徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】本日も晴天なり(147)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

大介(木下浩之)は大学に行っていないのではと、元子(原日出子)は正道(鹿賀丈史)に相談する。正道もうすうす感じてはいたようだが、何か考えがあっての事だろう、と意に介さない。翌朝、のぼる(有安多佳子)がやってきて、大介が放送局の資料室にやって来ているという。のぼるは大介の調べものを手伝っているというので、大介に進路について聞いてみると、大介は2年ほどアフリカに行くための準備をしていると言い出す…。

BSのない環境にいたため、遅れ視聴しています。この回は2023年3月18日(土)放送。

 

大原家茶の間

洗濯物を畳む元子。大介の靴下の汚れが気になる。

 

正道の仕事部屋

図面を引いている正道のもとへ元子がお茶を持ってきた。襖みたいな扉なので引き戸かと思ったら開き戸だったんだ。

元子「あなた」

正道「うん?」

元子「大介…どうも大学へ行ってないようなんですよ。お茶、ここ置きますね」

正道「うん…」

元子「あの子もいろいろあったことだし、当分はいちいちうるさく、あれこれ聞かないようにとは思ってたんですけどね」

正道「どうもそのようだね」

元子「じゃあ、あなたも気付いてたんですか」

正道「いや、そりゃ気にするなって言われたって気になるさ」

元子「大介、大学へ行かないで一体、何やってるんでしょう? 洗濯物出させれば泥だらけだし、まるで地下鉄工事の力仕事でもやってるみたいな汚れ方よ」

正道「うん、案外当たってんじゃないかな」

元子「だったらどうしてなんでしょう? あの子だってここへ帰ってきた時、これからのこと考えるって言ったんですよ。4年になれば、もう就職でしょう。もしまだ圭子さんのことを思ってるんだとしたら、なおのこと、これから先のことしっかり考えてくれなきゃ困りますよ」

正道「まあな、何か考えがあってのことだろう」

元子「その考えがさっぱり分かんないから、こうして気をもんでるのに」

 

正道「これをね、白木で作ってみようと思ってるんだよ」←独特なデザインの椅子

元子「白木?」

正道「うん。日本にはね、まだ曲木(まげき)のすばらしい腕を持った職人がいっぱいいるからな。スチールとかレザーの椅子は大きな企業に任せて木の持つ本来の肌触りと素朴な温かさで勝負してみようと思ってんだよ」

元子「私は今、大介のことを…」

正道「うん、あいつも同じだよ。器用に生きられないところはね、僕に似てそっくりだけれども素朴な温かさがあいつの身上だ。その素朴さが十分生かされる分野をきっとあいつは探してるんだろう」

 

大原家廊下

目覚まし時計が鳴る音

電源コードでつながっている目覚まし時計で「ジリリリ…」というけたたましい音じゃなく「ブー」っていうブザー音。初めて聞いた。でもベルより私は好きかも。

 

茶の間兼寝室

元子は目覚まし時計に手を伸ばしてそのままうつぶせになっている。

正道「ああ…。おい…」目覚まし時計を止める。「おい、どうした、え!」

元子「はあ…急に起き上がったせいか、ちょっとめまいがして…。でも、大丈夫です」

正道「いや、大丈夫じゃないよ。ゆうべも遅くまで書き物してたんだから」

元子「少しこうしてればよくなりますから」

正道「ああ、分かった。寝てなさいね」

元子「でも、朝の支度が」

正道「いや、手はちゃんとそろってんだから。よいしょ」

 

廊下

正道「お~い、大介! 道子! 今日はな、お母さんが起きれないそうだから頼むぞ!」

 

⚟道子「は~い」

 

エプロンをあて、洗濯物を干す道子。

 

さすが長年にわたって家事の協力には鍛えられている一家。主婦のダウンにも見事な連携プレーを発揮いたします。

 

台所

お皿を拭いてる大介と洗っている正道。

 

感動的だなあ、こんな家族。

 

