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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(96)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

日曜日の朝いちばんに恭子(小島りべか)から電話が来る。元子(原日出子)が書いた童話の原稿について話がしたいという。正道(鹿賀丈史)にことわり、待ち合わせのモンパリにつくと、恭子からケチョンケチョンにダメ出しをされる。もっと奇をてらわず素直に書くように、と何度も叱られていると、のぼる(有安多佳子)もやって来る。のぼるは、恭子の友情は元子にとっては過保護ではないかと主張し、言い争いになってしまい…。

大原家前

大介「面! 面! 面! 面! 面! 面! 面! 面! 面!」

正道が相手をしている。

 

電話が鳴る。

元子「はい、大原です」

恭子「おはよう。起きてた?」

元子「起きてたわよ。どうして?」

恭子「だって、日曜だから」

元子「ブルースこそ日曜なのにどうしたの?」

恭子「うん、日曜なのに出ることになっちゃったのね。で、午後から体が空くんだけど無理?」

元子「ううん、みんないるからかえって出やすいと思うわ。ねえ、読んでくれた?」

恭子「読んだ。じゃあ3時、モンパリでいいかしら」

元子「ええ、結構です。3時にモンパリでね」

 

ダイニング

大原家の家族の食事シーンって初めて?ってくらい珍しい。

正道「大介、いっぱい食べろよ」

大介「はい」

元子「道子、おみそ汁、お代わりあるからね」

道子「はい」

元子「大介は、ごはんお代わりしなさいよ」

大介「はい」

 

正道「しかしな、恭子さんもタフだなあ。日曜まで出勤じゃ大変だろ」

元子「でも、午後から少し体が空くんですって。ちょっと行ってきてもいいですか?」

正道「ああ、いいよ」

元子「すいません。でも、夕飯の支度までには必ず帰りますから」

正道「うん、いいよ。どうせ今日はな、寝てよう日のつもりだったんだから」

 

寝てよう日! 昔、父がよく言ってたような…。

 

元子「まあ」

道子「それじゃ、道子も残る」

元子「じゃあ、モンパリのケーキをお土産に頂いてきてあげるわ」

正道「それもいいけど、ちょっと人形町、顔出してくるかな。行くか? 大介」

大介「僕は宿題があるから」

道子「私、行く」

元子「まあ、道子はどこへでも行きたがりなんだから」

道子「だってさ」

 

正道「いい、いい。どうせな、おじいちゃんの顔、ちょっと見てくるだけだから」

元子「すいませんね、せっかくのお休みのところ」

正道「うん、祐介君も気をもんでるだろうからな。お義父(とう)さんと話し合ってくるよ」

道子「じゃあ、お昼からお兄ちゃんも一緒に出かければいいのに」

 

元子「ああ…どうする? それまでに勉強終わる?」

大介「終わるけど行かない」

元子「どうして?」

大介「友達と約束があるから」

元子「でも、お父さんとみんなで出かけるのは久しぶりじゃないの。約束はまたにできないの?」

大介「だって先口だもの。それに約束は守れとお父さんに言われたし」

元子「でもさ」

正道「いや…約束は約束だ。そのかわり、お父さんたちも早く帰るから、あんまり遅くなるな。中学生なんだからな」

大介「はい。ごちそうさま」

元子「お粗末さん…」

 

大介、そろそろ難しい年頃なのでしょうか。

 

中学生で親ベッタリな子よりいいと思うのは他人事だからかなあ。

 

吉宗

道子と手をつないで歩いてきた正道。「ごめんください」

 

トシ江「は~い」

 

正道「こんにちは」

トシ江「うわぁ、正道さん。まあ、道子も」

道子「こんにちは」

トシ江「まあ、こんにちは。お兄ちゃんは?」

道子「友達と約束があるんだって」

トシ江「あらぁ、そう。ねえ、あんた! 正道さんと道子ですよ! 道子!」

 

茶の間

宗俊「大きな声出さなくたって分かってらぁ。おい、道子」

藤井「こんにちは」

宗俊「上がれ、上がれ」

 

トシ江「さあさあ…」

道子「私、弘美ちゃんのとこへ行ってくる」

トシ江「あ…そう」

正道「いたずらはしないでくれな」

道子「はい」

トシ江「ハハハ…さあさあ、どうぞ上がってくださいな」

 

