徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】本日も晴天なり(141)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

コインロッカーに子供を捨てる事件がまた起きた。元子(原日出子)は、正道(鹿賀丈史)や道子(川上麻衣子)の世話も忘れて、火が付いたように記事を書く。そんな時、正道がデンマークに行くと言い出す。家具デザイナーの振興会から北欧家具の見学にと声がかかったのだ。大介(木下浩之)はモンパリで働くようになり、流産の危機を脱した圭子(鈴木美江)のもとには、トシ江(宮本信子)がやって来て、優しく出産の心得を伝える。

BSのない環境にいたため、遅れ視聴しています。この回は2023年3月11日(土)放送。

 

夜、大原家玄関

正道「ただいま」

 

道子「お帰りなさい」

正道「ああ、ただいま」

エプロン姿の道子は声に出さずに口パクで”お母さん”と言い、廊下の向こうを指さし、何か書いてる、頭に角…と、元子が怒りながら原稿を書いている、というジェスチャーかな。

正道「ふ~ん、そっか…」

 

茶の間

原稿を書いている元子。そ~っと部屋に入って来る道子と正道。

 

ダイニング

正道「あ~、すごい顔してるな」

道子「さっきからずっとああなの。私にもろくに口きかないのよ」

正道「まあ、のめり込んでる時は、しかたないだろう」

道子「でもたまにお父さんが早く帰ってきた時ぐらい、あんなすごい顔してることないのに。これじゃあ、今にうちも巳代子叔母さんちみたいになっちゃうかもよ」

正道「こら、バカなこと言うんじゃない」

道子「だって」

正道「ほら、火、小さくして」

道子「はい」

 

正道「おい、弘美ちゃんは?」

道子「着替え取りに帰った。お母さんやっぱりお兄ちゃんのことショックだったのかしら」

正道「いやぁ、コインロッカー事件でな、怒ってんだよ。多分、その原稿だろう」

道子「あっ、そっか」

 

そうなのです。未婚の母になろうとしている圭子に対し、適切な意見を言えなかった自分のもどかしさも含め恐ろしげもなく我が子を殺す同性に対して元子の筆は火のように燃えていました。

 

このドラマでは珍しい回想シーン

松代(回想)…文野朋子

peachredrum.hateblo.jp

松代「満州からの引き揚げの時でした。自分の手でくびり殺さないまでも歩ける方の上の子供を助けるために乳飲み子は、ぼろにくるんで、ごめんなさい、ごめんなさいって…。泣きながら木の根へ置いてきた母親だったあるんです。2つの命を救えないとなったら、その1つを生かすためには、もう一つを見殺しにするぐらいの強さを持たなくちゃ、助かる命まで駄目になってしまうんです。だから、今のあなたは新しいこれからの命のためにもっと強くならなくっちゃ」

回想終わり

 

のぼるのお母様、元気かなあ。このシーン、子供を亡くした母親に投げかける言葉か、って見かけたけど、元子にとっては励まされた言葉だからね~。

 

元子「だけど見殺しは見殺しでも意味が違うと思うのよ」立ち上がりダイニングへ「そして子を残してきた母親は、たとえ一日たりとも、その子のこと忘れたことなんてなかった私はそう信じたいわ」

正道「うん…うん」

元子「その切なさが十分、分かったからこそ、あの時、六根のおば様の言葉で私も立ち直ることができたのよ。私は親と子のつながりっていうのは、たとえどんなことがあろうと未来永劫変わらないものだって信じてきたけど、今、彼女たちに母性が欠落してるとすれば、それは彼女たちだけの問題ではなくて、この私も含めた社会の在り方そのものに母性の欠如があるからだと思うのよ」

うなずくしかない正道。

元子「としたら、私はもっともっと私に対して怒るべきなのよね。もっとジャンジャン書くべきなんだわ」

 

正道「ああ、そうだとも。ところでな、飯にしないか」

元子「えっ?」

正道「もう支度も出来てるから」

元子「あっ、やだ…もうそんな時間!?」

道子「やだわ、お父さんが帰ってきたのもうわの空だったのよ」

元子「あっ…ごめんなさい。申し訳ありません。あっ…あなた、ほら、着替え」

正道「うん」

 

元子「道子、冷蔵庫においしい昆布があるわよ」

道子「私がおやつにお茶漬けで食べちゃった」

元子「ああ、そう」

正道「ところでな」

元子「はい」

正道「今度、デンマークへ行くことになるかも分からんけどもいいかな?」

元子「えっ!?」

道子「どうして! どうして!」

 

