徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】本日も晴天なり(91)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

三井(星充)に案内されて、のぼる(有安多佳子)がやってきた。仕事で松江に出張に来ていてどうしても元子(原日出子)に会いたかったのだ。久しぶりに話したのぼるは、アナウンサーとして第一線で活躍し、いかにも颯爽としていた。元子はのぼるが何気なく言った「松江でのんびりしている間にボケましたね」という一言にショックを受ける。そんな気持ちが正道(鹿賀丈史)に伝わってしまい、夫婦できつい言葉で言い合うことに…。

バケツに水をくんでいる元子。「よいしょ…」

 

波津の習字教室

元子「和男君…あっ」

波津「あ~、動かんで、そのまま…そのまま拭いてもらいなさい」

和男「は~い」

元子「今日はまた随分と派手にやっちゃったのね」

和男「バシャンとやってしまったです」

元子「フッ…まあいいわ、そのままにして。あ~、じゃあちょっと立ってごらん」

 

和男…田中良一さん。同姓同名の人がいっぱい。

 

郵便配達「大原さん、速達ですよ!」

 

元子「は~い、ただいま! ちょっと待っててね。よいしょ、すいません…」

波津「こら、こら! よそ見すると墨がこぼれる」

 

玄関

郵便配達「速達ですよ」

元子「どうもご苦労さまです」

 

郵便配達夫…椎名茂さん。この名前、この間も見た気がする。調べたら同姓同名の経営コンサルタントの名前くらいしか出てこなかったので、書き残さなかった人だ。

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確か、この回で吉宗に電報を配達した人。やっぱ書き残すべきだな。

 

手紙の差出人は

東京都北区~以降は字がぼやけて見えない。

橋本寛治

 

元子「東京…」

 

習字教室

元子「あっ、すいません。あ~、だいぶ落ちたね。でもこれ一度ゆすがなくっちゃ。ちょっと待ってね,」

 

「ごめんください」

元子「は~い、ただいま!」

 

邦世「元子さん、私が出えけんね」

 

元子「すいません。よいしょ…」ぞうきんを絞って、和男の墨を拭く。

 

邦世「おやまあ、三井さん。その節はいろいろありがとうございました」

 

元子「三井さん…?」

 

良男「元子さん、いらっしゃいますか。今日は珍しい人連れてきました。こちら立山君といって昔の同期生です」

 

元子「六根…!?」

 

玄関

のぼる「突然お邪魔して申し訳ございません。東洋ラジオの立山のぼると申します。東京では大原さんや元子さんに大変お世話になった者です」

邦世「まあ、そげでございましたか」

元子「六根…!」

のぼる「ガンコ…!」

邦世「元子さん、お上がりになってもらって」

元子「はい…あっ、すいません」

 

良男「相変わらずのガンコさんだなぁ。それで顔拭かなくたって夢じゃないさ。本物の六根だよ」

元子「だって、六根ったら急に来るんですもの」

のぼる「ごめん。知らせようとは思ったんだけど」

元子「うそ。昔から人(しと)を驚かして喜んでたじゃない」

のぼる「本当よ。仕事で来たんですもの」

元子「仕事で?」

良男「ああ、仕事の都合で。だから、知らせて、もし時間取れなかったら、かえってがっかりさせるからと僕がそう言ったんだ」

 

元子「じゃあ、三井さん知ってたんですか?」

良男「ゆうべ、局に電話もらったから」

のぼる「万一の時はね、三井さんにお土産だけ言づけようと思ってたの」

元子「それで?」

のぼる「無事終わったから、こうして顔見に来たんじゃない」

元子「いや~! ありがとう!」手に雑巾を持ったまま抱きつこうとした。「あっ、ごめん…今ね、墨拭いてたの。ついちゃった?」

のぼる「大丈夫よ」

笑い声

 

邦世「元子さん、そぎゃん遠い所からおいでになったお客様、玄関でおもてなしなさあですか」

元子「あっ、すいません。そうでした。さあ、どうぞ。ねえ、三井さんも上がってください」

良男「いや、僕は案内役だから」

邦世「そげなことおっしゃらず、どうぞ」

良男「ええ、そうさせていただきたいんですが、今日これから1つ仕事が残ってますから」

邦世「ああ…」

元子「残念ね」

 

