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【ネタバレ】木下惠介アワー 兄弟(全26話) #17-20

1970/2/10~1970/3/3 TBS

 

あらすじ

志沢家の長男・静男(津坂匡章)と二男・順二(あおい輝彦)兄弟の恋愛を通して〝愛〟のさまざまな姿が語られてゆく。いなかから集団就職で出てきた栗山京子(沢田雅美)は、ある雨の日、雨の中でころんだ順二にかさをさしかけてやった。順二は名もいわずに去った京子捜しに懸命。一方、静男はエリート商社マンで、職場の女性には目もくれない男。だが静男の心の中には社長秘書の森山紀子(秋山ゆり)のおもかげだけが、深く焼きついていた。

日曜日。志沢家の母・厚子が掃除をしていた。順二も窓ふきの手伝い。まじめに窓ふきをしていたものの、厚子はこの間の京子と智恵子が訪ねてきた件で「あなたを信用してない」と言う。父・修太郎はこの件について怒らなかったが、厚子は修太郎が子供と向き合いたくなくて、まともに子供を怒れないと手厳しい。京子たちの事は誤解だという順二に対しても気を許さないと言う厚子。

 

静男も一応手伝っていたが、もう部屋で寝てると順二は告げ口。修太郎は日曜日に珍しく遅くまで寝ていた。徹夜明けで帰ってきた日から何だか変だと厚子も静男も思っていた。あんなにおしゃべりな修太郎が長い間黙っている。

 

せっかく掃除したのに、静男も順二もタバコプカプカ吸いながら雑談。ホントに昔はほとんどの人がタバコ吸うよね。このドラマから約10年後の「3年B組金八先生」の君塚校長(赤木春恵さん)も学校で問題が起こった時にタバコを吸い始めてびっくりだったし、もっとあとの「ぽっかぽか」でもあのホンワカした麻美さんがタバコを吸ってたことに衝撃だった。このドラマは1994年が最初のシリーズ。男女問わず喫煙率高いよねー。

 

何となく変だと思ってはいるが、修太郎は仕事の苦労を家に持ち込まないから、厚子は何となく労わってる。「よく寝た」と、やっと修太郎が起きた。

 

静男の想い人、森山家では紀子が家にいる父のために豪華な昼食を作っていた。平日は勤めに出させてもらってるから(←こういう感覚なんだよねー)せめて、一緒にいられる日曜日は家にいて父のために時間を使いたいと思っている。紀子は静男の結婚の申し込みの話をするつもりでいた。

 

紀子の父・辰造の元に今、仕事をしている村山から電話があった。昔お世話になった人の家で、そこの娘の澄子の事を若いころ片思いしていた辰造は、村山といっても澄子からの電話で機嫌がよくなった。

 

順二の想い人、京子はデパートの食堂のウェイトレスで仕事を張り切っていた。一方、智恵子は元気がない。

 

昼休み、智恵子が「あの人(順二)私が取ってもいい?」と京子に聞く。今度は京子がうまくいきっこない、好きでも結婚できないと否定的になるが、智恵子が順二にアタックすると言うと、「ごめん。私やっぱり諦めない」と京子も順二が好き発言。智恵子は京子にビンタした。ん~、智恵子も世話係っぽく散々順二の悪口いっといて、ビンタはないだろー! 京子も京子で惜しくなったと言うのか!?

 

森山家。辰造の弟子の信吾が帰っていった。紀子は辰造に信吾の態度がこの頃変だと言った。そして、静男の話になり、辰造も静男の年齢などを聞いてきた。静男は25歳。求婚されて困っちゃったという紀子。辰造は「よほど妙な男じゃない限り好きな男ならよし」という態度だが、紀子の方が好きだけど時々嫌いとか大して好きじゃないとはっきりしない。

 

辰造は真面目な男なら待ってくれるから少し待つように言ったらどうだとアドバイス。周囲の反対を押し切って結婚する女性は不安じゃないのかしら?と紀子は問う。辰造はお母さんがいたら聞いてもらえたのに、というが、紀子はやっぱり父に聞いてほしかったと言った。辰造は何と言っていいか分からず、とにかく待ってもらえと繰り返した。

 

志沢家では静男と順二がチェスをしていた。ぼんやりしているようであっさり静男が勝つと、そんな事では嫁に来てくれる人がいないぞとからかい、2人は小ケンカ。子供か。

 

夕方、厚子が明日の朝に食べるパンを買って帰ってきた。そして、修太郎が話すまで知らん顔していようと思っていたが、修太郎の同僚の松本から修太郎の事を聞いてきた。あの徹夜の日、若い社員から反乱を起こされた。まるで全学連と先生みたいという例えが今の時代だとピンと来ない(^-^;