正道「おい、そんな声出すことないだろう」

道子「だって、お兄ちゃんは帰ってこないし、お父さんまでいなくなっちゃったら私たちどうすればいいのよ」

正道「え、何言ってんだ。お父さん、仕事で行くんだぞ」

元子「仕事で?」

正道「ああ。ほら、大介のことなんかがあってゴタゴタしてたから言いそびれたんだけどもね、家具デザイナーの振興会からね、今度、北欧家具の見学プランが立てられてね、僕もその一員に推されたんだよ」

道子「いいなあ、デンマークか」しゃもじについたご飯粒を食べながら。

元子「何言ってんのよ。お父さん、お仕事で行くのよ。ほら、おしゃもじ」

道子「あ…はい」

 

正道「なあ元子、どうだろう、行っていいかな?」

元子「ええ、行ってらっしゃいな」

正道「しかし、大丈夫か?」

元子「何がですか?」

正道「ほら、ここんとこあっちこっちでいろいろあるだろう」

元子「大丈夫ですよ。でも、期間はどれくらい?」

正道「うん、2週間なんだよ」

元子「ああ、だったらなおのこと大丈夫。たとえ世間がどんなにガタガタしたとしたってデンと動じないのが母親なんですもの。ねえ、道子」

道子「え…ええ」

 

正道「よし、それじゃ僕もな、北欧の家具とそれを作ってる人間、勉強してこよう」

元子「ええ」

 

モンパリ

八木沢「いらっしゃいませ」

大介「いらっしゃいませ」

 

のぼる「いいの? 本当に」

元子「いいのよ、気にしないで。六根が気にすると彼の方だって気になるでしょうし」

のぼる「まあね」

元子「生きていくっていうのは、そんな甘っちょろいもんじゃないってこと、大介もああやって学んでいくんでしょ」

のぼる「驚いた。私は根がガンコって溺愛型だと思ってたんだけど」

元子「ええ、私は溺愛型よ。ベタベタの溺愛ママです。だから今日も編集長とやり合ってきちゃったんだけど。コインロッカー事件については私、どうしても許せないのよ。もちろん子供は女の子だけで産めるもんじゃないし、男性側のエゴイズムも許せないけど、どうして彼女らにとって子供の捨て場所がコインロッカーしかないのか、私にはそれがどうにもやりきれないのよ。だって、捨て子っていうのは昔からあったんだし、なにも今始まったことじゃないんですもの」

のぼる「うん」

元子「けど、昔はよ、そんな生まれたばっかりの赤ん坊をよ、紙袋に入れて捨てるなんていう捨て方はなかったわよ」

のぼる「それはそうだ」

元子「でしょう? 昔の母親ならもうそれこそ一張羅の着物を着せて、できるだけ裕福そうでその子をかわいがってくれそうな、うちの前に捨てたものよ」

のぼる「しかも、雨にぬれないように、そしてすぐに気付いてもらえるようにちゃんと軒先で風の当たらない場所にね」

元子「ええ。とすればコインロッカー事件っていうのは、どう考えても子捨てではなくて子殺しですよ。母親が自分で産んだ子を自分で殺すなんて…。女が母性を失ったらおしまいよ」

 

ギターをつまびいた大介。「時には母のない子のように」を歌いだす。

時には母のない子のように

時には母のない子のように

  • provided courtesy of iTunes

♪時には母のない子のように

だまって海をみつめていたい

時には母のない子のように

ひとりで旅に出てみたい

 

のぼる「大介君、なかなかやるじゃない」

元子「恥ずかしいわ…」

 

洋三叔父さんの時にはなかったサービス!? 大介の歌をBGMに会話は続く。

 

