「何さ。勝手に好きになっておいて振られたから家出する。まったくどういう男だろう。その男をまた変にかばいだてしてるんだから、あいつ」
修一は野口家まで和枝を送ってほしいと正三に車のカギを渡す。
修一「とにかく原因がお前だとしたら知らん顔もできんからな」
和枝「どこまで世話の焼ける男なんだろ。ツイてないわ、今年は」
正三「和枝さんはまだいいよ。振りっぱなしなんだから」と先に外へ。
和枝は桃子でも連れていこうかしらと言うが、修一は和枝一人の方がいいし、何かあれば俺が行ってやるから電話してこいと頼もしい。もし大阪から電話があってもおふくろには黙っていると言う。
野口家
ご飯を食べている直也。和枝がキクから車でここに来ると聞かされた。
キク「女は血が頭に上りやすいんですよ」
直也「あの女ときたら上りっぱなしだ」
直也は勉のいる部屋に入り、鈴木の家に行くと報告。2人部屋? じゃないよな。壁に掛かるダーツは「おやじ太鼓」のときも敬四郎か三郎の部屋にあった気がする。
勉「ほっときゃいいのに。死にっこないって」
直也「そうやすやす死なれてたまるか」
ブザーが鳴り、和枝が野口家を訪れた。
キク「土曜だってのにもったいないわね」
直也「土曜日でちょうどよかったんだ」
キク「人騒がせよねえ」
正三が直也と和枝を乗せて行くことにし、3人は玄関を出た。キクが戸を閉めると、すぐに戸が開き、正三が顔をのぞかせた。「おばさん、一度ゆっくり会ってください」
キク「へっ? 私に?」
正三「話があるんだ。個人的なことだけどね」
キク「あらそう、ええ、いいわよ」
「じゃ、さよなら」と出ていった正三。
キク「個人的な話ってなんだろ」とちょっとワクワクしながら、食器の片づけをしていると、勉からお茶入れてよと頼まれた。
キク「あっちもこっちも複雑になっちゃって」
勉「サバサバしてんのは僕だけだね」
キク「あなたのいいとこはそこですからね。お兄さんみたいに変なことに首を突っ込まないでくださいよ」
勉「いやあ、しかし、兄貴もさえないよね。自分の恋愛でもないのにウロウロしちゃって」
キク「そうですよ。鈴木さんみたいにガッチリした男が旅先で自殺なんかするもんですか」
勉「いや、だけど、真面目人間ってのは案外もろいんだよ」
鈴木家
「おやじ太鼓」の広間より豪華なソファセットかも。まあ、鶴家は割とシンプルだっただけか。この家はごてごてした感じ。
久子「若いときっていうものはつまらないことを大げさに考えますものね」
直也「しかし、彼もノイローゼ気味だったから心配だな」
久子「主人があれの置き手紙を読みましてね。たかが菓子屋の…あら、ごめんなさい」
和枝「いいえ。たかが菓子屋の娘でございますから」
久子「いいえ。迷った息子がバカなんでございます」
直也が鈴木の手紙を見せるように言うが、主人と相談いたしましてと席を外す久子。
和枝は久子の失礼な態度に怒って先に帰ると言うが、直也は鈴木の手紙を読んだらどうかと言い、大事な息子が蒸発して頭にきてる、普通の場合とは違うんだから我慢してやってほしいと和枝をなだめる。
和枝「あなたにも鈴木さんにも随分我慢はしてきたつもりですわ」
直也「じゃ、あと少しぐらいいいでしょ」
和枝「つけあがるのもいいかげんにしてちょうだい」
直也「人間一人の命の問題だ。つけあがったっていいじゃないですか」
和枝はこの問題が片付いたら二度と会わないと言い、直也も了承する。
直也は出されたお茶を飲もうとするが、量が少ない。和枝はまだ口をつけてないからと自分に出されたお茶を差し出すが、直也はあとがうるさいからと遠慮する。そんな押し問答をしていてお茶をこぼしてしまい、和枝が直也のスーツを拭いていると、久子が戻ってきた。「まあ、まあ」とあきれ顔で「お茶は染みになりますわね」と言う。
直也に差し出された手紙は直也宛てだった。「僕宛ての手紙をお読みになった」
久子「親でございますから」
直也は和枝にも読むか聞くが、和枝は直也にだけ読まれたかったのだろうと言い、遠慮する。
久子「特別のことはなんにも書いてございませんわよ」
直也は鈴木の手紙を読み上げる。
「山の静かな湖で僕は彼女への思いをかみしめよう。かみしめてもかみしめても彼女への思いは募るばかりだ」
久子「ほんとにまあキザったらしい」
手紙の続き