ダイニングから寝室で寝ている元子に話しかける。

正道「だからな、今日は安心して寝てなさい」

大介「そうだよ。いつまでもお若くはないんだから」

 

廊下

道子「それにしては、お母さんって本当に丈夫だったのね」

 

台所

正道「うん、病気とけがはな、これまでお父さんが代表して一手に引き受けてきたからね」

大介「ねえ、そうするとやっぱり結婚の条件は顔よりも頑丈さかな」

正道「おう、目安はな、スタイルのよさよりも安産型だ」

道子「ということは、私は縁遠いってことかな」

大介「母さんの子だろ、その心配だけは絶対ないからクヨクヨするな」

笑い声

 

寝室

元子「勝手なことばっかり言って」

 

時計は10時30分。

寝ている元子のもとに電話がかかってくる。手を伸ばしてすぐ届くところに電話を置いてある。

元子「はい、もしもし」

女性「あっ、金井さん?」

元子「違いますよ」

無言で電話が切られる。

元子「はあ…。よっこいしょ…」

 

⚟のぼる「ごめんください」

 

大原家玄関

のぼる「ごめんなさい! あら、留守なのかしら」

 

縁側に回る。

のぼる「ごめんください!」

 

茶の間兼寝室

着替えている元子。「六根…。あ~、ごめんね」

のぼる「具合でも悪かったの?」

元子「ううん。ここんとこちょっと寝不足してたもんだから。あっ、上がってちょうだい」

のぼる「うん…。駄目よ、無理したら」

元子「大丈夫よ。みんないなくなって静かになったせいか知らずに寝たみたい。すっきりしたわ」

のぼる「そんならいいけど」枕を片づけようとする。

元子「あっ、いいのよ、いいのよ」

 

のぼる「ねえ、もしかしたら寝不足の原因、大ちゃんじゃないの?」

元子「どうして?」

のぼる「やっぱり図星ね。大ちゃん、このところね、時々、うちの資料室来てるから」

元子「お宅の資料室へ?」

のぼる「うん。よいしょ…。あら、朝も食べてないんじゃないの」

 

ダイニング

元子「食い気より眠気だったから。ねえ、それより大介、お宅の資料室で一体何やってんの?」

のぼる「食べるなら温めてあげるわよ。それともお茶にする?」

元子「六根」

のぼる「いいから、お座りなさいな。話はその上でゆっくりと」

元子「ということは六根、あの子から何か相談受けてるの?」

のぼる「ううん。ただね、大ちゃんが知りたいと思う調べ物のね、手伝いしてるだけよ」

元子「調べ物って?」

のぼる「うん、今のところ、私にもね、何考えてるかよく分からないから、それ以上言えないけど。でも心配いらないわよ」

元子「いらないっていわれたって」

のぼる「でも私、今日は例の記録する会のことで来たのよ。あんまりあれこれ筒抜けじゃ、まるでスパイみたいで、私、嫌ですもの」

元子「だって」

のぼる「気になることがあったらちゃんと知らせてあげるから、しばらく黙って見ててやりなさいよ。ねっ。それよりね、これがね、例のね、記録する会のアンケートなの。見て」

原稿を渡されるが、気乗りしない感じの元子。

 

モンパリ

洋三「うん…それは悪くないなあ。要は大ちゃんの考え方一つだと思うよ。私はいいと思うな」

大介「本当に?」

洋三「うん。若々しくていいよ、え。私なんか羨ましいぐらいだ、ハハハハハ…」

大介「けど、おふくろさん、何て言うかなあ」

洋三「おいおい、見損なっちゃいけないぞ。9代続いた江戸染吉宗の血を引いたおっ母さんだ。少々のことで驚くような女じゃないよ、ありゃ」

大介「僕もそうは思ってるんだけどな」

洋三「だったらオタつくことないじゃないか、え。それにじっくり考えたらいいんだしさ…。あっ、圭子さんのことか?」

大介「いや、彼女とはデートの度に話し合ってるから」

洋三「ふ~ん。で?」

大介「思いっきりやってみろって」

洋三「あ~、それはいいじゃないか。百万の味方ってところだな」

大介「ハハハ…いやぁ」

 