良男「そのかわり、ここまで来るまでに歩きながら大急ぎで六根とは僕の方が先に話、してしまったからね」

元子「ずるい。でも、ありがとう」

のぼる「それじゃ、三井さん、またお会いしましょうね。どうもありがとうございました」

良男「じゃあ、君も頑張ってね」

のぼる「ええ」

良男「それじゃあ。失礼します」

元子「どうもありがとうございました」

のぼる「気を付けて」

良男「はい」家を出て行く。

 

元子「六根、大原の母です。こちら立山のぼるさんです」

のぼる「初めまして」

邦世「おうわさは正道からも元子さんからもよう伺っちょうますけんね。さあ、とにかくお上がりになってごしなはい」

のぼる「はい。あの、これつまらないものですけど東京から持ってまいりました、のりです」

邦世「まあまあ、ご丁寧に。元子さんも早(はや)こと手を洗って」のりを持って廊下へ。

元子「はい」

 

のぼる「失礼します」

元子「あっ、荷物は?」

のぼる「駅に預けてきた」

元子「そう。じゃあ、どうぞ」

 

邦世「元子さん」

 

正道たちの部屋

元子「はい」

邦世「お口汚しですけんね。おいちょきますよ」

元子「どうもすいません。道子は…?」

邦世「よう眠っちょうけん、ゆっくりしてごしなさい」

元子「はい。どうもすいません。ごめんなさいね。今日はあいにくとお座敷の方、お習字のお子たちが使ってるもんだから」

のぼる「構わないわよ。私はガンコの顔を見に来たんですもの」

元子「うん。さあ、どうぞ」

のぼる「頂きます」お茶じゃなくて抹茶! それをサラッと飲んで茶碗の口をつけたところを拭く自然なしぐさ。

 

元子「ねえ、本当に泊まっていけないの?」

のぼる「ごめん。どうしても夕方のに乗らないと」

元子「じゃあ、夕飯は駄目?」

のぼる「本当に顔を見に来たんだから、そんなことに気ぃ遣ってる時間がもったいないわ」

元子「うん…そんなにせかされたら何から話していいか分かんなくなる」

のぼる「おやおや、あの頭脳明晰なガンコさんが松江でのんびりしてる間にボケましたね」

 

あらすじで読んだときはギョッとしたけど、のぼるの言い方はあくまで冗談っぽい感じなんだけど、元子は真に受けた。

 

のぼる「一度、来てみたいって思ってたんだけど。わぁ~、いい所ね、松江って。想像してたとおりだわ」

元子「ええ、まあね」

のぼる「それにお父様がお亡くなりになって、皆さんどんなにお寂しくしてらっしゃるかって気にはしていたんだけど…でも、驚いたわ。おばあ様のお習字教室だなんて、やっぱり明治の女性は大したものね」

 

若大将シリーズ」とかも明治生まれの人をやたら持ち上げる感じってなんだろ? ついでに若大将シリーズだと大正生まれの人をバカにした感じもあった。

 

元子「ええ。六根のお母様はお変わりなく?」

のぼる「おかげさまで。私がこんなふうに飛び歩いてるもんだから、どっちが花子の母親だか分かんないみたい」

元子「羨ましいわ」

のぼる「ねえ、三井さんから聞いたんだけど、ガンコ、モニターやってるんですって? なかなか優秀なんですってね」

元子「でも、うちはまだ下のが小さいし、ぼちぼちよ」

 

のぼる「でも、続けなさいよ。ガンコ、昔っから作文うまかったんですもの。もったいないわ」

元子「そんなこと言ったって本業は主婦だもの」

のぼる「でも、巳代子さん頑張ってるわよ」

元子「ありがとう。時々、手紙くれるんだけどね、あなたに本当、お世話になってるって」

のぼる「ううん、私は人に紹介するだけ。あとは巳代子さんの人柄と力ですもの。でもね、主婦業を放り出した私と違って、本当に両方うまくやってるわ」

元子「あの子はね、昔っからそういうところがあったから」

のぼる「ガンコ」

 