 

営業部長の修太郎のやり方が古臭いと若い社員たちが社長に直談判して、修太郎は総務部に異動。部長扱いだけど、総務部長は他にいる。厚子は息子たちの前で涙を見せ、息子達も父の境遇に憤りを感じた。

 

正月に志沢家に来て修太郎の話を聞いていた若い社員たちもいたのに足をすくわれた。ここまで17話。

 

順二が厚子より早起きしてご飯を炊いていた。順二の話し声が聞こえるので寝坊したかと思い、静男も起きてきた。志沢家の朝はいつもパンだったが、順二は修太郎はおみおつけで朝ごはんの方が好きなんじゃないかということでご飯を炊いた。厚子が朝が弱いので修太郎も気を使っている。

 

左遷されたことを家族に言わない修太郎はいつも通り起きてきた。順二に「学校の騒動はどうなった?」と聞き、明るく答えたつもりが「お前はちゃらんぽらんだ!」と怒る。

 

静男の会社。隣の席の同僚は車を買ったと話しかけてきた。そこに、紀子がやって来た。廊下に出て「日曜日、父に会って下さい」と言い、求婚の返事はもう少し待ってくださいとも言った。父のことを建築関係といったけど大工の親方なんですとも話した。最初の頃と比べるとすんごいにこやかになったな、紀子は。席に戻った静男に「恋人ですか? 志沢さんの」とからかう同僚。

 

村山家で仕事をしていた辰造の所に澄子が来た。昔からの呼び方で 「お嬢さん」と呼んでしまう辰造に「未亡人の出戻りにお嬢様なんてやめて下さい」と笑う。

 

辰造は澄子に紀子は相手の気持ちが変わるんじゃないかと不安に思ってるという話をすると、お父さんと離れたくないのでは?といい、女の幸せは男次第ですものねえとも言っていた。

 

女子寮。休みの日も京子と智恵子は同じ部屋でバチバチ。美佐子の気持ちにもなれよ、全く。京子が出かけようとすると智恵子もついてこようとする。「ついてこないで」といっても、「デートの邪魔してやる」と智恵子も負けない。んー、なんだかなー。結果二人はいつも一緒。

 

町でばったり出会った厚子と順二。厚子はミシンの販売員のアルバイト辞めたと順二に言った。家にいてお父さんだけが頼りだというところを見せるためだった。順二は修太郎の会社に電話をかけ、「お母さんが内職もアルバイトも辞めたよ。女の力なんてたかが知れてるって」…順二、余計な事言い過ぎじゃないか。

 

電話を切った後、修太郎は私用電話をかけた。夜、居酒屋で 安藤上等兵と会っていた。安藤は「はね駒」のりんの祖父役だった山内明さんだった! 黒髪で若い。見た目では一瞬分からなかったけど、声で分かるものですね。

 

修太郎役の北村和夫さんは1927(昭和2)年3月11日生まれ

安藤役の山内明さんは1921(大正10)年7月11日生まれ

 

山内さんの方が年上か。戦争時代兵隊だった人がバリバリの40代の会社員だった時代。そりゃ若手社員(団塊世代)からしたら軍隊式は受け入れられなかったんだろう。当時43歳の北村和夫さんだけど、25歳の息子のいる役だから、さすがにもうちょっと役年齢は上かな。しかし、43歳かー。貫禄あるな。

 

いつもバカ景気の安藤に会って元気をもらおうと思ったのに、安藤は糖尿病で酒が飲めなくなっていた。歳だな…とますます落ち込むことに…。

 

修太郎がなぜ元気がないのか話すことになった。その中でゲバルトと言ってた。

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若い社員の反乱にあったことを表現してたのね。二十数年いた会社でそれなりに愛着もあるが、若い社員たちは俺の全部を否定する。部長待遇だが用なしの存在。左遷の事は家族には話してない。せめて奥さんには話したら?という安藤に、厚子が妙に優しいし労わってくれるから、知っているのかもと思っている修太郎。夜11時を回っても帰ってこない修太郎をリビングで待っている厚子、静男、順二で18話は終わり。

 

女子寮の管理人・千代を訪ねた順二。さぞいい気持だったろうねと嫌味を言う千代。寮では京子と智恵子が2人で男を取りっこしてると噂になっていた。年末のバイトで買った時計も受け取ってもらえない、僕は被害者だと言う順二。レストランで仕事中もケンカするようになった京子と智恵子。