八木沢「いらっしゃい」

洋三「お~、お待ちかねだ」

大介「やあ」

圭子「あっ…ごめんなさい。ばあやさんの都合でお休みが振り替えになっちゃったの」

大介「僕だったらいつでも構わないさ」

圭子「そう言ってくれるだろうと思った」

 

洋三「どれどれ、冬彦君、こっち預かろうか」

圭子「あっ、すいません、寝ちゃったんです」

洋三「お~、そうかい。それじゃあ、あそこの椅子のところに寝かせたらいいじゃないか。いいだろ? 八木沢君」

八木沢「はい、どうぞ」

圭子「すいません」

茶店の椅子じゃ何となく危なっかしいけどベルトみたいなのあるから大丈夫かな??

 

大原家ダイニング

元子「そう。じゃ、圭子さんも冬彦ちゃんも元気だったのね」

大介「ああ。冬彦なんかぐっと重くなっちゃってさ、母さん抱いたらびっくりするよ」

元子「だったら、うちへも連れてきてくれればいいのに」

大介「けどさ、やっと落ち着いたところなのに連れてくれば、やっぱり母さんいろいろと気になるでしょ」

道子「へ~え、それじゃ、お兄ちゃんそれで気を遣ってるわけだ」

大介「ああ。だから道子も母さんには心配かけるなよ」

道子「偉そうなこと言うわ」

笑い声

 

元子「じゃあ、ついでにもう一つ母さんの心配事、解決してもらおうかな」

大介「あれ? まだ何かあるの?」

元子「うん。あなたのことよ。今日ね、六根のおばさんが来たわ」

大介「え~。やだなあ。相当なおしゃべりだな、あのおばさんも」

元子「ううん、おばさんは何にも言わないわよ。別の用で来たんだもの。ただ、あなたが調べ物に出はいりしているってことだけ聞いたのよ。ねえ、大介、近頃一体何してんの?」

大介「うん、金もうけ」

道子「金もうけって、どんなこと?」

大介「今、僕たちで一番手っ取り早いのは、やっぱり地下鉄工事の仕事だろうな」

 

元子「けど、何のために?」

大介「うん、いずれ母さんにも相談しようと思ってたんだけど、僕2年ほどアフリカへ行ってこようと思って」

元子「アフリカ!?」

道子「何しに!?」

元子「ちょっと道子、黙ってなさい」

道子「だって」

大介「先輩がね、そこで新しい仕事を始めるから、お前も来ないかって言ってきてるし」

元子「大介…」

大介「大丈夫だよ。そのためにちゃんと資料も調べてるんだから。けどね、その先輩、絵の勉強しに行って、そこへ居ついちゃったんだから、とてもいい所なんだよ」

道子「いい所って?」

大介「うん、ケニアのモンバサっていう所でね、青い海があってエビがいくらでも取れるんだ。だから先輩、現地の人たちにエビの取り方を教えてるうちにすっかり仲よくなって一緒に楽しくやりながらバンバン稼いでるらしい。でね、いっそのこと養殖事業にまで持っていこうって計画中なんだ」

道子「すごい」

大介「すごいだろう。それでね、ここにはすばらしい音楽があるって手紙をくれた。だから僕、そういう音楽に出会ってみたいし、大自然を相手に思いっきり働いてみたいんだよ、母さん。でも、旅費まで下さいってわけにはいかないから、今、それをためてるんです」

元子「それで、圭子さんのことはいいんですか?」

大介「うん。2年たっても僕が帰りたくないと思うような所だったら圭子も冬彦を連れてやって来るって」

道子「かっこいい」

 

