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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(143)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

モンパリでお茶を飲みながら絹子(茅島成美)はトシ江(宮本信子)に、藤井と巳代子(小柳英理子)の夫婦喧嘩をこのまま放っておいていいのかと尋ねる。トシ江は近頃の人は辛抱が足りないと嘆く。そこに大介(木下浩之)と道子(川上麻衣子)が入って来て、カウンターの中に入っていく。道子もアルバイトだというのを聞き、トシ江は納得がいかず、帰宅した元子(原日出子)を待ち受け、道子を巻き込むなとくぎを刺す。

BSのない環境にいたため、遅れ視聴しています。この回は2023年3月14日(火)放送。

 

大原家茶の間

元子「じゃあ、今夜はだいぶ遅くなるんですね」

正道「うん。君の方はどうだ?」

元子「ええ、道子のことも気になりますし」

 

道子「行ってきます」←挨拶するだけえらい!って思っちゃう。

 

元子「あれですもの。私、あとで圭子さんの様子、見に行ってきます。あとは、うちで書き物してるだけですから、何かあったら電話下さい」

正道「うん、そうしよう。じゃ、行ってくるからな」

元子「はい」

 

吉宗

キンがトシ江のために草履を玄関に置く。

キン「へい…」外を歩く巳代子を見かける。「お出かけですか?」

巳代子「ああ…ええ」

キン「でしたらね、おかみさんもあの…そこまでいらっしゃるんで途中までご一緒お願いいたします」

トシ江「いいんだよ、方向が違うから」

キン「けど…」

トシ江「いいんだってば。しっかり頑張っといで」

コートの襟を立てた巳代子が何も言わずに足早に立ち去る。

 

キン「巳代子さんも巳代子さんですよ。都合のいい時は入り浸りでまあ、近頃はね、尻に帆をかけて、さっさと逃げ出すんですからね」

トシ江「あっ、草履ね、紫の鼻緒の方がいいわよ」

キン「へいへい」

トシ江「大丈夫、大丈夫、私がやるから…」

キン「いいえ、私がいたしますですよ」

トシ江「お土産は、くず餅の方がいいわよね、おキンさん」

キン「へいへい」

 

俊平「ただいま」

トシ江「あっ、お帰り」

俊平「おばあちゃん、どこ行くの?」

福代「俊平、今日はいけませんよ」

俊平「どうしてだよ」

福代「どうしても。それじゃ、お義母(かあ)さん、これ、お荷物にならないようにと思って、いつものですけど」

トシ江「ありがとね。はいはい」

俊平「そんじゃ、お土産!」

トシ江「はいはい。さあ、そいじゃ、よっこらしょっと。行ってくるわ。行ってまいります」

福代「行ってらっしゃいませ」

キン「行ってらっしゃいまし」

 

圭子のアパート

ノック

元子「こんにちは、大原です」

 

⚟圭子「はい、開いてますので」

 

元子「じゃ、失礼しますよ」

 

編み物をしていた圭子が立ち上がろうとする。

元子「ああ、いいのよ、私が」

圭子「あっ、でも、お茶を…」

元子「いいのよ、お茶なら自分でいれるから。特別なお客さんじゃないんですからね」

圭子「すいません」

元子「あら、何編んでんの?」

圭子「チョッキです」

元子「へえ~、どれ見せてごらんなさいよ」

圭子「うまくいかなくって。出来上がらないうちに赤ちゃん産まれちゃうんじゃないかって、大ちゃん言うんですよ」

元子「そうねえ、外出用ならこういうのもいいけど、毎日着せるものだったら、あなたの古いセーターをジョキジョキ切ってとじた方が早いわよ」

圭子「あ~、本当だ。いっぱいあるんです、着ないのが」

元子「まあ、ものは生かして使わないと場所塞ぎになるだけですからね」

圭子「はい」

元子「どう? 調子は」

圭子「順調です。あっ、それから昨日、あの、道子さんが来てくれました」

元子「やっぱり?」

圭子「すっごくかわいいんですねえ」

元子「で、何か言ってました?」

圭子「別に。私も退屈してたから、いろいろおしゃべりしただけですけど、たい焼き買ってきてくれて、とってもおいしかった」

元子「そう…」

 

モンパリ

カウンターでタバコを吸う絹子とコーヒーを飲むトシ江。

絹子「だけど、ねえ、お義姉(ねえ)さん、巳代ちゃんたちのこと、本当にこのまま放っといてもいいんですか?」

トシ江「えぇえぇ、構いませんともさ。ほら、昔から『夫婦げんかは犬も食わぬ』っていうでしょう」

絹子「うんうん…」

トシ江「だから、あんまり深入りして一緒になって祐介さんの悪口言ったら、もう、あとで取り返しのつかないことになるって、まあ、元子によく言ってあるんですよ」

絹子「まあ」

トシ江「あれで元のさやに納まってごらんなさいな。まあ、それこそ亭主の悪口ぼろくそに言ったっていってね、きょうだいの間に溝が出来るのが関の山だもの」

絹子「まあ、そういうこともあるわねえ」

トシ江「だからもう私は何を言ってきても知らん顔。口開(しら)けば仕事を持ってるって、まあ偉そうなこと言うけど、でも私だって吉宗の帳場、台所、職人の世話とやってきたんだし、ましてや巳代子は、おしゅうとめさんがいるわけじゃないしね。まあ、私に言わせれば、近頃の若い人(しと)は辛抱が足りないんじゃないんですか」