 

志沢家。「早いんですねバカに」と厚子が修太郎を迎えた。精力旺盛だという修太郎にもう年なんですからと返す厚子。厚子が着替えを手伝うと「ばかに親切で気味が悪い」という修太郎。そういや、ばかになんとかみたいな表現この頃聞かないね。

 

何でもない話をしていても、左遷になってることを言い出せない。厚子もまた知ってるのに切り出せない。修太郎は失脚を妻に話したいと思っていた。

 

土曜日。順二は三崎たちとパーティーだから、2人で食事しましょうと提案する厚子。お店の事は全然分からないから修太郎にお任せすると言った。こうやって夫をたててるのね。横浜で中華料理なんてどうだ?という話になった。厚子はアルバイトで貯金したものをここで使うと言いだした。家で「実は…」と話そうとした修太郎だったが、厚子が「いいの。何にも言わないで」と会話をさえぎり出かける準備を始めた。

 

紀子が父と夕食をとれるよう、会社帰りにちょっとだけ店に入った静男は紀子に結婚すると決めたわけでもないのになぜ父に会わせるのか?と聞いていた。父の見た目で決めたいと言い、自分の気持ちが分からない。私が必要ですか?と率直な思いをぶつけた。明日2時に駅で待ち合わせ。

  

夜景のきれいなレストランでディナーを取った修太郎と厚子。厚子は騒ぎたいから会社の同僚と行くような穴蔵みたいなバーとか変な店に行きたいと言いだす。そして「知らないと思ってました?」と厚子から切り出した。修太郎は「きっかけがなかった」といい、話し始めた。厚子は「あなたの好きなようにして下さい」と修太郎を信頼していた。やり手だから路頭に迷う事はないとか言ってたけど、修太郎たちは息子達に頼る気なんてサラサラない。そこがお金持ちだなーと思ってしまう。

 

家でビールを飲んでる静男と順二で19話は終わり。

  

日曜日の朝。厚子は掃除。息子達にも布団を干すよう指示。修太郎が仕事が忙しかった頃は不満を抱えて生活していたけど、修太郎を励ますという役割を見つけて以前より明るくなった。新聞の集金が来て750円を払っていた。そのくらいの値段だったのね。

 

順二は修太郎が会社辞めようとしてる!?と心配していた。今のままで定年を迎える訳がない。しかし、厚子は仕事のことは聞かないことにしていた。静男は午後出かけることを厚子には知らせた。順二はデートだとからかう。

 

森山家では紀子が花を生け、紅茶やケーキを用意していた。紀子は大分静男の言葉で「結婚しようかな」と思い始めていたが、静男も紀子も淡々としてるとも思っていた。

 

信吾が突然訪ねてきて、隣人に棚をタダで造ると約束し棚板をもらいに来た。こういうのホイホイ引き受けちゃ駄目よ。でも信吾は嬉しそう。

 

静男は約束より20分早く紀子の家の最寄り駅についた。蒲田行の電車だった。駅から商店街を歩いて、紀子の育った町を見ていた。タバコ屋でハイライトを買い、紀子の家の場所を聞いた。そこに紀子が現れた。タバコ屋のおばあちゃんに「縁談くさいね」と言われ、否定。縁談くさいって何よ。 

 

辰造ソワソワ。わざとらしく図面を引いたりしている。静男が通された客間に現れた辰造は「やっぱり3月だね」などと世間話をするが、会話が続かず気まずい雰囲気。静男が買ってきたハイライトを開け、まず辰造に1本。そして火をつける。「いい天気でよかった」と辰造は言うが、静男は「はい」でまた会話が終わる。静男はテーブルの下でこっそりハンカチで手汗をぬぐった。

 

羽目板も取りに来た信吾が家で作業してもいいか聞いてきたが、客が来ているので遠慮して帰った。玄関の男物の靴で大体見当がついたみたい。

 

いつも冷静なナレーションだけど、辰造の心の声は辰造のちょっと荒っぽい感じになるのが面白い。「澪つくし」並みに各登場人物の心の内を語ってくれます。

  

順二は家で勉強。そこに修太郎が帰ってきて、2人でビールを飲む。恋愛ごっこはどうした?と聞く修太郎にごっこじゃないと否定した。 

  

おお、今回順二は一度も京子に会ってない。それにしても、つくづく私はこういうホームドラマを求めている。普通(志沢家はかなり上流階級に思えるが)の家族のなんでもない日常をつづったドラマが見たい。ま、今では無理だから昔のドラマで欲求を満たしたいと思います。