元子「あっ…。だけどね、おんなじ16期生がバリバリやってるのって私にも誇りなのよ。頑張ってね、六根」

のぼる「まあね、ここまで来たら後には引けないっていう気持ちもあるけど、ひところジョーが体壊したことがあったの」

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元子「えっ、知らなかったわ。ごめんなさいね」

のぼる「ううん、おかげさまでもういいの。でも、ろく膜だったから半年ぐらい寝たっきりだったし、あの時、東洋ラジオに入ろうって決心したの虫が知らせたのかもしれないわね」

元子「そんなだったの。ちっとも知らせてくれないんだもん」

のぼる「生活抱えるとね、女は強くなるの。自分でもびっくりしちゃった」

元子「強いわね、六根って。昔っからそうだったけど、本当にすごい」

 

のぼる「ううん、世の中はどんどん変わってるのよ。今は神武景気だっていうけど、経済白書でもね、もはや戦後ではないって発表したけど、まさに実感ね。男に任せといて、また戦争にでもなったら大変ですもの。新しい世の中をつくるためには女性も大いに参加していかないとね」

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昭和29(1954)年12月~昭和32(1957)年6月

 

元子「あ~あ、何だか遠くの人になっちゃったみたい」

のぼる「バカなこと言わないでよ。私たちいつだって親友だったでしょう」

元子「うん…」

 

のぼる「ねえ、この本読んだ? 五味川純平の『人間の條件』」

元子「ううん」

映画には波津役の原泉さんも出てる。しかし、映画見たことなかったっけ?と思ったら、別の作品でした。

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のぼる「この旅で読もうと思ってバッグに放り込んできたんだけど、私もう読んじゃったから置いていくわ」

元子「ありがとう。読んでみたいなとは思ってたのよ」

のぼる「本なんてね、読もうと思わなければ読めないものよ。主婦だからって勉強を忘れたら駄目。それとガンコは、まず書くことを忘れないこと」

元子「はい」

 

子供たち「さようなら!」

 

元子「あっ、終わったみたい」

のぼる「うん」

 

庭から外へ。

子供たち「さようなら!」

波津「さようなら、気ぃ付けんだで」

子供たち「さいなら!」

 

習字教室の片づけを手伝うのぼる。

邦世「本当にいいですけんねえ。どうぞ元子さんとゆっくりしてごしなはい」

のぼる「はい。でも年中体動かしてる方ですから」

元子「ごめんなさいね、落ち着かなくて」

波津「そげだわね、お客さんに失礼ですけんね」

のぼる「いいえ、お客様なんかではございませんから」

 

大介「ただいま!」

 

元子「あら、お帰り」

のぼる「あっ、お帰りなさい。大介君ね」

大介「はい」

元子「覚えてる? 花子ちゃんのママよ」

大介「はい」

のぼる「こんにちは」

大介「こんにちは」

元子「いい子」

 

大介と手をつないで大原家の門を出たのぼる。元子は道子を抱っこして見送る。

 

ひと汽車遅らせただけというのぼるの訪問は慌ただしくわずかな時間でした。

 

のぼる「じゃあ、頑張って。元気でね」

元子「ありがとう。あなたもね。さようなら」

のぼる「じゃあ、バイバイ」

大介「バイバイ」

元子「気ぃ付けてね」

 

裏の井戸で大根を洗う元子。

 

のぼるとのおしゃべり。元子には少なからず刺激が強かったようです。

 

夜、正道たちの部屋

テーブルの上には「人間の條件」の文庫本と東京からの手紙。手紙を読んでいる正道がため息をついて横になる。「あ~」

 

ふすまが開く音

元子「あっ、お床を取りますから」

正道「あっ、明日お客あるぞ」

元子「はい。お手紙の方ですか?」

正道「うん、橋本っつってね、昔の仲間だ」

元子「じゃあ、例の建設関係の方?」

正道「うん。まあ、近々会って相談しようと思ってたんだけども下関へ仕事へ来る帰りにね、寄るっつってきた。ちょうどよかった」

元子「千客万来ね。六根が寄ってくれたと思ったら、今度はあなたのお友達。とっても松江ボケなんかしてられないわね」

 