 

絹子「そうよねえ。浮気の苦労を知らないだけでも幸せっていうもんだわ」

トシ江「あら。あらあら、まあ…洋三さんも?」

絹子「えぇえぇ、あれで結構、お上手にやってたんじゃないのかしらね」

トシ江「まあ」

絹子「まあ、大事にならないうちに何となくここまで来ちまったけど、今日もね、お義姉さんと、おデートするって言ったら、子供みたいにプ~ッてほっぺた膨らませちゃってんのよ」

笑い声

絹子「私だって、たまには東京の空気が吸ってみたいわよって言ったんだけど…。東京ってこんなにくたぶれるとこかしらねえ」

トシ江「まあ、おやおや」

笑い声

 

絹子「あら? お義姉さん、コーヒー飲む人でした?」←コーシーって言ってました。

トシ江「とんでもない。あの河内山、砂糖の入った茶ぁなんか飲めるかっていうような人だったでしょ。あの人が死んでからのことですよ」

絹子「本当、よくあのだだっ子と波風も立てずに長いことつきあってきたんですねえ」

トシ江「えぇえぇ、私もほれてましたから」

笑い声

 

トシ江「けどまあ、さんざ私を置き去りにして一人(しとり)で遊び回ってたんだもの、だからもうしばらくは辛抱してくださいってね、今日も墓石にお酒かけてきたんですけど。けど、あの人も寂しがり屋だったからねえ…」

絹子「お義姉さん…」

トシ江「まあ、死んじまったらもう二度と会えないんだから、せいぜい仲よくすることよ、絹子さん」

絹子「本当だ」

トシ江「ええ」

絹子「ねえ」

笑い声

 

いいねえ、女子会。

 

大介「こんにちは。あっ、おばあちゃん」

トシ江「大介、元気にやってる?」

大介「はい」

トシ江「道子、どうしたの?」

道子「うん、私もアルバイト」

絹子「あら? 道子ちゃんのアルバイトは、お母さんがうんって言ってからのことって、おじさんの条件つきじゃなかったの?」

道子「だから、ちゃんと働くって言ってきました」

絹子「だけど、おばさんたち、よろしくとも何とも、ご挨拶まだ伺ってないわよ」

道子「いいじゃない、そんな固いこと言わないで。ねっ、八木沢さん、このエプロン使っていい?」

八木沢「いいんですか? 奥さん」

絹子「困るわねえ。道子ちゃんには、みんな弱いから」

トシ江は複雑な表情。

 

大原家前の路地を歩いてきた元子は門の扉が開いていることに気付く。

元子「誰ですか?」

トシ江「私よ」

元子「ああ、いらっしゃい」

トシ江「いくら呼んでもいないから、もう帰ろうかと思ってたとこなのよ」

元子「どうもごめんなさいね。圭子さんとこ行ってたもんだから。今、鍵開けるから」

トシ江「一体、あんたたち親子はどうなってるの」

元子「えっ?」

トシ江「そりゃ、あの圭子さんにみんなで加勢するのは結構なことよ。けど、道子は高校生なんでしょう。道子まで巻き込むの、私、反対よ」

元子「道子が何か?」

トシ江「モンパリ行ってごらんよ。大介と一緒に皿洗ってるわよ」

元子「そんな」

トシ江「とにかく親なんだから、間違いがあってもね、慌てないようにしておくれよ。はい」元子に預けられた紙袋を乱暴に返す。

元子「お母さん…」

 

道子の部屋

道子「だってさ、考えておくって言ったきり、なかなか返事してくれなかったんだもん」

正道「だから見切り発車してしまったってわけか」

道子「結果的にはね」

正道「それがどういうことか道子には分かるのか?」

道子「どういうことって?」

正道「お父さん、お母さんに考えさせておいて、その答えを待たずに勝手に行動したっていうのは我々を無視したことになるじゃないか」

道子「無視だなんて、私はそれほど大げさなことだと思ってません」

 

正道「だから軽い気持ちで圭子さんのところへも出かけたのか」

道子「あれは…」

正道「多分、道子の好奇心だろう」

道子「だって妹として関心を持つのは当然でしょう」

正道「うん、そうだろうな。しかしね、道子はまだ高校生なんだから責任を持って圭子さんに関わるのは無理なんだよ。無責任に関わったら、かえって圭子さんだって困らせることになるんだよ。お父さんはね、道子がお兄ちゃんを助けたいっていう気持ちは、よく分かる。しかしな、圭子さんには、お母さんだってついてるんだから、圭子さんに力を貸したいっていう分を何でお母さんの手伝いしようと思わないんだ?」