「直さん、今までのことは全て忘れてくれ。おととし、3000円借りて、そのままになっていたと思うが、この際、全て水に洗って…」
久子「水に流してを書き間違えたんでございましょう」
手紙の続き
「恋よ、命よ、さようなら。さようなら、さようなら、さようなら」
吹き出しそうな和枝。
久子「漫画ばっかり読んでおりましたから。国語の力が弱くってね」
山の静かな湖とは、子供のときからよく連れて行った芦ノ湖だろうと言う久子。明日が日曜だから、明日の夜には戻ってくる。
直也「そんなに安心なさってていいんですか?」
久子「この手紙を開くまでは心配いたしましたわ。思いつめる子でございますから。でも、その中に誤字が3つもございましょ。そんなみっともない手紙を残して死ぬような息子じゃございませんから」
和枝「まあ」とあきれて、テーブルの上に置かれた手紙に目をやる。
(読めた部分だけ)
直也君
ずい分いろ/\考えたのだが、やはり僕…
女のことが忘れられない。彼女なしでは生…
行けない。此の女は闇だ。天国で僕は…
来るのを待っている。君にもいろ/\女…
山の静かな湖で僕は彼女への想いを…
ても噛みしめてもあの人との想いはつ…
りだ。直さん、今までのことはすべて忘…
おととし三千円借りて、そのままになっ…
思うが、この際すべて水に洗ってくれ…
命よ、さようなら、さようなら、さよう…
…さんによろしく
久子役の三戸部スエさん。若い頃から老け役などをやっていた。
このドラマにも出てたらしいが、どの役だったか。お母さん? 近所の人? しかし、老け役専門みたいな人ほど長生きしないよね。
直也と和枝は歩いて帰っている。正三は先に帰った?
和枝「私、なんだか鈴木さんがかわいそうになって」
直也「僕もあのうちへ行くといつもそう思うんだ。そのせいかもしれないな。自分勝手なヤツだと思いながら、なんとなくつきあってしまう」
和枝「竹馬の友でしたわね」
直也「古くさいって今夜は笑わないんですか?」
和枝「気に障ってたんでしょ?」
直也「ハハッ。ちょっと引っかかりましたよ。生意気な娘だってね」
和枝「ポンポン言い合う家庭に育ったもんですから」
直也「いい家庭ですよ。お互いに言いたいことを言い合っても傷つかないで成長していく。理想的だな」
和枝「さあ。兄はうちを出てしまいましたわ」
直也「また戻ってきますよ」
和枝「私が結婚するまでには帰ってもらいたいわ」
直也「あなたがお嫁に行く? もう決めてるんですか?」
和枝「いいえ。ただ、いつかは結婚するだろうと思って」
直也「そうね。でも急ぐことはないな」
なぜかいい感じになっている二人。
直也「あした箱根行きませんか?」
和枝「鈴木さん、いるんでしょうか」
直也「あいつ迎えに来るのを待ってるんだ」
和枝「フフフッ、子供みたい」
直也「熱いコーヒーが飲みたいな。つきあってくれますか?」
和枝「私も今、そう思ってたんです」
喫茶店
直也はコーヒー2つと和枝のためにケーキを1つ頼んだ。
あしたは日帰りなので8時に迎えに行くと言う直也。レンタカーでも借りると言うと、和枝は日曜日は配達をお断りしているから、うちのを使ってくださいと言う。
和枝「特別なことがあればオートバイもありますから」
直也「じゃあ、久しぶりにぶっ飛ばすかな」
和枝「フフッ、青葉がきれいでしょうね」
直也「なんだか鈴木なんかどうでもよくなっちゃった」
和枝「まあ、悪いお友達」
直也「死にっこないからな、あいつ」
和枝「そうですわね」
笑い合う2人。
「菊久月」の社用車で芦ノ湖へ向かう直也と和枝。オープニングのアレンジバージョンが流れる。やっぱり日産車なのかな。どっちもシートベルトしてないから、今の感覚だと和枝はかなり前のめりに見える。
車が止まった先に見えるのは風車。
直也「キャメラ持ってくればよかったな」
和枝「叱られますわ。鈴木さんに」
直也「5月の女は美しいっていうけど、本当かもしれないな」
和枝「まあ」
直也「おふくろがよく言ってましたよ。女はセルを着る季節が一番美しいんだって。もっとも今どきセルの着物なんてないからね」
和枝「5月って好きですわ」
また走り出した直也の運転する車。すれ違ったトラックにズームされたと思ったら、鈴木が助手席でパンを頬張っていた。ヒッチハイク?