正道「松江ボケ?」←地元の人間が引っかかるのは分かる。

元子「お泊まりになるんですか?」

正道「ああ、そういうことになるだろうな」

元子「はい。でも本当に東京が神武景気だっていうんなら、まごまごしてると私たち置いてかれちゃうわね」

正道「君らしくないな、軽率だぞ」

元子「はい?」

 

正道「神武景気ってのはね、時流に乗って荒稼ぎした連中が浮かれて勝手に言ってることだよ」

元子「あっ、ごめんなさい。別にそういうつもりで言ったんじゃないんだけど、六根があんまりさっそうとしてたもんだから、つい、そんな言葉がぴったりくるなと思って」

正道「それはね、彼女は電波の第一線でバリバリやってる人なんだから」

元子「そうなのよね。だからもう目なんか生き生きと輝かせちゃって。私とは随分、水があいたっていう感じ」

正道「君だって、主婦業をきちんとやってるじゃないか」

 

昨日は、イケダン、スパダリなんて言ったけど、正道さんはさすがにこの時代の男らしく元子がテーブルや布団を運んでいても動かない。まあ、時代だからね~。これを正道さんがやったら元子なんて家事してないじゃん!と指摘する人いそう。昼間ぐーたら寝てるわけでもないのにね!

 

元子「だって主婦専業だもの」

正道「だったら、好きなことに手を出したらいいだろう」

元子「あなた…」

正道「僕はね、君が勉強するのには反対してないはずだよ。やりたいことがあるんだったら、おふくろに主婦業を代わってもらえばいいんだよ」←またおばあちゃん任せ。

元子「だって道子はまだ小さいんですよ」

正道「だったら、そんなに当てつけがましいこと言わないでほしいな」

元子「当てつけだなんて…どうなさったんですか、あなた」

正道「とにかく僕はね、これでもいろいろ考えてるんだよ。でも、全ては橋本に会ってからだと思ってんだ。少なくとも松江ボケなんかはしてないつもりだけどね」

 

元子「分かりました。では、どうぞ橋本さんと全てをご相談くださいませ」

正道「相談は家族でするもんだよ」

元子「でも私は松江ボケしてますから」

正道「元子」

元子「今日ね、六根にはっきりそう言われちゃったんですもの」

正道「じゃあ、後悔してるってことか」

元子「そうは言っておりません。あの人は電波の第一線にいて、私がモタモタしてるだけですわ。当てつけなら自分に当てつけますよ」

正道「元子…」

 

邦世「元子さ~ん。ちょっと来てごしない。元子さ~ん!」

 

元子「は~い、ただいま!」

正道「元子!」

 

玄関

元子「あっ、お義母(かあ)様」

邦世「またまた珍しいお客さんですよ」

元子「えっ? 順平…!?」

順平「こんばんは」

元子「こんばんはじゃないわよ、あんた…どうしたの、こんな突然に」

 

邦世「まあまあ、お話は後にしてお食事どげなさったですか? おなかすいちょませんか?」

順平「ペコペコ」

邦世「ほんなら、すぐ支度しましょうね」

元子「ちょっと待ってよ。あんた、ちゃんとお義母様にご挨拶したの?」

邦世「しましたよ」

順平「ねえ」

元子「ねえって…」

 

正道「お~、順平君じゃないか。どうした? 一人か?」

順平「うん」

正道「あ~、よく来た。さあさあ、上がんなさい、上がんなさい…。あ~、よく来た。ちゃんと靴…」

 

千客万来。どうして順平までが松江にやって来たのでしょうか。

 

さっさと家に入っていった順平の靴を並べるように元子に言う正道。順平の靴をそろえて元子も廊下の奥へ。

 

つづく

 

明日も

 このつづきを

  どうぞ……

 

順平ってそこそこ出番のある役だったんだな…。つい「純ちゃんの応援歌」の昭や雄太と比べちゃう。宗俊の息子で正大があんな感じだったんだから、もうちょっとさあ…なんて失礼なことを思ったりして。

 

元子も働かざるを得ないようなダメ男と結婚した方が思う存分働ける…が、元子は、そういうダメ男に引っかからなさそう。