正道「どうも、ご無沙汰してます」

宗俊「おう」

藤井「どうも。いやぁ、こうして昼間、3人がゆっくり顔を合わせたのは本当に久しぶりですよね」

宗俊「なに、忙しいのはお互い達者な証拠だ」

正道「いや、申し訳ないと思いながら、ついついご無沙汰しまして」

 

宗俊「でもよ、オリンピックに間に合わそうってのか、近頃おめえ、あっちこっちでビルがニョキニョキおっ立ってるじゃねえか」

正道「おかげさまで、もう、ビール1本飲むとパタッと寝ちゃうありさまですよ」

宗俊「お~、結構なシャレじゃねえか」

藤井「ハハハハ…」

正道「あっ、ハハハハハ…。今日、順平君は?」

 

宗俊「ん? 何をやってんだかな。出ていったら糸の切れたたこさ」

正道「若いんですねえ。羨ましいですよ」

宗俊「バカ言っちゃいけねえやな」

藤井「しかしですねえ、遊び歩いてるわけじゃないんですから」

宗俊「おうよ。遊びは男の甲斐性だ。きっちり仕事してりゃ、はっきり遊ぶ分には、俺ぁ何にも文句は言わねえよ」

 

正道「実はお義父さん、順平君の仕事のことなんですけどね」

宗俊「いいんだ、いいんだ。もう順平のことなら、もういいんだ」

藤井「けど、お義父さん」

宗俊「いや、本当にいいんだ。まあ、おめえさんたちには心配かけてすまなかったがな」

正道「いや、しかしですね」

宗俊「いや、紺屋の仕事もな、まあ先行きパッとしねえ仕事だしよ、順平もああして嫌がるんだから、俺、吉宗をな、俺の代でもう終わりにしたって、しかたねえんじゃねえかと、そう思えてな」

 

藤井「しかし、なにもそこまで思い詰めなくても、お義父さん」

宗俊「けどよ、おめえ、見込みのねえやつに継がしたところで8代続いた吉宗ののれんを汚されるだけよ。まあ、それよりはおめえ、善吉の野郎にな、思い切って譲ろう、俺も、そう腹ぁ決めたんだ。ところがあのバカ、おめえ、首をうんと縦に振りやがらねえ」

正道「それ、どういうことですか。まさか善吉さんまでこの仕事に見切りつけたってわけじゃないでしょうね?」

トシ江「そうじゃないのよ。善さんはね、彦さんのようになるってきかないの」

正道「彦さんのようにですか?」

トシ江「彦さんは、まあ、この人(しと)の片腕っていうか、ご意見番っていうか、まあ、そういう人でしょ。だから、まあ、順平をもり立てて吉宗9代目の一番職人を押し通したいって」

宗俊「時代が違うんだよ、時代が。手間ぁ省くことばかり考えてるご時世によ、何でも機械ばやりで、うちみたいな手染めは取り残されていくだけさ」

正道「いえ、そんなことありませんよ。伝統があって、初めて合理化も可能なんです。手染めと機械染めは必ず両立するはずですよ」

宗俊「その、しち面倒くせえことは分かんねえがな、現に浴衣だってよ、本当に好きな人の仕事しか来ねえじゃねえか。配りもんの手拭いだって盆暮れに祭りだけだしよ。そんならおめえ、俺と彦さんと2人だけでぼちぼちやったら十分、間に合わあやな」

 

藤井「そうはいっても、彦さん、もう年ですし」

宗俊「だから、おめえ、そん時はよ、2人でやれるだけはやって、あとはさっぱり善吉にくれてやるつもりさ。まあ、あとはな、裏の家作、ぶっ壊してよ、あれ、下、駐車場にしてな、上、アパートおっ立っててよ、まあ、そうすりゃ彦さんとばあさんの3人ぐらいは楽に食っていけるだろうよ」

正道「お義父さん、そんな気の弱いことおっしゃらないでくださいよ」

藤井「そうですよ。それに裏の家作といったら、つまり、僕たちが住んでるうちでしょう」

宗俊「おうよ。まあ、俺も覚悟を決めたんだからな、おめえも覚悟を決めてよ、え、自分のビルでもそのうち、おっ立てる計画でも持ったらどうだ」

藤井「はあ…それは」

 

宗俊「ハハハハハハ。おい、おめえ、祐介君な、おめえ、がっくりきてるからよ、うな重でもいってやれ」

トシ江「はいはい」

宗俊「この男には特別に肝吸いをつけてやったらどうだ」

トシ江「分かりました」

 