のぼる「コーヒー冷めちゃうわよ」

元子「うん」

のぼる「私ね、巳代子さんに会ったわ」

元子「巳代子に?」

のぼる「別居は驚きだったけど、彼女の悩みは、よく分かるのね。それで私、それ、やってみようと思うの」

元子「それって?」

のぼる「配転問題は、どう考えたって我慢できないけど、テレビでしゃべることだけが仕事じゃないって思うのね」

元子「ええ」

のぼる「巳代子さんに触発されたのかしら。今年、環境庁が発足したのも、これ以上、公害の垂れ流しは生存そのものが危うくなるっていう庶民感覚の突き上げからでしょう」

元子「うん」

のぼる「恐らく巳代子さんは、お料理研究家として素朴で、しかも鋭い危機感を持ったんだと思うの」

元子「ええ」

のぼる「それで私、資料室に勤務しながら、この問題と取り組んで書いてみようと思いついたのよ」

元子「えっ」

のぼる「書くことはガンコが先輩なんだから、いろいろ教えてほしいんだけど」

元子「もちろんよ。喜んで協力するわ、六根」

のぼる「ありがとう。ガンコに追いつくよう、私も一生懸命頑張るわ」

元子「ええ」

風

  • provided courtesy of iTunes

♪ふりかえっても

そこにはただ風が吹いているだけ

人は誰も人生につまずいて

人は誰も夢やぶれふりかえる

この歌は↑このドラマだったと思うけど、歌唱シーンがあって印象的だった。

 

幸い流産のおそれがなくなった圭子が無事に退院してきました。

 

圭子のアパートを訪れた元子がノックしようとするが、中からトシ江の声が聞こえてきた。

 

⚟トシ江「何かのはずみでいつ始まるか分かんないもんなんですよ」

 

アパートの中

圭子「はい」

トシ江「昔はね、あんまりはやばやと支度をするとかえって子供が育たないっていいましてね、7か月過ぎてから初めて肌着やおしめをそろえたもんなんですよ。なあに、昔だってね、月足らずでも育ちはしますけれども、けどまあ、一日でも長く余計におなかにいた方が赤ちゃんも力がつきますしね」

 

ドアの前で聴いている元子。

⚟トシ江「くれぐれも転ばないでくださいな。それは親の不注意なんですからね」

 

モンパリの前

大介にお金を渡す正道。「なに、2週間ほどで帰るんだがな、その間にもしも何かがあった場合にと思っただけだ。母さんは大丈夫だからな。ただ近頃、ちょっと気が立ってるからな、仮に話したいことがあってもお互いにまた突っ張って肝心なことを話せなくなることもあるかも分からんからな」

大介「どうもすいません。でもこれはもらえません」

正道「つまらん意地を張るな」

大介「いえ、今はその意地を張ってみようと思ってます」お金を返す。

正道「そうか」

大介「10日間と言ったけど、僕…もう少し時間を下さい」

正道「うん」

大介「圭子についていてやって考えたいことがあるんです」

正道「うん」

大介「もちろん大学は続けます。ここは体の空いてる時だけでいいとおじさんが言ってくれたので」

正道「うん、分かった」

大介「それじゃ、どうも」

正道「代わりにな、これを読みなさい」ノートを渡す。「お母さんが書いた、お前の育児日記だ。頑張れよ」

大介「はい」

 

茶の間で服を畳む元子とダイニングで何かを書いている正道。

元子「ねえ」

正道「うん?」

元子「北欧となると…今頃でも松江の2月よりは寒いんでしょうねえ」

正道「ああ、そういうことになるんだろうなあ」

元子「慣れない土地でまた傷が痛まないといいんですけどねえ。あっ、風邪とおなかの薬、一応、用意しておきましたからね」

正道「うん。よしと。圭子さん、持ち直したようじゃないか」

元子「大介にお会いになったんですか」

正道「ん…。中学の時にはな、嫌だなあと思ったこともある台所の手伝いが役に立ったっつってな笑ってたよ」

元子「フッ…」

正道「ハハハハ…」

元子「ええ、私もこないだモンパリのぞいてみたんですけどね、あの子、お皿洗いの方が歌より上手みたいでしたよ」

正道「ん? ハハハハ…。なあ、元子」

元子「はい」

正道「松江の父にしたって、人形町のお義父(とう)さんにしたってね、僕たちに好きな道を選ばせてくれたんだ。つまずいてばかりいる僕たちにイライラしたり随分ともどかしい思いなさっただろうなあ」

元子「ええ」

正道「今度は、それが僕らの番になったんだ」

元子「そうなんですね」

正道「まあ、これからもいろいろ壁にぶつかるだろうけども、そこは若さだ。大介もなんとか自分の道、探し当てるだろう」

元子「ええ、あなたの子ですもの」

正道「あれ…僕は今、君の子供だからって言おうと思ったんだけど」

元子「あら、私はあんなにハラハラさせませんでしたよ」

正道「ハハハ…。まあ…頑張っていこうや。な」

元子「そうですね」

 

つづく

 

来週も

 このつづきを

  どうぞ……

 

ほー! これで先週の一週間分が終わった。やっぱり朝ドラっていうのは1日15分ちょっとずつ見たいよなあ~。面白かったけどさ。