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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(90)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

葬儀も終わった3月、宗俊(津川雅彦)とトシ江(宮本信子)が線香をあげに松江にやってきた。元子(原日出子)は嫁として、舅の死に水をとる役目を立派に果たしてくれたと邦世(磯村みどり)は感謝する。宗俊は東京に戻って来る事がないか、それとなく正道(鹿賀丈史)に探りを入れるが、元子が松江に骨をうずめる覚悟の目をしていると気づき、落胆して帰京する。しかし、正道も東京での仕事にもう一度挑戦したい気持ちがあった。

松江では春とは名のみの3月も半ば、泰光の葬儀も終わって…。

 

泰光が亡くなったのは、昨日の回の電報だと「十四ヒ」ということだから昭和31年3月14日(水)かな。

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仏壇に手を合わせる宗俊。「なあ、こんなちっちぇえ箱に入(へえ)っちまってよ。おいらよりほんの少し年上だけだったのにな。なんまいだぶ、なんまいだぶ、なんまいだぶ…。どうも」波津や邦世に頭を下げ、トシ江に合図し、今度はトシ江が仏壇に手を合わせる。

 

邦世「遠い所から本当にありがとうございました。元子さんには主人も最後までよう見ていただいて」

宗俊「なに、しゅうとの死に水取るのは嫁の役目でございますから」←今は駄目だろうな~、こういう発言。

邦世「はい、それを立派に果たしてござれました」

宗俊「まあ、考えてみりゃ、あっしらも息子の嫁に、やっぱりそうしてもらわなきゃならねえわけですから順送りでさぁな」

波津「その順が逆さまになってしまって」

宗俊「そりゃまあ、ご隠居さんのお嘆きは、お察しいたしますがね、ご隠居さんはそれだけ寿命に強くお生まれなすったんだ、え。お迎えが来るまでは息子さんの位はいを守るのもこりゃ巡り合わせってもんじゃございませんかね」

トシ江「おとうさん」

 

宗俊「だからそうなんだからしょうがねえじゃねえか」

波津「いや、全くの話が。わしには、まだこの世の中でしんならんことが残っちょうってわけですか」

宗俊「ええ、そうですとも。持って生まれた寿命ってのは空っぽになるまで精いっぱい生きるのがお務めってもんでございますよ」

波津「ありがとうございます」

 

宗俊は外面がよい。いいこと言う。だからこそ芸者衆にもてるのも分かるんだよな~。

 

客間

正道「改めて紹介いたします。陽子の主人で柳瀬平八郎です」

平八郎「取り込んでおりましたので、ゆっくりご挨拶もできませんでしたが、柳瀬平八郎です。どうぞよろしくお願いいたします」

宗俊「ええ。え~、元子の父親と母親でございまして」

トシ江「元子がいつもお世話になっております。ありがとう存じます」

平八郎「その節は結構なお祝いを頂戴いたしまして、ありがとうございました」

 

西岡徳馬さんと宮本信子さんは、あんまり年変わらないんだよね。

 

宗俊「しかし、本当にいい時に結婚してくだすった。陽子さんもいい親孝行しなすったよな」

陽子「はい。お義姉(ねえ)さんにもそう言っていただきました」

宗俊「へえ~、元子がそんなことをハハハ…」

正道「はい。元子は本当によくやってくれました。あの時は出版社の倒産ということもありまして、お断りもしないで勝手にこっちに住み着いてしまいましたけれども、今、こうして父を見送りますと、たとえ2~3年でも本当に一緒に暮らせてよかったとゆうべもしみじみと元子と話し合ったところです」

宗俊「もちろんそうだとも」

 

元子「心配ばかりかけてすいませんでした」

宗俊「まあ、これからはな、正道っつぁんも大変だろう。何てったってな、跡取りなんだから。やっぱり松江にずっと住むことになっちまうんだろうな」

正道「はあ…今後のことは自分なりにきちんと考えたいと思っております」

宗俊「あ~、いいんだ、いいんだ。気にしなくていいんだからな。そりゃお前、何てったって、その大伯父さんたちとよ、いろいろと話し合わなきゃ何事も決まらねえんだから、まあ、それはそうなんだけど、藤井のやつがな、もし今度のことを潮に東京に出てくるようなことがあったら、仕事のことだとか、うちのことでな、いろいろと相談したいなんて言ってやがったもんだから」

正道「はあ…」

宗俊「まあ、そういう時にな、東京へ出てくるようなことがあったらよ、もう今度はおめえ、おっ母さんとなご隠居さんご一緒って方法もあるんだしよ。まあ、そうなりゃおめえ、なにも藤井のやつがうち明け渡さなくたって適当にいい所をまた別に探しゃいいんだから。な」