伝統的な手仕事は後継者問題の悩みを抱える時期でもありました。

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昭和37年の映画。この作品でも趣のある日本家屋の広い庭木を切りまくって駐車場にしたり、嫁姑問題で若夫婦がアパートで暮らしたりしてた。

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昭和40年。若大将の実家の明治から続くすき焼き屋「田能久」は破産。一家はマンションの11階で暮らし始めるが、店を再建した。

 

こういう時代になったんだな~。映画はその当時の景色も見られるから面白い。

 

モンパリ

カウンターでケーキを箱に詰めている絹子。

洋三「あの分だと、今回もボツだね」

絹子「ブルースも仕事のこととなると相当厳しいみたいだから…」

洋三「うん」

 

恭子「だから」

元子「ええ」

恭子「私は童話を書いてみたらとそう言ったのよ」

元子「うん…」

恭子「だったら、これが私の頼んだ童話だと思ってんの?」

元子「それはね、頼まれたのとはちょっと違ってるとは思うけど」

恭子「分かってるならどうしてわざわざそういうことをするのよ」

元子「だからつまり、ブルースの注文を私なりに考えてみて」

恭子「そんな複雑にすることはないとこの前も言ったはずだし分かってくれたんじゃなかったの」

元子「それはね…」

恭子「私は具体的に頼んだつもりだけど?」

元子「だけど…」

恭子「ううん、わざとそんな変化球を狙わなくたって作品にはおのずと個性が出てくるものなのよ。せっかくいいスタートを切ったくせに本当にやる気があるのかしら」

元子「あるわよ。もちろんあります」

 

恭子「だったらどうしてもう少し素直に書かないのよ。文章力は昔っからあるんだから、わざわざ奇をてらうようなことはしないで。いい? ガンコがこれを出版したいっていうんなら、話は別だけど、私は放送することを前提に書いてもらっているんだから子供が聴いて分かるもんでなくちゃ。モニターとしてのガンコは簡潔、要領を得て、かつ、本質を捉えていると定評があるのに創作となるとどうしてこう素直じゃなくなるのかなあ」

元子「本当よねえ。どうしてなのかしら」

恭子「ん…ひと事みたいに言わないで。私は一生懸命応援してるのよ」

元子「ご期待に沿えず、申し訳ありません」

 

のぼる「こんにちは」

洋三・絹子「いらっしゃい」

のぼる「あっ、いるいる」

洋三「相変わらずやられてますよ」

 

のぼる「どう? ケチョンケチョンに斬られてんの?」

元子「ん…六根」

恭子「珍しいわね。仕事は?」

のぼる「徹夜明け」

恭子「それにしてはツヤツヤしてるじゃないの」

のぼる「人間、充実している時なんかそんなもんよ」

 

恭子「昨日の女性ニュース聞いたわ」

のぼる「本当? あれ、自分で取材したの」

恭子「どうりで。一万円札とお台所なんて、つかまえ方、六根のやじ馬根性が程よく出ていてウケていたし、第一、分かりやすかったわ」

のぼる「ブルースにそう言ってもらえるとうれしいわ」

恭子「そうよ。六根の仕事は、もはやアナウンサーというよりはインタビュアーといった方がいいんだもの。我が同期の中では一番のスターだわ」

のぼる「スターの座を守るためには、まず健康。トマトジュース下さい」

絹子「はいはい」

のぼるたちの笑い声。元子は聞き役に徹し、ため息。

 

のぼる「ガンコ」

元子「えっ?」

のぼる「ねえ、女性ニュースの取材、手伝ってもらえないかしら。初めにバイトでもね、そのうちうまくいけば契約になる可能性もあるし、どう? プロデューサーに頼んでみましょうか」

恭子「駄目駄目、この人は駄目」

のぼる「どうして? だって道子ちゃんだってもう大丈夫な年頃だし。ねえ、ガンコ」

元子「うん…道子の方はそろそろ分かってはきたんだけど、逆に大介が難しい年頃でしょう。あんまりうちを空けるのは、やっぱり無理だと思うわ」

のぼる「ガンコらしくもない。そんなこと言ってたら、いつまでたったって一人前になれないわよ」

恭子「あなたとは違います。六根には赤ちゃんの時から母親代わりのおばあちゃまがずっとついてるけれど…」

 

