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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(147)「ほな、また!」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

町子(藤山直美)と秘書の純子(いしだあゆみ)は、加藤医師(串田和美)から、健次郎(國村隼)が肺がんであることを聞く。手術は行わず、放射線治療を行うが余命は半年から1年だという。健次郎の病室に戻った町子だが、健次郎にはほんとうのことが話せない。徳永家に帰った町子に、純子はほんとうのことを健次郎に話すほうがよいのではと諭す。町子もその気になり、翌日、原稿を仕上げた町子は、健次郎のいる病院に向かう。

病室

純子「お顔の色、だいぶいいです」

町子「バスタオル、腰に敷くんでしょ。ねっ」

 

健次郎の病気の検査結果が告げられる日です。

 

町子「大丈夫?」

健次郎「うん、大丈夫」

町子「大丈夫?」

健次郎「うん」

 

腕時計で時間を確認する町子。「私、そしたら、そろそろ先生のとこ、行ってきますね」

健次郎「あのな、町子…」

町子「はい」

健次郎「純子さんも一緒に行ってもらえ」

町子「え…」

健次郎「あんた一人やったら何か聞き間違いせえへんか心配や」

町子「大丈夫よ」

健次郎「あかん。慌てて早とちりしたらえらいこっちゃ。お願いします」

純子「はい」

町子「実はね…お母ちゃんにも同じこと言われた。2人で行ってきた方がいいんでしょ?」

健次郎、うなずく。

町子「うん。ほな、お願いします」

純子「はい」

 

面談室

加藤「お掛けください」

町子と純子、椅子に座る。

加藤「気管支鏡で肺にできた腫瘍の組織を採って詳しく調べました。残念ながら…悪性腫瘍、つまり肺がんです」

 

ここから町子の心情を表すように揺れるカメラ。一時、というか今も?こういう演出はやってたけど、あんまり好きじゃない。やり過ぎ感があった。

 

加藤「手術ではなく放射線治療を行います。すぐに治療を始めます。それによって多少の進行は食い止められますが、根本的な治療でないことをご了承ください」

町子「ということは、つまり…」

加藤「残念ながら完治の可能性は少ないということです」

町子「で、主人は、あと…」

加藤「患者さんの体力のこともあって一概には言えませんが…半年か1年です」

町子「半年か1年…」

加藤「ええ」

町子「分かりました。できるかぎりのことをしてやってください。お願いいたします」

 

病院の廊下を歩く町子と純子。足音が響く。

 

病室

ノック

健次郎「はい」

町子「フフッ…。美女2人戻ってまいりました~」

健次郎「あらららら! どこにそんな人がいてはりますねん?」

町子「もう、憎たらしい言い方やわ。ねえ!」

 

純子「はあ…。先生、私、あの一足先におうちに戻っております」

町子「じゃあ、お願いいたします」

健次郎、ベッドから体を起こす。

純子「大先生、失礼します」

健次郎「はい」

町子「純子さん、ありがとう」

純子「はい」病室を出て、振り返る。

 

病室

健次郎「で、どないやった? 話は」

町子「うん…。『お薬で治療していきましょう』て。『手術はしません』て」

健次郎「ああ、そう…。それだけ?」

町子「うん。それだけ。あ…それで、そのお薬でね、『肺の中にある腫瘍をどんどん小さくしていきますから』って」

起こした体を元に戻す健次郎。「そうか…。仕事あんねやろ? 帰りや」

町子「まだ大丈夫よ」

健次郎「はよ原稿渡してあげな。待ってはんねやろ? ちょっと疲れたから寝るわ」

町子「そう。そしたら、帰って書きますわね」

健次郎「うん。なかなか隠居はできまへんなあ」

町子「うん。フフッ。明日の朝、来ますから」

健次郎「頑張って…」

町子「はい! うん」

 

病室を出た町子は「はあ…」と大きなため息をついて廊下の壁にもたれかかる。

 

病室で健次郎は、みんな分かってる顔に見えるなあ。

 

夜、台所

料理を作っている純子。

 

町子「ただいま~!」

 

純子「え?」

 

茶の間

町子「あ…」

純子「お帰りなさいませ」

町子「ただいま! よいしょ! あの、お母ちゃんは?」

純子「お部屋です」

町子「そう」

 