元子「バカなこと言ってないで地図持ってらっしゃいよ、地図」

道子「は~い」

大介「じゃあ、今、先輩からの手紙、持ってくるよ」

道子「ねえ、ケニアに海なんてあったっけ」

大介「あるさ。モンバサって所だよ」

部屋を出ていく二人に残された元子はため息。

 

茶の間

元子「いくら何でも突然すぎるわ」

正道「納得できないんだったら反対すればいい」

元子「じゃあ、あなた賛成なんですか? あれこれ勝手なこと言いだされても、はいはいって子供の言うこと聞かなきゃいけないんですか」

正道「しかしな、去年デンマークに行った時にいやぁ世界も狭くなったなと思ったよ。何しろな、一日あれば地球の向こう側まで行ってしまうんだから。そんな遠いところじゃないよ」

元子「そんな…そんなこといったって…」

正道「そりゃ、そんなこといったって僕だって驚いてるさ」

元子「そりゃ、私だって初めて圭子さんのこと言いだされた時は、ああ、これが子離れの時なんだって覚悟はしましたよ。けど、こんなふうに大介に出ていかれるなんて…」

 

電話が鳴る。

正道「はいはい、大原です。はい、そうです。あ~、そうですか。それはどうもありがとうございました。ああ、皆様によろしくお伝えください。はい、失礼いたします。元子、受賞したよ」

元子「はい?」

正道「あ~、ハハハハ…。いやな、ベストデザイン賞の中のインダストリアル部門の部門賞をくれるって」

www.g-mark.org

ベストデザイン賞=グッドデザイン賞? 1971年を見たら、テレビ、椅子、カーテン、カーペットあらゆるジャンルの製品がたくさん載っていた。というか、めちゃくちゃ数が多いことにびっくりした。

 

元子「あなた…」

正道「うん、今、その連絡だったんだけれどもね、この春にデザインして、あの山田さんとけんかしながら作った椅子が受賞の対象になったらしいよ」

元子「ああ…今日はもう私にとって一体どういう日なの」

正道「再出発の日とでもするか」

元子「再出発の?」

正道「うん。そりゃな、子供は親を乗り越えていくもんさ。君だって頑張んないとモタモタしてると取り残されるぞ。おい、しっかりしろよ。君が大介を育てたんだぞ、ああいう若者に」

元子「私があの子をあんなふうに育てた?」

正道「うん。僕らだってな、あの焼け野原から立ち直ったんだ。大介だってな、どんな所でもちゃんと生きていくさ」

元子「それにしたってあんまりよ」

 

茶の間からダイニングに移動し、仕切り戸を閉める。

元子「はあ…みんな人(しと)をどこまで振り回したら気が済むのかしら。(廊下に出て)大介、道子、お風呂入っちゃいなさい!」

 

台所

元子「これじゃ、私の戦後史だっていつ書き上がるか分かったもんじゃないわ。冗談じゃありませんよ」米を研ぎ始める。

 

つづく

 

来週も

 このつづきを

  どうぞ……

 

はあ~、先週土曜日分までいったぞー。先週金曜日に帰ってきて、11日分をまとめ見して、土曜日からはリアルタイムで見てるのですが、感想を書くとなると、4日分が限界だな。

 

アフリカ…昭和の初期あたりだと洋三叔父さんみたいに洋行(ヨーロッパ)するのが普通?なのに70年代あたりから、暑い地方へ行く日本人の物語が増えたような。都会のコンクリートジャングルから大自然へ、みたいな。

peachredrum.hateblo.jp

↑ドラマは1982年、東京での生活に行き詰まりを感じていた主人公が一家でトンガに移住する話で原作本が書かれたのは1974年、タイトルも「トンガへ逃げる」だから、現実逃避的なものを感じる。

 

実際、トンガへ行くと現地の人のいい加減さに辟易する日本人が描かれ、ちょっと日本人が現地の人を見下し気味に描いているのが気になったんだよね。豊かな日本人が助けてやるみたいな傲慢さを感じたというか。

 

元子はプリプリ怒ってるけど、そりゃ心配だよね。