正道「はい、ありがとうございます。ただまだ家族の者と話し合っておりませんので」

宗俊「おうおう…そりゃおめえ、もちろんそうだとも」

正道「またそういうふうになりましたら、その節はまたよろしくお願いいたします」

宗俊「ああ、もうそりゃ…あくまであんたんちの問題なんだから。なあ元子」

元子「はい」

 

宗俊先走り過ぎ。そして今までは大叔父だったのが今日の回だけ字幕が大伯父だね。

 

今後のことは追って報告するという正道の返事を抱いて宗俊夫婦は再び車中の人となりました。

 

蒸気機関車が走る。昔の古い映像じゃない感じ。今度はボックス席に隣り合って座る宗俊とトシ江。宗俊が窓側。タバコを吸ってるのが時代だね。

 

宗俊「駄目だな、ありゃあ」

トシ江「え?」

宗俊「元子だよ、元子。あれは松江で骨をうずめる気でいやがる」

トシ江「やっぱり娘なんてものは、くれてやってしまえば他人なんですかねえ。まあもっともその方が幸せなのかもしれませんけどね」

 

宗俊「おい」

トシ江「はい?」

宗俊「おめえ、俺より先に行くなよな」

トシ江「何、急に言いだすのかと思ったら」

宗俊「何でもいいから俺より後に行ってくれ。1日でも2日でも」

トシ江「もちろんそうありたいと思ってますよ。そりゃね、本当は一緒に行っちまえば一番いいのかもしれないけど、けどまあ、あんたのことだから、どこで不始末してるか分かんないもの。たとえ3日遅れでもきちんと後始末してからじゃないとね」

宗俊「チッ、利いたふうな口ききやがって」

 

な~んかいいよね、こういう何気ない会話。

 

宗俊「おめえ、いくつになった?」

トシ江「あんたとは3つ違いですからね、ちょうどです」

宗俊「ふ~ん」

 

正道たちの部屋

元子がお茶を入れる。「はい」

正道「なあ、元子」

元子「はい?」

正道「お義父(とう)さんのおっしゃられたこと、もう少し考えさせてくれないか」

元子「ええ」

正道「僕も東京の仕事あのままで終わらせたくないって思ってるんだ」

元子「はい」

正道「まあ、前にも言ったけどね、こっちへ帰ってきたこと自体は後悔してないよ」

元子「はい」

正道「まあ、あれはあれで一つの区切りだったんだろうけども、僕にはね、何かやり残したっていう思いがいつもどっかにあるんだよ」

元子「はい…」

 

正道「僕ももう35で2人の子供もいるから、いつまでも夢ばっかり追っかけてるわけにはいかないんだけども、男としてな、もう一回挑戦してみたいんだ」

元子「ええ」

正道「かといってな、おばあさんたちに今すぐ一緒に上京してくださいって切り出せないしな。まあ、考えてることもあるんでもう少し時間をくれないか」

元子「はい。でも、どんなことなんですか? あなたが考えていらっしゃるということは」

正道「うん…友達からな、何回も誘われてるんだけども、建設関係の仕事なんだよ」

元子「建設関係?」

正道「うん。戦後一緒に仕事をした仲間なんだけどね」

元子「はい」

 

正道「どうかな?」

元子「あなたの思うようになさってくださいな」

正道「うん…」

元子「でも今すぐにっていうのは私も心が残ります。おばあ様とお義母(かあ)様とお待ちしますから、あなたがよろしいようにじっくりと考えてくださいな」

正道「うん、しかしな…」

元子「いいえ。こんな言い方は嫌だけれど、お義父様をお見送りしたんですもの。これからはあなたのなさりたいことをやったらいいと思うの。そして、お義父様だってそれを一番望んでらっしゃると思うわ」

正道「うん」

元子「私、待ちます。これからは全て、あなたのお考え次第、私もそう考えていました。どこへでもついていくってここへ来る時もそう約束したんですもの。大丈夫」

正道「ありがとう…」

 

1週間後、正道からの手紙が宗俊のもとに届きました。

 

吉宗の店先。通りの向かいに菜の花が咲く。

 

台所

巳代子「ねえねえ、お父さん、えらく機嫌が悪いみたいだけども」

トシ江「ああ、手紙が来たんだよ、正道さんから」

巳代子「何だって?」

トシ江「しばらく上京することにはならないだろうってね」

巳代子「しばらくって、どのくらい?」

トシ江「さあ。ちょいとこれ蓋しておくれ」

巳代子「はいはい」

 

トシ江「だから、あんたたちはね、今のまま、あのうちにいてくださいってさ」

巳代子「ということは、ずっと向こうに落ち着いちゃう気なのかしら」

トシ江「だからって、しつこく聞くわけにもいかないしねえ」

巳代子「それで母さんも機嫌が悪いわけだ」

トシ江「私は別に。私、覚悟できてんだもん」手慣れた包丁さばき。

 