車が到着したのは芦ノ湖畔の山のホテル。
颯爽と運転席を降りた直也は助手席のドアを開ける。
野口家
勉はうどんを茹でている。
キク「直也さん、うまく鈴木さんに会えたかしら?」
勉「案外今頃お線香上げたりしてね」
キク「冗談じゃありませんよ。そういえば鈴木さんって人もなんとなく影が薄かったから」←タバコスパスパ。
勉「何言ってんだよ。絶対死なないって笑ってたくせに」
キク「でもねえ、恋に破れた悲しみをかみしめてかみしめてなんて変な置き手紙がしてあったって言ってたでしょう」
勉「ああ、そうそう。恋よ命よ、さようなら、さようなら」
キク「ふ~ん。鈴木さんにしてはちょっと気が利いてますよね」
直也宛ての手紙が結局みんなに知られている。
ブザーが鳴る。旦那様かしら?と立ち上がり、「恋よ命よ、さようなら、さようなら。やっぱりいいと思いますよ、私は」とキクが玄関へ。
勉「古いよ、感覚が。なってないよ」
キクと一緒に台所に入ってきたのは鈴木!
勉「はっ! 鈴木さん」
鈴木「直さん、箱根に行ったんだってね」
勉「無事だったの?」
鈴木「うん。一晩ぐっすり寝たらなんだかさっぱりしちゃった。あっ、やっぱり飯はこれからか。キクさんの卵とじうまいよ。出来たら呼んでください」と出ていく。
キク「ずうずうしい」
勉「まったくねえ。恋の痛手が聞いてあきれるよ」
キク「卵とじに七味唐辛子ぶち込んでやるわ」
芦ノ湖畔
和枝「もう知りません。この忙しいときに人をこんな所まで連れ出して」
直也「誤解しないでくださいよ。誘ったのは僕かもしれないが、あなただって結構ウキウキしてたんだ」
和枝「鈴木さんの命が懸かってると思ったからですわ。それだのにまあ夜は7時半に寝て朝は9時。ご飯だってきちんと3杯ずつ食べたって女中さんが言ってました」
直也「いいじゃないですか。それだけあいつが健康な精神状態に回復したってことですよ」
和枝「あなたは初めから分かってたのよね。とても失恋ぐらいで死ぬ人じゃないって」
直也「死ぬとは思わなかったが、万に一つってことも人間にはある」
和枝「あるもんですか。あんな男に」
直也「君は言うことにかわいげがなさすぎるよ。勝ち気な女に男は命懸けで惚れないぞ」
和枝「結構でございます。あなたや鈴木さんに命懸けで惚れられてたまるもんですか」
直也「ああそう。安心してくれ。僕は身のこなしのきれいな女性が好きなんだ。なんだい、大きな口パクパク開けてケーキにかぶりついてさ」
和枝「もう知らない。ついてこないで!」
芦ノ湖の見えるオープンテラスでケーキ?をパクつく和枝。直也は車の助手席に座り、瓶牛乳とシベリアっぽいのを食べている。サンドイッチではなさそう。菓子パン?
野口家
鈴木はうどんをすすってにっこり。勉はうどんを口にして慌ててお茶を飲む。七味唐辛子が当たった!?