のぼる「けどね、プロになるためには誰だって多少の無理は押し切ってるのよ。ブルースの友情は、むしろ過保護なんじゃないかしら」

恭子「あら、過保護のどこがいけないの? 私はガンコが今のままで書いていける方法を考えているのに」

元子「ちょっと待ってよ、2人とも。ねっ…」

恭子「ううん、私はね、ガンコは平凡な主婦のままで書いてた方がいいと思うの。また書いていけるのよ、ガンコは」

のぼる「それはね、そりゃそうかもしれないわよ。でもねガンコ、何かやりたいんならどっかでふんぎらなきゃいけないんじゃないの?」

 

大原家台所

やかんのお湯を魔法瓶に入れる元子。

正道「やっぱり、恭子さんの言うとおりね、平凡にやるっていうことが大事なんじゃないかな。僕はね、その意見に賛成だよ」

元子「それにしても私って、そんな素直じゃないのかしら」

正道「うん? どうしてだ?」

元子「だって、文は人を表すっていうでしょう」

正道「いろいろ抱えすぎてるからだよ」

元子「抱えるって?」

 

正道「いつもね、元子のバイタリティーには感心してるけれども、時には整理も必要だよ。例えばしばらくモニターをやめてみるとか」

元子「モニターを? 駄目よ、それは」

正道「いや、しかしな」

元子「たとえ僅かでも決まって入る私の収入なんですもの。これだけは手をつけずに松江に送ることにしてるんです」

正道「しかし、仕送りなら僕の給料で賄えてるだろう」

元子「あなたはあなた。私は私よ。お金で肩代わりできることだとは思わないけど、松江のお義母(かあ)様に少しでも親孝行のまね事ぐらいはしたいわ」

 

正道「だったら、ほかに整理するものを考えるんだな」

元子「だけど、人形町の母にしたって、嫁、妻、母の3役にお店と従業員、その身内のことまでやってのけてるんですもの。ほかに整理することなんて何にもありませんよ」

正道「だったら、やっぱりコツコツやるしかないっていうところへ戻るじゃないか」

元子「そうなのよね」

正道「ハハ…たまにはね、面倒くさいことは忘れてごらん。そしたらいい考え浮かぶかも分からないし」

元子「本当にいつまでたっても物好きなくせに物にならない奥さんで申し訳ありません」

 

正道「ハハ…今日、人形町でね」

元子「ええ」

正道「順平君も交えて、お義父さんともじっくり話をしようと思ったんだけれども、当の順平君が仕事でいなくてな」

元子「本当にあの子ったら」

正道「そのかわり、お義父さんの気持ちを聞いてきたよ。お義父さんね、吉宗をお義父さんの代で閉めてもいいって覚悟を決めてらっしゃるようだった」

元子「まさか。本気じゃないんでしょう?」

正道「いや、あとは善さんが機械を導入しようが、それは善さんの自由だって。しかしね、吉宗ののれんを譲れば、善さんも8代続いた名前にこだわって手染めを捨てるわけにはいかないだろうから、いっそきっぱりと別の会社の名前にでもした方がいいって、そこまで考えてらしたよ」

元子「そうでしたか…」

正道「うん…だからね、僕は余計、順平君の気持ちが気になってね。尻をたたいてくれる友達のいる元子と違ってね、彼は本当に孤軍奮闘だよ」

元子「はい」

正道「君にはね、僕とか子供たちとか味方がいるんだけれども、順平君が困った時には本当に一番の味方になってやってほしいんだ」

元子「ええ」

正道「しかし、10年は長いけども、どんな映画作るか楽しみだな」

元子「本当よね。順平には、それしかあの河内山を納得させる方法はないんだし、それが一番の親孝行なんですものね」

正道「うん」

 

そして、お前もね。元子には、そんな正道の言葉が聞こえたような気がしました。

 

つづく

 

急にため口っぽくなってびっくりしたぁ。

 

爆笑問題のラジオでリビングをテレビのある部屋と呼んでいる子はいい子というハガキから、太田さんちは呼んでた、田中さんちは呼んでなかったという話になり、お前んちの親は大正生まれだもんなという話に。

 

爆笑問題のおふたりは、どちらも昭和40年生まれ(田中さんは早生まれで1学年上)。田中さんのお父さんは大正15年生まれとはいうものの、11月27日生まれでもう少し遅ければ昭和生まれだったという話をしてました。元子と同じ学年だね。

 

とはいえ、太田さんのお父さんも昭和3年生まれなので大した差はないという話でした。大正15年は1926年で昭和3年は1928年。テレビのある部屋は私も言ってた記憶があるなあ。寝てよう日といい、まだ生まれる前の話だけど、懐かしい用語が聞けた日でした。

 

あんなにバリバリやってる友人の間にいる元子…なかなかつらいやね。