純子「お早かったんですね」

町子「『はよ、うち帰って仕事しなさい』って」

純子「大先生がおっしゃったんですか?」

町子「うん。そやから、はよ、仕上げんとね。純子さん…今日はいろいろとありがとうございました。一緒にいててくれはって」

純子「あ…いえ」

 

町子「ほな!」

純子「あの…お食事は?」

町子「ああ、私、今、結構です。そやから純子さん、お母ちゃんと一緒に先、食べてください」

純子「じゃ、お部屋にお持ちします」

町子「何やあんまりおなかすいてへんのんです。はあ…。臨戦態勢や」

純子「え? あ…先生」

町子「はい」

純子「あの…大先生にはおっしゃったんでしょうか? 病気のこと」

町子「いえ…。よう言わんかったんです…」

 

仕事部屋

4月も5月もスケジュール帳の予定はいっぱい。

町子「あ~…予定がいっぱい埋まってるわ~」ため息

 

純子「失礼します」

 

町子「はい」

純子「あの…。大先生には本当のことおっしゃった方がいいんじゃないでしょうか」

町子「え?」

純子「私、思うんです。大先生はお医者様ですから、ご自分の体がどんな状態かもう気付いてらっしゃるんじゃないかと。それに、う~ん…先生たちご夫婦はこれまでどんなことでも話し合ってこられました」

町子、うなずく。

純子「だから…こういう大事な時こそ隠し事は…大先生、悲しまれると思います」

町子「そうですよね…。いつまでも隠し通せるわけもあらへんし…。ありがとう、純子さん。私、ちゃんと健次郎さんにお話しします」

 

戸が開く音

昭一「ごめんください」

 

町子「あ…」

 

茶の間

昭一と和代が並んで座っている。

昭一「手術が…でけへんの?」

町子、うなずく。

昭一「そんなに悪かったんか…」

 

町子がいなくなり、昭一が縁側に座り、和代はそのまま。純子がお茶を持ってくる。

純子「町子先生、ご立派でしたよ! 主治医の先生からその話を聞いてらっしゃる時、取り乱すことなく冷静にじ~っと話を聞いてらっしゃいました。あ…でも、病室に戻る廊下を歩いてらっしゃる時、私、あんなに寂しそうな町子先生見たの初めてです。声もかけられませんでした。でも、大先生にお会いになる時は、また元の町子先生に戻られて…今だって『さあ、臨戦態勢や』って」

昭一「臨戦態勢?」

純子「これから押し寄せてくるいろんなことを想像なさってるんでしょうね」

 

仕事部屋

原稿を書いている町子。手が止まり、考え込む。

和代「町子」

町子「あ…お母ちゃん」

和代「大丈夫か?」

町子「大丈夫よ!」再び原稿に向かうがすすり泣いてしまう。

和代は何も言わずに肩をさすり続ける。な~んで藤山直美さんの泣きの演技はこんなに泣けるのか。何回見ても泣いてしまう。

 

病室

看護師「37度1分。平熱に戻りつつありますね」

健次郎「はい」

 

ノック

健次郎「はい、どうぞ」

町子「あ…おはようございます」

看護師「おはようございます。お熱、落ち着いてますよ」

町子「ああ、そうですか!」

看護師「朝食後、加藤先生が治療のこと、ご相談に参りますんで…」

町子「あ…よろしくお願いいたします」

看護師「はい」

 

健次郎「おはようさん。また徹夜か?」

町子「私かてちょっとは寝ましたよ」

健次郎「ハハッ、そう…」

町子「あら、おかゆさんですか?」

健次郎「おう。ちょっと食べてええて」

町子「ああ、そう。ちょっと待って」

健次郎「うん?」

 

町子がおかゆの入った器を持って熱さを確認。

健次郎「熱いか?」

町子「そうでもないけど…ちょっと熱いかな。はい、ア~ンして、ア~ンて」

健次郎「あ…」

町子「お口開けてア~ン!」

健次郎「重病人やないねん。ア~ンして食べさしてもらわんでも大丈夫や」

町子「ちょっと熱いかも分からん」

健次郎「うん」

町子「あ、あ…ア~ン」

健次郎「うん、大丈夫や」

 

町子は健次郎に本当のことを話そうと考えていました。

 

ミニ予告

町子「お母ちゃんどないしたん? 足」

和代「お帰り」

 

はあ~…最終週にこんな感じはちょっと辛いね。