道子「だから、それは…」

正道「お金にならないっていうんだったら、小遣いプラスアルファは考えようじゃないか。それをカンパするのは道子の自由だ。しかしね、勝手にモンパリで働くっていうのは、おばあちゃんも反対なんだよ」

道子「おばあちゃんって人形町の?」

正道「うん…。お母さんな、道子のことでおばあちゃんに叱られたんだよ」

道子「知らなかった…」

正道「だからな、そんなに多くの人を騒がせてまで道子が圭子さんに協力することはないって、お父さん言ってるんだ。分かるだろう?」

 

大原家ダイニング

台所で洗い物をしている元子。

勝手口から大介が入ってくる。「こんばんは」

元子「大介…」

大介「話って何さ」

元子「いいから上がんなさいよ」

大介「いや、あんまり遅くなると圭子が心配するから」

元子「じゃ、母さんの心配はどうでもいいっていうの?」

大介「何言ってんのさ」

 

元子「道子は年頃なんですからね、あんまり向こうのアパートに出入りさせないでもらいたいの」

大介「ああ、そのことなら圭子に聞いたよ。あれは道子が勝手に来たのさ」

元子「だったら、アルバイトしてカンパするっていうのも道子の勝手なの?」

大介「そのことなら僕が働いてるんだから心配するなって、ちゃんと言ったさ」

元子「だったらどうして今日、一緒に働いたのよ。なぜ追い返してくれなかったの?」

大介「だからさ、僕たちなかなか話をする機会がないから皿洗いしながら話あったんじゃないか」

元子「口は重宝なもんだわね」

大介「じゃあ、信用してくれないの」

元子「信用されるようなことしてないくせに」

 

大介「汚いよ」

元子「何が?」

大介「出産まで圭子のところに住むことは母さん認めてくれたじゃないか」

元子「だけど、いろんなうわさが立ってんのよ。分かってくれる人ばっかりじゃないんですよ」

大介「そんなの変だよ。『己の信じる道は貫け』と小さい時から言ってくれたの母さんでしょう」

元子「あれはね」

大介「圭子のことだって、そうさ。『女性時代』には母性の欠如だとか何だとかかっこいいこと書いてるくせに、いざ、身近で起これば、まるで差別と偏見の固まりじゃないか」

言葉が出ない元子。

大介「確かに僕のやってることは世間的に見たら変かもしれない。でも、僕は悪いことをやってるとは思ってないからね。おやすみ」

元子「大介! ねえ…」

勝手口から出ていく大介。

 

道子「あれ、お兄ちゃんは?」

正道「おい、大介が来てたんじゃないのか?」

首を振る元子。

 

昭和47年

 

もろもろの問題を抱えながら、年を越して早々、圭子の出産の日がやって来ました。

 

赤ちゃんの泣き声が響く病院の廊下から、圭子のアパートへ荷物を抱えた大介と赤ちゃんを抱いた圭子の映像に変わる。

 

子供はまるまると太った男の子でした。

 

アパートの廊下

大介「気を付けろよ。落としたら大変だからな」

圭子「大丈夫、大丈夫」

元子「お帰んなさい」

圭子「ただいま」

大介「見て見て! もう笑うんだ」

元子「バカなこと言って。それは笑ってるんじゃなくてね、ほっぺの筋肉が動いてるだけ」

大介「何だ」

元子「まあ…」

圭子「本当にいろいろありがとうございました」

元子「挨拶は、あと、あと。お母さんも赤ちゃんも風邪ひいたら大変でしょ。さあ、どんどん入ってちょうだい。あっ…といっても、あなたのうちだったけど」

圭子「はい。フフフフ…」

 

圭子のアパート

元子「疲れたでしょう。すぐ横になった方がいいわ。今、お茶いれるから」

圭子「すいません」

元子「はい」

元子がベビーベッドの布団をめくり、圭子が赤ちゃんを寝かせる。

元子「ねえ、産後の21日間はね、絶対に無理しちゃいけないことになってるんですから、しっかり頼みますよ」

圭子「はい」

元子「大介もいいわね」

大介「はい」

元子「ほら、そう言ってるそばから、あんたが座っちゃ駄目でしょ」

大介「あっ…ああ」

 

赤ちゃんをあやす圭子のそばにいる大介とお茶を入れる元子。

 

つづく

 

道子がそこまで大介たちに肩入れする気持ちがあんまり分からないんだよね(^-^;

 

しっかし、洋三さんうまいこと浮気してたとは…。正道さんも藤井も浮気の心配がないってのはホントにいいね。今日はここまで。もうすぐ追いつく。