菊久月
修一が和枝からの電話を受けている。和枝はプリプリ怒っていて、思わず怒鳴り返す修一だったが、何か2人でうまいものでも食べて来いと言う。そんな心境じゃないとガチャ切りした和枝。
なぜか怒っている和枝にどちらもご機嫌だったのに、ホテルでなんか食べてるうちにケンカになったんじゃないの?と桃子は推察。姉さんは痩せてるくせによく食べる。正三は和枝や桃子が変に女っぽくなったら面白くないと言う。
桃子「女は隣のトシちゃんだけじゃないわよ」
正三「分かってますよ。だけどやっぱりね…」
桃子「失礼しちゃうわね、侮辱よ。今に見てらっしゃい」
客の声がして、桃子は店へ。「ハァ…今度うんと髪伸ばしてやる、フン」
作業場
修一「桃子のヤツ、髪をうんと長くすんだってさ」
正三「よしたほうがいいよ。変に髪なんか伸ばすと男の子に間違えられるよ、桃ちゃん。ヒッピーみたいにさ」
修一「そうだな。注意しとくか」
この時代は男のほうが髪が長いって面白いなあ。ドラマには長髪男子なんて出てこないけど。
トメ子が岡持ちを持って店から入ってきた。
正三「トメちゃん、出前は裏から来るもんだぞ」
トメ子「あら、いいじゃないのよ。どこからだって。はい、天丼3つ」と置くと、修一たちが作っているお菓子に目をつけ「1つちょうだい」と修一のほうに手を出す。
正三「配達に来て何を言ってんだよ」
トメ子「ケチね。このうちの人間は。私なんてね、朝は親子で昼はカツ丼よ。天ぷらなんて胸やけがするからはなも引っかけないわよ」
正三「何言ってんだよ。天丼持ってきて」
修一「ほらほら、1つやるからさっさと帰んな」
トメ子「サンキュー」
すぐにお菓子を頬張りながら、修一に「見合いすんだってね」と聞くトメ子。「私、あんたのことなんでも知ってんだ」
修一「ご苦労さんなこった」
正三「暇なんだね、やぶ清も」
トメ子「ラーメン屋も暇なんでしょ?」と正三に修一が毎月研究会に出ていることをチクる。
慌てて「うるさい!」と怒鳴る修一に今度親父さんに会ったら言ってやろ、毎月若いヤツらが集まって何を研究してんだかねと言い残し帰っていった。
正三「チッ、あいつ、へっちゃらな顔して店から出入りしやがって、やぶ清へ電話してやるぞ」
修一「金の卵に何言っても無駄だよ」
お菓子作りをやめて、食事。
正三「修ちゃん、研究会ってなんの集まりなんです?」
修一「何って親父にバラされると困るんだよ」
正三「気になるねえ」
修一「何言ってんだよ。トメ子のヤツは勘違いしてんだから」
正三「しかし、若いのが集まるとさ」
修一「ゲバルトか? たまにはいい気持ちだろうね。スキッとしちゃって」
修太郎も「ゲバルト」って言ってたね。力、暴力のドイツ語。
正三「やってんですか? そっちの研究でも」
修一は和菓子の集まりだと言うが、親父には内緒。正三はこの家の人たちは奥さんの他はみんな意地っ張りだと言う。桃子が接客を終え、茶の間へ。
帰路。直也はガンガン飛ばす。
和枝「無理しないでください。あなたと心中は真っ平よ」
直也「こっちもそうだ」
和枝「めったに運転しないって弟さんが言ってたわ。いいとこ見せることないんですから」
直也「じゃあ、交代しますか?」
和枝「免許を持ってるくらいなら、あなたと一緒に乗ってません」
直也「ああ、そう。お気の毒さま」
和枝「ええ、残念でカッカしてますよ」
なおも飛ばす直也に和枝はハラハラ。バックにはオープニングの男女混声バージョンが流れる。
休憩で止まった車。運転手は明らかに大出俊さんでない男の人だな。ゲッソリした和枝に「ああ、清々したいい気分だ」と言う直也。じゃじゃ馬のくせにとなおも続ける直也の向うずねを蹴る和枝。いいぞっ!
作業場
プリプリして帰宅した和枝。修一も桃子もどうしたか聞きたがるが、「知りませんよ、あんな薄情者」と怒っている。車のキーを正三に渡し、直也は車を車庫に入れるとさっさと帰ったと話した。
和枝「もう、あんなヤツとは金輪際口を利きませんからね」
桃子「金輪際だって。どういう意味? 兄さん」
正三「イヤだね、桃ちゃんは。また来年大学落ちますよ」
修一「何をああブーブー言う種があんだよ。和枝だって生意気だよ」
桃子「鈴木さんがさ、湖の底に静かに横たわってりゃよかったんじゃなあい?」
野口家
直也のベッドで寝ている鈴木。咳払いをして起こす直也に鈴木は「ごくろうさん」とあくびをしながら起き上がる。
イライラして早く帰れと言う直也だったが、鈴木は電話しといたと大きく伸びをする。直也は燃やしちまえと鈴木の手紙を手渡す。惜しい気もするが、今回は一応、片がついたしなと手紙を破り捨てた。
鈴木は和枝がオロオロしてして泣いてくれたか聞くが、直也は「あんな女に涙なんかあるか。俺の足蹴っ飛ばしやがって涙が出たよ」とイライラ。
谷口家
和枝は着物を着替えて直也の言葉を思い出しブツブツ言っていた。しかし、青葉のころって確かに切ないわねと胸に手を当てる。何となく物思いにふける和枝。(つづく)
直也も直也なんでねえ…ヒロインの相手役としてはちょっとな。まだ修一のほうがいいよ。