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ドラマの感想など

【ネタバレ】戦後最大の誘拐 吉展ちゃん事件

1979年、テレビ朝日のドラマ。

昭和の犯罪史みたいなのを結構見てしまいます。前は実録犯罪史みたいな2時間ドラマも結構やってた気がするんだけど、被害者の人権などを考えると無理なのかと今日のを見ても思いました。

 

これまでこの事件を扱ったドラマはいくつか見たことがあります。

・「刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史」2009年 テレビ朝日 平塚八兵衛渡辺謙、小原保:萩原聖人

・ 「Mr.サンデー特別版・新証言&極秘資料入手『東京オリンピックと世紀の大犯罪』~追跡!封印された死刑囚たちの“正体”~」CX系、2014年10月12日放送、小原保役:柄本時生

 

「刑事一代」は伝説の刑事・平塚八兵衛を主役としているので、二夜連続ドラマでいくつかの事件を扱っていて、その中の一つですが、扱いは大きく、刑事と犯人が対峙する取り調べのシーンが主です。

 

Mr.サンデー~」も昭和のいくつかの事件を扱っていて、ホテル日本閣殺人事件、西口彰事件の3つです。こちらは今日のドラマと比べると結構犯行の様子が詳細に描かれていたように思います。

 

泉谷しげるさんが演じる犯人は、小さいころ小さな傷が原因で足が不自由になり、時計の技術者として働いていたが、なんだかんだと借金がふくらみ10万にもなっていた。

 

10歳年上の恋人の家に転がり込み…この恋人が市原悦子さんで、ここ数日毎日のように市原さんのドラマを見てる気がします。年上の恋人ということで恋人から”おばさん”と呼ばれている。二人の中のあだ名みたいなもので甘えた感じにも見えたけど、市原さんは場末の薄幸なおばさんの役ばっかりだったんだなぁ。

 

私にとっては「まんが日本昔ばなし」の印象が強いです。

 

実際の犯人の音声データ、被害者家族との電話でのやり取り、被害者の顔が映ったポスター、実際の犯行現場での撮影…事件から15,6年ということでドキュメンタリーを見ている感覚になります。被害者の父が北村総一朗さんで、「おしん」の福太郎さんと同じで眼鏡をかけていませんでした。

 

豪華な水鉄砲を持っていた男の子に話しかけ、連れまわしたけど、暗くなって家に帰りたいと言われ…別のドラマだと一緒に歩いてる時に「おじちゃん足痛いの?」みたいに言われたから、特徴を知られてしまい、殺すしかないと思ったという供述を見た気がするのですが、今回のドラマだとただおとなしい男の子と歩いてたのに、特に理由もなく殺してしまった方がいいみたいに思った風に見えて、そもそもがお金が欲しいならお金だけ要求すればいいのに、そこからもう理解不能

 

数々の警察の失態もあり、身代金50万はとられるし、犯人にも逃げられる。

 

犯人はそのお金で周囲の人間に借金を返し、周囲には”おばさん”を女房として紹介する。しかし、誘拐事件が明るみになり、犯人の音声データがテレビ、街のスピーカー、ラジオなどで流れ始めると、犯人の兄弟たちや借金を返された仕事仲間などが怪しく思い始める。

 

犯人の生まれは福島。兄弟がたくさんいて、実家の農家を継いだ者もいたが、あとは犯人と同じように上京して、建築業の孫請けや洋服の仕立てなどそれぞれカツカツの暮らしをしていた。

 

この辺が、先日見たNHKの「東京ブラックホールⅡ」と重なりました。事件は昭和38年、解決したのは昭和40年。冒頭で犯人は血を売って暮らしていたという”おばさん”の証言も流れていたし、「Mr.サンデー~」のドラマもこの番組みたいに明るいムードに見えた東京オリンピック前後の日本の暗部を照らした番組だったと思います。

犯人の弟役が風間杜夫さん。いち早く犯人の声が似てると気付いた人物でもあります。

 

父が倒れたこともあり、兄弟そろって帰省した時もホントはやったんじゃないか?と家族中から疑われる。今まで見たドラマだと、犯人の家族は、母親が出てくるくらいだけど、ああやって沢山兄弟がいてあの後、犯人は逮捕されて刑務所にいるからいいとしても、加害者家族としてどんな暮らしをすることになったのかと想像して苦しくなりました。

 

終盤の方で”おばさん”は別れて別の人と結婚したと言っています。女房として紹介はしてたけど、入籍はしてなかったみたいだし、恋人なら赤の他人に戻れるもんねぇ。

 

ドキュメンタリーを見てるような重苦しさで、被害者家族と加害者家族に想いを馳せました。うーん、うまいこと気持ちを書けません。