巳代子「あ~あ、ひがんじゃうなあ」

トシ江「何がよ」

巳代子「これでも私、結構、親思いのつもりだし、祐介さんだって、あれで随分と気ぃ遣ってんのにさ」

トシ江「何言ってんのよ。弘美(しろみ)、どうしたの?」

巳代子「うん、干し場で遊んでるけど、よろしくお願いいたします」

トシ江「まあ、これが親思いの言うことかしら」

 

巳代子「アッハハハ…放送はお昼(しる)だから後片づけが終わっても夕飯までには帰れると思うの。遅くなるようでしたら電話を入れますから」

トシ江「はいはい」

巳代子「よいしょ」

トシ江「とちんないでね」

巳代子「ひと言多いんです」

トシ江「私も娘思いだからさ」

巳代子「それじゃ、行ってまいります」

トシ江「はいはい、行っといで」

 

トシ江「気ぃ付けてね」

巳代子「は~い!」

 

干し場で弘美と遊んでいる宗俊。「ケッ…弘美、おめえな、もうこれ以上、大きくなるんじゃねえぞ、え。女の子ってのはな、おめえ、それぐらいが一番かわいいんだから。はい…。はい、ごちそうさまでした。おめえ、間違ってもな、嫁になんか行くんじゃねえぞ。いいか?」おままごとしてる。

 

しばらく様子を見ていたトシ江。「はいはい、弘美、ほら、おばあちゃんとこおいで。ねっ、ほら、おばあちゃんとこおいで」

宗俊「何だよ、何だよ、おいおいおい」

トシ江「だって、仕事の邪魔でしょうよ。ねっ。ねえ、弘美」

宗俊「この野郎。あ~あ、女もな、お前こけが生えてくりゃあ、それだけかわいげがなくなるってこった。何だ、お前、学校はどうした?」

 

順平「春休みだろ」

宗俊「だったら少し手伝え、仕事手伝え」

順平「お母さん、3,000円」

宗俊「どうするんだよ、そんな大金、高校生が」

トシ江「いいんですよ。私が聞いてるんですからね」

宗俊「お前が聞いてても俺は聞いちゃいねえぞ」

 

トシ江「グローブ買い直すんですよ」

宗俊「バカ野郎! そんなもんに使うこたぁねえ」

順平「レギュラーになったんだってば」

宗俊「うるせえ!」

 

あのかわいかった順平が…。しかし、順平が高校生!? 春休み中で高2から3年になるとしても17歳。若返ってないか?

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昭和20年 小学5年の吾郎の2つ下、小学3年の順平だったはず。吾郎はどうしたかな?

 

正道は夏が過ぎても動かず、慎重に上京の機会を検討していました。一方、元子はラジオのモニターに採用され、この秋、3年ぶりに原稿用紙に向かう時間を持っていました。

 

夜、正道たちの部屋

子供たちは寝ている。

正道「おっ、やってるな」

元子「お湯加減、いかがでした?」

正道「うん、ちょうどよかったよ」

 

元子「ねえ、ここんとこ少し変かしら?」

正道「うん、どれどれ。『松江の朝の描写については、もう一工夫欲しかったと思います。よそから来た者には、お堀の水の流れ一つとっても思いがけない美しさを感じるものなのです』。お~、いいじゃないか」

元子「本当に?」

正道「うん」

元子「じゃあ、今夜中に仕上げておきますから、すいません、明日、役所へいらっしゃる時にポストへ入れてってくださいますか」

正道「うん、いいよ」

元子「じゃあ、頑張っちゃおうっと」

 

正道「あっ、何だ、あの大介の寝相は、もう…」

元子「あ~あ」

正道「あっ、いい、いい」

元子「すいません」

 

生き生きと机に向かう元子の姿に正道は、ふと元子本来の才能を自分が封じ込めているのではないかと思いました。

 

つづく

 

元子の才能を封じ込めてるなんて気付く正道さん、やっぱりイケダン、スパダリだよ! 

 

年齢がいろいろ判明した回でもあったな。

昭和31(1956)年3月

元子 前年12月に29歳を迎えたばかり。まだ20代!

正道 35歳

トシ江 50歳

宗俊 トシ江の3歳上

 

順平が高校生ってのが、えー!?だったけどね。

 

まだしつこく言うけど12月中旬の休止がなくて大みそかまで放送してたら、この回が大みそか放送で、明日の回を1/5(木)から放送してれば、感覚としてもちょうどよかったのにな~。話の区切り的にもそこまで明日まで待てない展開じゃないし。